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カテゴリ:機材( 67 )

ビームスプリットシステムの本領発揮?

★先日のプチ遠征は悪条件でしたが

どうしても画像処理しておきたかった対象があります。
実は、それ『こそ』が、通常のLRGB分解撮影や、フリップミラーでのカラー・モノクロ切り替えシステムでは不可能な対象でして・・・

★ビームスプリットシステムの最大の利点は

f0346040_17213736.jpg
常に光を2分割してモノクロカメラとカラーカメラのセンサーを「同時」露光する点にあります。
もちろん、それぞれ光量が半分になってはしまいますので『総』露光時間はカメラ切り替え式と変わりません。でも、木星や彗星など自転や固有運動が大きい天体の場合、フィルターワークで分割撮影したりカメラを切り替えたりしていると、色がズレちゃいます。それを回避するには、鏡筒+カメラのシステムを二連装する『ツインシステム』や今回の『ビームスプリットシステム』しかないと考えたわけですね。(もちろん、動く対象でもカラーカメラのみを使えば問題はありませんし、動かない対象ならフリップミラーなどのカメラ切り替えで良いと思います。)


※制作記はこちら↓から・・・

※ファーストライトの様子はこちら↓から・・・

※発生する球面収差の試算はコチラ↓から・・・

※星雲の試写についてはこちら↓から・・・

※部品の詳細と撮影効率についてはこちら↓から・・・




★本領を発揮する対象として

①まずは、自転が速い木星(これは先日テスト撮影に成功しました)
②そして、固有運動が大きい彗星(実は、今回これを撮影したくて遠征したんですー)

f0346040_21074153.jpg
  ※ビームスプリッタシステムを装着したVMC260L 個人的にはなかなか『かっちょええ』と思う・・・。



★以前書いたように、条件は良くありませんでしたが

せっかくの遠征だったのに、モヤがかかるあいにくの天候だったので、5cmファインダーの眼視ではジョンソン彗星を視認することはできませんでした。
あいにく、現在の改造アトラクスは彗星を自動導入できないので、星図を見ながら、彗星がいるらしきエリアにある恒星を次々に導入しくという『飛び石作戦』で彗星に近づけました。ところが・・・ようやく、モニタに映し出された彗星は、26cm反射を使っているのにも関わらずとても貧弱でした。

さて、VMC260L+ASI1600MC-COOLでゲイン400の30秒露光で撮像したジョンソン彗星は、こんな感じ。

f0346040_17392335.jpg
く、暗っ!! これ、尾っぽとかあぶり出せるのでしょうか?!
やはり、この天候下では彗星は難敵だったようです。


★とにかく、撮影してみないことには

正直、心が折れそうでしたが、ビームスプリットシステムで同時露光を開始します。
MMとMC、どちらもゲイン400の30秒露光で、各60コマを同時撮影しました。モヤの影響かPHDも暴れるようになってきたので、思い切ってオートガイドも切っちゃいました。また、さすがにダーク減算無しではキツそうだったので、後日、ダークフレームを撮影しました。MM用とMC用を各100コマ撮影してコンポジットです。

さて、あとは「いつも通り」の画像処理です。

MMの方は、ダークを引いてからホットクール除去してコンポジットしてビニングしてメインL画像に。
MCの画像からダークを引いた後、デモザイクしてからビニングしたものをコンポジットしてRGB画像にします。

ちなみに、今回はポールマスターで極軸を合わせたのですが、まだ追い込みが足りなかったようです。
そこで、ノイズの除去が上手く行っているかどうかと、彗星追尾のコンポジットが上手く行っているかもチェックすることにします。


★位置合わせ無しでノイズと彗星の運動を見る

MMの画像60コマを「素のまま」と「ダーク減算+ホットクール除去」(以下『ノイズ除去』と表記)の双方について、位置合わせ無しの比較明コンポジットで比較してみます。

f0346040_19555512.jpg
 ※左:ノイズ除去無し 右:有り

位置合わせをしていませんので、ダークノイズは同じ位置に固定され、恒星は極軸誤差と赤道儀のピリオディックモーションが重なった動きをしてますね。
一方、彗星はそこに固有運動が加わるので、さらに複雑な動きになっています。

右の方は、上手くノイズが消えていることが分かります。



★恒星基準で位置合わせをして比較

ステライメージ6.5で恒星を位置合わせの基準にして比較明コンポジットしてみます。

f0346040_09341647.jpg
 ※左:ノイズ除去無し 右:有り


こんどは恒星が点状に写って、ジョンソン彗星は一定の方向に動いているのが分かります。これが固有運動で、普通に長時間ガイド撮影した場合に彗星だけが流れるヤツですね。一方、ノイズの方は『赤道儀の追尾エラーを逆にたどった』ような面白い動きで写っていますが、それらが皆同じ動きをしていることから、固有の素子が持っているいわゆるダークノイズだと分かります。これらはダーク減算とホットクール除去で右の画像のようにキレイに消えますが、一部消えていない『点』が見られます。恐らくはこれが「突発ノイズ」で、カメラ起因のものなのか、それとも自然現象起因(2次宇宙線の被曝とか)かは、今後検証してみる必要がありそうですね。


★位置合わせを彗星基準にして比較

さて、いよいよステライメージ6.5で位置合わせ基準を彗星の核に指定して上手く行くか、比較明コンポジットして確かめてみます。

f0346040_19594100.jpg
 ※左:ノイズ除去無し 右:有り

おおー。とても面白い絵になりました。彗星の核はまん丸になってますので、上手く位置合わせ出来ているようです。
恒星はキレイな直線になっています。ちょうど「疾走する彗星の背景の流れ」といった趣ですね。一方、ノイズは彗星の固有運動とピリオディックモーションの影響を受けてギザギザになっています。このギザギザの幅がアトラクスの機械的な追尾限界というわけですね。右の方はとても上手くノイズが消えています。

さて、ノイズの状況と彗星基準の位置合わせチェックができたので、本番の加算平均コンポジットを施してみます。


★MCのRGBとMMのLを比較してみる

加算平均コンポジットしたMCのRGB画像と、MMのL画像を比較してみます。

f0346040_20064620.jpg
 ※左:MCの60コマコンポジットRGB画像 右:MMの60コマコンポジットL画像

 MCのカラーノイズはさすがに消しきれなかったようで、MMの方が滑らかですね。また、MMの方が彗星本体が良く写っている「気」がします。


★MCのRGB画像とMM+MCのLRGB画像を比較してみる

 ちょうど、上記の左の画像をRGBチャンネル、右をLチャンネルとしてLRGB合成を試みます。

f0346040_20103238.jpg
 ※左:MCのRGB画像 右:MM+MCのLRGB画像

おおー。かなり改善して事が分かります。バックグラウンドは似たようなものですが、彗星、恒星ともにLRGBの方が明瞭ですね。
MCのカラーノイズがLRGBで軽減されるのは、LRGB合成の際に色情報にボカシが入るからです。(人間の目の特性上、輝度のボケには敏感ですが色のボケには鈍感なことを活かして、ノイズが減ったように『見せかける』のがLRGB合成の特徴です。)

というわけで・・・


・・・ででん!
f0346040_20214336.jpg

ちゃんと彗星を追尾したように写せて、
しかも(ここ重要♪)恒星像に色ズレがありません
単鏡筒+ビームスプリッターを用いたL+RGB同時撮影実験、大成功です!!

