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ビームスプリッタでM33を撮る

★お仕事から帰ると快晴じゃないか!

前回星雲星団を撮影したのは5月のこと。
いつの間にか数ヶ月のブランクが空いちゃいました。

このままブランクが長くなるかと思いきや、帰宅すると晴れてるじゃないですか。
しかも、透明度は良くないものの天頂付近のシーイングが良さそう♪
ここは、頑張って『ニワトリ』せなあかんでしょー!

・・・と言うわけで


★(本当に)久しぶりのVMC260L出撃!!

しばらく電源を入れてなかったので動くかどうか不安ですが、
 K-ASTEC改造アトラクス + VMC260L + ビームスプリッタ装置 + ASI1600MM-COOL + ASI1600MC-COOL + 自作レデューサ + LPS-D1フィルタという装備で、天頂付近のM33銀河を狙ってみることに。

ただし、思い立ったのが午前2時頃で、薄明まであんまり時間が無いので、
 ・極軸は極望目視のみ
 ・追尾はノータッチガイドガイド
 ・ビームスプリッタでMCとMMを同時露光
 ・ゲイン300+20秒露光の多数枚コンポジット
という手抜き撮影(・・・ていうか、最近いつも手抜きになってるけど)で、「細かいことは後からなんとかする」方針で行きます。



★やっぱビームスプリッタはVMC260Lに似合うなぁ

f0346040_13184480.jpg
 モノクロCMOSカメラとカラーCMOSカメラを同時露光するために自作した「ビームスプリッタ装置」ですが、カメラを2台載っけると結構な重量で、天頂付近を撮影するなら、シュミカセやVMC260Lのような主鏡移動式の接眼部が(ずり下がらないので)安心ですね。

f0346040_13235919.jpg
 ようやくスタンバイできたのは、午前3時!
 きゃー!
 あと1時間で薄明~!
 慌てて撮影開始します。



★とりあえず、素材は揃いました

 なにしろ、ただでさえ約F8の暗い望遠鏡の上に、スプリッタで光量が半分になってて、しかもたったの20秒露光ですからねぇ。
 撮って出しだと、こんな感じです。

 ASI1600MC-COOLの撮って出し画像
f0346040_13304824.jpg

 ASI1600MM-COOLの撮って出し画像
f0346040_13311837.jpg
ははは。心眼で見ないと一体何が写ってるのかすら分かりませんね(笑)



★MCとMMそれぞれ180コマをコンポジット

 ダークを引いた画像180コマをそれぞれコンポジットしてからレベルを調整してみます。

 MCの画像180コマのコンポジット
f0346040_13371453.jpg

 MMの画像180コマのコンポジット
f0346040_13374344.jpg
おお!ちゃんとM33の全貌が見えてきましたよ♪
光害カットフィルタを使った市街地の撮影ですが、赤い星雲が点在するのも分かりますね。
周辺減光が醜いですが・・・まあ、フラット撮影してませんし、見なかったことにします。
どうせ最後にトリミングするしねぇ・・・(笑)。


 MCとMMの画像比較
f0346040_13392671.jpg
 画像の中心部を200%で表示したものです。左のMCに対して、右のMMの方がノイズが少なく見えます。
正確には、機材に起因するノイズではなくて、天体から到来するフォトンの粒のバラツキを捉えた『ショットノイズ』だと思うのですが、MCの方はショットノイズがベイヤー処理されることにより肥大化したとも解釈できますね。

※ショットノイズとベイヤー処理に関する『考察ごっこ』はこちら↓をご参照ください♪



★いよいよLRGB合成してみる

 MMで撮ったL画像とMCで撮ったRGB画像をLRGB合成してみます。

f0346040_13535079.jpg
 左がMCの画像。右がLRGB合成した画像です。
 うむ。なかなか良い感じ♪


★あとは『秘術』の限りを尽くして

・・・というほどのものでは無いですが、今回は露光量が少なかったので(ホントは3時間の総露光したかった・・・)、『得意の』最大エントロピーやウェーブレット処理はパスしまして、もっぱら、ステライメージのLab色彩調整+シルキーピクスのテイスト調整+NikCollectionで仕上げていきます。

・・・すると・・・




ででん!!

f0346040_13580668.jpg

一応、『自己ベスト』のM33銀河が撮れましたよ~♪

めでたい


by supernova1987a | 2017-08-20 14:05 | 天体写真 | Comments(7)

ビームスプリッタで一瞬の雲間を狙う

★前回の『考察ごっこ』をしていたら・・・

あいにくの曇天続きのため天体写真が撮れず、ふてくされてビームスプリッタのケラレの考察ごっこをしていたら、なんだか窓の外から月の光が差してる!?
ああっ!
こんな時に限って晴れちゃったのか?

慌てて外に出てみると
・・・あれれ?
こんな天候
f0346040_07204856.jpg
 ※ニコンクールピクスP7800で撮影(トリミング有り)

確かに月光は指しているけど、薄曇り。お月様が見事にカサをかぶってます。
しかし、ここ3ヶ月ほど全く天体写真が撮れていないことだし、雲の切れ間を狙ってなんとか月面を撮影できないかと・・・・・。


★こんな時こそ、ビームスプリッタ♪

恐らく、「チャンスは一瞬」と思われるので、速写性を重視したシステムで行ってみます。
むろん、いつものアトラクス+VMC260Lなんて出してるヒマはありません(セットしている内に薄明)

・・・と言うわけで、
本当に久しぶりのGPD赤道儀を引っ張り出して、BORG89EDを載せます。
さらに、L画像とRGB画像を同時に撮影するために、『例の』ビームスプリッタを装着してASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLの同時挿し
f0346040_07264357.jpg
月を撮ろうと思い立ってから撮影開始まで、わずか15分!!
GPD赤道儀なんて、組み立てたまま物置からヒョイと出すだけだし。

ニワトリでの自己最短スタンバイ記録更新です♪

f0346040_07284802.jpg
ちなみに、時間が無いので

 極軸セットは、極軸望遠鏡の中心に北極星を入れるだけ。
 モーターは通常のステッピングモーターなのでアライメントも無し。
 ノートPCもDELLのcore-i5機1台だけ。
 ファインダーはドットサイトのみで目視導入。
 冷却CMOSカメラ(ASI1600のMM&MC)も冷却無し。
 それぞれをROIでクロップして30コマ/秒で16bitRAW動画撮影。

・・・どうだ。
これなら、雲の切れ間がたったの10秒もあれば、L画像300コマ+RGB画像300コマが撮影できるぜ♪


★ASI1600MC-COOL&MM-COOLの「撮って出し」

MCとMMで撮影したSERファイルから1コマを切り出した「撮って出し」画像はこんな感じです。

f0346040_07350832.jpg
シーイングはあまり良くありませんが、600mmの直焦点ですから、それほど神経質になる必要もないみたい。


★MCとMMをスタッキングすると

MCとMMの画像それぞれをAutoStackert!2で300コマスタッキングして、良像25%に切り詰めるとこんな感じ。

f0346040_07410878.jpg
上の画像からはよく分かりませんが、滑らかさは向上しています。


★レジスタックスにかけてウェーブレットすると

AutoStackert!2でスタッキングした画像をレジスタックスでウェーブレット処理してみます。

f0346040_07455106.jpg
おお!
さすがレジスタックス。一気に解像感が上がりますねえ♪
愉快、愉快。


★ステライメージでLRGB合成すると

出来上がったL画像とRGB画像をステライメージでLRGB合成してみます。
さらに、シルキーピクスで色調やトーンなどを整えると・・・・・


ででん!!

