あぷらなーと


あぷらなーとの写真ブログ
by あぷらなーと
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
あぷらなーと
文系寄りの元理系(?)
「天体」「マクロ」「実験ごっこ」その他諸々の科学写真が大好きな HN:あぷらなーと が いろんな写真ネタをのんびり語ります。あまり気合い入れすぎると続かないので、「ぼちぼち」いきます。
※コメント大歓迎です♪

生息地:香川
カテゴリ
最新のコメント
> moritoさん ..
by supernova1987a at 01:48
こんばんわ 標準の..
by morito at 23:08
> にゃあさん 本..
by supernova1987a at 05:07
さすが沼学部の教授が取り..
by にゃあ at 02:30
> Te Kureさん ..
by supernova1987a at 00:53
あぷらなーとさん、いつも..
by Te Kure at 17:30
> オヤジさん 出..
by supernova1987a at 07:12
寿限無寿限無五劫のすり切..
by オヤジ at 04:04
> kem2017さん ..
by supernova1987a at 20:16
exblog は、ログイ..
by kem2017 at 16:40
以前の記事
お気に入りブログ

スカイメモTのピリオディックモーション『測定ごっこ』

★よし。だいたい分かった♪

悪戦苦闘していた『新兵器』スカイメモTですが、その挙動を大体掌握しました♪

今後、購入を考えている方もいらっしゃると思うので、ポイントだけまとめますね。

★スカイメモTの『個性』
 ①エネループ2本では安定駆動無理かも
 ②重量バランスの崩れに敏感らしい
 ③スマホかダブレットが無いと何もできない
 ④ネット上で揶揄されるほど精度は悪くない
 ⑤真面目にやれば(結構重たいレンズでも)
  安定駆動する

①電源についての暫定的結論
先日来格闘してきたスカイメモTの『過負荷フリーズ現象』ですが、まず電圧降下に敏感だという結論に至りました。
無負荷の状態で何度か長時間ドライブしてみた結果、電源電圧がおよそ2.4Vを切ったあたりで動作が不安定になることが分かりました。・・・ということは、エネループなどのニッケル水素電池2本直列での安定駆動は困難「かも」知れません。

※アルカリ乾電池が1.5V前後の起電力を持つのに対してニッケル水素電池は1.2V前後の仕様が多い。
※アルカリ乾電池なら大丈夫という意味ではない。アルカリ電池は使い始めるとすぐに電圧が低下してしまう物が多い。
※専用アプリには電圧モニター機能が実装されている。これ、必要だからこそ実装されているのでは?

○その解決法
リチウムバッテリーからUSBで5V供給すると、まるで別物のように安定しました。


②バランス調整について暫定的結論
前回のエントリーで『考察ごっこ』したように、支点とカメラの重心が一直線上にないと不安定になるようです。
重量バランスが崩れた途端、負荷限界を超えて異常動作やフリーズが発生するようです。

※供給電圧によってその挙動には差異があります。

○その解決法
カメラ1台なら、別売りの純正プレートとバランスウエイトを用いるのが早道です。
カメラ2台なら、前回のエントリーで試行したような「プレートの両端にパノラマ雲台」方式が有効なようです。

③コントローラについて暫定的結論
今のところスマホかタブレットがないと何もできない仕様なので、こればかりはどうしようもありません。

○その解決法
打つ手無し(笑)
あぷらなーとは、古くなって使用頻度が下がったタブレット(2012年モデルのNEXUS7)をスカイメモT専用にあてがうことにしました。

※一度恒星時駆動を開始してしまえば、あとはタブレットを切ってもスカイメモは動き続けますが、念のため電圧モニターはしておきたいので。

※WIFIの自動切断やオートスリープには要注意。

※追記)拙Twitterに「設定のメモリー機能で回避できる」との貴重な情報を頂きました! 今度試してみます。


★『限界重量』
   行ってみるぜ!
f0346040_02374780.jpg
スカイメモTに、(一見無謀とも思える)
ニコンAF-S70-200mmF2.8GⅡ+D5000を搭載!!