※といっても、しょぼい写りですが、今回はこれで良いんです!
ビームスプリッターが彗星に有効だと言うことが確かめられたので(笑)。


by supernova1987a | 2017-05-05 20:02 | 機材 | Comments(6)

オヤジさんのご依頼を受けて♪


★皆さん頑張りますねぇ

 ASI1600つながりで最近情報交換をしている皆様方は、それぞれ独自のアイディアをお持ちのようで、ブログを巡回するのが楽しいのですが、その内の1人、オヤジさんからご依頼を受けましたので、「ASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLをフリップミラーでワンタッチ切り替えして撮影できる装置」を手持ちパーツを元に試し組みしてみました。(パーツのリスト紹介だけのつもりだったのですが、実際に試し撮りしてみないと、ピントが出ないとかのトラブルが怖かったので・・・・)


★LRGB切替撮影用フリップミラーシステム

 極力、『個人の趣味』的要素のパーツは排除して、シンプルに組んでみました。

f0346040_15303672.jpg
<上記図中のパーツ名称>
 ①ビクセン フリップミラー(31.7mmアイピースホルダーは外す)
 ②BORG M42P0.75-M57変換リング 7522
 ③NEEWER マクロエクステンションチューブ・ニコン用(のうちNo3)※代用品有
 ④NEEWER マクロエクステンションチューブ・ニコン用(のうちNo1)※代用品有
 ⑤BORG 2インチホルダ-SⅡ 7504
 ⑥ZWO ASI1600MM-COOL
 ⑦BORG M42ヘリコイドT 7839
 ⑧BORG M42P0.75-M57変換リング 7522
 ⑨NEEWER マクロエクステンションチューブ・ニコン用(のうちNo2)※代用品有
 ⑩BORG 2インチホルダ-SⅡ 7504
 ⑪ZWO ASI1600MC-COOL

※上記の組み合わせの「キモ」は、③④⑨です。
ここで直視方向と直交方向の光路差を調整しています。
ちなみにM57系の延長筒はBORG純正だと結構な出費となりますが、上記のマクロエクステンションチューブは、
 M57準拠の延長リングが×3個 + ニコンFマウントがオス・メス各1個
がセットになった商品で、(私が買ったときは)この5点セットが『まさかの1136円』だったのです。
アマゾンでざっと調べたところ、現在はこの商品が見当たりません
見た感じだと、
Pixcoのマクロエクステンションチューブ ニコンFカメラ対応
が同等品の『様に』見えたのですが、仕様不明なので自信がありません。
(注:Neewerの製品でも、M57ネジとなっているのはニコン用だけで、それ以外はM60だったり色々で使えません)

ところで、
 直視方向の③+④は光路長合計が39mm
 直交方向の⑨は光路長が19mm
なので
これらをBORG純正品で置き換えるなら
③④の代わりに
 BORG M57/60延長筒M 7603(光路長40mm)
⑨の代わりに
 BORG M57/60延長筒S 7602(光路長20mm)
を使ってみても、上手くピントが出ました。

さて、この構成で、実際に組んでみると・・・・


★実際に組み立ててみた

上記のパーツを組み立てると、こんな感じです。

f0346040_16094831.jpg
 ビームスプリッタシステムに比べると相当に軽量です。

直視方向から覗いてみると・・・
f0346040_16112599.jpg
こんな感じで、向かって左側は跳ね上げたミラーのせいでケラレそうに見えますが、こちらにカメラの短辺を向ければ問題ないでしょう。ミラーの裏面とミラー回転ノブの背面がテカっているので、適宜植毛紙などを貼るべき『かも』知れません。


直交方向から覗いてみると・・・
f0346040_16142738.jpg
こんな感じです。
あきらかにミラーが小さく見えるので『ひょっとすると』周辺減光が出る『かも』知れません。

 対物側は・・・
f0346040_16165814.jpg
このように、49mmのフィルターネジが切ってあるのですが、けむけむさん情報によると、ココに49-48mmの変換リングをかませば48mm径のフィルタが使えたとのこと。

※5月5日追記:
 追加情報をいただきました。 マルミのステップダウンリング49mm→48mmでOKとのこと。
 けむけむさん、ありがとうございました




★実際にピントが出るか試してみた


主鏡移動式のVMC260Lはバックフォーカスが変幻自在なので特殊。
BORG系の鏡筒は伸縮自在で、やはり特殊。

・・・というわけで(一般的な特性と思われる)ビクセンの70EDSSに取り付けてピントが出るかテストしてみました。

f0346040_16210567.jpg
・・・といいつつ、実際には、仮組みしてキャプチャしてみるとMCかMMかどちらかのピントが出なかったり、パーツが干渉したしして失敗で、色々とパーツ交換して試行錯誤したのですが(笑)。
最初の構成図は、その結果「実用になる」ことが判明した最終解です♪

 というわけで、上記パーツの組み合わせで直視方向のMM、直交方向のMCともにピントが出ました。

f0346040_16490657.jpg

 左:MCの画像 右:MMの画像


★センタリングのズレはいかほどか

 拡大率を上げて、センタリングのズレを見てみます。

f0346040_16510184.jpg
 それぞれ200%で表示したものです。十字線がクロスしてところが写野中心なので、少しのズレはありますね。
ここは個体差が大きいかも知れませんので数値化は控えておきます。


★LRGB合成を試してみる

MCとMMの画像比較をしてみましょう
f0346040_16551711.jpg
 ※左:MC 右:MM

200%表示ですが、MMの方が圧倒的にシャープですね。

では、これらをLRGB合成してみます。

f0346040_16571079.jpg
うん。良い感じで合成できました。
色はMC、シャープさはMMの「いいとこ取り」成功です。

・・・・というわけで、オヤジさん、これで行けそうですか??


by supernova1987a | 2017-05-04 18:05 | 機材 | Comments(13)

ビームスプリッタ効果検証ごっこ

★苦心の末,運用に成功した『珍パーツ』

ようやく、惑星にも星雲にも利用できることが分かった「LRGB同時露光用ビームスプリットシステム」ですが

f0346040_14514600.jpg
f0346040_02403921.jpg


そもそも、
「ぶっちゃけ、撮影の効率は良くなっているのか?」
という根本的な疑問について『検証ごっこ』してみました。

つまり、
MC単独で運用するよりも
「同じ運用時間で良い絵が撮れる」
か、もしくは
「同じ絵を撮るための運用時間が短くて済む」
というメリットが感じられなければ意味がないということですね。