f0346040_14554530.jpg

おお~。なかなか良い感じです♪

・・・て言うか、あの・・・冷静に思い起こしてみると、月の「全体像」を直焦点で撮影したのって、かれこれ20数年ぶりでは?!
前回は確か、ミザールのアルテア15+ニコンFG20+コダックT-MaX400ネガで撮影したのを暗室で覆い焼きして仕上げたんだっけなぁ。
シーイングは良くないのに、あの頃とは雲泥の差のシャープさ。しかも、テレコン無しの「素の600mm直焦」でこんなに写るとは・・・・・。


★最大エントロピー法でも試してみる

ウェーブレット処理した画像は若干の違和感(やり過ぎ感)があったので、ステライメージの最大エントロピー法による画像復元も試してみた。
L画像はスタック後に画像復元処理、RGB画像はスタックのみでLRGB合成してみます。
f0346040_23391942.jpg
なるほど、こっちの方が自然で良いかもしれませんね。まさに「条件が良い夜に望遠鏡で覗いた」時の感じ。



うーむ。
月面のお気軽直焦点撮影ってのも、結構面白いもんだなぁ。



P.S.
デジタル時代の月面撮影は、スタッキングやウェーブレットなどの画像処理技術の進歩はもちろんですが、クイックリターンミラーもフォーカルプレーンシャッターも無いCMOSカメラの場合は原理上ブレが無いことが相当に効いているんでは?
などと今更ながらに気づきました。たぶん、フィルム+一眼レフの時代は「ブレまみれ」だったんだろうなぁ。



by supernova1987a | 2017-08-15 00:12 | 天体写真 | Comments(9)

フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる

★せっかくの五連休だというのに
久しぶりに天体撮影に復帰するつもりで楽しみにしていたお盆休みですが、
「ペルセ群をやっつけて、天文復帰だ~」
と画策して色々やっていたのに、ドン曇りで玉砕。
仕方が無いので、気になりつつも後回しにしていた「考察ごっこ」をしてみました。


★「LRGB同時露光用ビームスプリッタ装置」で気になることが

アマチュア天文界では世界初(?)の自作「ビームスプリッタ装置」は、我ながら画期的なパーツだと思ってはいるのですが・・・
f0346040_01400989.jpg
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いかんせんバックフォーカスが長くて、マイクロフォーサーズのASI1600シリーズを使うとしても、スプリッタの開口部の直径やフィルタ径などが『大丈夫』なのか(ケラレないか)、ずっとモヤモヤしていました。

一応、これまでの数少ないテスト撮影の結果では、不具合無く撮影できてはいるのですが、今後「ナロー方面」に進撃するにあたって、スプリッタの口径やフィルター系が『大丈夫』なのか、とても心配。

先達の方からは、「F4よりも明るい場合は31.7mm径のフィルタでも大丈夫」などの情報をいただいてはいたものの、なんだか不安が募ります。

※8/14追記:上の行、ミスタイプですので訂正しました。

先達の方からは、「F4よりも暗い場合は31.7mm径のフィルタでも大丈夫」などの情報をいただいてはいたものの、なんだか不安が募ります。


★・・・で、久々の『考察ごっこ』行ってみます!!

あくまで考察『ごっこ』なので、超簡単なモデルの下で考えてみると・・・・

f0346040_01485872.jpg
※対物レンズは「無収差の単レンズ」と仮定
 対物レンズの口径をD(mm)
 撮像素子の対角長をd(mm)
 対物レンズの焦点距離をfl(mm)
 フィルタ(もしくはスプリッタの開口部)径をx(mm)
 フィルタから撮像素子までの間隔をr(mm)
として、上の図のように作図をしてみると、最低限必要なフィルタ径が求まりそうです。
単純なモデルなので、光線追跡はもちろんのこと三角関数すら必要なく、直角三角形の相似比のみで計算可能です。

一応、解いた過程も上の図にメモしてますが、(計算ミスしてなければ)

 <必要なフィルタ径は>

 x=r*(D-d)/fl + d

という単純な数式で表せることが分かりました。


★あとはEXCELくんに丸投げ♪

ビームスプリッタの開口部はTネジなので、約40mm強の口径しかありません。
また、ビームスプリッタの開口部から撮像素子までの距離は実測で約130mmもあります。
まずは、これでケラレが出ないかEXCELくんに計算させててみましょう。

f0346040_02055054.jpg
わー!
ギリギリでセーフですね♪
危ない危ない!

では、撮像素子と開口部(ORフィルタ位置)までの間隔ごとに必要な口径を色々と計算してみると・・・

f0346040_02080735.jpg
なるほどなるほどー
つまり、VMC260L+RDの場合、31.7mmの小さなフィルタでも
撮像素子から78.5mm以内に配置すればケラレが出ないという訳かぁ・・・。
結構楽勝ですねぇ。

これなら、小型のフィルターホイールをかませても、なんとかなりそうです。



★手持ちの主要望遠鏡を全て計算してみる

とりあえずVMC260Lとビームスプリッタの組み合わせの件は理解できたので
ついでにR200SSとかカプリ102EDとか、色んな手持ち望遠鏡について、31.7mm径のフィルタを用いてケラレ無く撮影するための(フィルタから撮像素子までの)限界間隔を片っ端から計算してみました。

使用したモデルは先述の通りの単純なもので、想定した撮像素子はASI1600シリーズです。

f0346040_02180133.jpg
・・・・ふむふむ。

定性的には

 ①口径が大きくなるほど条件が厳しくなる
 ②F値が小さくなるほど条件が厳しくなる
 ③そのうち、主に効いてくるのはF値の方

ってとこですね。

ああ、すっきり♪


★ん?・・・強烈なデジャブが・・・

 この『問題』を解いていて、「強烈なデジャブ」に襲われたので記憶をたどってみると、コレ、『本業』で小学生に教えている理科の「日食が起こる条件」を求めさせる問題と似ていることに気づきました。

 対物レンズ→太陽
 フィルタ→月
 太陽と地球の距離→焦点距離
 月と地球の距離→フィルタからのバックフォーカス
 地球上に生じる本影幅→撮像素子の対角長
 で、光が当たる部分と影の部分を反転!

とすれば、全く同じ解き方(小6の算数)に!!