f0346040_02400809.jpg
重量バランスを取るために使用したパーツは

①ケンコー純正のプレート


②ケンコー純正のバランスウエイト


③UTEBITのアルカスイス互換クランプ&プレート


※この手のパーツを使えば、実質ドイツ式赤道儀になるので、バランスは取りやすくなります。
ただし、望遠レンズの前後バランスを取ることが重要なため、アルカスイスのプレート+台座は必須ですね。

※もっと経済的にパーツを揃えたい方は、スカイウオッチャー社から互換パーツが出てます。
『緑のヤツ』ですね。微動装置のバックラッシュがやや大きいこと以外、純正品と遜色有りませんでした。
ちなみに、微動装置回りは、純正品と仕様が異なります。

f0346040_02544225.jpg
安定してUSB5Vを供給するため、愛用のSUGOIバッテリーを投入。
スカイメモとタブレットを同時給電しても平気です♪

さらに、D5000(はじめD810系以外の全ニコン機)の『100コマ制限』(100コマ連射したら勝手に止まる仕様)を突破するために、エツミのタイマーリモート装置を投入。


今回は30秒露光の200コマノンストップ連射を行いたかったので、タイマーリモート装置のインターバルタイマーを用いて
 ●インターバル33秒
 ●撮影コマ数200コマ
に設定して撮影しました。
インターバルを設定する際はカメラ側で設定した露光時間と実際に露光される時間との差異に注意が必要です。
D810A以外のニコン機は、「30秒露光」に設定すると32秒間露光されるので、若干のデッドタイムも見込んで、インターバルを33秒に設定しました。
カメラ側のドライブモードを「連写」に設定して、通常のリモートコードを「押しっぱ」にする場合と異なり、途中でレリーズOFF信号が飛んでいるため、『100コマ制限』を回避できます。

※あくまでも暫定措置です。今後スカイメモTがさらに安定駆動できればスカイメモ側からのインターバル撮影を試してみます。


★ピリオディックモーションの撮影結果

今回の撮影対象は、こと座のベガ付近
ええ、なにも無いエリアですが、ピリオディックモーションの『測定ごっこ』が目的ですので♪
各種の策が当たり、あの重たい70-200mmF2.8 を搭載して約2時間の駆動を試みましたが、ノントラブルでした!!

(途中雲にやられたので)写りが良いコマ143コマを比較明コンポジットしてみます。
f0346040_03133475.jpg
ピクセル等倍で切り出した画像です。
どうです?とても安定した追尾がなされている事が分かりますね。(前回のエントリーの酷さと比較してみてください。これ、脱調やシャックリやフリーズがゼロですよー!)

以前書いたとおり、この画像から極軸設定エラーに伴う東西方向の固有運動を測定し、メトカーフコンポジットを行います。
東西方向のズレは4718秒間に839.5秒角でしたので、これを赤経方向の時角に直すと1分間あたり0.712秒の移動速度になります。

では、ステライメージ6.5でメトカーフコンポジットしてみましょう。

・・・すると・・・

ででん!!
f0346040_03223683.jpg
おお、とてもキレイなピリオディックモーションではないかー!!
これで約4周期分。
『波形』の安定性は、むしろスカイメモSよりも上かも♪

では、いよいよピリオディックモーションの実測に入ります。
f0346040_03245870.jpg
ピリオディックモーションによるふらつきは約18ピクセルの幅ですね。
ニコンD5000+200mmの場合、1ピクセルは約5.67秒角に相当しますので、これは±51秒のエラーになります。

ただし、撮影域はベガ付近なので、ベガの赤緯:38度47分を用いて、赤緯値補正を掛けます。

※計算方法の詳細は下記のエントリーをご参照ください


その結果、スカイメモTのピリオディックモーションはっ!


