★よし。だいたい分かった♪
悪戦苦闘していた『新兵器』スカイメモTですが、その挙動を大体掌握しました♪
今後、購入を考えている方もいらっしゃると思うので、ポイントだけまとめますね。
★スカイメモTの『個性』
①エネループ2本では安定駆動無理かも
②重量バランスの崩れに敏感らしい
③スマホかダブレットが無いと何もできない
④ネット上で揶揄されるほど精度は悪くない
⑤真面目にやれば(結構重たいレンズでも)
安定駆動する
①電源についての暫定的結論
先日来格闘してきたスカイメモTの『過負荷フリーズ現象』ですが、まず電圧降下に敏感だという結論に至りました。
無負荷の状態で何度か長時間ドライブしてみた結果、電源電圧がおよそ2.4Vを切ったあたりで動作が不安定になることが分かりました。・・・ということは、エネループなどのニッケル水素電池2本直列での安定駆動は困難「かも」知れません。
※アルカリ乾電池が1.5V前後の起電力を持つのに対してニッケル水素電池は1.2V前後の仕様が多い。
※アルカリ乾電池なら大丈夫という意味ではない。アルカリ電池は使い始めるとすぐに電圧が低下してしまう物が多い。
※専用アプリには電圧モニター機能が実装されている。これ、必要だからこそ実装されているのでは?
○その解決法
リチウムバッテリーからUSBで5V供給すると、まるで別物のように安定しました。
②バランス調整について暫定的結論
前回のエントリーで『考察ごっこ』したように、支点とカメラの重心が一直線上にないと不安定になるようです。
重量バランスが崩れた途端、負荷限界を超えて異常動作やフリーズが発生するようです。
※供給電圧によってその挙動には差異があります。
○その解決法
カメラ1台なら、別売りの純正プレートとバランスウエイトを用いるのが早道です。
カメラ2台なら、前回のエントリーで試行したような「プレートの両端にパノラマ雲台」方式が有効なようです。
③コントローラについて暫定的結論
今のところスマホかタブレットがないと何もできない仕様なので、こればかりはどうしようもありません。
○その解決法
打つ手無し(笑)
あぷらなーとは、古くなって使用頻度が下がったタブレット(2012年モデルのNEXUS7)をスカイメモT専用にあてがうことにしました。
※一度恒星時駆動を開始してしまえば、あとはタブレットを切ってもスカイメモは動き続けますが、念のため電圧モニターはしておきたいので。
※WIFIの自動切断やオートスリープには要注意。
※追記)拙Twitterに「設定のメモリー機能で回避できる」との貴重な情報を頂きました! 今度試してみます。
★『限界重量』
行ってみるぜ!
スカイメモTに、(一見無謀とも思える)
ニコンAF-S70-200mmF2.8GⅡ+D5000を搭載!!
重量バランスを取るために使用したパーツは
①ケンコー純正のプレート
②ケンコー純正のバランスウエイト
③UTEBITのアルカスイス互換クランプ&プレート
※この手のパーツを使えば、実質ドイツ式赤道儀になるので、バランスは取りやすくなります。
ただし、望遠レンズの前後バランスを取ることが重要なため、アルカスイスのプレート+台座は必須ですね。
※もっと経済的にパーツを揃えたい方は、スカイウオッチャー社から互換パーツが出てます。
『緑のヤツ』ですね。微動装置のバックラッシュがやや大きいこと以外、純正品と遜色有りませんでした。
ちなみに、微動装置回りは、純正品と仕様が異なります。
安定してUSB5Vを供給するため、愛用のSUGOIバッテリーを投入。
スカイメモとタブレットを同時給電しても平気です♪
さらに、D5000(はじめD810系以外の全ニコン機)の『100コマ制限』(100コマ連射したら勝手に止まる仕様)を突破するために、エツミのタイマーリモート装置を投入。
今回は30秒露光の200コマノンストップ連射を行いたかったので、タイマーリモート装置のインターバルタイマーを用いて
●インターバル33秒
●撮影コマ数200コマ
に設定して撮影しました。
インターバルを設定する際はカメラ側で設定した露光時間と実際に露光される時間との差異に注意が必要です。
D810A以外のニコン機は、「30秒露光」に設定すると32秒間露光されるので、若干のデッドタイムも見込んで、インターバルを33秒に設定しました。
カメラ側のドライブモードを「連写」に設定して、通常のリモートコードを「押しっぱ」にする場合と異なり、途中でレリーズOFF信号が飛んでいるため、『100コマ制限』を回避できます。
※あくまでも暫定措置です。今後スカイメモTがさらに安定駆動できればスカイメモ側からのインターバル撮影を試してみます。
★ピリオディックモーションの撮影結果
今回の撮影対象は、こと座のベガ付近。
ええ、なにも無いエリアですが、ピリオディックモーションの『測定ごっこ』が目的ですので♪
各種の策が当たり、あの重たい70-200mmF2.8 を搭載して約2時間の駆動を試みましたが、ノントラブルでした!!
(途中雲にやられたので)写りが良いコマ143コマを比較明コンポジットしてみます。
ピクセル等倍で切り出した画像です。
どうです?とても安定した追尾がなされている事が分かりますね。(前回のエントリーの酷さと比較してみてください。これ、脱調やシャックリやフリーズがゼロですよー!)
以前書いたとおり、この画像から極軸設定エラーに伴う東西方向の固有運動を測定し、メトカーフコンポジットを行います。
東西方向のズレは4718秒間に839.5秒角でしたので、これを赤経方向の時角に直すと1分間あたり0.712秒の移動速度になります。
では、ステライメージ6.5でメトカーフコンポジットしてみましょう。
・・・すると・・・
ででん!!
おお、とてもキレイなピリオディックモーションではないかー!!
これで約4周期分。
『波形』の安定性は、むしろスカイメモSよりも上かも♪
では、いよいよピリオディックモーションの実測に入ります。
ピリオディックモーションによるふらつきは約18ピクセルの幅ですね。
ニコンD5000+200mmの場合、1ピクセルは約5.67秒角に相当しますので、これは±51秒のエラーになります。
ただし、撮影域はベガ付近なので、ベガの赤緯:38度47分を用いて、赤緯値補正を掛けます。
※計算方法の詳細は下記のエントリーをご参照ください
その結果、スカイメモTのピリオディックモーションはっ!
±約65秒と推定されました
先日測定したスカイメモSが±50秒ですから、これ大健闘ですよ。
と言うわけで、
<ネットから拾った
ユーザー様の評判では>
スカイメモS:±20秒
スカイメモT:±100秒
という情報に反し、
<あぷらなーとの
『測定ごっこ』結果は>
という結論に至りました。
まあ、測定方法には個人差がありますし、製品の個体差があるでしょうから何とも言えませんが、
・最低4~5周期分の長時間駆動の結果である
・撮影者+測定者が2機種とも同一である
・極軸エラーの影響を加味している
・対象天体の赤緯値補正を加味している
という点で、一応参考資料程度にはなろうかと・・・♪
さて、今回の『測定ごっこ』の結果ですが、
スカイメモS&Tは、そのウオームホイルの
歯数比が144:72=2:1で、
しかもピリオディックモーションの振幅値が結構近い、ってところがミソでして・・・。
★ということは!!
ふはははは!
追尾精度がイマイチとの風評のスカイメモだが、それはそれでよい。そんなもの
「毒をもって毒を制す」
=『メカニカルPEC』戦法
で、一気に±15秒以下に押さえ込んでやるわっ!!
というわけで、Arduinoマイコンボード用のロータリーエンコーダとか、届いた♪
(あ~あ・・・・ぬ、沼が・・・・)