★ビームスプリッタ構成図公開♪

メインパーツのビームスプリッタとフレームは新調したものの、他の部品は基本的に手持ちの『あまりパーツ』を組み合わたものです。
そのため『無理矢理感』が漂う構成ですが、そこは笑ってスルーしてください。

f0346040_17213736.jpg

 ①EdmundOptics キューブ型ビームスプリッタ(分割比50:50)
 ②EdmundOptics Tマウントビームスプリッタホルダー
 ③EdmundOptics Tマウント両オスリング
 ④BORG M42P0.75-M57変換リング 7522
 ⑤BORG M57/60延長筒S 7602
 ⑥BORG M57回転リングDX 7352
 ⑦BORG 2インチホルダ-SⅡ 7504
 ⑧ZWO ASI1600MM-COOL
 ⑨BORG M57-M36.4 AD 7522
 ⑩ケンコー ACクローズアップレンズNo3(52mm)
 ⑪BORG M57-M57ADⅢ 7459
 ⑫BORG M57-M57AD 7457
 ⑬BORG M60-M57AD 7901
 ⑭アイダス LPS-P2フィルタ(52mm)
 ⑮BORG M42ヘリコイドT 7839
 ⑯BORG M42P0.75-M57AD 7528
 ⑰NEEWER マクロエクステンションチューブニコン用(の一部)
 ⑱ZWO ASI1600MC-COOL

※あくまで暫定的に組んだだけで、実際には上記の組み合わせには複数の問題点が残っています。

f0346040_14415879.jpg

★ざっくりと効果を予測すると・・・・

 ①光束を2分割しているため、通常の撮影の2倍の露光が必要になってしまう
 ②ただし、一方の光を(MCよりも感度の高い)MMで受けるため、総露光時間は減るかも知れない
 ③MMの高解像度を活かすには、VMC260Lの焦点距離は(シーイングの影響で)長すぎる

また、昼間に実写してみた感触だと、MMはMCの約2倍の感度を有していることが分かったので、ビームスプリッタを用いて、MMとMCの同時露光を行った場合には、
MCの感度をPとすると

 (P × 1/2 ) + (P × 2 × 1/2)
  MCの運用感度      MMの運用感度

 と考えて、トータルでおよそMC単独の1.5倍の効率を有することが期待できます。



★実写で検証ごっこしてみる

先日ビームスプリッタを用いて撮影したM17オメガ星雲の画像をもちいて、ザックリと比較してみます。
比較対象は、下記の5つです

 A:MM+MCで撮影した画像、各8コマのLRGB合成
 B:MCで撮影した画像8コマのコンポジット
 C:MCで撮影した画像16コマのコンポジット(スプリッタ無しなら8コマコンポジットに相当)
 D:MCで撮影した画像24コマのコンポジット
 E:MCで撮影した画像32コマのコンポジット

それぞれ1コマに15秒露光を与えるとすると、実際の運用時間は

 A:2分間
 B:2分間
 C:4分間
 D:6分間
 E:8分間

となりますが、そもそもビームスプリッタを使わなければ「光量が2倍」になりますので、その分を補正すると

 A:2分間
 B:1分間
 C:2分間
 D:3分間
 E:4分間

と解釈した方が公平な比較と言えますね。
という訳で、今回の新システムで撮影効率が上がったと言うためには、Bは論外として、Cに勝てるかどうかがカギとなります。

さて、比較に用いた画像の共通データは下記の通りです。(ASI1600MM、MCともに)

VMC260L+自作レデューサ+ビームスプリッタ+LPS-P2フィルタ
ゲイン:400 露出:15秒 撮像温度:-15度 出力:16bitFITS


① MM+MC各8コマ VS MC8コマ 
f0346040_18400794.jpeg
 ※左:A 右:B (ピクセル等倍)

新システムの圧勝です。
・・・といっても、スプリッタ無しなら、この運用時間内でMCが16コマ撮影できるので当然ですね、
事実上、MCの「15秒露光×4コマコンポジット」もしくは「7.5秒露光×8コマコンポジット」だと解釈するべきですのでハナから勝負になりません。


② MM+MC各8コマ VS MC16コマ  
f0346040_17494848.jpeg
 ※左:A 右:C

まずは、ここがクリアすべき条件です。
要するに、「スプリッタ無しのMC単独」と「スプリッタ併用のMM+MC」で「同じ時間かけて頑張った」場合の画質比較になるからです。

・・・うむ。 まだまだ新システムが勝ってます♪
とりあえず、「撮影効率は悪化してはいない」もしくは「同じ運用時間内なら良く写る」と言えそうです。


③ MM+MC各8コマ VS MC24コマ 
f0346040_17500701.jpeg
 ※左:A 右:D

これが「本命」の比較です。
おお、予測通りの結果(この条件で、ほぼ同等の写りになる)ですね!!
正直、ホッとしました♪


④ MM+MC各8コマ VS MC32コマ 
f0346040_17502026.jpeg
 ※左:A 右:E

あ~あ。
ここまでくると、素のMCに負けちゃいましたねぇ。
要するに
「LRGB同時撮影用ビームスプリットシステム」の撮影効率は、運用時間を1/2にするほどではない、
ということです。
・・・ま、予測通りではありますが。


★(暫定的な)結論

あぷらなーとが作製した『珍パーツ』:「LRGB同時撮影用ビームスプリットシステム」を用いると

同等の画質を得るために必要な運用時間が、2/3に短縮される

ということが『検証ごっこ』されました。

「3時間かかる撮影作業が2時間で済む」とも言えますし、「1晩で2対象しか撮れない日に3対象ゲットできる」とも言えますね♪
あんまりハデさはないけれど、とりあえず めでたい♪


★ご注意 その①★
ビームスプリッタの使用により、画質の悪化は免れません。
具体的には、先日の記事で「考察ごっこ」した通り、完全無欠な光学系を用いた場合でもビームスプリッタの通過によって下記のような収差が発生するハズです。
f0346040_04493646.jpeg

★ご注意 その②★
この『珍パーツ』と撮影手法は、まだ完成していません。
例えば、プリズム部分のコバ塗りすらしていなかったり、
レデューサ部分の調整をしていなかったり

・・・近日中には調整する予定ですが、難儀しそうです(泣)


by supernova1987a | 2017-04-29 18:34 | 機材 | Comments(19)

本当の『ファーストライト』は波瀾万丈

★本当にやりたかったのはコレ!