±約65秒と推定されました

先日測定したスカイメモSが±50秒ですから、これ大健闘ですよ。

と言うわけで、

<ネットから拾った
 ユーザー様の評判では>
 スカイメモS:±20秒
 スカイメモT:±100秒
という情報に反し、

<あぷらなーとの
 『測定ごっこ』結果は>
 スカイメモS:±50秒
 スカイメモT:±65秒
という結論に至りました。

まあ、測定方法には個人差がありますし、製品の個体差があるでしょうから何とも言えませんが、
・最低4~5周期分の長時間駆動の結果である
・撮影者+測定者が2機種とも同一である
・極軸エラーの影響を加味している
・対象天体の赤緯値補正を加味している
という点で、一応参考資料程度にはなろうかと・・・♪

さて、今回の『測定ごっこ』の結果ですが、
スカイメモS&Tは、そのウオームホイルの
歯数比が144:72=2:1で、
しかもピリオディックモーションの振幅値が結構近い、ってところがミソでして・・・。

★ということは!!


ふはははは!
追尾精度がイマイチとの風評のスカイメモだが、それはそれでよい。そんなもの
「毒をもって毒を制す」
 =『メカニカルPEC』戦法
で、一気に±15秒以下に押さえ込んでやるわっ!!

というわけで、Arduinoマイコンボード用のロータリーエンコーダとか、届いた♪
(あ~あ・・・・ぬ、沼が・・・・)



# by supernova1987a | 2018-05-22 23:56 | 機材 | Comments(4)

スカイメモTと『格闘』する

★スカイメモTの性能チェックをしたい♪

先日、スカイメモSについては、そのピリオディックモーションを『測定ごっこ』することに成功しました。

ネット上では±20秒程度との評判でしたが、実測の結果±50秒でした。これが測定方法の差なのか、個体差なのかは分かりません。
ただ、200mm前後の望遠で1時間程度の露光を得る場合でも、30秒露光の120枚コンポジットならノータッチガイドで無問題であることを確認しましたので、十分実用に耐えますね。

さて、では新兵器「スカイメモT」の追尾性能はどうなのでしょうか?


★この赤道儀、手強いっ!!

はじめに申し上げます。
これまで赤道儀を扱ったことがほとんどない初心者の方がスカイメモを購入される場合は、「T」ではなく「S」を熱烈推奨します。

たしかに、スカイメモTは、下記の点において画期的な赤道儀です
 ①非常にコンパクト
 ②スマホやタブレットで全操作が可能
 ③天体以外にもタイムラプス撮影にも使える機能満載
 ④脱着可能な極軸望遠鏡が付属
 ⑤カッコいい
しかし、これ、どう見ても初心者の方がいきなり使いこなせるとは思えないんですよねー。

もし、スカイメモSでデジタル一眼&標準ズームあたりで星座を撮影するのでしたら、話は簡単です。
 三脚に赤道儀をセットしたら
 極軸望遠鏡のど真ん中に北極星を導入して
 カメラを雲台に載せて
 ダイアル式スイッチを「★マーク」に合わせて
 シャッターを切る。
たったこれだけで、『とりあえず』使えます。

これが、スカイメモTになると話は別で、
 ①三脚にセットする
 ②極軸望遠鏡と照明装置を取り付ける
 ③とりあえずど真ん中に北極星を入れる
 ④スマホかタブレットからスカイメモにWIFI接続する
 ⑤スマホかタブレットから専用アプリを立ち上げる
 ⑥天体撮影設定から時間無制限(∞)駆動方式「恒星時」を選択
 ⑦スタートボタンを押す
 ⑧シャッターを切る
・・・と、いい加減な撮影でも最低これだけの操作が必要です。
しかも、(個人的にはココが最大の弱点と感じているのですが)スマホかタブレットから命令を出すまで、赤道儀が動きません。(電源スイッチを入れてもWIFIの待機状態になるだけで、駆動はしない。)

