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ASI1600MCのゲイン検証ごっこ

★まだまだ落ち着きません

一向に天体写真撮れそうに無いので、今日は「検証ごっこ」で遊んでみます。
今回の検証ごっこテーマは、以前(まるで決定事項のように)書いてた

「ゲインを+60するごとに感度が倍々にアップする」のはホントか?

です。

使うツールは、以前、四苦八苦してDelphiでゴリゴリ書いたFITSファイル解析用プログラム♪
円形のグラデーションをPCモニタに表示させたものをASI1600MC-COOLでゲインを変えながら撮影し、解析ツールにかけます。

f0346040_23555531.jpg
★露光量を揃えてゲインのみを変えて比較

今回の比較では、できるだけ素直なデータを得るため-10度まで冷却し、
ガンマ補正を50、色補正(カラーごとの感度補正)は無しでいきます。
露光は4msで統一。
ゲインについては
139(これがユニティゲイン)
199、259、319
という風に60ずつゲインをアップして差を見てみます。

撮像データは次の通り
[ZWO ASI1600MC-Cool]
Debayer Preview=Off
Pan=0
Tilt=0
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
ColourSpace=RAW16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode=Off
Turbo USB=80
Flip Image=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=139 ←ここだけ変えて比較
Exposure (ms)=0.004
Timestamp Frames=On
White Bal (B)=50
White Bal (R)=50
Brightness=1
Gamma=50
Sensor Temp=-10
Cooler Power %=14
Target Temperature=-10
Cooler=On

さて、目論見通り、ゲインアップ60が感度2倍になっていますでしょうか??


★G素子についての輝度分布は・・・

f0346040_00422854.jpg
各ゲインの輝度分布はリニアで見るとこんな感じです。
ちなみにASI1600系のカメラはFITSファイルを吐き出す際に、
12ビットで量子化した輝度データを16倍して(隙間をあけて配置して)16ビットデータに見せかけていることは以前確かめました。
ゲインを変えてもこの挙動が変わらないかを見るために、輝度データを拡大してみます。

f0346040_00511127.jpg
おお、どのゲインでもとても行儀良く16輝度間隔に散らばってますね。
ガンマ補正や色補正をかけない状態(ガンマ:50 R:50 G:50)なら、輝度データは単純に16倍されているだけのようです。

★ゲイン別の比感度を推定する

ゲイン別の輝度データの傾向を見やすくするために、対数グラフを作ってみます。
横軸(輝度値)を対数表示すれば、横のずれ幅が比を表すので、理論通りならピーク位置が等間隔になるはずです。
というわけで、輝度データを両対数グラフにしてみました。
f0346040_00544091.jpg
おおー。ピーク値が綺麗に並んでます!
良い感じです。ちなみに、ゲイン139(ユニティゲイン)のときは光電効果で生じた光電子1個を「1」とカウントするはずなので、FITSデータではこれに16をかけた「輝度16」として記録されていると考えられます。上のグラフの左端が10ですので最初のプロットがこの「光電子1」に相当する信号ですね。

※「ゲインを上げたら、このプロットは消えてしまい(右にズレてしまい)もっとまばらなデータになるかも」と邪推していましたが、そうでは無さそう。

ちなみに片対数グラフだとこんな感じです。
f0346040_01040358.jpg
ゲイン別のピーク値がとても見やすくなりました。
本来これらのピーク値を読むことで、およその比感度が分かるのですが、
今回は、低輝度側からの積分値で比較することにします。

低輝度側からの累積ピクセル数を解析すると、下記のようになりました。
f0346040_01065465.jpg
もし、ゲインを60アップするごとに感度が2倍になるなら累積輝度分布が左右等間隔になるはずですが、とても良い感じで等間隔になってますね♪
・・・これは期待できそうです。

つぎに、上記のグラフでヒットしたピクセル数が1500万画素に到達するまでの累積輝度をゲインごとに分析してみます。

f0346040_01381180.jpg
うししし。
とても綺麗なリニアリティが得られました。

★最終結論(めいたもの)

というわけで、今回の「検証ごっこで」はASI1600MC-Coolを-10度で運用した際のゲインと比感度の関係は次のようになりました。

f0346040_01143958.jpg
結論として、ゲイン139を基準とすると、ゲインを60上げるごとに感度は「ほぼ」2倍になることが分かりました。

えっ?
「理論値とズレてるぞ!」
ですか?

