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あぷらなーとの写真ブログ
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M17を再処理してみる

★ここまでの試行で2つの武器を手に入れたので

半年がかりで、下記2点の『怪しげな』ワザを手に入れました

 ①LRGBを同時露光する『ビームスプリッタシステム』

 ②ダークやフラットで消せない黒点を軽減する『クールファイル加算法』

もちろん、はじめから『王道』に進めば変な回り道をせずに済みそうですが、折角なので4月24日に撮影していたM17オメガ星雲の画像処理をやり直してみることに。

今回の画像処理目標は「滑らか」です♪
極力「変な処理」はしないように心がけてみます。



★撮影時のデータは・・・

望遠鏡:VMC260L+ACクローズアップレンズNo3
フィルタ:LPS-P2
赤道儀:K-ASTEC改造Newアトラクス
ガイド:ノータッチガイド
カメラ:ASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLを
    ビームスプリッタで同時露光
ゲイン:MM・MCともに400
撮像温度:-15度に冷却
露光:MM・MCともに15秒
撮像枚数:MM・MCともに200コマ


★撮って出しの画像は・・・
f0346040_08153133.jpg
f0346040_08154069.jpg
こんな感じの画像ですね。市街地でたったの15秒露光の割には良く写ってます。
前回処理したときは、
 MCのカラー画像をモノクロ化してL画像に加算したり
 シルキーピクスのノイズ整列を多用したり
 レジスタックスのウエーブレットを使ったり
ありとあらゆる『秘策』をフル動員したのですが
今回はシンプルに行きます。



★大まかな処理フロー

(1)MMとMCそれぞれについて撮影時と同等条件で撮像したダーク画像を
   各200コマコンポジットしてダークファイル作成
(2)ダークファイルを減算処理
(3)ステライメージのホット除去フィルタを実行
(4)位置合わせ無しで200枚コンポジットしたものと、
   さらにステライメージのクール除去フィルタを作用させたものとの
   差を取って『クールファイル』作製
(5)(3)の画像それぞれに『クールファイル』を加算
(6)MM,MCそれぞれ200コマを「位置合わせあり」で加算コンポジット
   した後2×2ソフトウェアビニングを掛けてL画像とRGB画像にする
(7)ステライメージでデジタル現像+周辺減光補正
(8)MMのL画像にNikCollectionのシルバーエフェクトをかけて調整
(9)L+RGB合成処理 + Lab色彩調整
(11)NikCollectionのノイズリダクションを軽めに実行
(12)シルキーピクスでテイスト調整
(13)その他微調整

以上、合計400コマの画像処理にかかった所要時間は約2時間ほどでした。
ステライメージ6.5のコンポジットは「爆速」なので、慣れれば全行程を1時間以内に納められそう。



★今回の仕上がり写真
f0346040_08292979.jpg
あまり時間を掛けなかった割には滑らかに仕上がりました。
 ※ちょっとマゼンタに寄りすぎたなぁ・・・
 ※ストラクチャに関してはもっとドキツイ処理でも良かったかも?
 ※フラット無しなので周辺部はトリミングしてカット

ちなみに、少し荒れ気味になって良いなら、レジスタックスに少し掛けて・・・・
f0346040_10565363.jpg
こういうのもアリかなあ?


さて、あとはVMC260L用のフラット補正に着手しなきゃ。
・・・・たぶん、まもなく5000円程度の『秘密兵器』が届く予定♪


by supernova1987a | 2017-09-14 08:40 | 天体写真 | Comments(6)

少しづつ再処理していくかぁ・・・・

★ASI1600MMのクールピクセル回避法で・・・・

『クールファイル加算法』で『縮緬ノイズ』が回避されることが分かったので、
過去の撮像データの内クールピクセルの影響を受けていそうなものを再処理してみることに。

★手始めに干潟星雲を・・・

元々撮影したのは5月1日でして、VMC260L+ビームスプリッタで、MMとMCの同時露光したもの。
ただし、途中でモヤが掛かってしまって(若干の結露も?)ボケボケの像に(泣)。かといってシャープ処理やウェーブレットするとノイズバリバリだったのでお蔵入りに・・・・という困った素材です。

ちなみに元画像は、こんな感じです。
f0346040_10311370.jpg
 ※VMC260L+AC3クローズアップレンズ+ビームスプリッタ+LPS-D1フィルタ
  ASI1600MMーCOOL ゲイン400・30秒露光 K-ASTEC改造Newアトラクス+ミニBORG50+PHD2によるオートガイド

VMC260Lのフラット撮影はまだ実施していないので、とりあえずダークファイルを引いて、例の『クールファイル処理』を実施したものを60枚コンポジット
MCの方はあまりクールピクセルの影響を受けないので普通にホット・クール除去フィルタ処理を実施して60枚コンポジット
MMの方にレジスタックスのウェーブレットとNikCollectionのHDRを軽く掛けてLRGB合成してみます。

f0346040_02002206.jpg
少し眠い画像ですが、なんとかウネウネがよく見える画像に生まれ変わりました。
残念ながら今年の夏はM8が撮れなかったので、また来年再チャレンジします。

・・・それにしてもM8やM42のような明るい対象はお気軽に写せるので楽しいですね。



by supernova1987a | 2017-09-12 23:44 | 天体写真 | Comments(10)

クールピクセルを軽減するアイディア

★先日来のエントリーで・・・・

ASI1600MM-COOL(他のモノクロカメラも?)で多発する『縮緬ノイズ』について
 ①主要因はホットピクセルではなくクールピクセル
 ②クールピクセルはダーク減算では消えない(当たり前)
 ③クールピクセルはフラット除算でも消えない(ビックリ!)
 ④短時間露光の場合、クール除去フィルタでも消えない
『ようだ』ということが分かりました。


また、クールピクセルとその周辺のピクセルの輝度データを解析した結果
 ①クールピクセルと正常ピクセルの輝度差は一定では無い
  ※撮影対象の明るさによって非線形変化する
  →減算処理できない理由
 ②クールピクセルの正常ピクセルに対する比感度(輝度比)は一定では無い
  ※撮影対象の明るさによって非線形変化する
  →除算処理できない理由
『らしい』ことが分かりました。


最後の頼みはステライメージなどの「クールピクセル除去」系のフィルタなのですが、プログラムが『コイツがクールピクセルだ』と認識するためにはある程度の露光量が必要なようです。したがって、あぷらなーとが得意とする「短時間露光+多数枚コンポ」では、周辺ピクセルのショットノイズに埋もれてしまいクールピクセルが正常ピクセルから弁別できていないように見えます。


・・・では、どうする??


