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本当の『ファーストライト』は波瀾万丈

★本当にやりたかったのはコレ!

先日、木星の撮影でファーストライトを果たした「LRGB同時露光型ビームスプリット装置」ですが、木星撮影以外のところにも「野望」がありまして・・・・。
それは、ズバリ
「星雲星団をビームスプリッタでLRGB同時露光する!」
という奇想天外な遊びです。

・・・という訳で、ウンウン悩みながら惑星用のシステムを星雲星団用に組み替えました。

f0346040_14393403.jpg
今回ビームスプリッタ本体に装着するのは、左から、「LPS-P2フィルタ」、「回転装置」、「レデューサ代わりのACクローズアップレンズNO3」です。というのも純正のレデューサを用いるにはバックフォーカスが長すぎますし、ビームスプリッタの直前にフィルタを付けると醜いゴーストが出そうだったからです。

さて、これらを組み上げると、

f0346040_14415879.jpg
こんな感じのメカが出来上がりました。
VMC260Lへの接続はM60のネジリングで、これが単独でねじ込み作業できるように回転装置を利用します。

・・・・ところが、この「工夫」が後に悲劇を生もうとは・・・・・。


★好事魔多し

カメラ制御用のノートPCとアトラクスを無理なく長時間駆動させるために投入した、suaoki400Wh電源

f0346040_20101991.jpg
絶好調で動きました。
これ、前面のパネルに現在消費している電力がリアルタイムで表示されるので、あとどれくらいでバッテリーが切れそうかが一目瞭然ですね。ちなみに、アトラクスの恒星時駆動では3~5W程度、満充電したノートPCへのAC供給が8~10W程度で収まってましたので、ざっくり言って30時間程度の連続駆動ができそうです♪

これ、さらにアトラクス制御用のサブノートPCに電源供給しても1晩は余裕で持ちそう。
あとは、2台のASI1600カメラの冷却用の電源としてスゴイバッテリーが1台あれば十分です。

f0346040_14514600.jpg
早速VMC260Lにビームスプリットメカを取り付け、初の星雲撮影に臨みます。

これはもう、「大勝利の予感」♪

・・・・などと思っていたら・・・。



「ドスンっ!!」

正直、一体何が起こったのか把握できませんでした。

実は、突然「ASI1600MC-COOLとASI1600MM-COOLを装着したビームスプリッタ」が「丸ごと」地面に落下したのです!

正直、血の気が引きました。

しばし、全身が硬直した後、地面に横たわるビームスプリッタを拾い上げ、緊急撤収します。
装置を軽く振ると
「カランコロン」
と嫌な音がします。

・・・ひょっとして、ここ数ヶ月の努力が水の泡か?!

★不幸中の幸い

 落下の原因は、先述の、鏡筒へビームスプリッタを接続する際の工夫である「回転装置」でした。これ、カメラ側を手に持ったまま、接続リングだけがフリーで回転するので、強固かつ迅速に接続できるアイディアだったのですが、なんと、「接続リングを鏡筒にねじ込む」作業中に「回転装置が上手く作動せず」に「接続リングが緩んだ」のですね。

 ただし不幸中の幸いで、落下場所が周囲よりも柔らかい赤土だったこと、落下体制が良かった(全パーツに均等に撃力が掛かる)ために、外観のキズと若干の光軸ズレ以外はダメージが無さそうです。ちなみに、「カランコロン」の正体は、カメラの空冷装置部分に入り込んだ土砂でした。


★気を取り直してセッティング

一度全パーツをバラして、内部に損傷が無いか確認した後、丁寧に掃除して、再度セットアップします。

f0346040_15483980.jpg

果たして、上手く作動するでしょうか?


★MMとMCで星雲を同時キャプチャー

f0346040_15230765.jpg


 M8を対象にして、プリズムの被害を調べます。(左:MC 右:MM の同時キャプチャー画面)
見たところ、ほとんど光軸のズレは無さそうですし、変な光やノイズは出ていないようです。

 大急ぎで、-ゲイン400+15秒露光で連射し、MMの画像100コマとMCの画像100コマを同時に取得してみました。(撮像温度:-15度、MMは16ビットモノクロ、MCは16ビットRAWのFITSでそれぞれ出力)



★1コマ撮りでMMとMCを比較

同時に撮像した1コマ画像を比較してみます。

f0346040_15263768.jpg
 ※左:MC 右:MM (ともにゲイン400の15秒露光一発撮り)

感覚的には、MMの方が2倍ほど感度が高く、画像も滑らかに感じますね。

では早速、コンポジットしてみましょう!


★100コマコンポジットで比較

f0346040_15295672.jpg

 ※左:MCの100コマコンポジット 右:MMの100コマコンポジット(ダーク減算無し)

おお、どちらもかなり滑らかになりましたが、若干MMの勝ちでしょうか。


 ★LRGB合成してみる

 いよいよ、仕上げです。
MMで撮像したL画像(100コマコンポジット)とMCで撮像したRGB画像(100コマコンポジット)をLRGB合成し、さらにシルキーピクスで色調などを調整してみます。

 すると・・・


・・・ででん!
f0346040_15384557.jpg
 おお!とても良い感じです。
市街地からのニワトリのため、以前遠征してD810A撮影して400コマコンポジットした画像には少し負けているようなきもしますが、これはこれでなかなか見応えがありますね。


※4/24追記※

先日、単体でも稼働できることが分かったNikCollectionのHDRを活用すると、こんな↓方向性もアリですね。
ちと画質が荒れますが、星雲内のウネウネがハンパないです♪

f0346040_21293302.jpg
ちなみに、レデューサ代わりに装填したACクローズアップレンズNo3ですが、画像を実測してみた結果、純正レデューサ(1860mm)よりも少し長めの約1950mmになっていることが分かりました。口径が260mmですから、F値は11.4→7.5まで明るく出来たことになります。青にじみが発生していますが、クローズアップレンズによるものかビームスプリッタによるものかはまだ不明です。


★という訳で結論!

ビームスプリッタで生じた「負の球面収差」とキャンセルするよう「正の球面収差が残っているタイプ」のクローズアップレンズを用いてみたり、ゴースト軽減のフィルタ配置にしたり・・・が功を奏しているかどうかは不明ですが、とりあえず、あぷらなーとの「珍パーツ」:「LRGB同時露光用ビームスプリット装置」は、惑星の撮影でも星雲の撮影でも実用になることが分かりましたっ!!

めでたい♪

※ダークの減算とか諸々の真面目な画像処理は、これからゆっくりと・・・。

by supernova1987a | 2017-04-24 15:44 | 機材 | Comments(6)

「ビームスプリットシステム」ファーストライト!

★ファーストライトのチャンス到来!