先日、木星の撮影でファーストライトを果たした「LRGB同時露光型ビームスプリット装置」ですが、木星撮影以外のところにも「野望」がありまして・・・・。
それは、ズバリ
「星雲星団をビームスプリッタでLRGB同時露光する!」
という奇想天外な遊びです。

・・・という訳で、ウンウン悩みながら惑星用のシステムを星雲星団用に組み替えました。

f0346040_14393403.jpg
今回ビームスプリッタ本体に装着するのは、左から、「LPS-P2フィルタ」、「回転装置」、「レデューサ代わりのACクローズアップレンズNO3」です。というのも純正のレデューサを用いるにはバックフォーカスが長すぎますし、ビームスプリッタの直前にフィルタを付けると醜いゴーストが出そうだったからです。

さて、これらを組み上げると、

f0346040_14415879.jpg
こんな感じのメカが出来上がりました。
VMC260Lへの接続はM60のネジリングで、これが単独でねじ込み作業できるように回転装置を利用します。

・・・・ところが、この「工夫」が後に悲劇を生もうとは・・・・・。


★好事魔多し

カメラ制御用のノートPCとアトラクスを無理なく長時間駆動させるために投入した、suaoki400Wh電源

f0346040_20101991.jpg
絶好調で動きました。
これ、前面のパネルに現在消費している電力がリアルタイムで表示されるので、あとどれくらいでバッテリーが切れそうかが一目瞭然ですね。ちなみに、アトラクスの恒星時駆動では3~5W程度、満充電したノートPCへのAC供給が8~10W程度で収まってましたので、ざっくり言って30時間程度の連続駆動ができそうです♪

これ、さらにアトラクス制御用のサブノートPCに電源供給しても1晩は余裕で持ちそう。
あとは、2台のASI1600カメラの冷却用の電源としてスゴイバッテリーが1台あれば十分です。

f0346040_14514600.jpg
早速VMC260Lにビームスプリットメカを取り付け、初の星雲撮影に臨みます。

これはもう、「大勝利の予感」♪

・・・・などと思っていたら・・・。



「ドスンっ!!」

正直、一体何が起こったのか把握できませんでした。

実は、突然「ASI1600MC-COOLとASI1600MM-COOLを装着したビームスプリッタ」が「丸ごと」地面に落下したのです!

正直、血の気が引きました。

しばし、全身が硬直した後、地面に横たわるビームスプリッタを拾い上げ、緊急撤収します。
装置を軽く振ると
「カランコロン」
と嫌な音がします。

・・・ひょっとして、ここ数ヶ月の努力が水の泡か?!

★不幸中の幸い

 落下の原因は、先述の、鏡筒へビームスプリッタを接続する際の工夫である「回転装置」でした。これ、カメラ側を手に持ったまま、接続リングだけがフリーで回転するので、強固かつ迅速に接続できるアイディアだったのですが、なんと、「接続リングを鏡筒にねじ込む」作業中に「回転装置が上手く作動せず」に「接続リングが緩んだ」のですね。

 ただし不幸中の幸いで、落下場所が周囲よりも柔らかい赤土だったこと、落下体制が良かった(全パーツに均等に撃力が掛かる)ために、外観のキズと若干の光軸ズレ以外はダメージが無さそうです。ちなみに、「カランコロン」の正体は、カメラの空冷装置部分に入り込んだ土砂でした。


★気を取り直してセッティング

一度全パーツをバラして、内部に損傷が無いか確認した後、丁寧に掃除して、再度セットアップします。

f0346040_15483980.jpg

果たして、上手く作動するでしょうか?


★MMとMCで星雲を同時キャプチャー

f0346040_15230765.jpg


 M8を対象にして、プリズムの被害を調べます。(左:MC 右:MM の同時キャプチャー画面)
見たところ、ほとんど光軸のズレは無さそうですし、変な光やノイズは出ていないようです。

 大急ぎで、-ゲイン400+15秒露光で連射し、MMの画像100コマとMCの画像100コマを同時に取得してみました。(撮像温度:-15度、MMは16ビットモノクロ、MCは16ビットRAWのFITSでそれぞれ出力)



★1コマ撮りでMMとMCを比較

同時に撮像した1コマ画像を比較してみます。

f0346040_15263768.jpg
 ※左:MC 右:MM (ともにゲイン400の15秒露光一発撮り)

感覚的には、MMの方が2倍ほど感度が高く、画像も滑らかに感じますね。

では早速、コンポジットしてみましょう!


★100コマコンポジットで比較

f0346040_15295672.jpg

 ※左:MCの100コマコンポジット 右:MMの100コマコンポジット(ダーク減算無し)

おお、どちらもかなり滑らかになりましたが、若干MMの勝ちでしょうか。


 ★LRGB合成してみる

 いよいよ、仕上げです。
MMで撮像したL画像(100コマコンポジット)とMCで撮像したRGB画像(100コマコンポジット)をLRGB合成し、さらにシルキーピクスで色調などを調整してみます。

 すると・・・


・・・ででん!
f0346040_15384557.jpg
 おお!とても良い感じです。
市街地からのニワトリのため、以前遠征してD810A撮影して400コマコンポジットした画像には少し負けているようなきもしますが、これはこれでなかなか見応えがありますね。


※4/24追記※

先日、単体でも稼働できることが分かったNikCollectionのHDRを活用すると、こんな↓方向性もアリですね。
ちと画質が荒れますが、星雲内のウネウネがハンパないです♪

f0346040_21293302.jpg
ちなみに、レデューサ代わりに装填したACクローズアップレンズNo3ですが、画像を実測してみた結果、純正レデューサ(1860mm)よりも少し長めの約1950mmになっていることが分かりました。口径が260mmですから、F値は11.4→7.5まで明るく出来たことになります。青にじみが発生していますが、クローズアップレンズによるものかビームスプリッタによるものかはまだ不明です。


★という訳で結論!

ビームスプリッタで生じた「負の球面収差」とキャンセルするよう「正の球面収差が残っているタイプ」のクローズアップレンズを用いてみたり、ゴースト軽減のフィルタ配置にしたり・・・が功を奏しているかどうかは不明ですが、とりあえず、あぷらなーとの「珍パーツ」:「LRGB同時露光用ビームスプリット装置」は、惑星の撮影でも星雲の撮影でも実用になることが分かりましたっ!!

めでたい♪

※ダークの減算とか諸々の真面目な画像処理は、これからゆっくりと・・・。

by supernova1987a | 2017-04-24 15:44 | 機材 | Comments(8)

ポータブル電源増強♪

★今年は遠征の機会が増えそうなので

遠征時の悩みは電源の確保ですね。
ちなみに、現在保有しているポータブル電源は下記の通り

 ①メルテックの鉛シール電源「SG3500LED」
 ②システムトークスのリチウムイオン電源「SGB-MDC300LP2」


★①メルテック「SG3500LED」

天文屋さんの『ド定番』ですね。これ、持ってる人かなり多いのでは・・・・。
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  ※AC電源もシガーソケットDC12Vも各1個づつ取れます

ちなみにメーカー公称だと12V-20Ahの容量を持ちます。
DC12Vだけでなく、いざというときのAC電源やUSB端子も装備していて汎用性高いです。
・・・・が、結構『ヘタレ』が早いような気がしていて、特にAC電源を取るとあっという間にインジケータが減っていきます。よって遠征時はサブ電源を常備しておかないと怖いですね。