★ふと閃きました♪

ちなみに対処法のアイディアは、下記のジレンマから生まれました。

多数枚コンポジット+ノータッチガイドの場合
 ①元画像にクール除去フィルタを掛けてもあまり効かない
 ②位置合わせありコンポジット後だと全くフィルタが効かない
 ③位置合わせ無しコンポジットだとフィルタが効く(でも、これだと被写体が流れまくり・・・)
というわけで堂々巡りになるのですが、ふと閃きました。

「位置合わせ無しコンポジット」したデータからクールピクセル情報を抜き取り
『クールファイル』を作製すれば良いのでは?!




★早速やってみます

元データにダークファイルとフラットファイルの補正を加えた後、下記の行程を実行してみます。

<行程①>
位置合わせ無しコンポジットした画像を複製して2枚にします。
その一方にステライメージのクールピクセル除去フィルタを掛けます(閾値はゼロ)
f0346040_19132743.jpg
 ※左:ダークフラット補正のみ60コマコンポジット
  右:さらにクール除去フィルタ適用(しきい値ゼロ)


<行程②>
クール除去フィルタを掛けた画像から、フィルタを掛ける前の画像を減算処理します。
f0346040_19130623.jpg
 ※左:ダークフラット補正のみ60コマコンポジット
  右:クール除去フィルタ適用画像から左の画像を減算したもの

この行程で、クールピクセルの位置と『加算すべき輝度』情報が入ったファイルが出来上がりました。これを『クールファイル』と呼ぶことにします
ここで重要なのは、フラットファイルやダークファイルと異なり、実際の撮影データから『クールファイル』が抽出されたことです。そのため前回のエントリーで困窮した比感度の非線形変化の影響を避けられます
別な表現をすると、1枚画像では効かないクール除去フィルタ機能に『クールピクセルの場所を教える』ファイルとも解釈できます。
また、「位置合わせ無しコンポジット画像」に適用したクール除去フィルタの効果を元画像に分散させるファイルとも言えますね。


<行程③>
作製した『クールファイル』を元画像(1コマデータ各々)に単純加算処理します。
(加算平均ではなく、加算です)
f0346040_19232213.jpg
 ※左:ダークフラット補正のみの元画像1コマの例
  右:左画像に『クールファイル』を加算コンポジットしたもの

一見なにも変わってないように見えますが、それだけショットノイズが激しいと言うことです。気にせず先に進めます。

(これまでやっていた「元画像にクール除去フィルタ」を掛けても効かない理由は、上記の画像を見れば想像が付きます。こんなザラザラの中からクールピクセルを見分けろと言われても無理ですよねぇ。たぶん、余計なものが消えちゃってたんだと思います。よく考えれば短時間露光で生じるザラザラは空間ノイズではなく時間ノイズなので、真っ黒に見えても貴重なデータがほとんどで、これを消しちゃうと解像度が大幅にダウンしちゃうハズです。)


<行程④>
『クールファイル』を加算した元画像を加算平均コンポジット(位置合わせ有り)していきます。
f0346040_19260037.jpg
 ※左:『クールファイル』を加算コンポジットした1コマ画像
  右:60コマ加算平均コンポジットしたもの

おしまい♪


★効果のほどをチェックしてみましょう

さて、実際に効果があったのか(クールピクセルの除去に成功して『縮緬ノイズが消えたのか』)をチェックしてみましょう。

行きますよ・・・・・・
左が「ダークフラット補正のみ」右が「『クールファイル』加算処理後」です。



・・・ででん!

f0346040_19313360.jpg
左の画像(ダーク・フラット補正のみ)ではウジャウジャと存在する『縮緬ノイズ』が右の画像では、(ほぼ)完璧に消失しました!!

めでたい♪


★なぜ『縮緬ノイズ』が消えたのか?

今回の手法が有効に効いたかどうかは、コンポジット時にあえて「位置合わせをせず」に比較すると分かりやすくなります。

f0346040_19370551.jpg
 左:ダークフラット補正のみの画像を60コマコンポジット
 中:それにくわえてクール除去フィルタ処理した画像を60コマコンポジット
 右:今回の新手法で処理した画像を60コマコンポジット

上の画像を比較すると明らかなように、やはりコンポジット前の画像にクール除去フィルタは効きにくいようです。しきい値ゼロでもクールピクセルは部分的にしか軽減されていません。それに対して今回の手法では、ほぼ完璧にクールピクセルが消えた上に、変なニジミも生じていないことが分かります。

では、位置合わせ有りのコンポジット画像で比較してみます。
f0346040_19422576.jpg
 左:ダークフラット補正のみの画像を60コマコンポジット
 中:それに加えてクール除去フィルタ処理した画像を60コマコンポジット
 右:今回の新手法で処理した画像を60コマコンポジット

位置合わせ無しの時ほどは差が分かりにくいですが、『縮緬ノイズ』が効果的に消えた上に、画像の鮮明度が失われていないことが分かると思います。



★★★ご注意★★★

①今回の結果は、下記のようなごく限られた条件の下でのみ有用だと思います。
  ※短時間露光の多数枚コンポジットをする
  ※オートガイドはしない
  ※ある程度正確に極軸が合ってる
②そもそもノータッチガイドなどしなければ、クール除去フィルタで一発解消かも
③きちんとディザリングすれば(クールピクセルの位置が重複しなければ)シグマクリップで一発解消かも
④輝星の周囲のうちガイドズレ方向にはクールピクセルが残る可能性があります
 ※サチってしまうとクールピクセルの情報が抜き取れませんので
⑤『クールファイル』という用語があるわけではなく、単にあぷらなーとの造語です。


by supernova1987a | 2017-09-10 20:01 | 天体写真 | Comments(12)

クールピクセルの挙動を調べてみる

★前回のエントリーで・・・


モノクロ冷却CMOSカメラASI1600MM-COOLで発生する『縮緬ノイズ』について

 ①主要因はクールピクセル『らしい』
 ②クールピクセルは「ダーク減算」で消せない『らしい』
 ③クールピクセルは「フラット補正」でも消せない『らしい』

ということに気づいたのですが

少しだけ、クールピクセルの挙動について『検証ごっこ』してみました。


★『検証ごっこ』の試行

そのうちDelphiかVBあたりで解析用のコードを書いて調べてみようとは思いますが、とりあえず「調べる価値があるか」(面白そうか)を「手動で」チェック♪

ステライメージで複数の(コンポジット済みの)画像を読み取り、同じ座標のクールピクセルとその周辺(5×5)の輝度にどのような相関があるのかを調べてみました。

f0346040_10502719.jpg
今回の調査は、ステライメージを使って、ピクセル情報を読み取る方法で行きます。
比較対象は
 ①フラットフレーム120枚コンポ
 ②M31付近A60枚コンポ
 ③M31付近B60枚コンポ
 ④アイリス星雲付近60枚コンポ
の4枚です。それぞれ加算平均したもので、ダークやフラットの補正は無しです。