うーむ。この問題を教えたことがなければ、三角関数と直線の式を用いて複雑な計算して泥沼にハマるところだった~(笑)。危ない危ない。


★★★お約束★★★
『考察ごっこ』はあくまで素人による「お遊び」です。
仮定の間違いや計算ミスがあるかもしれませんので、
結果は鵜呑みになさらぬよう、お気を付けください。







by supernova1987a | 2017-08-14 02:38 | 機材 | Comments(11)

ビームスプリッタで大赤斑を撮る

★久々に晴れたので・・・

お仕事が立て込んでいた日曜日だったのですが、良い天気だったので帰宅後すぐにニワトリ開始することに。
空はどんよりしていて北極星が目視できない状態でしたが、なんとなくシーイングが良さそう♪

早速、VMC260Lにビームスプリット装置を装着して、ASI1600MC-COOLとMM-COOLの同時露光で木星を狙うことにしました。

今回は、ビームスプリッターにADC(大気差補正装置)とIR/UVカットフィルタとショートエクステンダーメタルを加えて撮影してみます。


★SERファイルの1コマキャプチャ
f0346040_09121856.jpg
 ※左:MCの1コマキャプチャ 右:MMの1コマキャプチャ
  (MCはビームスプリッタの影響で鏡像になっています。)

最近ご無沙汰していた大赤班がちょうど良いところにありました。
しかも、画像処理前の動画を再生しただけでも、いつもよりもシーイングが良いことがうかがえます。
さっそくAutoStackert!2で1000コマスタックしてみます。

★MCとMMで同時露光した各1000コマのスタック
f0346040_09162484.jpg
 ※左:MCの1000コマスタック 右:MMの1000コマスタック
  (MCは左右反転処理しました。)

ぐっと滑らかになり色んな模様が見えてきました♪
では、レジスタックスに回してウェーブレット処理してみましょう。
これは期待できそうで、ワクワクします。


★MCとMMのウェーブレット処理画像
f0346040_09190808.jpg
 ※左:MC 右:MM
 
おお。細かい模様がウジャウジャ現れてきましたよ。
良い感じです♪
若干ですがMMの方がシャープに見えますが、それほど差はありません。
いつもよりはシーイングが良いとはいえ、木星像はユラユラしていましたのでベイヤー処理の弊害が見えにくいのでしょうね。


★LRGB合成して仕上げます

f0346040_09215958.jpg
 ※左:MC単独 右:MMのL画像とMCのRGB画像のLRGB合成

大きな差では無いですが、明らかにLRGB合成した画像の方が解像感が高いですね♪


★シルキーピクスで微調整して完成
f0346040_09241028.jpg
うむ。
一応自己ベストの木星像ですなぁ。
ベテランの方の解像度には及びませんが、ここまでくると、あとはシーイングの問題ですね。


★気にすべきかどうか微妙ですが

そういえば、素のVMCもビームスプリット装置込のVMCも、一体どれくらいシャープなのかは検証したことがありませんでした。
機会があれば『検証ごっこ』してみたいのですが、あいにくフーコーテスターもロンキーテスターも持ってないので、もしやるとすればハルトマンテストか焦点内外像テストくらいしか思いつきません。

というわけで、撤収前に焦点内外像を(テキトーに)撮影してみました。

f0346040_09405657.jpg
 すみません。どっちが焦点内像でどっちが焦点外像か忘れてしまいましたが、とにかく「非対称」であることだけはハッキリと分かりました。
ちなみに、この像はADCやらビームスプリッタやらエクステンダーやらが途中に入ってきている状態(要するに、上記の木星を撮影した条件)で撮影したので、複合的に収差が出ているんだと思いますが、はあー。『ダメな望遠鏡の見本』にような非対称性ですねぇ。
さらに奇妙なことには、たいていの『ダメ望遠鏡』は、回折リングの間隔が「徐々に」広がっていくか「徐々に」狭まっていくかのどちらかだと思っていたのですが、なんかある一定の輪体に達すると急激に悪くなっているような感じで「気色悪い」。
 でも、ある程度のレベルまでは惑星も写せるし、望遠鏡の収差よりも小さなシーイングには出会ったことが無いことだし、ま、いっかー。
あ、そうだ!
「内外像ともに「同心円」にはなってるので、光軸がバッチリ合っていることが確かめらた」
ということにしておこう(笑)。

(『超絶良シーイング』に遭遇したときに「泣きを見そう」な気がしないでもないけれど・・・・・。)

 あの・・・み、皆さんの望遠鏡って、焦点内外像がちゃんと「対称」になってます???

<補足>
カメラのレンズなら、上記の写真のうち左の状態が「二線ボケ」で右の状態が「芯のある柔らかなボケ」ということになって、前ボケか後ボケのどちらが良好という点で『個性(味)』として評価されますが、望遠鏡の場合は「ボケ味」は評価対象外なので内外像が完全に一致するのが理想(球面収差が無い)ですよねぇ・・・。

<参考>
ニコンの60mmマクロはボケ傾向が真逆となる2機種↓が併売されていて「好みで選べたり」しますが、ねぇ・・・・


by supernova1987a | 2017-05-22 09:53 | 天体写真 | Comments(8)

ビームスプリットシステムの本領発揮?

★先日のプチ遠征は悪条件でしたが

どうしても画像処理しておきたかった対象があります。
実は、それ『こそ』が、通常のLRGB分解撮影や、フリップミラーでのカラー・モノクロ切り替えシステムでは不可能な対象でして・・・

★ビームスプリットシステムの最大の利点は

f0346040_17213736.jpg
常に光を2分割してモノクロカメラとカラーカメラのセンサーを「同時」露光する点にあります。
もちろん、それぞれ光量が半分になってはしまいますので『総』露光時間はカメラ切り替え式と変わりません。でも、木星や彗星など自転や固有運動が大きい天体の場合、フィルターワークで分割撮影したりカメラを切り替えたりしていると、色がズレちゃいます。それを回避するには、鏡筒+カメラのシステムを二連装する『ツインシステム』や今回の『ビームスプリットシステム』しかないと考えたわけですね。(もちろん、動く対象でもカラーカメラのみを使えば問題はありませんし、動かない対象ならフリップミラーなどのカメラ切り替えで良いと思います。)


※制作記はこちら↓から・・・

※ファーストライトの様子はこちら↓から・・・

※発生する球面収差の試算はコチラ↓から・・・

※星雲の試写についてはこちら↓から・・・

※部品の詳細と撮影効率についてはこちら↓から・・・




★本領を発揮する対象として

①まずは、自転が速い木星(これは先日テスト撮影に成功しました)
②そして、固有運動が大きい彗星(実は、今回これを撮影したくて遠征したんですー)

f0346040_21074153.jpg
  ※ビームスプリッタシステムを装着したVMC260L 個人的にはなかなか『かっちょええ』と思う・・・。



★以前書いたように、条件は良くありませんでしたが

せっかくの遠征だったのに、モヤがかかるあいにくの天候だったので、5cmファインダーの眼視ではジョンソン彗星を視認することはできませんでした。
あいにく、現在の改造アトラクスは彗星を自動導入できないので、星図を見ながら、彗星がいるらしきエリアにある恒星を次々に導入しくという『飛び石作戦』で彗星に近づけました。ところが・・・ようやく、モニタに映し出された彗星は、26cm反射を使っているのにも関わらずとても貧弱でした。

さて、VMC260L+ASI1600MC-COOLでゲイン400の30秒露光で撮像したジョンソン彗星は、こんな感じ。

f0346040_17392335.jpg
く、暗っ!! これ、尾っぽとかあぶり出せるのでしょうか?!
やはり、この天候下では彗星は難敵だったようです。


★とにかく、撮影してみないことには

正直、心が折れそうでしたが、ビームスプリットシステムで同時露光を開始します。
MMとMC、どちらもゲイン400の30秒露光で、各60コマを同時撮影しました。モヤの影響かPHDも暴れるようになってきたので、思い切ってオートガイドも切っちゃいました。また、さすがにダーク減算無しではキツそうだったので、後日、ダークフレームを撮影しました。MM用とMC用を各100コマ撮影してコンポジットです。

さて、あとは「いつも通り」の画像処理です。

MMの方は、ダークを引いてからホットクール除去してコンポジットしてビニングしてメインL画像に。
MCの画像からダークを引いた後、デモザイクしてからビニングしたものをコンポジットしてRGB画像にします。