光学実験用のキューブ型ビームスプリッタを用いて作成した「LRGB同時露光システム」、天文リフレクションズ編集部さんが言うところの「ド変態システム」(笑)ですが、いよいよ稼働させるときがやってきました。


★その前に『外堀』を埋めておかなきゃ

惑星や月面を用いて「ファーストライト」したいのは山々ですが、急いては事をし損じます。

ちなみに、撮影前に想定されていた困難な要素は下記の通り

①キャプチャフレームレートが全く上がらない
 手持ちのノートパソコンの性能が追いついていないようで、SharpCapを二重駆動させた場合に下手をするとフレームレートが0.5FPSという悲惨なことになってしまってます。これでは大量スタッキングが必要な惑星写真には使えません。

②木星の高度がイマイチで大気の分散の影響を受けてしまう
 特に深刻なのがモノクロカメラであるASI1600MMの方で、色情報が無いために原理的に色ズレ補正が不可能です。またASI1600MCの方はRGBアライメントなどで色ズレ補正できますが、本来はウエッジプリズムなどを用いて撮影時に大気の分散を補正しておきたいところです。

③システムが巨大化したのでVMC260Lに取り付けるのが難儀する
 アメリカンサイズのアイピースホルダはもちろんのこと、2インチホルダでもグラグラして不安定です。これではピント合わせどころではありませんし、最悪の場合脱落事故にもつながりそうです。

④赤外線に感度があるため、その影響で像が甘い
 ASI1600シリーズは、MC版もMM版もクリアフィルタ仕様のため赤外線に感光します。そのため赤外線の影響で解像度が低下したり色がおかしくなったりします。

これまで「中途半端」なシステムを組んで痛い目にあってますので、今回は真面目に問題点をつぶしておきます。

★外堀①まともなノートPCに換える

SharpCapでASI1600をダブル稼働させる場合、ATOMとかAMD-E2とかの格安CPUだと処理が追いついてないようでフレームレートが落ちて使い物になりません。
そこで、今回はまともなスペックのノートPCに換えました。
 CPU:Corei5
 メモリ:8GB
 ストレージ:SSD256MB
のDELLノートPCを投入します。
さらに、MMはUSB3ポート、MCはUSB2ポートにそれぞれ分けて接続してUSB周りでデータが詰まらないようにしました。
その結果、800×600のROIならRAWデータのSer動画でもMMで50FPS、MCで25FPSで同時撮影が可能となりました。

・・・もっと速くノートPCを買い換えておけば良かった。
7~8万円の比較的安いノートPCではありますが、5万円未満の格安ノートとは処理速度がまるで「別世界」です。


★外堀②大気分散の補正機能を実装する

だいぶ前に入手していたのに一度も使っていなかったZWOのADC(ウエッジプリズム装置)をビームスプリッタの手前に装着しました。
実は、ビームスプリッタで光路分割する前にADCで分散補正するところがミソでして、この手法ならMCのキャプチャ画面を見ながら分散補正方向を定めれば、自動的にMMのL画像にも大気の分散補正がなされるいう理屈です。


★外堀③ネジ系のリングのみで接続する

アイピースホルダでは強固に固定できないのでM60-M57変換リングなどを用いて直接接眼部にシステムを装着する形式にしました。
この場合、装置をくるくる回しながら装着するのでは面倒くさい上に、接続作業中のミスで脱落も考えられるので途中に回転装置を入れ、望遠鏡側のリングが独立して回転するように工夫しました。

f0346040_00594656.jpg
 ADCもアイピース固定用のネジを外してTネジでビームスプリッタに直結して剛性を高めました。


★外堀④IRカットフィルタを装填する

 色々と悩んだ結果、ASI1600カメラ本体に直接IRフィルタを装着しました。(ま、これを見越して以前IRフィルタを2個買ってたわけですが・・・)
ASI1600シリーズには本体へのフィルタを装着するための専用リングが添付されているのでそれを用いて31.5mm径のIRカットフィルタが取り付けできます。サイズ的にケラレが生じそうですが、そもそも惑星撮影ではROI(クロップ)を用いるので影響は無いでしょう。

f0346040_01041969.jpg
★対惑星用ビームスプリットシステム完成

 以上の改良で、こんなシステムになりました。

f0346040_01064161.jpg
接眼部側から、
 ADC→ビームスプリッタ→IRカットフィルタ→カメラ
となっています。

結構巨大で相当に重たいシステムになっちゃいました。


★いざVMC260Lで実写!!

こういう重たい装置を取り付ける際には、VMC260Lやシュミカセなどの主鏡移動方式の接眼部は有利ですね。ドローチューブに可動部分が無いために重量級の装置をとりつけてもガタが出ません。

・・・と言うわけで、VMC260Lにビームスプリットシステムを装着して実写に取りかかります。

f0346040_01111378.jpg
ノートPCの処理能力が上がったおかげで、SharpCapのダブル駆動でもまったく画面が止まりません!


・・・こ、これは「行ける」のでは??

f0346040_01131054.jpg
上記のキャプチャ画面を見れば分かるとおり、
ASI1600MCは24.4FPSでASI1600MMは55.3FPSで同時露光できて、
しかもほとんどコマ落ちしてません。


★キャプチャ画像そのままだと

f0346040_02503213.jpeg
 ※左:MC(ゲイン139 露光41ms)  右:MM(ゲイン139 露光18ms)
  VMC260L直焦点( 3000mm F11.4  ) バーローレンズなどは一切無し。

シーイングはあまり良くありませんでしたが、1コマ撮りとしてはまずまずの写りですね。
早速、AutoStackert!2でスタッキングしてみましょう。

★スタック+ウェーブレットすると・・・

MCのカラー画像は2000コマのうち良像25%を、MMのモノクロ画像は4000コマのうち良像25%をスタッキングしてみました。
さらに、それぞれのスタック画像をレジスタックスにかけてウェーブレットしてみます。

すると・・・・
f0346040_02560378.jpeg
  ※左:MC 右:MM

おお!
とても良い感じです♪

よくみると、かろうじてMMの方が解像度が高く見えますね。
(期待したほどでは無いですが・・・・)


★LRGB合成して仕上げると・・・

MMのL画像とMCのRGB画像をLRGB合成します。
すると・・・・


・・・ででん!

f0346040_03001228.jpeg
 ※左:MCのみで画像処理 右:MMとMCのLRGB合成

ああ、こうしてみるとハッキリと差が分かります。
やはりMMを用いたLRGB合成の方が解像感が高いですね。


★というわけで・・・・

数ヶ月にわたる壮大かつ無謀なプロジェクト、
「LRGB同時露光用ビームスプリットシステム」
完成です♪

f0346040_03075524.jpg
当初懸念していたビームスプリッタによるゴーストや負の球面収差発生についても(惑星撮影に関する限りは)心配なさそうです。


あとは、数をこなしつつ良シーイングを待つのみですね♪

P.S.
とりあえず、高価な部品達がゴミにならなくて、良かった良かった♪

by supernova1987a | 2017-04-17 03:16 | 天体写真 | Comments(4)