すると・・・

f0346040_10545689.jpg
こんな感じになりました。
 クール輝度はクールピクセルそのものの値
 平均輝度はクールピクセルを含む5×5ピクセルの領域の内、クールピクセルを除いた24ピクセルの輝度平均値
 差分は平均輝度からクール輝度を引いた差
 比感度はクール輝度を平均輝度で割ったもの
です。


★ダーク減算で補正できない理由(らしきもの)

まあ、ダーク画像にはクールピクセルは写りにくいので、そもそもダメですが
少なくとも、「減算処理」で消せない理由は分かりました。

f0346040_11003107.jpg
このように、周辺輝度が変わってしまうと、クールピクセルの輝度が非線形に変わっていることが分かりました。
(このグラフが真っ直ぐにならないと原理的に減算では消せません)
とにかく、減算処理では無理っぽいですね。



★フラット除算で補正できない理由(らしきもの)

フラット補正は、画面全体の輝度が1になるようにノーマライズ(規格化)して、その値でライトフレームを除算するロジックだと思われますが、この場合、撮影画像に対するクールピクセルの比感度が一定で無いと補正できません。

f0346040_11042125.jpg
ところが、上のグラフのように、比感度も周辺輝度値に対して非線形変化しちゃってるのですねぇ。
(このグラフが水平にならないと原理的に除算では消せません)
これでは、除算処理でも補正は無理っぽそうですね(泣)。


とりあえず、ダークやフラット補正をしてもクールピクセルが残ってしまう『からくり』は分かってきました。

・・・・いよいよ、夢の中で閃いた『妙案』をさらに発展させた『秘策』の出番ですかねぇ!
これが失敗したら、短時間露光+多数枚コンポジットは封印しなきゃ(と言いつつ失敗したりして・・・)

by supernova1987a | 2017-09-09 01:41 | 天体写真 | Comments(4)

モノクロ冷却CMOSカメラは難敵?

★★★ご注意★★★
今回は、自分への覚え書きの意味合いが強いエントリーなので、「ヘビのように長い」です。

 
★今回のお休みも曇ったので・・・

 お恥ずかしながら、ウン十年も天文やっているくせに、一度も「フラット撮影」なるものに手を出していなかったという『汚点』を解消すべく、フラット撮影に初挑戦してみました。
 といっても「フラット初心者」ですから高尚なことには手を出さず、(これじゃダメ『らしい』ことは承知の上で)PCのモニターに白色を表示させたものをティッシュペーパー付きのBORG60EDで撮影するという「いい加減な」ヤツです。

 ・・・でも、その前に、気になっていることが・・・・



★モノクロ冷却CMOSカメラで気になること

これまでデジカメやASI1600MC-COOLで撮影していたときにはあまり気にならなかったのに、MMを使うようになってやたらと目立ってきた現象に『縮緬ノイズ』があります。

『縮緬ノイズ』とは、例えばこんなヤツですね。
f0346040_03075542.jpg
強めの画像処理で暗部を持ち上げようとしたときに必ず現れる筋状のノイズ。上の画像なら右上から左下にかけて無数の黒っぽい筋が写っています。

この正体を明らかにするために、ダークやフラットを補正する前の素のデータを「位置合わせ無し」で加算平均コンポジットしてみます。

f0346040_03121555.jpg
 ※BORG60ED+RD+ASI1600MM-COOL+LPS-D1 ノータッチガイド マイナス10度・ゲイン300・30秒露光×60コマコンポジット 

元画像は同じものですが、左は「位置合わせ無し」で右が「位置合わせ有り」です。
左右の画像を見比べると分かるように、いわゆる「ホットピクセル」があると白い筋に、いわゆる「クールピクセル」があると黒い筋になるようです。
そしてシマシマの方向は、ガイドエラーの方向に一致します。要するに『対象』(天体)を追いかけた結果『背景』(ノイズ)が流れて写ったのが『縮緬ノイズ』の正体というわけです。



★ちなみにカラーCMOSの場合は

 この「ノイズ」のうち、現在頭を抱えているのが『黒い方』です。
ちなみに、ASI1600MC-COOLなどカラーカメラの場合はそれほど致命的ではありません。

f0346040_03200680.jpg
 ※左:MMの画像 右:MCの画像 ともにダークやフラット補正なし+位置合わせ無し
どちらも マイナス10度・ゲイン300・30秒露光×60コマコンポジット

上の画像のとおり、カラーカメラの場合、クールピクセルよりも目立つのはホットピクセルです。この要因を推測してみると

 ①たまたま私のASI1600MMが『外れ個体』で欠陥ピクセルまみれ
 ②カラーフィルター有無により生じるベイヤー素子と非ベイヤー素子の差
 ③画像生成ロジックの違い(デモザイクの有無)による差

といったところでしょうか。

このうち、①は『考えたくない』ので除外して(笑)、今のところ②と③の効果が大きいのではないかと解釈しています。
たとえば、モノクロ素子の場合、1ピクセルが無信号だった場合、明らかな「黒点」として認識されますが、ベイヤー素子の場合は、GRBGのうちたまたま1色が欠けただけに過ぎません。また、各ピクセルの輝度がそのまま現像されるのではなく、近隣素子との補完処理で明るさが決まりますので、輝度の差というようりはむしろ色の差として現れやすいのではないかという仮説です。(そのうち、シミュレーション計算してみますが・・・)



★白い筋を軽減するには

 輝点ノイズ(ホットピクセル)は、主にダークノイズと考えられますので、ダークを撮って後から補正すれば軽減できます。
先ほどの例なら、ダークを引くことによって、下記のように改善します。

   ○ダークの有無を比較(位置合わせ無し) 
f0346040_03380412.jpg
        ※左:ダーク減算なし 右:ダーク減算有り            
 
   ○ダークの有無を比較(位置合わせあり)
f0346040_03382754.jpg
       ※左:ダーク減算なし 右:ダーク減算有り

このように、真面目にダークファイルを引けば、白いノイズは軽減します。

ただし

当然ながら、これでは『縮緬ノイズ』は解消しません
黒い筋が残るからです。
それどころか、「ダークの過剰補正」による黒筋が増加するケース(上画像の画面下部)すら見られます。


★フラット画像を観察してみる

「クールピクセル」(黒点)が常に出ているのかどうかをチェックするために、初挑戦した簡易フラット画像(PCモニタ+ティッシュ)を超拡大して調べてみます。

f0346040_03500627.jpg
 左は今回M31を撮影した無補正の画像を位置合わせ無しで60コマコンポジットした画像です。右は後日撮影したフラット画像(ゲイン300・10msec×120コマ加算平均・シグマクリップあり)です。

それぞれ画面中心の座標を慎重に読み取りながら、1200%で切り出していますので、撮像素子の同じエリアを観察していることになります。これを見れば明らかなように「クールピクセルは恒常的に存在している」ことが分かりました。しかも、ものスゴイ数が・・・・です。


★・・・ということは!?