ところが、最大の難点は「重い」ことです。
メーカー公称値で8.3kgもありますので、2台持って動き回るとけっこう腰に来ます。


★②システムトークス「SGB-MDC300LP2」

いわゆる「スゴイバッテリー」で、私個人の「おきにいり」です。

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専用ケーブルによるDC12Vが2口、USBが2口の他、反対側にシガーソケットのDC12V端子もあって・・・・

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もしAC100Vが欲しいときは、専用のインバータ(別売り)をここに接続して運用することになります。

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リチウムイオン電池で、とにかく軽い♪
容量はメーカー公称値で75Ahとされていますが、これはあくまで3.7Vでの表記なので、
もしメルテックの電源(12V表記)と直接比較するなら、

 3.7V×75Ah÷12V = 23.1Ah

となりますので、ほぼメルテックと同等の容量であることが分かります。
ただし、リチウムイオンバッテリーの特性として、実際の運用では使っても使ってもなかなか減らない『ような気』がします。また、鉛電池と異なり、常に満充電にしておく必要がない(むしろ過充電が怖い)点も楽ですね。

ところで、このスゴイバッテリーの最大の長所は「驚異的な軽さ」です。
ほぼ同等の容量を持つメルテック3500が8.3kgあるのに対して、たったの1.9kg(!)しかないのです。
これなら2個持っても軽やかに走り回れます。

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大きさもメルテックの巨大さが冗談に思えるほどコンパクトです♪

・・・・最大の欠点は、少々お高いことでしょうか。もしDC12VとAC100Vで運用しようとすると、
本体:36,896円に加えて、専用のACインバータ:4,418円が必要です(価格はamazonにて)
(このインバータは専用設計で、バッテリー電圧が9Vまで下がっても出力できる優れものらしい)


★最近はリチウム系がお安くなりました
 スゴイバッテリーを買った当初は、他社のリチウムイオン電源は結構お高かったのですが、最近はかなりお安くなってきましたね。

 ちなみに拙ブログにコメントをくれる「常連さん」の間では、suaokiの220Whバッテリーが人気のようです。
11.1V換算で20Ahですから、スゴイバッテリーよりも「ちょい少なめ」ですが、ちょうどメルテック3500と同等の容量を持っていることになりますね。
 これがアマゾンなら(多少の変動はありますが)だいたい2万円前後ですので、スゴイバッテリーの約半額!

 また、かつては10~20万円ほどしていた400Whクラスのリチウムイオン電源も、ずいぶんと安くなってきており、たとえばsuaokiの400Wh電源なら、4万円を切って、スゴイバッテリーと同等のお値段にまで下がってきています。


★というわけで・・・・・

 最近気になって仕方が無かったsuaokiの400Wh電源、ポチってみました。

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400Wh電源ですから、さすがにちと大きいですが、それでもメルテックと比べると軽いですね。
あと、容量などを表示する液晶インジケータがなにげに「格好いい」です♪

容量的には12V表記に換算すると約33.3Ahとなりますので、おおよそメルテックやスゴイバッテリーの1.5倍程度の容量というところでしょうか。
金額的にはスゴイバッテリーと同等のお値段ですので、コスパは良いですね。

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AC電源も2口取れます。ちなみに純正弦波の60Hzです。これ、我々西日本の人間にとってはありがたいですね♪

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他のバッテリーと大きさを比べてみます。結構厚みがあってズッシリとしていますが、それでもメルテックよりは軽いです。
(メルテック:8.3kgに対して、suaoki:5.6kg)

さて・・・
後は実際にテスト運用してみて不具合がないかどうか確かめるだけですね。

お? ちょうど良いことに、今夜は晴れてますねぇ♪
 

by supernova1987a | 2017-04-23 20:43 | 機材 | Comments(10)

ビームスプリッタの弊害を「考察ごっこ」する

★ファーストライトには成功したものの

構想(妄想)から数ヶ月を費やして完成したLRGB同時露光用の「ビームスプリットシステム」ですが、
なんとかファーストライトにも成功して、まずまずの成果を得ました。

ただ、どうしても「気色悪い」
40mmもの厚さのガラスが光路中に割り込むんですから、直感的には、かなり弊害が出ると予想してたんです。

・・・・と言うわけで。

★少し真面目に『考察ごっこ』してみる

作成記事を書いたときにも記載したとおり、どう考えても
 ○負の球面収差が発生してしまうハズ
 ○軸上色収差が発生してしまうハズ
なのです。

・・・・ちと、考えてみます。
空気面とビームスプリッタとの間では下記の図のように
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対物レンズから焦点に集まろうとしている光束が屈折して光路がズレてしまいます。

その結果、

f0346040_04135573.jpeg
このように、ピント位置が後ろにズレる現象が起きます。
また、この現象は対物レンズの周辺部になればなるほど(入射高が大きくなればなるほど)効いてきますので、レンズの周辺部を通る光ほど近くに焦点を結ぶという「一般的な球面収差」とは逆に、「負の球面収差」が発生してしまいます。
また、長波長の(赤い)光ほど遠くに焦点を結び短波長の(青い)光ほど近くに焦点を結ぶという「一般的な軸上色収差」とは逆の方向性を示す特殊な色収差も発生してしまいそうです。


★FORTRANやDelphiを持ち出すのはイヤなので

若かりし頃(理系だった頃)なら、ここでプログラミングしてレイトレーシング(光線追跡)してみるところですが、今はそんな元気はありません。
ただ、収差曲線を描くだけなら結構シンプルに(せいぜい高1レベルの基礎的数学だけで)計算できるハズなので、得意の「EXCEL君に頑張らせる」方向でシミュレートしてみることにしました♪

ええと・・・
メーカーさんによると、今回のキューブ型ビームスプリッタの素材はBK7です。
むう・・・中学生~高校生の頃は、望遠鏡光学にハマってた時期で、主要な光学ガラス(BK7はもちろんF2とかSF2とかBaK4とかKzF5とかCaF2とかFK01とか・・・・ね。)の波長ごとの屈折率やアッベ数は5~7桁くらいの精度で全部暗記していて、関数電卓片手にハルチング解を解いて対物レンズの設計ごっこをしていたものだけど、もはや何も思い出せないなあ。(いや、今思い返すと当時の自分、アホです。そんなことやってるから学校の数学で赤点ばかり取るんですねー。ああ、他に頑張るべき事があったろうになぁ・・・・。)