1キロ手前から「お花見」


★念願の・・・・

なんやかんやで徳島から香川に転勤した結果、通常期は「日月が連休」(!!)という夢のような勤務体系になりつつあります。
(これまでは月が休日、その他週2日が半休という体系でした。)
連休の良いところは、なんといっても遠征しても翌日に休息できることですね。
これなら、徹夜で天体観測しても体調が崩れることもなさそうです。


★しかし肝心の天候は・・・

せっかくの休日でしたが、あいにく天候は曇り・濃霧・小雨の繰り返しで月さえ見えそうにありません。
また満開の桜も光が良くないので冴えない写りになりそう。

・・・こんな日は機材の調整に限りますね。


★1km先にある丸亀城の桜を・・・

「扇の勾配」としてその石垣の美しさが有名な丸亀城は、桜の名所でもあります。
しかし天候が悪いので出かける気にもならず、1km手前にある実家からBORG89EDを使って「遠隔お花見」することにしました。

先日、後先考えずに(無謀なる挑戦として)組み上げたビームスプリッターシステム↓で・・・・

f0346040_21281513.jpg
ASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLの同時露光。約1km遠方の丸亀城を狙います。


★ASI1600MCの一発撮りでは

f0346040_15433167.jpeg
 ※BORG89ED直焦点(600mm)+ASI1600MC-COOL ゲイン139 露出4ms

さすがに600mm+マイクロフォーサーズではフルサイズ換算で1200mmの超望遠になりますので、でっかく写りますね♪
赤外カットフィルターを付け忘れたので赤外線の影響で発色が悪かったりモヤッとしているのはご愛敬。

★MMとMCを比較する

 同時露光したMCのカラー画像とMMのモノクロ画像を200%拡大で比較するとこんな感じです。

f0346040_15484438.jpeg
 ※左:ASI1600MC 右:ASI1600MM (画像処理無し)

ほぼ水平に向けての撮影ですので、大気がユラユラしており、シーイングは良くありませんが、かろうじてMMの方がシャープであることが分かります。


★惑星撮影の絶好の練習になる?

あまりシーイングが良くない素材なので、次の機会に挑戦予定の「ビームスプリット・LRGB同時露光システム」を用いた惑星撮影の画像処理練習になりそう。
・・・という訳で、少し画像をいじってみます。

まずは、MMのモノクロFITS画像32コマをAutoStackert!2でスタッキングします。
画面全体が波打つようなシーイングでしたので、良像40%で切ります。

f0346040_23041729.jpeg
※ちなみにモノクロのFITS画像をスタッキングするときはAutoStackert!のカラーメニューから「モノクロ」を選択しておくことが重要です。
そうしないと、カラーベイヤーだと勘違いしてモザイク状の偽色まみれ画像が生成されてしまいます。

出来上がったスタック画像はTIFFに落として、レジスタックスに読み込み、ウェーブレット処理を行います。

f0346040_23074305.jpeg
さらにステライメージで軽くアンシャープマスクをかけます。
すると、モノクロ画像の解像度が飛躍的にアップしました。

f0346040_23091704.jpeg
 ※左:スタック直後 右:ウェーブレット+アンシャープマスク適用後

そして、MCで撮影したカラー画像をRGBチャンネルとしてLRGB合成をしてみます。

すると・・・・

・・・ででん!!
f0346040_23112588.jpeg
 ※左:MCの画像 右:MMのL画像とMCのRGB画像のLRGB合成

おお!とても良い感じです♪
相当にシャープになりました。

他の場所でも比較してみます。

f0346040_23141646.jpeg
石垣のディテールも出てますね。1km先の画像とは思えません♪
あ、人物がぶれたようになっているのはスタッキングの宿命ですのでしかたありません。

f0346040_23133957.jpeg
けっこう素晴らしい解像度になりました。
松の葉や芝生が1本1本分離しているかのように見えますね。
風に揺れていた桜はイマイチですが、タイトル通り「1キロ手前からお花見」大成功です♪

PS 赤外線の影響で発色が悪いのでIRカットフィルタを付けて撮り直そうとした矢先、雨が降ってきたので撤退。
・・・残念。

by supernova1987a | 2017-04-10 23:21 | 機材 | Comments(11)

ASI1600MCのゲイン検証ごっこ

★まだまだ落ち着きません

一向に天体写真撮れそうに無いので、今日は「検証ごっこ」で遊んでみます。
今回の検証ごっこテーマは、以前(まるで決定事項のように)書いてた

「ゲインを+60するごとに感度が倍々にアップする」のはホントか?

です。

使うツールは、以前、四苦八苦してDelphiでゴリゴリ書いたFITSファイル解析用プログラム♪
円形のグラデーションをPCモニタに表示させたものをASI1600MC-COOLでゲインを変えながら撮影し、解析ツールにかけます。

f0346040_23555531.jpg
★露光量を揃えてゲインのみを変えて比較

今回の比較では、できるだけ素直なデータを得るため-10度まで冷却し、
ガンマ補正を50、色補正(カラーごとの感度補正)は無しでいきます。
露光は4msで統一。
ゲインについては
139(これがユニティゲイン)
199、259、319
という風に60ずつゲインをアップして差を見てみます。

撮像データは次の通り
[ZWO ASI1600MC-Cool]
Debayer Preview=Off
Pan=0
Tilt=0
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
ColourSpace=RAW16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode=Off
Turbo USB=80
Flip Image=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=139 ←ここだけ変えて比較
Exposure (ms)=0.004
Timestamp Frames=On
White Bal (B)=50
White Bal (R)=50
Brightness=1
Gamma=50
Sensor Temp=-10
Cooler Power %=14
Target Temperature=-10
Cooler=On

さて、目論見通り、ゲインアップ60が感度2倍になっていますでしょうか??


★G素子についての輝度分布は・・・

f0346040_00422854.jpg
各ゲインの輝度分布はリニアで見るとこんな感じです。
ちなみにASI1600系のカメラはFITSファイルを吐き出す際に、
12ビットで量子化した輝度データを16倍して(隙間をあけて配置して)16ビットデータに見せかけていることは以前確かめました。
ゲインを変えてもこの挙動が変わらないかを見るために、輝度データを拡大してみます。

f0346040_00511127.jpg
おお、どのゲインでもとても行儀良く16輝度間隔に散らばってますね。
ガンマ補正や色補正をかけない状態(ガンマ:50 R:50 G:50)なら、輝度データは単純に16倍されているだけのようです。