本来、周辺減光やゴミの影などを補正するのがフラット補正の主目的でしょうが、せっかくクールピクセルがフラット画像中に正確に再現できているのですから、これがフラット補正を行うことによって、どう寄与するか試してみました。

   ○フラットの有無を比較(位置合わせ無し)
f0346040_03570874.jpg
       ※左:フラット補正なし 右:フラット補正あり

   ○フラットの有無を比較(位置合わせ無し)
f0346040_04030035.jpg
       ※左:フラット補正なし 右:フラット補正あり

残念!

今回のケースでは、フラット補正は黒点の解消には無力なようです。
恐らくは(勘違いかも知れませんが)「引き算と割り算の違い」が原因と思われます。
ダーク引きの場合は「信号の上に乗ったノイズを引く」ために減算しているのに対して、フラット補正の場合は「減光などによる信号の出力低下を補う」ために除算(各ピクセルごとの露出倍数を掛けているイメージ)しているからと思われます。

したがって、黒い点の部分が「本来の明るさの何%に低下しているのか」が正確に分からないと除算しても無駄な訳で、もしもフラット補正によって黒点が消えるのだとしたら、フラットフレームの輝度レベルとライトフレームの輝度レベルが完全に一致した時だけでしょうね。(これ、解釈としてあってるのかなぁ??)

 今後、撮影時に同じ条件でフラットを撮影できたら、『検証ごっこ』してみます。いや、それ以前にステライメージの「フラット補正」のロジック(ソース)が分からないと、堂々巡りになる気がしますが・・・。


★ステライメージのクール除去

まあ、以前から使ってはいたものの、ここでステライメージのクールピクセル除去機能を使ってみることにします。
一般的なデジカメやカラー冷却CMOSの場合は、このクールピクセル除去機能はあまり必要性が無いとされていますが、黒点が盛大に発生するモノクロCMOSカメラの場合は重宝しますね。・・・あと、ダーク引きのしすぎで生じた黒点の除去にも使えます。


   ○オリジナル VS ダーク・フラット・クール除去 の比較(位置合わせ無し)
f0346040_04220926.jpg
       ※左:各種補正無し 右:ダーク・フラット・クール補正あり


   ○オリジナル VS ダーク・フラット・クール除去 の比較(位置合わせあり)
f0346040_04233127.jpg
       ※左:各種補正無し 右:ダーク・フラット・クール補正あり

位置合わせ無しの画像を比較すると分かりますが、ステライメージのクール除去を閾値0で適用しても、黒点は完全には消せませんね。

恐らくその要因は、(ガイドズレを含む多数枚画像はコンポジットする前にクール除去を実施する必要がありますが)元の1枚画像データにはクールピクセルの周辺にショットノイズに伴う輝度のバラツキが存在するため、ソフトがクールピクセルの位置を特定できない(黒点だと認識できない)ことにあると推測します。

それでも、位置合わせ有りの画像を比較すると分かるように、相当に『縮緬ノイズ』が軽減されていることは分かります。


★短時間露光+多数枚コンポの唯一の弱点??

 ・サチる心配が無い
 ・シーイングの影響を受けない
 ・オートガイドの必要が無い
 ・階調が豊富になる

などなどのメリットと「不精者に最適」という理由でこれまでこだわってきた「短時間露光+多数枚コンポジット」ですが、こと、クールピクセル除去に関しては、致命的に弱い可能性が浮上してきました。
「天体画像はあとからコンポジットすることによりシグナルを強めらる」のですが「クールピクセルは短時間露光によるショットノイズに埋もれる」のでソフトが位置を認識できずに放置されてしまうからです。(これはある程度ホットピクセルにも通じる弱点です。)

 これが、長時間露光の場合だとクール除去処理一発で消せそうに思えます。

降参!


★・・・・ともあれ

せっかく初挑戦したフラット画像は、本来の目的である「周辺減光の軽減」や「ゴミの影の除去」に対して、一定の成果を得ましたので、M31アンドロメダ銀河の画像をフラット補正ありで再処理してみました。

BORG60EDツインにASI1600MM-COOL+ASI1600MC-COOLで30秒のLRGB同時露光した画像の合計240コマコンポジットです。
フラットで消しきれない減光があったので、少しだけトリミングしてます。

f0346040_04460140.jpg
うむ。
なかなか良い感じです。


★★★今後の抱負★★★ 

 ①さらに良質なフラット画像を撮る方法を考えたい
 ②クールピクセルの位置を特定してピクセルマッピングしたい(コード書いちゃう?)
 ③ある程度の長時間露光も視野に入れなきゃ
 ④そろそろオートガイドも再開しよう
 ⑤鏡筒のタワミをなんとかしなきゃ
 ⑥放置したままのAPT・・・・
 ⑦死蔵しているオフアキ・・・
 ⑧一度も登場させてないナローバンドフィルタ・・・
 ⑨夢想中の「光害チョッパー装置」実現するのか??

・・・・それにしても、曇ったからといって、PCの前にへばりついて30時間以上画像処理してたら疲れちゃった・・・・ふう。

★★★追記★★★

寝ている間に夢の中で妙案(?)を思いつきました。
フラット画像をA
フラット画像にクール除去フィルタ処理したものをB
B-Aの減算処理したものをC
とすると、Cがクールピクセルのみを反転した画像になるので
ライトフレームにCを加算すれば・・・・・・。
あとで試してみます。

by supernova1987a | 2017-09-05 05:05 | 天体写真 | Comments(10)

ツインBORGでM31を撮る

★ビームスプリッタは大口径機用で・・・

ASI1600MM-COOLとMC-COOLを同時露光する「ビームスプリット装置」は、あくまで大口径機種用の便法として『開発ごっこ』したものです。
しかし、小口径の望遠鏡を使うのなら、なにもそんな『ややこしい装置』を持ち出さなくても、望遠鏡を2本用意してL画像とRGB画像を同時露光すれば良いわけです。光量も減りませんので露出時間も(ビームスプリッタの)半分で済むはずです。

一応、BORG60ED(絶版モデルですが、個人的に大好きな望遠鏡です)を2本揃えていたので、いつか「ツインBORG」としてLRGB同時露光を決行しようと画策しつつ、お仕事が忙しかったり天気が悪かったり「VML260L+ビームスプリッタ」の誘惑に負けたり(笑)して、ファーストライトが伸ばし伸ばしになってしまいました。



★GPVは『ダメダメ』表示だったけれど

8/27の夜は、GPV予報がずっと白~灰色でして「常に雲が流れている」残念な天気と思われましたが、いざ夜になってみると意外に雲が『薄く』て2~3等星くらいなら目視できるじゃないですか。