よし、昔の勉強ノートや教科書が見つからないので、ガラスメーカーのデータシート以外「カンニング無し」という条件で頑張ってみます。


★・・・小1時間ほど悩んで

「ビームスプリッタの仕様と設置位置と撮像素子の位置を打ち込むだけで収差曲線を自動作成するEXCELのワークシート」

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ほどなく完成♪

早速、今回自作したビームスプリットシステムによる弊害を定量的に「検証ごっこ」できる収差曲線を計算させてみましょう。
想定した初期条件は下記の通り

 ○望遠鏡はVMC260Lと同等の口径260mm・焦点距離3000mm
 ○望遠鏡は無収差であると仮定(色収差も球面収差も)
 ○ビームスプリッタを構成するガラスはホウ珪クラウンガラスBK7
 ○用いる光は、C線(赤)・d線(黄)・e線(緑)・F線(青)・g線(紫)
 ○ビームスプリッタから撮像素子までのバックフォーカスは100mm

すると・・・・


・・・ででん!
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おお!
なんか、直感的に考えていたとおりの収差曲線が出てきましたよ♪

ふむ。
計算の結果、やはり負の球面収差は発生していますねぇ。いわゆるオーバーコレクションってヤツですなあ。
天体とは関係ないけど、これ後ボケが二線ボケ起こして汚くて、前ボケはフンワリ滑らかになるレンズになりますなあ。

ええと、
色収差は思ったよりも少なめだなあ。
感覚的には口径10cmF10程度の屈折望遠鏡を素人が設計した場合、ざっくり言ってアクロマートならd線からg線までの二次スペクトル(色収差)量が2mm程度、EDレンズを用いた場合でも0.5mm程度はあるはずなので、口径260mmのF11.4 なら単純にその2.5倍程度、すなわちアクロマートの場合で5mm程度、EDアポの場合でも1.2mm程度の色収差は発生するはずです。

今回のシミュレーションではd線~g線までの色収差量として0.2mm以下に収まっていますので、ある意味「EDアポよりは高性能」と言えますね♪


★というわけで・・・

収差の発生する「方向性」は予想通りだったけれども、心配したよりもその「絶対量」が少なかったため、ほとんど影響なしと考えて良さそうです。
・・・そりゃまあ、実際に木星があれだけ写ったんですものねぇ。


★あっ!そういうことか!!

本題とは関係ないですが、今、気づきました。子供の頃、何かの本で

「屈折望遠鏡に天頂プリズムが付いている場合、天頂プリズムを使った方が、素の状態よりも良く見えることがある」

という感じの記載を見つけたことがあって、

「そんな馬鹿な・・・・」

などと思って笑っていたのですが、今回真面目に計算してみて「分かり」ました。
平面ガラスって、実は一般的な望遠鏡の収差の出方と逆の方向性を持っているのですね。
とすると、ビームスプリッタ(をはじめ天頂プリズムなどの『分厚いガラス』)を通過させると「素の屈折望遠鏡」よりもよく見える可能性、アリアリですね。

さて。
もしも、数日後に天気が悪かったら、さらにEXCEL君に頑張ってもらって『なんちゃってレイトレーシング』することでスポットダイアグラムまでシミュレートしてみましょうかねぇ??


★★★ お 約 束 ★★★

本記事はあくまで考察『ごっこ』です。
現在のあぷらなーとは理系と言うよりも文系のため、多々間違いが含まれている可能性があります。
結果は鵜呑みにしないことをオススメします。



by supernova1987a | 2017-04-19 07:02 | 機材 | Comments(6)

ASI174MC-COOLを見直してみる

★にゃあさんに触発されて・・・

ASI1600MC-COOL&MM-COOLの導入により、最近出番が無くなっていたASI174MC-COOLなのですが、にゃあさんの新兵器「QHY5Ⅲ174-M」の記事
に触発されて、久しぶりにASI174MC-COOLの撮影データをいじくってみました。


★ASI174MC-COOLの弱点は・・・

実は、拙ブログはASI174絡みのアクセスが大変多いのです。
それだけユーザーさんが多いのでは無いかと思うのですが、たぶん皆様下記の2点で苦労されているかと・・・
 弱点①:盛大なアンプノイズがあり、冷却しても消えてくれない
 弱点②:結構な量の横シマノイズ(カラムノイズ)がある
ところが、ステライメージではなくて最近お気に入りのAutoStackert!2には、ASI174系の処理にうってつけの「カラムノイズ低減機能」が実装されていますので、試してみることにしました。

今回処理するのは、去年の5月にVMC260L+ASI174MC-COOLで撮影したM27画像200コマのFITSファイルです。
ちなみに撮影データは下記の通り

[ZWO ASI174MC-Cool]
Pan=0
Tilt=0
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=1936x1216
ColourSpace=RAW16
High Speed Mode=On
Turbo USB=80(Auto)
Flip Image=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=300
Exposure (ms)=15
Timestamp Frames=Off
White Bal (B)=99
White Bal (R)=60
Brightness=0
Gamma=71
Sensor Temp=-15
Cooler Power %=32
Target Temperature=-15
Cooler=On

★AutoStackert!を使う際の『お作法』

私が勘違いしているだけかも知れませんが、ステライメージとは異なりAutoStackert!2には独特な『お作法』があるようです。

①FITSファイルを読み込むと天地が反転してしまう
 →これによりベイヤー配列が変わってしまう

②ダークファイルを読み込むことはできるが、ステライメージでコンポジットしたダークファイルがデフォルトでは読めない
 →エラーが出る。

★デモザイク(ディベイヤー)の設定

ASI174MC-COOLは元来RGGB型のベイヤー配列なのですが、これをAutoStackert!に読ませると

f0346040_04505861.jpeg
こんなふうに天地が反転していると推測されます。
したがって、ベイヤー変換を指定するメニューでは、本来のRGGB型ではなく、GBRG型を指定してやる必要があります。

f0346040_04522289.jpeg
※実際にはプレビュー画像が見られますので、型を覚えていなくても手探りで片っ端から型を変えていけば適正な設定は見つけられます。

★ダークファイルのロード

よく知られているように、ダークファイルやフラットファイルは、ライトフレームに対して「減算」や「除算」を行うためのデータです。
これは画像を滑らかにしてSN比を向上させる「加算」系の処理と真逆の方向性ですので、ダーク補正やフラット補正を行うことにより著しく画質が低下してしまいます。それでもダークノイズや周辺減光を除去しないわけにはいかないので、あらかじめダークファイルやフラットファイル自体を多数(少なくともライトフレームと同数かそれ以上)撮影しておき、それらをコンポジットしてから補正することが大切です。

ところが、AutoStackert!にステライメージでコンポジット済みのダークファイルをロードしようとすると・・・

f0346040_05005636.jpeg
f0346040_05012696.jpeg
こんなメッセージが出て怒られます。
メッセージを意訳すると
「こんな特殊なFITSファイルは読めないよ。読めるようにして欲しければ連絡ちょうだい。」
という訳です。
そこで頭を冷やして考えてみたのですが、そもそもASI系のRAWファイルは16bitのFITS形式な訳で、それが読めると言うことは「悪い」のはコンポジットしたダークファイルを保存したステライメージの方だと言うことになりますね。

そう言えば、ステライメージで処理したファイルは何も考えずに

f0346040_05061565.jpeg
64bitの実数形式で保存してしまってました。
この形式が使えるが故にステライメージは何枚加算コンポジットしてもサチることなく処理できるのですが、それはあくまで特殊な変数空間を使えるステライメージ特有の性質です。これでは他のソフトで読めという方がムリですね。

そこで・・・・

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汎用性を高めるために、整数型の16bitを指定してダークファイルを保存してみると・・・・

ちゃんとAutoStackert!2が認識しました!!