★ゲイン別の比感度を推定する

ゲイン別の輝度データの傾向を見やすくするために、対数グラフを作ってみます。
横軸(輝度値)を対数表示すれば、横のずれ幅が比を表すので、理論通りならピーク位置が等間隔になるはずです。
というわけで、輝度データを両対数グラフにしてみました。
f0346040_00544091.jpg
おおー。ピーク値が綺麗に並んでます!
良い感じです。ちなみに、ゲイン139(ユニティゲイン)のときは光電効果で生じた光電子1個を「1」とカウントするはずなので、FITSデータではこれに16をかけた「輝度16」として記録されていると考えられます。上のグラフの左端が10ですので最初のプロットがこの「光電子1」に相当する信号ですね。

※「ゲインを上げたら、このプロットは消えてしまい(右にズレてしまい)もっとまばらなデータになるかも」と邪推していましたが、そうでは無さそう。

ちなみに片対数グラフだとこんな感じです。
f0346040_01040358.jpg
ゲイン別のピーク値がとても見やすくなりました。
本来これらのピーク値を読むことで、およその比感度が分かるのですが、
今回は、低輝度側からの積分値で比較することにします。

低輝度側からの累積ピクセル数を解析すると、下記のようになりました。
f0346040_01065465.jpg
もし、ゲインを60アップするごとに感度が2倍になるなら累積輝度分布が左右等間隔になるはずですが、とても良い感じで等間隔になってますね♪
・・・これは期待できそうです。

つぎに、上記のグラフでヒットしたピクセル数が1500万画素に到達するまでの累積輝度をゲインごとに分析してみます。

f0346040_01381180.jpg
うししし。
とても綺麗なリニアリティが得られました。

★最終結論(めいたもの)

というわけで、今回の「検証ごっこで」はASI1600MC-Coolを-10度で運用した際のゲインと比感度の関係は次のようになりました。

f0346040_01143958.jpg
結論として、ゲイン139を基準とすると、ゲインを60上げるごとに感度は「ほぼ」2倍になることが分かりました。

えっ?
「理論値とズレてるぞ!」
ですか?

ええと・・・・たぶん下記のどれかかと

仮説①
ゲインの設定値と実際のゲインが微妙にズレている。
※ゲイン60で1.995倍(理論値)では無く2.021倍になる仕様なら、2.021の3乗が8.25なので結構良く合ってます。

仮説②
ゲインと連動して増加するなんらかのノイズが加算されて輝度が増している。
※ありそうなお話です。(ダークも引いていませんしねぇ)

仮説③
あぷらなーとのポンコツ頭で考えた「検証ごっこ」なので、そもそも手法が間違っている。
※大いにあり得ます(笑)

・・・・とにかく、細かいことを言わなければ、
ASI1600系の感度は、ゲインを約60上げるごとに約2倍になっている
ということが、実際に確かめられました。

めでたい♪

心のつぶやき
「ああ、久しぶりにASI1600に触れたと思ったら、撮影したのがPCモニタ上のグラデーションだけだなんて・・・・」



by supernova1987a | 2017-03-07 01:32 | 機材 | Comments(8)

ショットノイズの考察ごっこ②

★やはりドタバタして実写できないので・・

年度末は元々忙しいのですが、今年はさらに色々と重なったので毎日ドタバタで天体観測できません。
・・・というわけで、前回の(意外なことに反響が大きかった)考察ごっこを進めることにしました。

★前回のまとめ
f0346040_22523585.jpg
VMC260L+ASI1600MCで撮影した場合を想定して、M27亜鈴状星雲から飛んで来る光子の粒々の到来フラックスを色々と考察ごっこした結果、
ゲイン400で15秒露光すると、1ピクセル当たり約2030カウントの輝度値が得られることが予想されました。
さらに過去の実写データを解析すると、バックグラウンドが約4300カウントでM27上の値が約7200であることから、M27から飛来した光は約2900となり、オーダーレベルでの比較的良い一致を見ました。

★ということは・・・

前回のシミュレーションのロジックは、あながち間違ってはいないと言えそうです♪
・・・で、いよいよショットノイズの正体に一歩迫ることにしてみます。

前回仮定したのは、明るい天体からは間断なく、暗い天体からはパラパラと光子が飛んできており、その飛来頻度は光子がポアッソン分布にしたがっているというものです。
その仮定に基づき実写データと比較した結果として前回得たバックグラウンドの明るさを元にして、どのように光度分布しているのかをシミュレートしてみました。

f0346040_00334318.jpg
バックグラウンド(天体が無い夜空の明るさ)を元に、実際の撮像素子上に飛来する光子数がどのように分布したのかをシミュレートしたのが上のグラフです。
これは、F7.1の光学系にマイクロフォーサーズ1600万画素のカメラを用いて、15秒露光した場合に相当します。
(背景光は面積体なので、光学系の口径は関係なく、F値のみで光子数が決まります)


★ショットノイズをシミュレートするために

「単位時間当たりの光子数が一定ではなく、揺らいでいることがショットノイズの原因」だという仮定の下で、実際のノイズが再現できるかを試みてみます。
私がまだ『理系』だった頃、ランダム性を持つ事象のシミュレーションにはモンテカルロシミュレーションを用いていたはずなのですが、ポアッソン分布のモンテカルロのやり方を完全に忘れてしまっていたので(すでにアホになった頭で)泣く泣く考えてみることに・・・。

f0346040_23124409.jpg
ポアッソン分布を規格化(全イベント数の合計が1になるように調整)した場合には、上の図のようにA~Fの事象が起こる確率を示すグラフになります。
そこで、下の図のようにそれぞれのグラフを短冊のように切り出して・・・・・
f0346040_23145239.jpg
こんな風に下から繋げます。
すると、ちょうどポアッソン分布の確率密度関数を積分した事になるはずので・・・・・

f0346040_23164244.jpg
0~1までの数値を乱数を用いて与え、その値に相当する高さの短冊の名前を読むことにします。
そうすると、各事象の短冊の長さは発生確率に一致しているため、乱数から得た事象の登場頻度はポアッソン分布に従うはずです。

・・・・うーん。『理系』だった頃は、これを「積分モンテカルロシミュレーション」とか「1次元化モンテカルロシミュレーション」とか呼んでたっけなぁ・・・。
本当は、確率密度関数を積分したものについてその逆関数を求めてから乱数をぶち込んでいたはずなのですが、今回のような離散的な関数の逆関数は厄介なので、短冊接続方式で行きます♪


★ここに来て、壁に・・・

さて・・・と。どうやって各短冊に該当したかを判定するかなぁ・・・・。
コーディングはしたくない気分なので、できるだけ手抜きしたいなぁ・・・。
・・・という訳で、
f0346040_23300866.jpg
こんな演算テーブルをEXCELで作って各セルから参照し、ヘビのように長~いIF文で条件分岐させるという、ベタベタな方法で行ってみます。

★背景光の揺らぎ推算結果は・・・・
f0346040_23331357.jpg
量子効率の補正、ゲインの補正、16ビット変換補完、などなどを行った結果として、
ゲイン400で背景を15秒露光した場合に50×50ピクセルの撮像素子から得られる出力イメージは上記のようにシミュレートされました♪