ちなみに、今回はポールマスターで極軸を合わせたのですが、まだ追い込みが足りなかったようです。
そこで、ノイズの除去が上手く行っているかどうかと、彗星追尾のコンポジットが上手く行っているかもチェックすることにします。


★位置合わせ無しでノイズと彗星の運動を見る

MMの画像60コマを「素のまま」と「ダーク減算+ホットクール除去」(以下『ノイズ除去』と表記)の双方について、位置合わせ無しの比較明コンポジットで比較してみます。

f0346040_19555512.jpg
 ※左:ノイズ除去無し 右:有り

位置合わせをしていませんので、ダークノイズは同じ位置に固定され、恒星は極軸誤差と赤道儀のピリオディックモーションが重なった動きをしてますね。
一方、彗星はそこに固有運動が加わるので、さらに複雑な動きになっています。

右の方は、上手くノイズが消えていることが分かります。



★恒星基準で位置合わせをして比較

ステライメージ6.5で恒星を位置合わせの基準にして比較明コンポジットしてみます。

f0346040_09341647.jpg
 ※左:ノイズ除去無し 右:有り


こんどは恒星が点状に写って、ジョンソン彗星は一定の方向に動いているのが分かります。これが固有運動で、普通に長時間ガイド撮影した場合に彗星だけが流れるヤツですね。一方、ノイズの方は『赤道儀の追尾エラーを逆にたどった』ような面白い動きで写っていますが、それらが皆同じ動きをしていることから、固有の素子が持っているいわゆるダークノイズだと分かります。これらはダーク減算とホットクール除去で右の画像のようにキレイに消えますが、一部消えていない『点』が見られます。恐らくはこれが「突発ノイズ」で、カメラ起因のものなのか、それとも自然現象起因(2次宇宙線の被曝とか)かは、今後検証してみる必要がありそうですね。


★位置合わせを彗星基準にして比較

さて、いよいよステライメージ6.5で位置合わせ基準を彗星の核に指定して上手く行くか、比較明コンポジットして確かめてみます。

f0346040_19594100.jpg
 ※左:ノイズ除去無し 右:有り

おおー。とても面白い絵になりました。彗星の核はまん丸になってますので、上手く位置合わせ出来ているようです。
恒星はキレイな直線になっています。ちょうど「疾走する彗星の背景の流れ」といった趣ですね。一方、ノイズは彗星の固有運動とピリオディックモーションの影響を受けてギザギザになっています。このギザギザの幅がアトラクスの機械的な追尾限界というわけですね。右の方はとても上手くノイズが消えています。

さて、ノイズの状況と彗星基準の位置合わせチェックができたので、本番の加算平均コンポジットを施してみます。


★MCのRGBとMMのLを比較してみる

加算平均コンポジットしたMCのRGB画像と、MMのL画像を比較してみます。

f0346040_20064620.jpg
 ※左:MCの60コマコンポジットRGB画像 右:MMの60コマコンポジットL画像

 MCのカラーノイズはさすがに消しきれなかったようで、MMの方が滑らかですね。また、MMの方が彗星本体が良く写っている「気」がします。


★MCのRGB画像とMM+MCのLRGB画像を比較してみる

 ちょうど、上記の左の画像をRGBチャンネル、右をLチャンネルとしてLRGB合成を試みます。

f0346040_20103238.jpg
 ※左:MCのRGB画像 右:MM+MCのLRGB画像

おおー。かなり改善して事が分かります。バックグラウンドは似たようなものですが、彗星、恒星ともにLRGBの方が明瞭ですね。
MCのカラーノイズがLRGBで軽減されるのは、LRGB合成の際に色情報にボカシが入るからです。(人間の目の特性上、輝度のボケには敏感ですが色のボケには鈍感なことを活かして、ノイズが減ったように『見せかける』のがLRGB合成の特徴です。)

というわけで・・・


・・・ででん!
f0346040_20214336.jpg

ちゃんと彗星を追尾したように写せて、
しかも(ここ重要♪)恒星像に色ズレがありません
単鏡筒+ビームスプリッターを用いたL+RGB同時撮影実験、大成功です!!

※といっても、しょぼい写りですが、今回はこれで良いんです!
ビームスプリッターが彗星に有効だと言うことが確かめられたので(笑)。


by supernova1987a | 2017-05-05 20:02 | 機材 | Comments(6)

ビームスプリッタ効果検証ごっこ

★苦心の末,運用に成功した『珍パーツ』

ようやく、惑星にも星雲にも利用できることが分かった「LRGB同時露光用ビームスプリットシステム」ですが

f0346040_14514600.jpg
f0346040_02403921.jpg


そもそも、
「ぶっちゃけ、撮影の効率は良くなっているのか?」
という根本的な疑問について『検証ごっこ』してみました。

つまり、
MC単独で運用するよりも
「同じ運用時間で良い絵が撮れる」
か、もしくは
「同じ絵を撮るための運用時間が短くて済む」
というメリットが感じられなければ意味がないということですね。


★ビームスプリッタ構成図公開♪

メインパーツのビームスプリッタとフレームは新調したものの、他の部品は基本的に手持ちの『あまりパーツ』を組み合わたものです。
そのため『無理矢理感』が漂う構成ですが、そこは笑ってスルーしてください。

f0346040_17213736.jpg

 ①EdmundOptics キューブ型ビームスプリッタ(分割比50:50)
 ②EdmundOptics Tマウントビームスプリッタホルダー
 ③EdmundOptics Tマウント両オスリング
 ④BORG M42P0.75-M57変換リング 7522
 ⑤BORG M57/60延長筒S 7602
 ⑥BORG M57回転リングDX 7352
 ⑦BORG 2インチホルダ-SⅡ 7504
 ⑧ZWO ASI1600MM-COOL
 ⑨BORG M57-M36.4 AD 7522
 ⑩ケンコー ACクローズアップレンズNo3(52mm)
 ⑪BORG M57-M57ADⅢ 7459
 ⑫BORG M57-M57AD 7457
 ⑬BORG M60-M57AD 7901
 ⑭アイダス LPS-P2フィルタ(52mm)
 ⑮BORG M42ヘリコイドT 7839
 ⑯BORG M42P0.75-M57AD 7528
 ⑰NEEWER マクロエクステンションチューブニコン用(の一部)
 ⑱ZWO ASI1600MC-COOL

※あくまで暫定的に組んだだけで、実際には上記の組み合わせには複数の問題点が残っています。

f0346040_14415879.jpg

★ざっくりと効果を予測すると・・・・

 ①光束を2分割しているため、通常の撮影の2倍の露光が必要になってしまう
 ②ただし、一方の光を(MCよりも感度の高い)MMで受けるため、総露光時間は減るかも知れない
 ③MMの高解像度を活かすには、VMC260Lの焦点距離は(シーイングの影響で)長すぎる

また、昼間に実写してみた感触だと、MMはMCの約2倍の感度を有していることが分かったので、ビームスプリッタを用いて、MMとMCの同時露光を行った場合には、
MCの感度をPとすると

 (P × 1/2 ) + (P × 2 × 1/2)
  MCの運用感度      MMの運用感度

 と考えて、トータルでおよそMC単独の1.5倍の効率を有することが期待できます。



★実写で検証ごっこしてみる

先日ビームスプリッタを用いて撮影したM17オメガ星雲の画像をもちいて、ザックリと比較してみます。
比較対象は、下記の5つです

 A:MM+MCで撮影した画像、各8コマのLRGB合成
 B:MCで撮影した画像8コマのコンポジット
 C:MCで撮影した画像16コマのコンポジット(スプリッタ無しなら8コマコンポジットに相当)
 D:MCで撮影した画像24コマのコンポジット
 E:MCで撮影した画像32コマのコンポジット