さらに、今回試し撮りしてみて気づいたのですが、結構電源電圧と重量バランスにシビアで、モーターに負荷がかかりすぎるとすぐにフリーズしちゃいます。


★スカイメモTを用いた失敗例

BORG60ED+0.85×レデューサ+D810Aで試し撮りした画像をトリミングしたのがこちらです。
f0346040_17442947.jpg
露出は30秒の一発撮りなのですが、恒星がジワジワとズレた後、ギャッと飛んでまたジワッとズレているのが分かると思います。たった30秒ですから、極軸の設定ミスとかピリオディックモーションではありません。その証拠に、上の画像を撮影した直後には
f0346040_17542143.jpg
このように十分な追尾が行えてます。
だいたい、数コマごと(2~3分ごと)に『暴れる』印象ですね。
また、特にカメラを2台搭載したときなどは、ある程度駆動した段階でエラーを出して止まっちゃいます


★面白くなってきたじゃないか!
え?
「なにそれ、使い物にならないじゃん」
ですと?
たしかに初心者の方ならこれは大ダメージかも知れません。
でも、あぷらなーとは
『転んでもタダで起きたと思いたくない』
が信条ですから、むしろ、やる気が出てくる訳ですよー。

よし、なんとかして見せましょう!!


★問題を切り分ける

色々と調べてみた結果、原因は3つの要素が絡み合っているらしいことが分かりました。

①電池の消耗に弱い
②重量バランスの崩れに弱い
③内部のギアの挙動がなんかおかしい

①については、単3乾電池4本駆動のスカイメモSと異なり、そもそもたった2本で駆動しているわけですから、予想されたことですね。できるだけ満充電のニッケル水素電池を使うことにするしかありません。(もしくはUSBで給電)

問題は②と③です。


★重量バランスの崩れについて
だいたいポータブル赤道儀と言えば、こんな搭載をイメージしますよね?
だって、昔からスカイメモNSを使ってきた身としてはごく自然な搭載方法なんですが・・。
f0346040_18073265.jpg
赤道儀にプレートを付けて雲台2台にカメラを搭載するというオーソドックスな方法。

ところが、本来こんな搭載方法はダメなんですよねぇ。
f0346040_18085317.jpg
いくらバランスを合わせていても、日周運動を追いかけている内に、こんなふうにプレートが傾いてきますよね(イメージカットなので東西が逆だぞというツッコミはご容赦)。するとスカイメモTはモーターの警告ランプを点滅させてフリーズしちゃいます。

でも、これはスカイメモTが悪いのではありません
そもそも、こんな搭載方法自体がダメで、パワフルな赤道儀(特にDCモーターではなくステッピングモーター仕様機)は『無理矢理駆動できてる』に過ぎません。

すこし『考察ごっこ』してみましょう。
厳密な計算を持ち出すまでもないのでしょうから、今回は小学理科を使って考えてみます。(中学理科では剛体力学は扱えない)
f0346040_18175309.jpg
バランスを調整済みで、かつ水平状態にある2台のカメラは、上の図のように時計回りのモーメントと反時計回りのモーメントが釣り合ってます。
(※モーメント:回転させる作用のこと。支点から重心までの距離×重さで表せます。)

ところが、例えばこのままプレートが右に傾いていくと
f0346040_18205056.jpg
こんな風になって、各重心から支点までの距離(重力の作用線に垂直に測ります)が変化してしまい、時計回りのモーメントが残ってしまいます。
その結果、モーターに負荷がかかってしまうという訳ですね。


★回避方法は普通の天体望遠鏡の構造にヒントが

では、この現象を軽減するにはどうすれば良いのでしょうか?
それは、ズバリ
「2つの重心と支点が一直線上になるように配置する」
です。

さきほどの搭載図を下記のように改良してみます。
f0346040_18290392.jpg
重心と支点が一直線上に配置されました。
そうすると、この状態でプレートが右に傾いても・・・・
f0346040_18301616.jpg
このように、モーメントは残りません