★でもASI1600MCはベイヤー機なので

実写データと見比べるために、このシミュレーションデータをRAW画像として、以前作ったデモザイク(ディベイヤー)処理ツールに通してカラー画像化を試みます。
f0346040_23410084.jpg
左がRAWデータのシミュレーションで、右がデモザイク後のシミュレーションです。
なにやら、実際の撮影画像でよく見る感じのモヤモヤしたノイズが再現できていそうですね♪

★実写データと比較してみる

最後に、実写データの中から、天体が写っていない領域を強トリミングしてシミュレーションと見比べてみましょう。

・・・すると・・・

f0346040_18540284.jpg

左がシミュレーションで、右が実際にASI1600MCで撮影した背景ノイズです。
一応、ダークファイル減算のみ行っています。
ガンマ補正を考慮していなかったり、カメラ側のリードノイズなども考慮していないので、全く同じとまではいきませんが、
どうでしょう?
いつも背景に現れるモヤモヤした雲状のカラーノイズらしきものが、バッチリ再現できたのではないかと、自画自賛♪

・・・という訳で、
ASI1600MCで短時間露光撮影した画像に見られる「背景のモヤモヤ」は、主として、飛来する光子の揺らぎを捉えたショットノイズだと結論づけられそうです。

★注★ このノイズはあくまで自然現象に起因するノイズなので、ディザリングの有無を問わず、コンポジットのみで改善します。

P.S.
今後、相変わらず天体観測できなかった場合は、さらに、

「明るい夜空から対象天体を弁別できるスレッショルド(閾値)はいかほどか」
「カメラのビット数はどのように寄与するか」
「短時間露光×多数枚コンポの利点はなにか」
「リードノイズ、ゲインノイズを考慮した場合のスレッショルドは?」

などなど、「考察ごっこ」を継続してストレスを発散させます。

普段の本業では、超文系作業(生徒の小論文の添削や、大学入試予想問題としてオリジナルの評論文とか小説とか随筆とかの執筆)ばかりやってるので、たまに理系『ぽい』ことをやると疲れが取れますねぇ。



by supernova1987a | 2017-02-28 00:01 | 天体写真 | Comments(12)

ショットノイズの『考察ごっこ』①

★稼働率を上げる企み失敗

いやー。なかなか上手く行かないものですね。
BORG89ED+GPDでコンパクトな機材を組んで、赴任地のベランダ観測態勢を整えようと目論んだものの、諸々の事情で頓挫(涙)。

諸事情①
 実家のうち、江戸時代の築である母屋や土蔵や土塀などが崩落を始め、危険だと行政から警告されたので、しぶしぶ撤去工事に着工
諸事情②
 徳島から香川へ転勤命令が出たので、諸準備開始

・・・正直、全く身動きが取れなくなりました。

★撮影できない夜と言えば、『考察ごっこ』

・・・というわけで、久々に『考察ごっこ』をして憂さ晴らしすることにします。
やれやれ・・・。

★短時間露光+多数枚コンポの優位性を検証していた際に

暗い天体を短時間露光で撮影した場合、ザラザラの画像になりますが、これはノイズと言うよりもむしろ「揺らぎ」に近いモノだと私は解釈しています。
天体から飛んでくる光子1粒のエネルギーは、プランク定数をh・振動数をνとした場合、hνで表されます。
要するに、天体の明るさでは無く光の波長のみで決まります。また、光子1粒のエネルギーによって光電効果(センサーから信号が出るかどうか)の閾値が決まるため、理論的にはどんなに暗い天体であっても、光子が1粒でも入射すれば『感光』します。
ただし、暗い天体は「まばらにしか光子が飛んでこない」ために、「たまにしか写らない」と解釈できます。

光子が飛んでくる頻度が低い場合、特定の時間内にカウントされる光子数はポアッソン分布に従うので、その揺らぎが「ショットノイズ」の主要因だと判断できます。

例えるなら、パラパラと雨が降ってきているとき、短時間だけ紙に雨を当てると『ポツポツ』が写り、長時間雨にさらすと全体が濡れるのと同じ原理です。したがって、短時間露光であってもそのデータを積算(加算コンポジット)すれば長時間露光と同様の絵が写せる「はず」です。

飛んでこない粒は捕獲できませんので、今後「いかに高感度なセンサーが開発されても」短時間露光では、ザラザラにしか写りません。


・・・と、ここまでは以前「考察ごっこ」したのですが・・・。



★そもそも、本当に光子がパラパラ飛んできているのか?

あぷらなーとの(過去の)専門は、「高エネルギー宇宙線物理学」なので、ガンマ線とか諸々の「すんごい高エネルギー」の放射線には詳しくても、天体観測で撮影するときのような「可視光線」に関しては守備範囲外でした。
・・・で、撮影できない憂さ晴らしに、少しだけ勉強を開始することに♪


<注>ど素人の考察なので、以下、色々と間違いや勘違いがあるかもしれません。


①前提条件
 一般的に「天体の等級」と言った場合は、肉眼の感度が高い緑色(550nm付近)の光の強さを指します。
 これをV等級と言います。


②X等級の天体から飛んでくる光子の総エネルギー
 天体の等級を X(等級)
 カウントする波長のバンドパス(許容する波長の範囲)を d(㎛)
 とすると

 1秒当たり1㎠の地表に飛んでくる光子の総エネルギーは

 W=10^(-X/2.5)×4×10^-12×d(J)

 となります。


③X等級の天体から飛んでくる光子のフラックス
 ここで言うフラックスとは、1秒間に単位面積あたりどれだけの光子が流れ込んでくるかを指します。

 プランク定数を h 観測する光の振動数を ν (Hz)
 とした場合の光子1粒当たりのエネルギーはhνとなるので、先ほどのエネルギーを割ると

 1秒間当たり1㎠の地表に飛んでくる光子の個数は

 F= W/hν
  = 10^(-X/2.5)×4×10^-12×d/hν

 となるはずです。


④口径Dcmの望遠鏡で光子を補足すれば
 口径Dcmの望遠鏡の対物レンズの面積は 3.14×(D/2)^2 なので
 この望遠鏡で光子を1秒間観測すれば、

 N= F×3.14×(D/2)^2
  =10^(-X/2.5)×4×10^-12×d×3.14×(D/2)^2/hν

 だけの光子が網にかかることになります。


⑤7.4等級の恒星をVMC260L+ASI1600で観測すれば
 ASI1600MC系のカメラはVバンドのピークがおよそ540nmで半値幅がおよそ100nm(0.1μm)
 VMC260Lの口径は26cmなので、さきほどの数式に代入すると

 7.4等級の天体を1秒間撮影すると、6.44×10^5 個の光子がヒットする計算になります。


⑥M27を想定して試算してみると
 ⑤までの考察ごっこは、あくまで点光源の恒星から来た光が、1ピクセルに全て収まった場合の話です。
 これが、星雲など面積体の場合には全等級の光が淡く広がっていることになりますので、1ピクセルあたりに入射する光子数は激減するはずです。