・・・こら、ニワトリに出撃せんとあかんでしょー!
所詮「テスト撮影」なので、少々の雲やモヤは気にしない気にしない



★今回のお題は・・・

「比較的高価な機材(BORG89ED+D810A)に、より小さな機材(BORG60ED+冷却CMOSカメラ)が肉薄できるかどうか」
です。
うーむ。これは面白そう♪

・・・というわけで、この日のために構想を温めてきたスペシャル装備でニワトリ出撃です。

f0346040_09535364.jpg
 K-ASTEC改造Newアトラクスにプレートを載せて、その上に
 BORG89ED×1本 + BORG60ED×2本を搭載します。

f0346040_09551900.jpg
・・・で、BORG89EDにはD810A、2本のBORG60EDにはASI1600MM-COOLとMC-COOLをそれぞれ装着
D810AはISO3200のRAWで30秒露光、ASI1600はゲイン300のRAWで30秒露光を繰り返す作戦です。

空の条件はよろしくないので、オートガイドは無し。ノータッチガイドでお気軽撮影です。



★モヤが光害で光ってる中、M31は写るのか?

BORG89ED+笠井フラットナー+D810Aの30秒露光×140枚コンポジットだと、こんな感じになりました。

f0346040_10011182.jpg
ひゃー。フラットは撮影していないので、すんごい周辺減光。
しかも背景の色が左右で異なるという悲惨な写真。(右の方が光害が強いのでしょうかね?)

f0346040_10031682.jpg
それでも、トリミングすれば、「そこそこ見られる」アンドロメダになりました♪



★BORG60ED+MCの一発撮りでは

BORG60ED+純正レデューサ+LPS-P2+ASI1600MC-COOLの組み合わせで、ゲイン300の30秒露光をするとこんな感じ。

f0346040_10061509.jpg
一応、アンドロメダの中心核だけが分かる程度ですね。

トーンをいじってみると・・・・

f0346040_10070890.jpg
ショットノイズまみれでザラザラですが、周辺部まで写っていることは分かります。
今回の『対決』のキモは、「焦点距離300mmのBORG89ED+フルサイズ一眼」に対して「焦点距離約300mmのBORG60ED+フォーサーズCMOS」を戦わせる所でして、ご覧の通り、ほぼ同じ画角になるのですね。当たり前ですが(笑)。



★MCの画像を120枚コンポジットしてみる

ASI1600MC-COOLのゲイン300+30秒の画像を120枚コンポジットして、トリミングしてみると・・・・。

f0346040_10112828.jpg
ウェーブレットやHDR等のような特殊な処理はせず、単にコンポジット+デジタル現像しただけですが、結構良く写りますね。
このコンディションで、これだけ写れば十分満足なのですが・・・・・・



★MMのL画像は強めに画像処理に耐えられそうだったので

ASI1600MM-COOLのゲイン300+30秒の画像を120枚コンポジットして、NikCollectionのHDRやらシルキーピクスのノイズ整列やらを施してみます。
すると・・・・

f0346040_10160349.jpg
おっ!
これ、なかなか良いんじゃないですか?!

では、いよいよ・・・・


★MM+MCでLRGB合成してみる

実はダークは先日撮影したときの使い回しですし、フラット補正も無し。追尾もノータッチガイド。
いい加減な撮影ですが、雲が薄くなるタイミングのみを狙うので、仕方ありません。

ともかく、MMの120枚コンポジットした画像をLに、MCの120枚コンポジットした画像をRGBにして、LRGB合成してみます。
ついでに、若干のマスク処理とルーシーリチャードソン画像復元と軽くHDRを加えて、シルキーピクスでテイストを調整します。

すると・・・


ででん!
f0346040_10221632.jpg

おお、とても良い感じです♪


えーと、たしか前回M31を撮影したのは・・・・・そうだ!
2009年のお盆に、R200SS+コマコレ+ニコンD700(無改造)で2分露光6枚コンポジットしたきり、8年間もご無沙汰!!

ちなみに2009年のM31がコチラ(満濃池に遠征して撮影)

f0346040_10351411.jpg
そもそも露光量が異なりますし、画像処理の手法が全く違うので比較はできませんが、当時、20cm反射で(空の暗いところまで)遠征してようやく写せたアンドロメダが、薄曇りの自宅でしかもたった6cmの屈折で写せるようになった、ということですねぇ。

・・・これ、ちょっと真面目に撮影行きたくなってきました。




by supernova1987a | 2017-08-28 10:55 | 天体写真 | Comments(10)

トラペジウムの『ダンス』

★モノクロCMOSカメラの利点は

ASI1600MM-COOLなどモノクロ版の冷却CMOSカメラの利点は、主に下記の2点が有名です

 ①カラー版と比べて実効感度が高い
 ②ナローバンド撮影に有利

ただし、「天邪鬼なあぷらなーと」としては、

 カラーフィルタが無いためベイヤー処理が不要であり
 結果としてベイヤー処理に伴う解像度の低下が無い

にこだわってしまう訳ですね・・・・・



そのズバ抜けた解像度を活かすためにビームスプリッタ装置などを自作したわけですが、
VMC260L+ビームスプリッタを用いた実際の運用では、「思ったほど解像度が上がらない」のですね。



★リアルタイムだと天体の像はどんな感じなの?

先日のM33の撮影後、薄明の中でオリオン座が上ってきたので、シーイングや架台の微少なエラーによって、「実際の像がどのような動きをしているか」動画でチェックしてみることに。

ASI1600MM-COOLをゲイン400、露光1/10秒で16bitRAWのSER動画撮影してみました。
追尾は、K-ASTEC改造Newアトラクスのノータッチガイドです。

見やすいように後から(画像処理で)ゲインを上げて、トラペジウム付近をピクセル等倍で観察してみます。
すると約1秒間のリアルタイム挙動は、こんな感じだと分かりました。(あくまで一例です)

f0346040_15264372.gif
ああ、なるほど!
たった1秒間でもこんなに「踊りまくっている」のですねぇ。

これじゃあ、いくら
「ラッキーイメージングだ~!!」
と言って1秒や2秒に露光を切り詰めたところで、ブレは止まりません
「オートガイドだー!!」
と言って、オートガイダーで追尾補正しても、ガイド信号のインターバルや補正動作までのタイムラグがあるので追い切れる訳がないわけです。


★残る手段は・・・・

シーイングの悪い日本では、1秒間に数回~数十回の補正を加えられる「補償光学系」(いわゆるAO装置)を併用しない限り、VMC260Lの様な長焦点望遠鏡にモノクロCMOSカメラは、「猫に小判」なのかもしれませんね。


★補足

今回の「考察ごっこ」で、リアルタイム画像を観察してみて、気づいたことがあります。先ほどの動画を見ると分かるのですが、画面全体に散らばる「ザラザラノイズ」には何種類かあります。