ええと・・・・たぶん下記のどれかかと

仮説①
ゲインの設定値と実際のゲインが微妙にズレている。
※ゲイン60で1.995倍(理論値)では無く2.021倍になる仕様なら、2.021の3乗が8.25なので結構良く合ってます。

仮説②
ゲインと連動して増加するなんらかのノイズが加算されて輝度が増している。
※ありそうなお話です。(ダークも引いていませんしねぇ)

仮説③
あぷらなーとのポンコツ頭で考えた「検証ごっこ」なので、そもそも手法が間違っている。
※大いにあり得ます(笑)

・・・・とにかく、細かいことを言わなければ、
ASI1600系の感度は、ゲインを約60上げるごとに約2倍になっている
ということが、実際に確かめられました。

めでたい♪

心のつぶやき
「ああ、久しぶりにASI1600に触れたと思ったら、撮影したのがPCモニタ上のグラデーションだけだなんて・・・・」



by supernova1987a | 2017-03-07 01:32 | 機材 | Comments(8)
Commented by けむけむ at 2017-03-07 03:38 x
毎回素晴らしい!
かつ、どう考えても星を撮影して適当な事を書いてるのに比べて100倍くらいは大変そうな記事!
そうですか~。Gain+60で感度は倍ですか~。
最近、Gain:139をやっと使ってみましたが、ぬるぬるです。けど、やっぱ、露出時間かかりますねぇ...
APTに、Gain:0, 139, 300 がデフォルト設定されてます。Gain:0で天体撮影した事ないですが、感度は139の約1/4ですか... ってー事はエスキモーをリベンジしたのと同じ環境だと480秒(8分)露出... 16枚で2時間強... う~ん... 1回やってみようかな

っつー訳で、次回は、Gainを変えた時の画質に迫って頂けるとワクワク (^o^)
Commented by supernova1987a at 2017-03-07 10:18
> けむけむさん
実は、高ゲインだと輝度分布が拡大投影された感じで、高輝度側はサチるし低輝度側はスカスカになるんじゃね?ってのを期待してたんですが、違ってました。
と言うわけで、意外性のない記事になっちゃいましたが、ゲインと輝度分布の相関を実測した記事は見かけないので、これはコレで成果ありとします。
ゲインと画質については、また後日♪
Commented by にゃあ at 2017-03-08 02:05 x
Gain60ごとに倍なんですね。こうやって検証するのかぁ、と感心しながら拝読しましたが、私にはとうてい真似のできない数学の世界(笑)ASI1600の場合、頭のなかで ほぼUnityの140から、200,260,320,380って覚えておきます!
Commented by supernova1987a at 2017-03-08 03:15
> にゃあさん
良い覚え方ですね♪
本当は基準となる照度の光源を撮影してキャリブレーションするのでしょうが、機材がないのでナンチャッテ検証です。それでも輝度分布のグラフを積分する時とか、光電子増倍管使って実験していた大昔を思いだしてドキドキしました。
なんだか天体写真が趣味なのか機材遊びが趣味なのか分からなくなってきましたが、遠からず実写につながると信じて今は我慢です。
さらに面白い部品も入手したので、転勤諸々が落ち着いたら一気に攻めますよ~!
Commented by オヤジ at 2017-03-08 11:01 x
あぷらなーとさん
昨夜も、Exp120秒やりましたが、結局、オヤジの脳味噌ではGainは、Cut&Try.になってしまいます。
2分露光でゲインを3回変更すると6分とか。(汗)
いずれは、ゲイン90で最適なExpとか探してみたいです。
計算尺のような物があると便利ですね。
どうも、レベルが高過ぎで記録しているようで、レベル調整は数回もやります。(笑)
経験ですよね。少しづつ!
Commented by supernova1987a at 2017-03-09 00:06
> オヤジさん
やはり、実戦に勝る物は無しですよぉ。
理論上はゲイン139(ASI071なら90)が最強なハズなのですが、今回の検証ごっこでは、そうとも言い切れないような気配がしてます。
ショットノイズの正体は(ほぼ)分かったので、あとはリードノイズやゲインノイズやらを勉強してみます。
Commented by けむけむ at 2017-03-14 20:43 x
興味深い記事を見かけました。
https://astronomy-imaging-camera.com/cooled-cameras/cooled-asi-camera-setting-in-ascom-driver/
Commented by supernova1987a at 2017-03-15 00:15
> けむけむさん

こ、これはっ!
あとでじっくり読んでみますが
なるほどねぇ、要するに

長時間露光では低ゲインが
短時間露光では高ゲインが
それぞれ有利だ

という、至極まっとうな結論ですね。

しかし、大多数の人はゲインがコレだけ違ってるのに露光が同じで済んでいる点の方に驚くでしょうね。(ここまでは、私が検証ごっこしたショットノイズ関連の諸々)

そして、あと微妙に効いて来るのがリードノイズということで、今回はココが主題と言うことですね。

適切なオフセット値は、どのように決めてるんでしょうね?
これ、色々とシミュレーションしたくなってきました。
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