 M27のVバンド等級は約7.4等級
 M27の広がりはおよそ8分×6分

 VMC260L+レデューサ+ASI1600MCでの撮影の場合
 1ピクセルが約0.42秒角に相当するので、

 M27から到達した光は、およそ92万4千ピクセル上に拡散していると予想できます

 したがって、1ピクセル当たりにヒットする光子数は、
 1秒間当たりおよそ 0.697個/秒 と予想されます


⑦カメラ側の量子効率を考慮すると
 マニュアルによれば、
ASI1600のユニティゲイン(光電子1個を1シグナルとするゲイン)は139。
 また、メーカーサイトの資料によれば、量子効率(光子1個から何個の光電子を生み出すか)は(ピーク値で)約60%らしい。
 これらを考慮すると、
 7.4等級の天体をゲイン139で1秒露光すると、
 1ピクセル当たり0.42個の光電子が発生
 することになります。


⑥ゲインと露光時間を考慮すると
 では、実際にM27をVMC260L+ASI1600MC-COOLで撮影したデータのうち
 ゲイン400+露光15秒
 のものと比較をするために、ゲインと露光時間の補正を加えてみます。

 ASI1600MC-COOLの場合、ユニティゲインを139
 撮影ゲインをGとすると
 光電子1個に対するカウント数(出力)は 
 10^((G-139)/200) で表されます。


⑦16bitFITSへの変換過程を考慮すると
 ASI1600MC-COOLは12bitのADコンバータを搭載していますが、実際にFITSデータを出力する際には、これを水増し(間に隙間を入れて)16bitデータにしていることは、以前検証しました。


 すなわち、保存されたデータの輝度は実際のカウント数の16倍( 2^16 / 2^12  )になっています。

これらを全て考慮すると、
VMC260L(レデューサ付)+ASI1600MC-COOLでM27亜鈴状星雲をゲイン400+15秒露光した場合には、
1ピクセル当たり平均2030カウントの輝度データが得られる計算になります。

 
★M27の実写データと比較してみる

実際にVMC260L(レデューサ付)+ASI1600MC-COOLでM27亜鈴状星雲をゲイン400+15秒露光した1枚画像
f0346040_02323220.jpg
を元に、M27が写っている領域の平均輝度データを拾ってみました。

・・・むう。これは緊張しますねぇ。
そもそも、大気による減光、フィルタによる減光、その他諸々を一切考慮に入れていないわけです。
また、ダーク減算は行っていますが、ベイヤー素子の現像処理で「なにか変な」事が起こっている可能性もあります。

ここは、オーダー(数値の桁数)が合えば大成功、としましょう。

・・・・で、G画素(Vバンドのため)のみの平均輝度データを簡易測定してみた結果




・・・ででん!


☆M27が写っている領域:平均7200
☆背景領域:平均4300
☆エクセス(背景を除いたシグナル)は
 平均2900

おお!

『考察ごっこ』で試算した2030に
めっちゃ近い
じゃないですか!!

え?光がロスしているハズの実写の方が理論値よりも値が大きいのは変・・・ですか?

・・・ええと、そもそもV等級のバンドパスとしてASI1600MC-COOLのGフィルタの半値幅を用いたのですが、実際の分光特性では、結構「裾野が」広がってるのでその影響と、市街地で撮影した画像なので光害が加算されている影響と、処理しきれなかった分のノイズが乗っていることなどを考慮すると、オーダーレベルでの一致は大満足、です。はい。

・・・・ああ、面白かった♪
これで、「ショットノイズの正体」に少し迫れたような気がします。

以上、完全に「自分への備忘録」兼「自己満足」のためだけの記事でした。すみません。


★★★★以下(いつか)続きます★★★


by supernova1987a | 2017-02-21 02:50 | 機材 | Comments(19)

少しだけ現実逃避して夢想

★今は本業が忙しくて・・・

まあ、職業柄この時期は毎年そうなんですが、
身動き取れません(涙)。

・・・で、しばらくは実際に撮影できそうにもないのですが・・・

★次の一手に向けて・・・

小物を色々とポチってしまってたヤツが、届いていました。
現実逃避がてら、開封してみることに♪

『小物』とは何かというと・・・

・・・ででん!
f0346040_02510487.jpg
ああ、魅惑的な光を放つ色んなフィルター群♪
・・・でも
「あ、結局、あぷらなーともナローバンドに走っちゃうんかいっ」
とか思わせておいて、ちと違うんですね。


★フィルターその①
f0346040_02530717.jpg
ZWO純正の(ASI1600MMに最適化されているという触れ込みの)RGBセットです。
そのセット内容は、
 ☆UV/IRカットフィルタ
 ☆Rフィルタ
 ☆Gフィルタ
 ☆Bフィルタ
というわけで、モノクロ冷却CMOSカメラASI1600MM-Coolにコレを使うと、撮影時にジャマになる赤外線と紫外線をカットしたり、RGB分解撮影したりできる。


★フィルターその②
f0346040_02570496.jpg
ZWO純正のIRカットフィルタです。
こちらはMMの方ではなくMCの方に使う予定。
ASI1600MC-COOLは発売当初のアナウンスと異なりIRカットフィルタではなくARフィルタ装着仕様だったので、LPS-P2などの光害カットフィルタを使わない月面撮影や惑星撮影に使おうとすると、どうしても赤外線の影響を受けてしまいます。・・・で、その影響を排除しようというわけですね。


★フィルターその③

f0346040_03012410.jpg
オプトロンのHαナローバンドフィルタです。
・・・高いので、あれほど「手を出さない」宣言していたのに、とうとうポチってしまいました。

ちなみに、(Hα線を中心としてどの程度の幅の波長を透過するかを示す)半値幅が12nmの製品なので、ナローバンドフィルタの中では相当に安価な部類に属します。

本来ならば、コイツに加えてOⅢフィルタとかSⅡフィルタとかHβフィルタとかを組み合わせてギンギラギンの星雲を撮るのが筋でしょうが、当面は「自然な描写」を狙うのを目標として、ASI1600MMのL画像をHαで撮像して、星雲のコントラストを上げるという算段。


ああ、早く実写で試してみたいものですが、
本業が忙しい今は、魅惑的なフィルターを机の上に広げて眺めるだけでも幸せ・・・・。


by supernova1987a | 2017-01-24 06:08 | 機材 | Comments(4)

ASI1600MC-COOLの謎⑩.