 ①完全にランダムな周期で色んな所に現れるが、その頻度は明らかに背景の星雲の分布に対応している輝点

 ②背景の星雲の揺れ(ブレ)とは無関係で、同じ画素のみで短周期で点滅している輝点

 ③背景の星雲の輝度分布とは無関係で、突発的に現れる輝点

①は(その揺らぎはともかくとして)大切な輝点ですね。
要するに、貴重な星雲の構成要素であってノイズのように見えるのは錯覚です。これが、画像処理で消してはいけない「ショットノイズ」と考えられます。実際に星雲から到来した個々のフォトンを捉えたものと解釈しても良いでしょうね。これを大切に蓄積することで『点描画』のように、徐々に星雲の姿が現れてきます。

②は典型的なダークノイズ(いわゆるホットピクセル)ですね。
ただ、今回気づいたのですが、短時間露光でもコレちゃんと出てますね。意外だったのは「灯きっぱなし」ではなく、ダークノイズの輝点って結構「点滅」してるんですね。それらが蓄積して『均される』長時間露光と異なり、短時間露光ではダークファイルの減算って、難しそうです。

③これは厄介そうです。
撮像素子への二次宇宙線素粒子のダイレクトヒットはもちろんですが、意外にも、なんだか素子上を蠢くように移動している輝点も観察されましたので、系統的な除去って無理そうです。さすがにコレばかりはシグマクリップなどを利用するしか手が無いかも。(でもシグマクリップって時間掛かるんだよなぁ。ステライメージ6.5なら普通の基準点指定のコンポジットは300枚でも1分程度の爆速で完了しますが、ためしにシグマクリップしてみたら、300枚コンポジットに3時間!!・・・こんなんガマンできんよ~)


以上、「2夜連続でニワトリできそう」だと、赤道儀一式を庭に「出しっぱ」にしてワクワクしてたら、曇られてしまい意気消沈している あぷらなーとでした。


by supernova1987a | 2017-08-21 16:30 | 天体望遠鏡 | Comments(4)

ビームスプリッタでM33を撮る

★お仕事から帰ると快晴じゃないか!

前回星雲星団を撮影したのは5月のこと。
いつの間にか数ヶ月のブランクが空いちゃいました。

このままブランクが長くなるかと思いきや、帰宅すると晴れてるじゃないですか。
しかも、透明度は良くないものの天頂付近のシーイングが良さそう♪
ここは、頑張って『ニワトリ』せなあかんでしょー!

・・・と言うわけで


★(本当に)久しぶりのVMC260L出撃!!

しばらく電源を入れてなかったので動くかどうか不安ですが、
 K-ASTEC改造アトラクス + VMC260L + ビームスプリッタ装置 + ASI1600MM-COOL + ASI1600MC-COOL + 自作レデューサ + LPS-D1フィルタという装備で、天頂付近のM33銀河を狙ってみることに。

ただし、思い立ったのが午前2時頃で、薄明まであんまり時間が無いので、
 ・極軸は極望目視のみ
 ・追尾はノータッチガイドガイド
 ・ビームスプリッタでMCとMMを同時露光
 ・ゲイン300+20秒露光の多数枚コンポジット
という手抜き撮影(・・・ていうか、最近いつも手抜きになってるけど)で、「細かいことは後からなんとかする」方針で行きます。



★やっぱビームスプリッタはVMC260Lに似合うなぁ

f0346040_13184480.jpg
 モノクロCMOSカメラとカラーCMOSカメラを同時露光するために自作した「ビームスプリッタ装置」ですが、カメラを2台載っけると結構な重量で、天頂付近を撮影するなら、シュミカセやVMC260Lのような主鏡移動式の接眼部が(ずり下がらないので)安心ですね。

f0346040_13235919.jpg
 ようやくスタンバイできたのは、午前3時!
 きゃー!
 あと1時間で薄明~!
 慌てて撮影開始します。



★とりあえず、素材は揃いました

 なにしろ、ただでさえ約F8の暗い望遠鏡の上に、スプリッタで光量が半分になってて、しかもたったの20秒露光ですからねぇ。
 撮って出しだと、こんな感じです。

 ASI1600MC-COOLの撮って出し画像
f0346040_13304824.jpg

 ASI1600MM-COOLの撮って出し画像
f0346040_13311837.jpg
ははは。心眼で見ないと一体何が写ってるのかすら分かりませんね(笑)



★MCとMMそれぞれ180コマをコンポジット

 ダークを引いた画像180コマをそれぞれコンポジットしてからレベルを調整してみます。

 MCの画像180コマのコンポジット
f0346040_13371453.jpg

 MMの画像180コマのコンポジット
f0346040_13374344.jpg
おお!ちゃんとM33の全貌が見えてきましたよ♪
光害カットフィルタを使った市街地の撮影ですが、赤い星雲が点在するのも分かりますね。
周辺減光が醜いですが・・・まあ、フラット撮影してませんし、見なかったことにします。
どうせ最後にトリミングするしねぇ・・・(笑)。


 MCとMMの画像比較
f0346040_13392671.jpg
 画像の中心部を200%で表示したものです。左のMCに対して、右のMMの方がノイズが少なく見えます。
正確には、機材に起因するノイズではなくて、天体から到来するフォトンの粒のバラツキを捉えた『ショットノイズ』だと思うのですが、MCの方はショットノイズがベイヤー処理されることにより肥大化したとも解釈できますね。

※ショットノイズとベイヤー処理に関する『考察ごっこ』はこちら↓をご参照ください♪



★いよいよLRGB合成してみる

 MMで撮ったL画像とMCで撮ったRGB画像をLRGB合成してみます。

f0346040_13535079.jpg
 左がMCの画像。右がLRGB合成した画像です。
 うむ。なかなか良い感じ♪


★あとは『秘術』の限りを尽くして

・・・というほどのものでは無いですが、今回は露光量が少なかったので(ホントは3時間の総露光したかった・・・)、『得意の』最大エントロピーやウェーブレット処理はパスしまして、もっぱら、ステライメージのLab色彩調整+シルキーピクスのテイスト調整+NikCollectionで仕上げていきます。

・・・すると・・・




ででん!!

f0346040_13580668.jpg

一応、『自己ベスト』のM33銀河が撮れましたよ~♪

めでたい


by supernova1987a | 2017-08-20 14:05 | 天体写真 | Comments(10)

ビームスプリッタで一瞬の雲間を狙う

★前回の『考察ごっこ』をしていたら・・・

あいにくの曇天続きのため天体写真が撮れず、ふてくされてビームスプリッタのケラレの考察ごっこをしていたら、なんだか窓の外から月の光が差してる!?
ああっ!
こんな時に限って晴れちゃったのか?