盛大なアンプノイズはダークファイル減算でかなり軽減できます。


★横シマノイズを軽減する

AutoStackert!2のメニューには、カラムノイズ(横シマノイズ)の補正機能が実装されています。しかも「MX174等にどうぞ♪」と明記されているのですから、これを使わない手はないですね♪

さっそく、使ってみます。
f0346040_05003318.jpeg
これで、スタッキング時に横シマノイズが軽減されるはずですね。

★さて効果の程は・・・?

ステライメージとAutoStackert!2について、それぞれ200コマのコンポジットを施し、レベルを調整した画像を比較してみます。

f0346040_05190327.jpeg
 ※左:ステライメージでコンポジット 右:AutoStackertでスタッキング
 (ともにダーク減算あり、フラット補正は無し)

これだとよく分からないので拡大表示してみます。

f0346040_05202053.jpeg
おお!
左の画像に見られる横シマノイズが、右の画像では見事に消えています!!
AutoStackert!2 すげえ!!

★せっかくなので・・・・

画像を強調すると目立ってしまう横シマノイズが回避されましたので、先日、フォトショップなどを持っていなくても単体で駆動できることを見つけたNikCollectionのHDRを使って加工してみます。


さらにそれをシルキーピクスで味付けしてみると・・・・・


・・・ででん!

f0346040_05261960.jpeg
 ※左:これまでの処理 右:今回の画像処理

まあ、ちと画像が荒れ気味ですが、M27の微細構造が目立ってなかなか面白い画像になりました。


・・・むう。

こうなると、ASI174MC-COOL 現役復帰させるかなぁ♪
(1600万画素のASI1600系と異なり230万画素のASI174は、とにかくデータが軽いのですよね~。ラッキーイメージングには好適かも)

P.S.
もちろん、本命はASI1600MM+MCの「ビームスプリット同時露光によるLRGB」であることには違いないのですが。


by supernova1987a | 2017-04-12 05:31 | 機材 | Comments(4)

1キロ手前から「お花見」


★念願の・・・・

なんやかんやで徳島から香川に転勤した結果、通常期は「日月が連休」(!!)という夢のような勤務体系になりつつあります。
(これまでは月が休日、その他週2日が半休という体系でした。)
連休の良いところは、なんといっても遠征しても翌日に休息できることですね。
これなら、徹夜で天体観測しても体調が崩れることもなさそうです。


★しかし肝心の天候は・・・

せっかくの休日でしたが、あいにく天候は曇り・濃霧・小雨の繰り返しで月さえ見えそうにありません。
また満開の桜も光が良くないので冴えない写りになりそう。

・・・こんな日は機材の調整に限りますね。


★1km先にある丸亀城の桜を・・・

「扇の勾配」としてその石垣の美しさが有名な丸亀城は、桜の名所でもあります。
しかし天候が悪いので出かける気にもならず、1km手前にある実家からBORG89EDを使って「遠隔お花見」することにしました。

先日、後先考えずに(無謀なる挑戦として)組み上げたビームスプリッターシステム↓で・・・・

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ASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLの同時露光。約1km遠方の丸亀城を狙います。


★ASI1600MCの一発撮りでは

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 ※BORG89ED直焦点(600mm)+ASI1600MC-COOL ゲイン139 露出4ms

さすがに600mm+マイクロフォーサーズではフルサイズ換算で1200mmの超望遠になりますので、でっかく写りますね♪
赤外カットフィルターを付け忘れたので赤外線の影響で発色が悪かったりモヤッとしているのはご愛敬。

★MMとMCを比較する

 同時露光したMCのカラー画像とMMのモノクロ画像を200%拡大で比較するとこんな感じです。

f0346040_15484438.jpeg
 ※左:ASI1600MC 右:ASI1600MM (画像処理無し)

ほぼ水平に向けての撮影ですので、大気がユラユラしており、シーイングは良くありませんが、かろうじてMMの方がシャープであることが分かります。


★惑星撮影の絶好の練習になる?

あまりシーイングが良くない素材なので、次の機会に挑戦予定の「ビームスプリット・LRGB同時露光システム」を用いた惑星撮影の画像処理練習になりそう。
・・・という訳で、少し画像をいじってみます。

まずは、MMのモノクロFITS画像32コマをAutoStackert!2でスタッキングします。
画面全体が波打つようなシーイングでしたので、良像40%で切ります。

f0346040_23041729.jpeg
※ちなみにモノクロのFITS画像をスタッキングするときはAutoStackert!のカラーメニューから「モノクロ」を選択しておくことが重要です。
そうしないと、カラーベイヤーだと勘違いしてモザイク状の偽色まみれ画像が生成されてしまいます。

出来上がったスタック画像はTIFFに落として、レジスタックスに読み込み、ウェーブレット処理を行います。

f0346040_23074305.jpeg
さらにステライメージで軽くアンシャープマスクをかけます。
すると、モノクロ画像の解像度が飛躍的にアップしました。

f0346040_23091704.jpeg
 ※左:スタック直後 右:ウェーブレット+アンシャープマスク適用後

そして、MCで撮影したカラー画像をRGBチャンネルとしてLRGB合成をしてみます。

すると・・・・

・・・ででん!!
f0346040_23112588.jpeg
 ※左:MCの画像 右:MMのL画像とMCのRGB画像のLRGB合成

おお!とても良い感じです♪
相当にシャープになりました。

他の場所でも比較してみます。

f0346040_23141646.jpeg
石垣のディテールも出てますね。1km先の画像とは思えません♪
あ、人物がぶれたようになっているのはスタッキングの宿命ですのでしかたありません。

f0346040_23133957.jpeg
けっこう素晴らしい解像度になりました。
松の葉や芝生が1本1本分離しているかのように見えますね。
風に揺れていた桜はイマイチですが、タイトル通り「1キロ手前からお花見」大成功です♪

PS 赤外線の影響で発色が悪いのでIRカットフィルタを付けて撮り直そうとした矢先、雨が降ってきたので撤退。
・・・残念。

by supernova1987a | 2017-04-10 23:21 | 機材 | Comments(11)

ZWOさん、攻めますなぁ

★小ネタ(?)です

けむけむさん情報によると、ZWOさんが、フルサイズの冷却CMOSカメラASI094を出すらしい。
言わば、冷却板D810Aってところでしょうか?