★昼間は良い天気でした・・・が

夕方から突然薄雲が広がってしまって、本日の「ASI1600MM-COOLデビュー戦」は延期となりました。
ここまでタイミングが悪いと、もはやイジメとしか・・・・。ううう(涙)。

★というわけで、勘を取り戻すために

過去のMCで撮影したデータを色々と画像処理してリハビリしているのですが、ふとその途中で「のっぴきならぬ」事に気づきました。

ちなみに、「ノータッチガイドによる短時間露光+多数枚コンポジット」は私が最も得意とする「手抜き撮影法」ですが、その際に重要なのは、コンポジット時に「加算平均」ではなく「加算」を用いることです。(アストロアーツの公式コメントでは加算平均でも良いそうですが、これはステライメージが特殊なだけでしょうね)
たとえば15秒露光の元データが著しく露光アンダーである場合、暗い部分は階調が破綻しているので普通はいくらコンポジットしても「写ってないものはあぶり出せない」ハズです。ところが、加算コンポジットの場合は値をどんどん加算していきますので、言ってみれば単なるコンポジットというよりはむしろ、露光を何段階かに分けて行ったものを最後に合算するという行程を行っている訳で、フィルム時代の多重露光に相当すると把握しています。

実際の処理はこんな感じですね
f0346040_20063068.jpg
 左:15秒露光元データ 中央:40枚加算コンポジット後 右:さらにレベル調整

実は、加算コンポジットの場合は注意点があります。
左の元画像を加算コンポジットした段階(中央)で画像が「真っ白け」になりますので、一瞬「げ、サチった!!」と早合点してしまいがちなのですが、実はサチって「いない」のです。ステライメージは96ビットの画像処理空間を有しているため、いくら足し算しても事実上飽和しません。そこで、輝度グラフを見ながら適切なレベル調整をしたりデジタル現像処理する等によって、右のように良い感じの画像が得られます。また、単純に加算するだけですから、多段階露光した場合でも一気に処理して大丈夫ですし、手動でコンポジットする場合のように、「2枚目は50:50、3枚目は66.6:33.3、4枚目は75:25・・・・」などと加重平均の比率を計算しながらチマチマと処理する必要性も、いわゆる「トーナメント方式」で多段階に処理する必要性も皆無です。
ステライメージの最も優れた点を上げるとすれば、ひとえにこの広大な画像処理空間が使えることでしょうね♪

★「のっぴきならぬ」事とは・・・・

さて、いつものように加算コンポジットしている最中に、ノイズの出方などを見たくて「RAWのまま&位置合わせ無し」で加算処理した画像を拡大すると、「のっぴきならぬ」事に気づきました。まあ、下記の画像を見てやってくださいな。
f0346040_20211078.jpg
ASI1600MC-COOLでゲイン400・15秒露光の画像をベイヤーのまま40枚加算コンポジットして400%に拡大したものです。

な、なんだこの黒いポツポツは?!

40枚も単純加算しているんですから、普通は画面のどこをとっても一見サチったように真っ白けになるはずです。・・・・が、この黒いポツポツは40枚加算しても「一向に明るくならない」ということになりますね。

ああ、これって・・・

デジタル一眼レフなどではメーカーや機種によって「ピクセルマッピング」機能が実装されていたり、サービスセンターで「ピクセルマッピングサービス」をしてくれる場合があります。例えば、ニコンの場合、ニコン1シリーズだけには「ピクセルマッピング機能」があります。ここでいうピクセルマッピングとはいわゆるキャリブレーションの一種でして、永続的に出る輝点(本来の意味のホットピクセル)や永遠に黒いままの点(本来の意味のクールピクセル)に対してその該当ピクセルを「殺す」処理を指します。ただしその処理過程はブラックボックス化されているので、なんだか怖くて私は手持ちのニコン1シリーズ(ニコワン大好きで4台も持っていたりする)に対しても一切「ピクセルマッピング機能」を実行したことが無いのですが、どうやらASI1600MC-COOLに見られる黒いポツポツはクールピクセル(デッドピクセル)である可能性が浮上してきました。

だって、ランダムノイズなら、40枚も重ねて消えないハズが無いですからねぇ。(ちなみに、上記画像はダーク引きをする前の『素』のベイヤーデータを加算したものですので、ダークの引きすぎではありません。)

★CCDと比べてCMOSには経年変化のウワサもあって・・・

一説によると、CMOSセンサーの場合、宇宙線被爆などによる破壊と経年劣化などにより欠陥ピクセルが増えていくという「恐ろしいウワサ」も聞きますので、別日程の画像でも同じようなクールピクセルが見られるか試してみました。

f0346040_20365404.jpg
 ※左は8/13に撮影した15秒露光×40コマの加算 右は8/31に撮影した15秒露光×40コマの加算

上記画像は、それぞれ別日に撮影した画像を600%に拡大したものですが、ぱっと見て黒いポツポツの位置は一致していないように見えます。
ところが、よーく見てみると・・・・

f0346040_20392107.jpg
赤丸で印を入れたところなど、別日程でしかも別対象を写したにも関わらず、完全に一致するポツポツが多数見られることが分かりました。

・・・という訳で

「ASI1600MC-COOLには、元々デッドピクセルが存在し、メーカー側では特にピクセルマッピングは施されていない」
可能性が浮上してきました。


★ちなみにデッドピクセルが存在すると・・・

MCはベイヤー型のカラー撮像素子ですので、1つのピクセルが死んでいることは、輝度情報のみならず「その色情報が失われる」ことにつながります。

たとえば、上記の画像をそのまま現像(デモザイク)してしまうと

f0346040_20462417.jpg
 左:ベイヤーデータのまま 右:デモザイク(ディベイヤー)処理後

死んだピクセルの色に対する補色(Rが死ぬとシアン、Gが死ぬとマゼンタ、Bが死ぬとイエロー)が生じた上に、デモザイク補完処理によってその影響が周辺のピクセルに波及します。

これまで、いわゆる「縮緬ノイズ」↓
の原因は「ダーク除去の過不足」と思い込んでいましたが、そもそもデッドピクセルが効いてきている可能性が出てきましたね。

え?「どのピクセルが死んでいるのかは数値化できるのか?」ですか?
ええと、先日来やっているDelphi遊びでプログラミングした「なんちゃってFITS画像解析ソフト」↓

には、容易に実装可能でして、その気になればあとからピクセルマッピングできるのですが、いかんせん処理速度が遅すぎて実用化は遙か遠い未来です(泣)。

※ステライメージの「ホット・クールピクセル除去」フィルタである程度は緩和できると思いますよ。念のため。



by supernova1987a | 2016-12-19 20:54 | 機材 | Comments(10)

実戦投入の前にもう一度おさらい

★間もなく・・・

後先考えずにポチってしまったモノクロ冷却CMOSカメラASI1600MM-COOLですが、
f0346040_01455232.jpg
次の新月期こそは実戦投入したいところ。
今のところ、
「VMC260Lにフリップミラー付けてMMとMCを切り替えてLRGB合成する」作戦と
f0346040_02304789.jpg
「BORG60EDをツインで運用してMMとMCを同時露光する」作戦を
f0346040_15061166.jpg
それぞれ想定しているのですが
その前に、悶々としていることをもう一度おさらいしてみます。