慌てて外に出てみると
・・・あれれ?
こんな天候
f0346040_07204856.jpg
 ※ニコンクールピクスP7800で撮影(トリミング有り)

確かに月光は指しているけど、薄曇り。お月様が見事にカサをかぶってます。
しかし、ここ3ヶ月ほど全く天体写真が撮れていないことだし、雲の切れ間を狙ってなんとか月面を撮影できないかと・・・・・。


★こんな時こそ、ビームスプリッタ♪

恐らく、「チャンスは一瞬」と思われるので、速写性を重視したシステムで行ってみます。
むろん、いつものアトラクス+VMC260Lなんて出してるヒマはありません(セットしている内に薄明)

・・・と言うわけで、
本当に久しぶりのGPD赤道儀を引っ張り出して、BORG89EDを載せます。
さらに、L画像とRGB画像を同時に撮影するために、『例の』ビームスプリッタを装着してASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLの同時挿し
f0346040_07264357.jpg
月を撮ろうと思い立ってから撮影開始まで、わずか15分!!
GPD赤道儀なんて、組み立てたまま物置からヒョイと出すだけだし。

ニワトリでの自己最短スタンバイ記録更新です♪

f0346040_07284802.jpg
ちなみに、時間が無いので

 極軸セットは、極軸望遠鏡の中心に北極星を入れるだけ。
 モーターは通常のステッピングモーターなのでアライメントも無し。
 ノートPCもDELLのcore-i5機1台だけ。
 ファインダーはドットサイトのみで目視導入。
 冷却CMOSカメラ(ASI1600のMM&MC)も冷却無し。
 それぞれをROIでクロップして30コマ/秒で16bitRAW動画撮影。

・・・どうだ。
これなら、雲の切れ間がたったの10秒もあれば、L画像300コマ+RGB画像300コマが撮影できるぜ♪


★ASI1600MC-COOL&MM-COOLの「撮って出し」

MCとMMで撮影したSERファイルから1コマを切り出した「撮って出し」画像はこんな感じです。

f0346040_07350832.jpg
シーイングはあまり良くありませんが、600mmの直焦点ですから、それほど神経質になる必要もないみたい。


★MCとMMをスタッキングすると

MCとMMの画像それぞれをAutoStackert!2で300コマスタッキングして、良像25%に切り詰めるとこんな感じ。

f0346040_07410878.jpg
上の画像からはよく分かりませんが、滑らかさは向上しています。


★レジスタックスにかけてウェーブレットすると

AutoStackert!2でスタッキングした画像をレジスタックスでウェーブレット処理してみます。

f0346040_07455106.jpg
おお!
さすがレジスタックス。一気に解像感が上がりますねえ♪
愉快、愉快。


★ステライメージでLRGB合成すると

出来上がったL画像とRGB画像をステライメージでLRGB合成してみます。
さらに、シルキーピクスで色調やトーンなどを整えると・・・・・


ででん!!

f0346040_14554530.jpg

おお~。なかなか良い感じです♪

・・・て言うか、あの・・・冷静に思い起こしてみると、月の「全体像」を直焦点で撮影したのって、かれこれ20数年ぶりでは?!
前回は確か、ミザールのアルテア15+ニコンFG20+コダックT-MaX400ネガで撮影したのを暗室で覆い焼きして仕上げたんだっけなぁ。
シーイングは良くないのに、あの頃とは雲泥の差のシャープさ。しかも、テレコン無しの「素の600mm直焦」でこんなに写るとは・・・・・。


★最大エントロピー法でも試してみる

ウェーブレット処理した画像は若干の違和感(やり過ぎ感)があったので、ステライメージの最大エントロピー法による画像復元も試してみた。
L画像はスタック後に画像復元処理、RGB画像はスタックのみでLRGB合成してみます。
f0346040_23391942.jpg
なるほど、こっちの方が自然で良いかもしれませんね。まさに「条件が良い夜に望遠鏡で覗いた」時の感じ。



うーむ。
月面のお気軽直焦点撮影ってのも、結構面白いもんだなぁ。



P.S.
デジタル時代の月面撮影は、スタッキングやウェーブレットなどの画像処理技術の進歩はもちろんですが、クイックリターンミラーもフォーカルプレーンシャッターも無いCMOSカメラの場合は原理上ブレが無いことが相当に効いているんでは?
などと今更ながらに気づきました。たぶん、フィルム+一眼レフの時代は「ブレまみれ」だったんだろうなぁ。



by supernova1987a | 2017-08-15 00:12 | 天体写真 | Comments(9)

しばらくやっていた事

★ふと気づけば

週に1回更新を目指しているブログですが、前回更新から1ヶ月もブランクが空いてしまいました。
冷却CMOSカメラがらみで色々と試行錯誤していたのが原因なのですが、残念ながら(?)天体写真撮影がらみでは無く、まさかの『本業』の方(笑)。


★無謀なる(?)挑戦

夏休みに『本業』の方で「実験教室」を開くことになりまして、「ミルククラウン」を題材にしようと1ヶ月ほど格闘してました。
自分が趣味でやるならともかく、生徒達にやらせるとなると、これ、かなり難敵なんですねぇ。(たぶん、これまで実践した同業者さんはいないかと・・・)ここ数年は大学入試対策の現代文講師としての出番が一番多かったのですが、今回は小中学生相手の理科講師の役作りとなります。久々に趣味と実益を兼ねた企画なのでテンションが上がります。


★まずは、形から入る

ミルククラウン自体は、別に特殊な実験用具が必要な訳では無くて、前回の記事↓の通り

三脚か何かに穴を開けたフィルムケースをセロテープで縛り付けて、そこからお皿にでもミルクを滴下すれば事足りるのですが、これだとさすがに『みすぼらしい』ので、『それっぽい』ものをいくつかポチってみました。


★「ミルク滴下装置」完成

 普通のプラ容器に穴を開けたり、熱帯魚用の「水替え点滴装置」の転用とか色々試行錯誤しましたが、イマイチ動作が安定せず断念(少なくとも、子供では制御不可能)。結局、『理科実験御用達』のケニスさんから活栓付きロートや実験スタンドなどを取り寄せました。最近はこんなものもアマゾンからクリック一発で取り寄せできるんですねぇ。良い時代になりました。

 そう言えば小学生の頃、小遣いを貯めては分厚いケニスのカタログを手に近所の薬局に通い、試験管やアルコールランプや各種試薬をコツコツ買いそろえていたなあと、なんだかノスタルジーに浸ってしまいました。(あの頃は1年の大半を理科の自由研究に費やしてましたっけ・・・。)

 ・・・というわけで、こんな装置になりました。

f0346040_22072617.jpg
 うむー。なかなか「それっぽい」装置が組み上がったぞ。良い感じです♪
これなら、子供でも操作できそう。

 滴下するミルクは「教育上の配慮」からポスターカラーを溶いた疑似ミルクを用意。粘性率がすこし低下しちゃいますが、まさか生徒の自由研究ノートに「実験で使用したミルクは、実験後にみんなでおいしくいただきました」とか書かせられないですしねぇ(笑)。


★問題は冷却CMOSカメラ

 「最新鋭の機材を使って・・・」とか広告に書いちゃったので、普通のビデオやカメラじゃダメだろうと、ZWOの冷却CMOSカメラを『簡易版ハイスピードカメラ』として投入します。(『本物』のハイスピードカメラは高価なので無理・・・)
 ・・・ああ、こんなマニアックな製品を『本業』で使うことになるとは・・・・買った当初は、少しだけ想定してました(あれ?)