それぞれ1コマに15秒露光を与えるとすると、実際の運用時間は

 A:2分間
 B:2分間
 C:4分間
 D:6分間
 E:8分間

となりますが、そもそもビームスプリッタを使わなければ「光量が2倍」になりますので、その分を補正すると

 A:2分間
 B:1分間
 C:2分間
 D:3分間
 E:4分間

と解釈した方が公平な比較と言えますね。
という訳で、今回の新システムで撮影効率が上がったと言うためには、Bは論外として、Cに勝てるかどうかがカギとなります。

さて、比較に用いた画像の共通データは下記の通りです。(ASI1600MM、MCともに)

VMC260L+自作レデューサ+ビームスプリッタ+LPS-P2フィルタ
ゲイン:400 露出:15秒 撮像温度:-15度 出力:16bitFITS


① MM+MC各8コマ VS MC8コマ 
f0346040_18400794.jpeg
 ※左:A 右:B (ピクセル等倍)

新システムの圧勝です。
・・・といっても、スプリッタ無しなら、この運用時間内でMCが16コマ撮影できるので当然ですね、
事実上、MCの「15秒露光×4コマコンポジット」もしくは「7.5秒露光×8コマコンポジット」だと解釈するべきですのでハナから勝負になりません。


② MM+MC各8コマ VS MC16コマ  
f0346040_17494848.jpeg
 ※左:A 右:C

まずは、ここがクリアすべき条件です。
要するに、「スプリッタ無しのMC単独」と「スプリッタ併用のMM+MC」で「同じ時間かけて頑張った」場合の画質比較になるからです。

・・・うむ。 まだまだ新システムが勝ってます♪
とりあえず、「撮影効率は悪化してはいない」もしくは「同じ運用時間内なら良く写る」と言えそうです。


③ MM+MC各8コマ VS MC24コマ 
f0346040_17500701.jpeg
 ※左:A 右:D

これが「本命」の比較です。
おお、予測通りの結果(この条件で、ほぼ同等の写りになる)ですね!!
正直、ホッとしました♪


④ MM+MC各8コマ VS MC32コマ 
f0346040_17502026.jpeg
 ※左:A 右:E

あ~あ。
ここまでくると、素のMCに負けちゃいましたねぇ。
要するに
「LRGB同時撮影用ビームスプリットシステム」の撮影効率は、運用時間を1/2にするほどではない、
ということです。
・・・ま、予測通りではありますが。


★(暫定的な)結論

あぷらなーとが作製した『珍パーツ』:「LRGB同時撮影用ビームスプリットシステム」を用いると

同等の画質を得るために必要な運用時間が、2/3に短縮される

ということが『検証ごっこ』されました。

「3時間かかる撮影作業が2時間で済む」とも言えますし、「1晩で2対象しか撮れない日に3対象ゲットできる」とも言えますね♪
あんまりハデさはないけれど、とりあえず めでたい♪


★ご注意 その①★
ビームスプリッタの使用により、画質の悪化は免れません。
具体的には、先日の記事で「考察ごっこ」した通り、完全無欠な光学系を用いた場合でもビームスプリッタの通過によって下記のような収差が発生するハズです。
f0346040_04493646.jpeg

★ご注意 その②★
この『珍パーツ』と撮影手法は、まだ完成していません。
例えば、プリズム部分のコバ塗りすらしていなかったり、
レデューサ部分の調整をしていなかったり

・・・近日中には調整する予定ですが、難儀しそうです(泣)


by supernova1987a | 2017-04-29 18:34 | 機材 | Comments(19)

ビームスプリットシステムで撮るオメガ星雲

★LRGB同時露光用のビームスプリットシステムが

・・・思いの外、星雲にも有効だったので、

f0346040_14415879.jpg

今度はM17オメガ星雲を画像処理してみました。
共通撮影データは以下の通りです。

望遠鏡:VMC260L
レデューサ:自作
フィルタ:LPS-P2
カメラ:ASI1600MM-COOL+ASI1600MC-COOL
 ※自作ビームスプリットシステムによる同時露光
赤道儀:K-ASTEC改造Newアトラクス ノータッチガイド
ゲイン:400
露光:15秒
撮像温度:-15度

※ちなみに手抜き撮影なので、
 ○極軸は極軸望遠鏡で適当に合わせただけ。
 ○オートガイダーも使ってません。
 ○ダークもフラットも無し。
です(汗)

『天然ディザリング』+『短時間露光の多数枚コンポ』バンザイ♪


★ASI1600MC-COOLの一発撮り

 100コマ撮影した内の1コマです。トリミングしています。

f0346040_23383802.jpg
市街地からのニワトリで15秒露光ですから、まずまずの写りですね。


★ASI1600MMーCOOLの一発撮り

176コマ撮影した内の1コマです

f0346040_23402536.jpg
若干ですが、MCよりは良く写っています。


★それぞれをコンポジットすると・・・

 MCのカラー画像100コマとMMのモノクロ画像176コマをそれぞれコンポジットすると

f0346040_23421389.jpg
一気に微細構造が出てきますね♪
では、LRGB合成してみましょう。


★MM×176コマ+MC×100コマのLRGB

f0346040_23430213.jpg
なかなか良い感じです。
ただし、少しノッペリしているので、先日単体でも動くことを見つけたNikCollectionのシルバーエフェクトでL画像にメリハリを付けてみます。

すると・・・

・・・ででん!
f0346040_01061492.jpg
いやー、オメガ星雲って、面白い構造しているんですね。
星雲の中をいくつもの黒筋が走っていたり、いろんなウネウネした構造があったり、

・・・M8もそうですが、この手の星雲は思いっきり拡大しても楽しそうですね。




by supernova1987a | 2017-04-26 06:15 | 天体写真 | Comments(11)

ビームスプリッタの弊害を「考察ごっこ」する

★ファーストライトには成功したものの

構想(妄想)から数ヶ月を費やして完成したLRGB同時露光用の「ビームスプリットシステム」ですが、
なんとかファーストライトにも成功して、まずまずの成果を得ました。

ただ、どうしても「気色悪い」
40mmもの厚さのガラスが光路中に割り込むんですから、直感的には、かなり弊害が出ると予想してたんです。

・・・・と言うわけで。

★少し真面目に『考察ごっこ』してみる

作成記事を書いたときにも記載したとおり、どう考えても
 ○負の球面収差が発生してしまうハズ
 ○軸上色収差が発生してしまうハズ
なのです。

・・・・ちと、考えてみます。
空気面とビームスプリッタとの間では下記の図のように
f0346040_04121641.jpeg
対物レンズから焦点に集まろうとしている光束が屈折して光路がズレてしまいます。

その結果、

f0346040_04135573.jpeg
このように、ピント位置が後ろにズレる現象が起きます。
また、この現象は対物レンズの周辺部になればなるほど(入射高が大きくなればなるほど)効いてきますので、レンズの周辺部を通る光ほど近くに焦点を結ぶという「一般的な球面収差」とは逆に、「負の球面収差」が発生してしまいます。
また、長波長の(赤い)光ほど遠くに焦点を結び短波長の(青い)光ほど近くに焦点を結ぶという「一般的な軸上色収差」とは逆の方向性を示す特殊な色収差も発生してしまいそうです。