★「短時間&多数枚」VS「長時間&少数枚」

いつまで悩んでいるのかと言われそうですが、やっぱり悩みますねぇ。

ASI1600MCの運用においては、一応これまでの少ない経験で

①高輝度部分がサチって(飽和して)しまうと救いようがない
②短時間露光でも多数枚コンポジットすれば長時間露光に匹敵する

と把握しているのですが、念のため、8月に撮影したM33のデータを用いておさらいしてみます。


<撮像データA群>
VMC260L+レデューサ+LPS-P2フィルタ+ASI1600MC-COOL
ゲイン400+60秒露光
f0346040_02314810.jpg

<撮像データB群>
VMC260L+レデューサ+LPS-P2フィルタ+ASI1600MC-COOL
ゲイン400+15秒露光
f0346040_02321110.jpg

それぞれの「素の」撮像データでは圧倒的に60秒露光が良く写っていますが、次の加工で比較してみます。

<撮像データA群>
60秒露光×10コマの加算コンポジット
デジタル現像+レベル調整+Lab色彩調整

<撮像データB群>
15秒露光×40コマの加算コンポジット
デジタル現像+レベル調整+Lab色彩調整

f0346040_02354828.jpg
  ※左:60秒露光×10コマコンポ 右:15秒露光×40コマコンポ

ううむ。やっぱり、ほとんど差がないですねぇ。
厳密には、15秒の方にシマシマノイズが残っています。
しかし、15秒露光の方がガイドエラーによる星像の変形が少ないため、若干シャープです。

・・・・ま、実際の撮影時には露出を色々と変えると思いますが、当面の方向性としては「短時間露光+多数枚コンポジット」で正解かな?と・・・・。

あとは・・・
ゲインを変えたときの挙動を慎重に検証する必要がありますね。
果たして、理論通り「ゲイン139が最強」なのかどうか?



PS
久しぶりにM33のモクモクと格闘しました。以前の検証に間違いがないか不安だったもので。
それにしても、ステライメージでのコンポジットは7ではなくて6の方が圧倒的に高速で楽ですね(これ、なんとかならないですかねぇ、アストロアーツさん?)

by supernova1987a | 2016-12-14 23:22 | 天体写真 | Comments(10)

MCでMMに迫る試み

★先日の比較で・・・

冷却CMOSカメラASI1600MC-COOLとASI1600MM-COOLの解像度比較を行いましたが

f0346040_15393173.jpg
  ※左:MM 右:MC

圧倒的にモノクロ版のMMの方がカラー版のMCよりも解像度が優れていることが分かりました。
ただし、2×2ビニングして400万画素運用をする際には、カラー版MCでもRAW画像を直接ソフトウェアビニングしてL画像とすることにより、原理的にベイヤー構造のデモザイクに起因するボケを回避できるはずなので、実験してみることに・・・・。

★ベイヤー現像の有無による差

少々分かりにくいかもしれませんが、次の2系統の処理を比較してみます。

<処理A>
 ①MCのRAW画像(FITS)をステライメージでデモザイク処理(ディベイヤー処理)してカラー化
 ②カラー化した画像をモノクロ化
 ③2×2ソフトウェアビニング

<処理B>
 ①MCのRAW画像(FITS)をステライメージでRAWのまま2×2ソフトウェアビニング

処理Aでは一度ベイヤー構造のデモザイク処理による補完が入りますので、ここでボケが生じますが、処理Bでは隣接4素子の輝度データを直接加算しますので原理的にボケが生じることが無いはずです。むろん、どちらも1600万画素から400万画素へ画素数がダウンする点は同じです。

さて、目論み通り、解像感に差は現れるでしょうか??

f0346040_23011779.jpg
 ※左:処理A(通常) 右:処理B(補完無し)

うーん。微妙ですね。
ただ、詳細に見ると、若干ですが右の方が解像感が高いように見えます。


★MMのビニング画像と比較

次に、モノクロ版MMの画像を2×2ソフトウェアビニングしたものと上記の処理Bとを比較してみましょう。
果たして、MCはMMに迫れているでしょうか??

f0346040_23044404.jpg
 ※左:MMのビニング処理画像 右:MCの処理B

ああ、かなり肉薄してますね。
ただし、正確に言うとMCが迫ったというよりも、1600万画素のままでも十分にシャープなMMをあえて400万画素にすることによってMCの解像度に『降りてきた』という表現が適切かもしれませんが・・・・。


★画像復元で肉薄させる試み

ステライメージには強力な画像処理機能が満載な訳ですが、(月面など)比較的シャープな画像に対してはウェーブレット処理よりも最大エントロピー法の方が好みです。そこで、今度はカラー版MCの画像に最大エントロピー法を2段階で掛け、モノクロ版MMの解像度に肉薄させてみます。

処理過程は次の通りです。

 ①MCのRAW画像(FITS)をステライメージでデモザイク処理(ディベイヤー処理)してカラー化
 ②カラー化した画像をモノクロ化
 ③ステライメージで第1段階の最大エントロピー法を実行
  (想定PSF半径1.2 ノイズ10 再帰計算回数5)
 ④ステライメージで第2段階の最大エントロピー法を実行
  (想定PSF半径0.6 ノイズ10 再帰計算回数5)
 ⑤ステライメージでアンシャープマスク処理

これをモノクロ版MMの素画像と比較してみます。

f0346040_23271518.jpg
       ※左:MMの素画像 右:MCに画像復元処理

強力な画像復元処理により、かなりMMの解像度に迫ったことが分かります。
いつもながら、こういった素材に対する最大エントロピー処理ってスゴイですねぇ。魔法みたい♪

★でも、結局・・・・

では、モノクロ版MMの方にも同様の画像処理を加えてみるとどうなるでしょうか。
やってみます。ただし元々のボケが少ないのでPSFはMCの半分で演算。

f0346040_00481102.jpg

       ※左:MMのに画像復元処理 右:MCに画像復元処理

ああ、MMの解像度がさらに上がった分、また引き離されてしまいました。当然と言えば当然ですね。

★というわけで・・・・

シーイングの影響をあまり受けない画像の場合、

①最終的に400万画素にビニング加工することを前提に運用するなら、MMとMCの解像度上の差異はほとんど無い。
②1600万画素をフルに生かすことを前提に運用するなら、画像処理してもその差は埋まらない。

といったところでしょうか。それにしても、MMは最大エントロピー画像復元が「恐ろしいほど」上手くキマりますねぇ。改めてビックリ。

・・・・・で、肝心の天体は、今回の休みでも曇天のため撮影できず、満月期が迫ってきました。
あ~あ。ストレスばかりが積もりますねぇ。


by supernova1987a | 2016-12-13 02:44 | 機材 | Comments(8)


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