そもそも赤道儀に搭載した天体望遠鏡ってこういう構造ですよね?
 左のカメラ:鏡筒
 プレート:赤緯体
 支点:極軸
 右のカメラ:バランスウエイト
と解釈すれば、ちゃんとこうなってます。
それを、ポータブル赤道儀にカメラを搭載する時だけ変な搭載の仕方をしちゃったんですから妙なことが起こっても当然ですね。

<補足>
※スカイメモNSのようにモーターがパワフルな赤道儀は、こんなこと考えなくても強引に駆動しちゃいます
※雲台は好きな方向には動かせません。赤経方向はプレートのみで、赤緯方向は雲台の水平軸のみを使う必要があります
※雲台に取り付ける位置はカメラの重心の真下でないと意味がありません。


★内部のギアの挙動が・・・・(泣)

えーと。はじめにお断りしておきます。
これは、あくまであぷらなーとの個体の特性であって、流通している製品全てがこうだというわけではありません。
そもそもユーザーが内部を開けちゃダメ・・・絶対。

えーと、気づいちゃったんですよねー。
変な駆動をした瞬間とか、フリーズ寸前に『異音』がしてるのを。
そうですね・・・たとえるなら
 ○正常時:「カカカカカカカカカカカカカカ・・・」
 ○異常時:カカカカカコッカカカカカコッ・・・」
こんな感じ。

なんだよ、そのコッて?!

・・・・で、コッソリ中を覗いてみることに・・・・
f0346040_18441318.jpg
・・・で、タブレットから手動でモーター駆動命令出して内部の動きを観察。
f0346040_18453969.jpg
クリアランス、適切そう。
ネジの緩み、なさそう。
異物混入、なさそう。
インクリメンタルエンコーダ(モーターの制御用)、スリット欠け無し。
グリスの状態・・・ちょっとアヤシい。

・・・ん?!
とあるギアが時々『クネっ』と妙な動きしてるじゃないか!
異音は、コレか!

・・・・仕方ないので、チョロッと調整してみました。

・・・治った!!

※個体差だと思うので、詳細は書きません。
変な症状が出た方はまずメーカーさんにご相談を♪


★というわけで・・・・

紆余曲折ありましたが、結局スカイメモTのシステムは再構築しました。
ええ、いくつかパーツを追加する羽目になりましたが・・・・。

ビクセンの短めのプレートとパノラマ雲台
UTEBITのパノラマ雲台
SUNWAYFOTOのアルカスイスプレート
HAKUBAの変換ネジ
を組み合わせて、カメラ2台同架パーツを組んでみます。



いや、パノラマ雲台とかは、別にビクセンの高級品でなくて良かったのですが、あまりにも『カッコいい』のと『保険』の意味合いで1個はこちらに・・・(笑)

すると・・・

ででん!!
f0346040_11593157.jpg

怪現象すべて解消っ!!
めでたい♪

さて、楽しくテスト撮影行ってみるかな♪
・・・・・と思ったら曇った!!
あ~あ、上手く行かないなぁ・・・・。


★★★お約束★★★
☆今回の不具合は、あくまであぷらなーとの個体のお話です。
☆素人なので、どのギアをどう調整したかの具体的質問にはお答えできません。
☆純正パーツ+αでも同等のシステムは組めます
☆アルカスイス系のプレートにはメーカーごとに微妙な寸法差があるため相性によっては固定できない場合もあります。
☆カメラネジ系の変換アダプタはメーカーにより差異があるため、試行錯誤が必要です。
☆さらに良い方法は、ジンバル雲台を用いる方法と思われます。
 これだとフォーク式赤道儀になりますね。

# by supernova1987a | 2018-05-20 19:37 | 機材 | Comments(13)

スカイメモSのピリオディックモーション『測定ごっこ』

★気合い入れて撮影できないときは

天体写真が撮れない夜。こういう時は、だいたい3つの過ごし方しかありませんね。
 ①『ポチリヌス菌』に感染するがまま『気絶買い』を楽しむ
 ②今後のために『考察ごっこ』『検証ごっこ』を楽しむ
 ③おとなしく寝る

というわけで今回は、(今後使用頻度が高くなると予想しつつも)今まであまり触っていなかったスカイメモSの追尾精度『測定ごっこ』を一晩かけてやってみることに。

以下、ほとんど自分自身への備忘録になるので、あまり愉快に書けません。
興味の無い方は読み飛ばしていただいて結構ですよー。
ちなみに、あぷらなーとのブログは『ででん!!』の直後だけ読めば主旨が分かるようになってます(ホントか?)