★FORTRANやDelphiを持ち出すのはイヤなので

若かりし頃(理系だった頃)なら、ここでプログラミングしてレイトレーシング(光線追跡)してみるところですが、今はそんな元気はありません。
ただ、収差曲線を描くだけなら結構シンプルに(せいぜい高1レベルの基礎的数学だけで)計算できるハズなので、得意の「EXCEL君に頑張らせる」方向でシミュレートしてみることにしました♪

ええと・・・
メーカーさんによると、今回のキューブ型ビームスプリッタの素材はBK7です。
むう・・・中学生~高校生の頃は、望遠鏡光学にハマってた時期で、主要な光学ガラス(BK7はもちろんF2とかSF2とかBaK4とかKzF5とかCaF2とかFK01とか・・・・ね。)の波長ごとの屈折率やアッベ数は5~7桁くらいの精度で全部暗記していて、関数電卓片手にハルチング解を解いて対物レンズの設計ごっこをしていたものだけど、もはや何も思い出せないなあ。(いや、今思い返すと当時の自分、アホです。そんなことやってるから学校の数学で赤点ばかり取るんですねー。ああ、他に頑張るべき事があったろうになぁ・・・・。)

よし、昔の勉強ノートや教科書が見つからないので、ガラスメーカーのデータシート以外「カンニング無し」という条件で頑張ってみます。


★・・・小1時間ほど悩んで

「ビームスプリッタの仕様と設置位置と撮像素子の位置を打ち込むだけで収差曲線を自動作成するEXCELのワークシート」

f0346040_04434017.jpeg
ほどなく完成♪

早速、今回自作したビームスプリットシステムによる弊害を定量的に「検証ごっこ」できる収差曲線を計算させてみましょう。
想定した初期条件は下記の通り

 ○望遠鏡はVMC260Lと同等の口径260mm・焦点距離3000mm
 ○望遠鏡は無収差であると仮定(色収差も球面収差も)
 ○ビームスプリッタを構成するガラスはホウ珪クラウンガラスBK7
 ○用いる光は、C線(赤)・d線(黄)・e線(緑)・F線(青)・g線(紫)
 ○ビームスプリッタから撮像素子までのバックフォーカスは100mm

すると・・・・


・・・ででん!
f0346040_04493646.jpeg

おお!
なんか、直感的に考えていたとおりの収差曲線が出てきましたよ♪

ふむ。
計算の結果、やはり負の球面収差は発生していますねぇ。いわゆるオーバーコレクションってヤツですなあ。
天体とは関係ないけど、これ後ボケが二線ボケ起こして汚くて、前ボケはフンワリ滑らかになるレンズになりますなあ。

ええと、
色収差は思ったよりも少なめだなあ。
感覚的には口径10cmF10程度の屈折望遠鏡を素人が設計した場合、ざっくり言ってアクロマートならd線からg線までの二次スペクトル(色収差)量が2mm程度、EDレンズを用いた場合でも0.5mm程度はあるはずなので、口径260mmのF11.4 なら単純にその2.5倍程度、すなわちアクロマートの場合で5mm程度、EDアポの場合でも1.2mm程度の色収差は発生するはずです。

今回のシミュレーションではd線~g線までの色収差量として0.2mm以下に収まっていますので、ある意味「EDアポよりは高性能」と言えますね♪


★というわけで・・・

収差の発生する「方向性」は予想通りだったけれども、心配したよりもその「絶対量」が少なかったため、ほとんど影響なしと考えて良さそうです。
・・・そりゃまあ、実際に木星があれだけ写ったんですものねぇ。


★あっ!そういうことか!!

本題とは関係ないですが、今、気づきました。子供の頃、何かの本で

「屈折望遠鏡に天頂プリズムが付いている場合、天頂プリズムを使った方が、素の状態よりも良く見えることがある」

という感じの記載を見つけたことがあって、

「そんな馬鹿な・・・・」

などと思って笑っていたのですが、今回真面目に計算してみて「分かり」ました。
平面ガラスって、実は一般的な望遠鏡の収差の出方と逆の方向性を持っているのですね。
とすると、ビームスプリッタ(をはじめ天頂プリズムなどの『分厚いガラス』)を通過させると「素の屈折望遠鏡」よりもよく見える可能性、アリアリですね。

さて。
もしも、数日後に天気が悪かったら、さらにEXCEL君に頑張ってもらって『なんちゃってレイトレーシング』することでスポットダイアグラムまでシミュレートしてみましょうかねぇ??


★★★ お 約 束 ★★★

本記事はあくまで考察『ごっこ』です。
現在のあぷらなーとは理系と言うよりも文系のため、多々間違いが含まれている可能性があります。
結果は鵜呑みにしないことをオススメします。



by supernova1987a | 2017-04-19 07:02 | 機材 | Comments(6)

「ビームスプリットシステム」ファーストライト!

★ファーストライトのチャンス到来!

光学実験用のキューブ型ビームスプリッタを用いて作成した「LRGB同時露光システム」、天文リフレクションズ編集部さんが言うところの「ド変態システム」(笑)ですが、いよいよ稼働させるときがやってきました。


★その前に『外堀』を埋めておかなきゃ

惑星や月面を用いて「ファーストライト」したいのは山々ですが、急いては事をし損じます。

ちなみに、撮影前に想定されていた困難な要素は下記の通り

①キャプチャフレームレートが全く上がらない
 手持ちのノートパソコンの性能が追いついていないようで、SharpCapを二重駆動させた場合に下手をするとフレームレートが0.5FPSという悲惨なことになってしまってます。これでは大量スタッキングが必要な惑星写真には使えません。

②木星の高度がイマイチで大気の分散の影響を受けてしまう
 特に深刻なのがモノクロカメラであるASI1600MMの方で、色情報が無いために原理的に色ズレ補正が不可能です。またASI1600MCの方はRGBアライメントなどで色ズレ補正できますが、本来はウエッジプリズムなどを用いて撮影時に大気の分散を補正しておきたいところです。

③システムが巨大化したのでVMC260Lに取り付けるのが難儀する
 アメリカンサイズのアイピースホルダはもちろんのこと、2インチホルダでもグラグラして不安定です。これではピント合わせどころではありませんし、最悪の場合脱落事故にもつながりそうです。

④赤外線に感度があるため、その影響で像が甘い
 ASI1600シリーズは、MC版もMM版もクリアフィルタ仕様のため赤外線に感光します。そのため赤外線の影響で解像度が低下したり色がおかしくなったりします。

これまで「中途半端」なシステムを組んで痛い目にあってますので、今回は真面目に問題点をつぶしておきます。

★外堀①まともなノートPCに換える

SharpCapでASI1600をダブル稼働させる場合、ATOMとかAMD-E2とかの格安CPUだと処理が追いついてないようでフレームレートが落ちて使い物になりません。
そこで、今回はまともなスペックのノートPCに換えました。
 CPU:Corei5
 メモリ:8GB
 ストレージ:SSD256MB
のDELLノートPCを投入します。
さらに、MMはUSB3ポート、MCはUSB2ポートにそれぞれ分けて接続してUSB周りでデータが詰まらないようにしました。
その結果、800×600のROIならRAWデータのSer動画でもMMで50FPS、MCで25FPSで同時撮影が可能となりました。

