天体写真

D810AとASI174MC-COOLの比較

★先日の撮影で、気になったことが・・・

ようやくまともな写真が撮れたD810Aですが、今後、冷却CMOSカメラASI174MC-COOLとの使い分けが難しいところです。

ニコン:D810A
D810AとASI174MC-COOLの比較_f0346040_02372794.jpg



ZWO:ASI174MC-COOL
D810AとASI174MC-COOLの比較_f0346040_02560607.jpg

もっとも、そもそもの画素数が、

 D810A:3630万画素
 ASI174MC-COOL:230万画素

と「あからさま」に違うのですが、実はピクセルサイズ(画素ピッチ)はほとんど変わりません。要するに、ピクセル等倍すればほとんど同じ画角になるということでして、いきなりトリミングできている点でASI174MC-COOLを便利と見るか、広範囲を撮影して後からトリミングできる点でD810Aを便利と見るか、用途次第ということになります。

 あとは、ノイズの出方の違いですね。ASI174MC-COOLは冷却機能によりホットピクセルは激減しますが、アンプノイズや縦横に走る『シマシマノイズ』が取れません。一方D810Aはその画像処理エンジンの優秀さから変なノイズは出ませんが、いかんせん画素数が多すぎて画像処理が大変です。

 ちなみに、RAWファイルのサイズは、

 D810A:約44Mバイト
 ASI174MC-COOL:4.6Mバイト

ですから、およそ10倍もの差があります。


★撮影日や撮影場所は違いますが・・・

 いて座の干潟星雲M8をそれぞれ15秒露光×100枚コンポジットしたものを比較してみます。
望遠鏡はどちらもビクセンVMC260L+レデューサVMC+LPS-P2で1860mmF7.1相当です。


D810Aの画像をASI174MCに合わせてトリミング
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ASI174MC-COOLでのノートリミング
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トーンや発色をできるだけ似せるように画像処理はしましたが、こうして見比べるとほとんど同じですねぇ。
さらにピクセル等倍でトリミングしてみましょう。

D810Aのピクセル等倍トリミング
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ASI174MC-COOLのピクセル等倍トリミング
D810AとASI174MC-COOLの比較_f0346040_19204354.jpg
若干ASI174MC-COOLの方がシャープなような気がしますが、ほとんど差がありませんね。
ちなみに、どちらもあえてシャープ処理を行っていませんが、ハッブル宇宙望遠鏡での撮影で話題になった『干潟星雲内の巨大なツイスター(竜巻)』が(小さく)写っています。分かるでしょうか??・・・お暇な方はぜひ検索してみてください。(ものスゴイ写真がNASAから公開されてます。)

M8やM42のような明るい星雲を短時間露光のノータッチガイドで撮影し、多数枚コンポジット処理して仕上げるなら、どちらも大差ないといったところです。一般撮影もできるデジカメでありながら冷却の必要なくASI174MC-COOL並みに写ってしまうD810Aの画像処理エンジンの凄さを褒めるべきか、本体価格がD810Aの3~4分の1なのにD810A並みに写ってしまうASI174MC-COOLの先進性を褒めるべきか、なんとも言えませんね。

さて、差が出るとしたらやはり長時間露光時の挙動なのでしょうが、こればかりは(お蔵入りしているオートガイダーの再調整が必要なことと、最近はやりのディザリング撮影法を鑑みると、それなら最初から短時間露光ノータッチガイドの方が良いのでは?などと考えてしまい)ちょっと微妙ですねえ。

★P.S.
ああ、これにて、GWの連休期間終わっちゃいます。
幸い、色々なネタがたまったのでブログの更新には困りませんが、次のまとまった観測チャンスとなると、8月まで『おあずけ』かも・・・・(泣)

Commented by G at 2016-05-10 13:12 x
ZWO社冷却カメラとの比較大変参考になります。有り難うございました。D810Aが欲しいのですが、価格のハ-ドルが高く手がでません。画像処理の腕前もあるのでしようがASI~がとても魅力的です。
Commented by supernova1987a at 2016-05-13 22:50
> Gさん
だいぶテスト撮影データが溜まってきました。
後は、シマシマノイズの対処法をマスターすれば実用に耐えられそうですね。
恐らく、フラット補正が必要なのだと思います。
最近出たASIのフォーサーズ版を見て、正直「しまった。はやまったか。」という思いもあるのですが・・・。
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by supernova1987a | 2016-05-05 19:55 | 天体写真 | Comments(2)

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