ちなみに、あぷらなーとのVMC260Lはレデューサ付けるとAPS-Cフォーマットまでしかカバーしないので
たとえば、フルサイズのD810Aで撮影しちゃうと・・・・
f0346040_13372617.jpg
  ※VMC260L+レデューサVMC+LPS-P2+D810A ISO6400・15秒露光 一発撮りノートリミング

こんな感じで周辺減光バリバリになっちゃいます。(あ、スケアリングかセンタリングが狂ってるぞっていうツッコミは無しの方向で・・・笑)
でも、このセンサー、ピクセルサイズに余裕があるからか良く写るんですよねぇ。

たしかに非冷却のD810Aで一発撮りの短時間露光では、
f0346040_13404487.jpg
こんな風にノイズバリバリですが、その大半はショットノイズだと思われるので、
ダークフラット無しでも、短時間露光の多数枚コンポジットすると・・・・

f0346040_13511808.jpg
  ※左:一発撮り 右:400枚コンポジット

こんなにも迫力満点の干潟星雲が撮れちゃいます。

え?
「3635万画素の400枚コンポジットなど正気の沙汰では無いぞ。」
ですと?
はい。正直、死ぬかと思いました。

★それはさておき

先日作成した『珍パーツ』
「ビームスプリッター型LRGB同時露光装置」
f0346040_21193968.jpg

のテスト撮影は、ぜひ干潟星雲にしたいなあ・・・・。
自己ベストの干潟星雲をゲットしたD810Aを、このパーツを用いたASI1600ML+MCで超えられるかどうか?
ハラハラドキドキです。

(なんか、ゴーストまみれ&色収差まみれになって玉砕しそうな予感)



by supernova1987a | 2017-03-16 00:32 | 機材 | Comments(10)

ASI1600MCのゲイン検証ごっこ

★まだまだ落ち着きません

一向に天体写真撮れそうに無いので、今日は「検証ごっこ」で遊んでみます。
今回の検証ごっこテーマは、以前(まるで決定事項のように)書いてた

「ゲインを+60するごとに感度が倍々にアップする」のはホントか?

です。

使うツールは、以前、四苦八苦してDelphiでゴリゴリ書いたFITSファイル解析用プログラム♪
円形のグラデーションをPCモニタに表示させたものをASI1600MC-COOLでゲインを変えながら撮影し、解析ツールにかけます。

f0346040_23555531.jpg
★露光量を揃えてゲインのみを変えて比較

今回の比較では、できるだけ素直なデータを得るため-10度まで冷却し、
ガンマ補正を50、色補正(カラーごとの感度補正)は無しでいきます。
露光は4msで統一。
ゲインについては
139(これがユニティゲイン)
199、259、319
という風に60ずつゲインをアップして差を見てみます。

撮像データは次の通り
[ZWO ASI1600MC-Cool]
Debayer Preview=Off
Pan=0
Tilt=0
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
ColourSpace=RAW16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode=Off
Turbo USB=80
Flip Image=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=139 ←ここだけ変えて比較
Exposure (ms)=0.004
Timestamp Frames=On
White Bal (B)=50
White Bal (R)=50
Brightness=1
Gamma=50
Sensor Temp=-10
Cooler Power %=14
Target Temperature=-10
Cooler=On

さて、目論見通り、ゲインアップ60が感度2倍になっていますでしょうか??


★G素子についての輝度分布は・・・

f0346040_00422854.jpg
各ゲインの輝度分布はリニアで見るとこんな感じです。
ちなみにASI1600系のカメラはFITSファイルを吐き出す際に、
12ビットで量子化した輝度データを16倍して(隙間をあけて配置して)16ビットデータに見せかけていることは以前確かめました。
ゲインを変えてもこの挙動が変わらないかを見るために、輝度データを拡大してみます。

f0346040_00511127.jpg
おお、どのゲインでもとても行儀良く16輝度間隔に散らばってますね。
ガンマ補正や色補正をかけない状態(ガンマ:50 R:50 G:50)なら、輝度データは単純に16倍されているだけのようです。

★ゲイン別の比感度を推定する

ゲイン別の輝度データの傾向を見やすくするために、対数グラフを作ってみます。
横軸(輝度値)を対数表示すれば、横のずれ幅が比を表すので、理論通りならピーク位置が等間隔になるはずです。
というわけで、輝度データを両対数グラフにしてみました。
f0346040_00544091.jpg
おおー。ピーク値が綺麗に並んでます!
良い感じです。ちなみに、ゲイン139(ユニティゲイン)のときは光電効果で生じた光電子1個を「1」とカウントするはずなので、FITSデータではこれに16をかけた「輝度16」として記録されていると考えられます。上のグラフの左端が10ですので最初のプロットがこの「光電子1」に相当する信号ですね。

※「ゲインを上げたら、このプロットは消えてしまい(右にズレてしまい)もっとまばらなデータになるかも」と邪推していましたが、そうでは無さそう。

ちなみに片対数グラフだとこんな感じです。
f0346040_01040358.jpg
ゲイン別のピーク値がとても見やすくなりました。
本来これらのピーク値を読むことで、およその比感度が分かるのですが、
今回は、低輝度側からの積分値で比較することにします。

低輝度側からの累積ピクセル数を解析すると、下記のようになりました。
f0346040_01065465.jpg
もし、ゲインを60アップするごとに感度が2倍になるなら累積輝度分布が左右等間隔になるはずですが、とても良い感じで等間隔になってますね♪
・・・これは期待できそうです。

つぎに、上記のグラフでヒットしたピクセル数が1500万画素に到達するまでの累積輝度をゲインごとに分析してみます。

f0346040_01381180.jpg
うししし。
とても綺麗なリニアリティが得られました。

★最終結論(めいたもの)

というわけで、今回の「検証ごっこで」はASI1600MC-Coolを-10度で運用した際のゲインと比感度の関係は次のようになりました。

f0346040_01143958.jpg
結論として、ゲイン139を基準とすると、ゲインを60上げるごとに感度は「ほぼ」2倍になることが分かりました。

えっ?
「理論値とズレてるぞ!」
ですか?

ええと・・・・たぶん下記のどれかかと

仮説①
ゲインの設定値と実際のゲインが微妙にズレている。
※ゲイン60で1.995倍(理論値)では無く2.021倍になる仕様なら、2.021の3乗が8.25なので結構良く合ってます。

仮説②
ゲインと連動して増加するなんらかのノイズが加算されて輝度が増している。
※ありそうなお話です。(ダークも引いていませんしねぇ)

仮説③
あぷらなーとのポンコツ頭で考えた「検証ごっこ」なので、そもそも手法が間違っている。
※大いにあり得ます(笑)

・・・・とにかく、細かいことを言わなければ、
ASI1600系の感度は、ゲインを約60上げるごとに約2倍になっている
ということが、実際に確かめられました。

めでたい♪

心のつぶやき
「ああ、久しぶりにASI1600に触れたと思ったら、撮影したのがPCモニタ上のグラデーションだけだなんて・・・・」



by supernova1987a | 2017-03-07 01:32 | 機材 | Comments(8)


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