・・・もっと速くノートPCを買い換えておけば良かった。
7~8万円の比較的安いノートPCではありますが、5万円未満の格安ノートとは処理速度がまるで「別世界」です。


★外堀②大気分散の補正機能を実装する

だいぶ前に入手していたのに一度も使っていなかったZWOのADC(ウエッジプリズム装置)をビームスプリッタの手前に装着しました。
実は、ビームスプリッタで光路分割する前にADCで分散補正するところがミソでして、この手法ならMCのキャプチャ画面を見ながら分散補正方向を定めれば、自動的にMMのL画像にも大気の分散補正がなされるいう理屈です。


★外堀③ネジ系のリングのみで接続する

アイピースホルダでは強固に固定できないのでM60-M57変換リングなどを用いて直接接眼部にシステムを装着する形式にしました。
この場合、装置をくるくる回しながら装着するのでは面倒くさい上に、接続作業中のミスで脱落も考えられるので途中に回転装置を入れ、望遠鏡側のリングが独立して回転するように工夫しました。

f0346040_00594656.jpg
 ADCもアイピース固定用のネジを外してTネジでビームスプリッタに直結して剛性を高めました。


★外堀④IRカットフィルタを装填する

 色々と悩んだ結果、ASI1600カメラ本体に直接IRフィルタを装着しました。(ま、これを見越して以前IRフィルタを2個買ってたわけですが・・・)
ASI1600シリーズには本体へのフィルタを装着するための専用リングが添付されているのでそれを用いて31.5mm径のIRカットフィルタが取り付けできます。サイズ的にケラレが生じそうですが、そもそも惑星撮影ではROI(クロップ)を用いるので影響は無いでしょう。

f0346040_01041969.jpg
★対惑星用ビームスプリットシステム完成

 以上の改良で、こんなシステムになりました。

f0346040_01064161.jpg
接眼部側から、
 ADC→ビームスプリッタ→IRカットフィルタ→カメラ
となっています。

結構巨大で相当に重たいシステムになっちゃいました。


★いざVMC260Lで実写!!

こういう重たい装置を取り付ける際には、VMC260Lやシュミカセなどの主鏡移動方式の接眼部は有利ですね。ドローチューブに可動部分が無いために重量級の装置をとりつけてもガタが出ません。

・・・と言うわけで、VMC260Lにビームスプリットシステムを装着して実写に取りかかります。

f0346040_01111378.jpg
ノートPCの処理能力が上がったおかげで、SharpCapのダブル駆動でもまったく画面が止まりません!


・・・こ、これは「行ける」のでは??

f0346040_01131054.jpg
上記のキャプチャ画面を見れば分かるとおり、
ASI1600MCは24.4FPSでASI1600MMは55.3FPSで同時露光できて、
しかもほとんどコマ落ちしてません。


★キャプチャ画像そのままだと

f0346040_02503213.jpeg
 ※左:MC(ゲイン139 露光41ms)  右:MM(ゲイン139 露光18ms)
  VMC260L直焦点( 3000mm F11.4  ) バーローレンズなどは一切無し。

シーイングはあまり良くありませんでしたが、1コマ撮りとしてはまずまずの写りですね。
早速、AutoStackert!2でスタッキングしてみましょう。

★スタック+ウェーブレットすると・・・

MCのカラー画像は2000コマのうち良像25%を、MMのモノクロ画像は4000コマのうち良像25%をスタッキングしてみました。
さらに、それぞれのスタック画像をレジスタックスにかけてウェーブレットしてみます。

すると・・・・
f0346040_02560378.jpeg
  ※左:MC 右:MM

おお!
とても良い感じです♪

よくみると、かろうじてMMの方が解像度が高く見えますね。
(期待したほどでは無いですが・・・・)


★LRGB合成して仕上げると・・・

MMのL画像とMCのRGB画像をLRGB合成します。
すると・・・・


・・・ででん!

f0346040_03001228.jpeg
 ※左:MCのみで画像処理 右:MMとMCのLRGB合成

ああ、こうしてみるとハッキリと差が分かります。
やはりMMを用いたLRGB合成の方が解像感が高いですね。


★というわけで・・・・

数ヶ月にわたる壮大かつ無謀なプロジェクト、
「LRGB同時露光用ビームスプリットシステム」
完成です♪

f0346040_03075524.jpg
当初懸念していたビームスプリッタによるゴーストや負の球面収差発生についても(惑星撮影に関する限りは)心配なさそうです。


あとは、数をこなしつつ良シーイングを待つのみですね♪

P.S.
とりあえず、高価な部品達がゴミにならなくて、良かった良かった♪

by supernova1987a | 2017-04-17 03:16 | 天体写真 | Comments(4)

~無謀なる挑戦~珍パーツ自作ごっこ

<ご注意>
複数回更新する時間的余裕が無いため、「出し惜しみ」せず一気に書きます。
個人的には、たぶん「おもしろい」ネタだと思うのですが、ヘビのように長い記事なので、お暇なときにご覧くださいませ♪


★やっぱり今回の休日も天体観測できず

月も大きくなってきたことだし、とりあえず年度末を越さないと天体観測できませんねぇ。
ま、こればかりは仕方ありません。


★水面下で進んでいたマル秘プロジェクト

というわけで、まさかの発動です♪
え?
「天体観測できてないんだからナローバンドとかは無しでしょ?」
「ツインBORGも天体以外には(パララックスがあるので)無理でしょ?」
「まさか、新機材??」
いやいや、まずはこの写真見てくださいな。

★なんぞコレ!?
f0346040_20480935.jpg
レンズ用シルボン紙に何重にも巻かれて、謎の物体が届きました。
とりあえず、「ガラス」ですねぇ。

・・・・で、
f0346040_20505513.jpg
こんな「アヤシげな」パーツも・・・・。

ええと最初に断っておきますが、これ望遠鏡メーカーのパーツじゃないです(※)。
大学などの研究機関御用達と思われる某研究機材メーカーさんなんですが、
この手のブツは、法人相手か、ある程度の個数が見込めないと売ってくれないメーカーが多い中、「個人」でしかも「1個だけ」の発注を受けてくれました。
本当にありがたいことです!
(※厳密には、昔「アストロスキャン」っていう「壺みたいな形」の天体望遠鏡を発売してたように思いますが・・・)


★2つのパーツを組み合わせると・・・

f0346040_20582060.jpg
まずは、フレームに『謎のガラス体』をセットして・・・・

f0346040_20591005.jpg
がたつき防止のクッション材を入れてふたを閉めますと・・・・。

f0346040_21000830.jpg
おお、なかなか格好良くなってきましたよ♪


★かくして・その正体は

はい。
光学実験用の「ビームスプリッター」でした。
レーザー実験とかで光を2分割する時に使うヤツですね。

ちなみに、今回の「無謀なる挑戦」には「ペリクル型のビームスプリッター」が最適だろうというのは承知してるんですが、いかんせん膜が薄すぎてブロアーを強く吹きかけただけで破れそうなのでパス。そもそもペリクルはとても高価ですしね。
反面、もっとも安く、扱いも楽そうなのは「プレート型ビームスプリッター」なのですが、たぶん、原理的にすんごいゴーストが発生しそう。(ボヤッと写るタイプのゴーストでは無く、恐らく昔のテレビで良くあった二重写しみたいなゴースト