 ここで問題となるのが、3本の『赤缶』のうち、どれをメイン投入するかです。


★ASI1600MMの弱点

 実際の実験ではモノクロ画像を使用するので普通ならASI1600MMをROIでクロップしてハイスピード動作させたいところですが、ここで問題が生じます。このカメラ(というか、ほとんどの電子シャッターカメラは)ローリングシャッター仕様なのですね。要するに、全画素を一括露光して一気に読み出すCCDカメラと異なり、CMOSカメラでは1ラインごとに露光してそれを順次読み出すのですが、その間に撮影対象が動くと画像が歪んでしまうわけです。したがって「どんなに高速なシャッターを切っても、運動する物体の『瞬間の姿』は写せない」のです。俗に『コンニャク現象』と呼ばれるこの現象は、フォーカルプレーンシャッター搭載のフィルム一眼レフ(スリット走行によって高速シャッターに見せかけている)でも見られた現象でして、原理的に回避することは不可能です。


 それでは、実際にASI1600MMのローリングシャッターが起こす『コンニャク現象』が実験にどんな影響を与えるか見てみます。

下記の撮影パラメータで、滴下するミルク滴を高速撮影して『検証ごっこ』してみました。

[ZWO ASI1600MM-Cool]
Pan=844
Tilt=624
Output Format=SER file
Binning=2
Capture Area=1280x1024
Colour Space=MONO8
Hardware Binning=On
High Speed Mode=On
Turbo USB=100(Auto)
Flip=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=114
Exposure=0.0001
Timestamp Frames=Off
Brightness=10
Gamma=50

f0346040_23015662.jpg
 ※左:ミルクの滴下方向と垂直にシャッター駆動した場合 右:滴下方向にシャッター駆動した場合
  (それぞれピクセル等倍トリミング)

上記の画像の左は、カメラを90度傾けて撮影したもの、右は水平を出して撮影したものです。
同じように写るはずのミルク滴が全く異なる形に変形しているのが分かりますね。さらに細かく見ると、左の写真では、水面に映った像と実際の滴とがキレイな線対称に写っているのに対して、右の写真では、全く異なる形(実態は縦長で虚像は横長)に写っている点も興味深いです(理論的に正しい挙動です)。



★左の画像は次のように解釈できます
f0346040_00180941.jpg

 このように、1ラインずつ左から右に露光している内にミルク滴が落下していくために、右斜め下に歪んだ像ができる訳ですね。
なお、水面に対して平行方向に走査しているため、実像と虚像が同じ形に歪むことも説明できます。



★右の画像は次のように解釈できます
f0346040_00191391.jpg
 このように、1ラインずつ上から下に露光している内にミルク滴が落下していくために、上下に伸びた像ができる訳ですね。
なお、水面に対して直交方向に走査しているため実像と虚像とではその像の動きが真逆となります。したがって実体と水面に映った像の歪み方が異なることも説明できますね。



★ASI174MCはスゴイ!

画素数が少なかったり、冷却しても消えない盛大なアンプノイズがあったりして『じゃじゃ馬』なASI174MC-COOLですが、このカメラにはCMOSカメラとしては画期的とも言える「グローバルシャッター」が実装されています。要するに、CMOSカメラでありながら、まるでCCDカメラのように全画素一斉露光できちゃうのです!!

では、ASI174MC-COOLを下記のパラメータで撮影したものでグローバルシャッターの実力を見てみましょう。

[ZWO ASI174MC-Cool]
Debayer Preview=On
Pan=568
Tilt=308
Output Format=SER file
Binning=1
Capture Area=800x600
Colour Space=RAW8
High Speed Mode=On
Turbo USB=80(Auto)
Flip=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=348
Exposure=0.000235
Timestamp Frames=Off
White Bal (B)=90(Auto)
White Bal (R)=99(Auto)
Brightness=1
Gamma=50

f0346040_00263940.jpg
落下するミルク滴が「まんまる」です!! お見事♪
さらに、800×600のROIでも実に300FPS以上をたたき出す点も素敵すぎます。
(ASI1600で同等条件だと120FPS前後しか出せません)

・・・という訳で、使用するメインCMOSカメラは、ASI174MC-COOLに決定しました。


★あとはノートPCを・・・

実際の実験では、色々な条件を変えて大量に動画を撮像するので、ノートPCもできるだけ高速化する必要がありますね。

・・・・で、(万が一生徒に壊されてもダメージが少ない)HPの格安ノートPCを・・・・

f0346040_00345479.jpg
分解して、内蔵HDDをSSDに換装しました。

※このHPのノートPCは、各種オプションの交換を想定していないらしく、SSD換装は相当に苦戦しました。そもそも開腹する方法が(思いもよらぬ手順が必要で)膨大な時間が掛かった上、外装にも結構なキズが残っちゃいました。また、普通にクローニングしただけではOSが走らなくなったりして、いつもならものの2~3時間で完了する作業に2週間も掛かっちゃいました。真似する人がいると危ないので(笑)機種名と分解の手順詳細は伏せておきます(正直、二度と中身を触りたくないです。)

さらに、windows10に特有の、『訳の分からないタスクがCPUリソースを100%食いつぶす』現象が実験中に起こると致命的なので、怪しいプロセスには使用するコアに制限を与えて、いざという時にも無負荷のコアが生き残るように設定しました。(2コアのセレロン機なので、もともと非力ですが、なんとか使えるレベルになったかと・・・)


★・・・というわけで

約1ヶ月かかった実験教室の準備もヤマを越えました。
・・・あとは・・・生徒用のシナリオと、助手の先生用のシナリオと、想定される破損事故に備えたサブシステムの構築をやらなきゃ・・・・。

・・・ともかく、似たような機材を使う撮影であっても「趣味」と「お仕事」とではプレッシャーの差がハンパないことを再認識した1ヶ月でした。

え?公開天体観測教室は、ですか?・・・・いつかやりたいですね。
(本業では20年くらい前に一度だけ開催したことがありますが、色々としんどかったです)。



by supernova1987a | 2017-06-25 23:44 | 科学写真 | Comments(6)


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