・・・というわけで、古典的な「キューブ型ビームスプリッター」に決めました。
偏光特性が無く、光量分割比率が50:50のタイプです。
透過する保証波長は400~700nm。いわゆる可視光タイプですね。
ちなみに、面精度は1/4λ、偏角精度3分、単層コーティング仕様とのこと。


★ここで一息入れて、迷光チェック

そもそも単層コーティングですしコバ塗りもされてない「素の」ビームスプリッタです。
しかも不使用面も研磨されているので、迷光まみれとなるのは想定の範囲内・・・。
実際に覗いていてみると・・・

f0346040_21145965.jpg
ああ、やっぱり!
ちなみに、左右に淡く広がる光は、非研磨面をコバ塗りすれば回避されそう。
上下に明瞭に写る光はちと難敵そうです・・・が、ここは気にせず先に進めます。



★密かに買いそろえていた秘蔵パーツを組み合わせると

ここで色んなパーツが日の目をみることになります。
死蔵していた各種パーツをフル動員すると・・・・

・・・ででん!
f0346040_21181327.jpg
どうです?
このメカメカしさ!
用途が不明でも、「スゴそうに」は見えますね♪

f0346040_21193968.jpg
三脚用のねじ穴も、光路長調整用のヘリコイドも、写野回転用のローテーターも装備して、まさに『全部入り』状態です!

ちなみに、途中で遮光環の役割をするアダプタを入れているので、先述の迷光も

f0346040_21263327.jpg
ここまで改善されました♪



★・・・で、肝心の使用用途は??

構想6ヶ月、パーツ集めに3ヶ月かかりましたが、ついに完成です。

その名も

「LRGB同時撮影型ビームスプリット望遠鏡」っ!!

f0346040_21281513.jpg
はい。
対物レンズからの光を50%ずつに分割して、
ASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLを
同時露光できちゃうっていうアイディアです。

ネットでググる限りでは、他に(こんな馬鹿馬鹿しい試みは)類を見ませんので、『一番乗り』かもしれません♪

f0346040_21314597.jpg
こんな感じで2個のカメラが接続されています。
直交部分はヘリコイドで同焦点に調整できるように工夫してあります。
スプリッタの直径も40mmあるのでマイクロフォーサーズを使う限りはケラレも心配ないでしょう。



★ターゲットスコープオープン!

あ、ごめんなさい。実は私「ヤマト」のファンなもので・・・。

「光学クロスゲージ、明度7っ!」

f0346040_21365904.jpg
(そういや、どうしてヤマトの電影クロスゲージの明度はいつも「20」なんでしょうねぇ?)

・・・ともかく、ターゲットは軸線に乗りましたので(笑)
実際にトリガーしてみましょう!



★SharpCap並列駆動!

f0346040_21390139.jpg

いつぞや「ツインBORG構想」で見つけた裏技「SharpCapの二重起動」です。

おお!
さすがは物理実験用のパーツ。
スケアリング調整が精密なのでしょう。視野がドンピシャで一致しますねぇ。


★ファーストライトっ!!

f0346040_21420077.jpg
左がMMのモノクロ画像、右がMCのカラー画像です。
ゲインはどちらも「鉄板の」139。
露光は(感度が低い)MCの方にMMの倍をかけてます。


★ピクセル等倍では・・・

f0346040_21440687.jpg
ピクセル等倍だとこんな感じです。(左がMM、右がMC)
ツインBORGの時も感じましたが、やはりMMはMCよりも圧倒的にシャープですね。


★早速、L-RGB合成してみる!

はやる気持ちを抑え、慎重にL-RGB合成をしてみます。

コンポジット時の調整量で今回の『珍パーツ』のセンタリング精度が分かりますね。
どれどれ、
回転ずれは約1.5度
これは、目分量で合わせたにしては良い値。そもそも撮影時にいくらでも追い込めます。

次に・・・ええと、
平行ずれは約170ピクセルですなぁ。
170ピクセルと聞くとズレまくりのように聞こえますが、
ASI1600の対角ピクセル数は約5837ピクセルなので、
センタリング誤差としては約2.9%となりますから、悪くないです。

f0346040_21552027.jpg
左がMMをL画像、MCをRGB画像として、LRGB合成したもの。
右はMCの素画像です。
拡大すると、左の方が格段にシャープであることが分かりますね。


★ツバキの花でも試してみる

風で揺れたりするので、同時撮影とは言え(転送タイミングのズレが生じるので)LRGB合成が難しいのですが、ツバキの花を試写してみました。

f0346040_00085132.jpg
左がMMのLとMCのRGBを合成したもの
右は素のMCです。
これだと差が分からないので、300%に拡大すると・・・

f0346040_00095716.jpg
やはり、(左の)MM+MCのLRGBが圧倒的にシャープですね。
ちなみにこれは、以前書いたとおりベイヤー素子のデモザイクに伴うボケが主要因です。
ただし、よく見ると左の方は(デモザイク処理でノイズがボケない分)ザラザラしたノイズが目立つことが分かります。
でもたぶん、こっちの方が「本来」の解像度なのでしょうね。

・・・・というわけで、

「前人未踏の?珍パーツ自作ごっこ」
第一幕は「大成功」っ!

めでたい♪

・・・さらに、直交部分に接続したCMOSカメラをオートガイダーに転用すると、
「オフアキシスガイダー」ならぬ「オンアキシスガイダー」になりますなぁ。
撮影カメラの全写野からガイド星を選択できるっていう。
なんかソニーデジカメのトランスルーセントシステムみたいで面白そう♪


<お約束>
前例が見当たらない無謀なチャレンジなので、興味のある皆様方も真似せず、まずはご静観ください。
原理的に、この手法には多大な弱点があります。

★弱点その①
そもそも光量が1/2になってます。
それなら、フリップミラーとかで切り替えれば(露光時間が1/2で済むので)実稼働時間は同じです。

★弱点その②
たぶん、盛大にゴーストが出ると予想されます
キューブ型ビームスプリッタは構造上、対物レンズ側の面とカメラ側の面が平行ですので、回避しようがありません。

★弱点その③
原理上、40mmもの厚さのガラスを通過しますので、(そもそもが平行光線であるレーザー実験とは異なり)収束光を入射させる直焦点撮影では、周辺部を通過する光の焦点が後ろにズレます。要するに光路長一定の原理が満たせないので、負の球面収差が発生します。
理論上は、フルコレクション型(完全補正型)の対物レンズに用いてもオーバーコレクション(過補正)気味になるということですね。
早い話が、解像度が低下します。
※どれほど悪化するかは、レイトレーシング(光線追跡)してみないと何とも言えませんが、平行ガラス体を用いたレイトレーシングはやったことがないので、その内コードを書いて「考察ごっこ」してみます。

★弱点その④
このビームスプリッターは材質として、最も一般的なクラウンガラスであるBK7を用いています。
したがって、反射系の望遠鏡であっても軸上色収差が発生します。
早い話が、色にじみが出ます

★弱点その⑤
そこそこの精度を求めようとしたため、非常に高価です。
コスパは良くありません
鏡筒をもう1本買い足して「ツイン化」した方が安上がりなケースが多いと思われます。
むろん、VMC260Lがもう1本買えるほどではありませんが、一般的な20cmクラスのカセグレン系なら・・・・。

以上より、『酔狂な方』以外は真似しないことを強くオススメいたします(笑)

by supernova1987a | 2017-03-13 22:35 | 機材 | Comments(8)


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