★ピリオディックモーションの測定は意外に難しい
f0346040_08255541.jpg

赤道儀の機構上、原理的に回避できない周期的な追尾エラーをピリオディックモーションとよびます。
ちょうど上の写真のように往復運動が生じるため、ノータッチガイド(赤道儀まかせの追尾)では、恒星がまん丸に写りません。
このピリオディックモーションの値が小さい赤道儀が、いわゆる「高精度な赤道儀」ということになります。今回は、ポータブル赤道儀スカイメモSのピリオディックモーションを真面目に『測定ごっこ』してみるのですが、これ、意外に計算が大変なんですよねぇ。
もちろん、たかが趣味ですので厳密に解析してもあまり意味が無いのですが、最低限考慮すべきポイントはあるはずです。
ピリオディックモーションの実写測定の詳細に言及している記事はほとんど見かけませんので、今後自分自身がミスしないようにまとめておくことにしましょう。

★ポイント①
同じ追尾精度でも、実際に写真に写るエラーの大きさは、天体の位置(赤緯座標)によって異なる!
だから、どの赤緯の天体を撮影したのかが分からないと、
「○○ピクセルずれたから、追尾精度は△△秒だー」
などという判断は危険だと思います。
無論、重星の離角なども基準にはならないと思います。

★ポイント②
赤経方向(ライトアセンション)と赤緯方向(デクリネーション)とでは、角度の定義が全く異なる!
赤緯方向(南北)の角度は、いわゆる『普通の角度』(分度器で測った角度)と同じです。
「○○度△△分□□秒」と表現した場合、
 1度=『普通の1度』
 1分=1/60度
 1秒=1/60分=1/3600度
を表していることになります。楽勝ですね。

ところが、赤経方向(東西)の角度は、ちょっと特殊でして
「○○h△△m□□s」
 または
「○○時△△分□□秒」
と表現した場合は
 1時=日周運動で1時間かかる角度=15度
 1分=1/60時=1/4度
 1秒=1/60分=1/240度
となります。
さらに厄介なことに上記の換算は、天の赤道上にある天体にだけ当てはまる話で、赤道からズレると計算式が全く異なってしまうのです。

★ポイント③
ジグザグ運動をキレイに写すのは至難の業
ピリオディックモーションを撮影する際には、「極軸を意図的にズラして撮影するとよい」とされていますが、その際は正確に南北方向にだけ極軸セットエラーが出るよう調整しなければなりません。ところが、そもそも正確な極軸合わせ自体が困難なので、この要求はナンセンスです。

★ポイント④
デジカメのデータに記録された露出時間は全て間違っている!
そもそもカメラのシャッタースピードは『近似値』で表すのがフィルム時代からの慣習です。
主要なシャッタースピードは本来「2の累乗」で制御されるのですが、データ上はそれが下記のように書き換えられています。
 1秒露出 → 正しい
 2秒露出 → 正しい
 4秒露出 → 正しい
 8秒露出 → 正しい
 15秒露出 → ホントは16秒露光されてる
 30秒露出 → ホントは32秒露光されてる
 60秒露出 → ホントは64秒露光されてる
このように、マニュアルモードでシャッタースピードを「30秒」とかに設定しても実際は2秒間余計に露光されているわけですね。このあたり、何秒露光したのかを計算する際に気をつけなければなりません。

<例外>
天体専用デジカメ:ニコンD810Aだけは、この誤差を消せます
(表示値と制御値とを一致させる特別モードが実装されている!)
※他にこの機能を持った機種があったらごめんなさい。
※ちなみに今回はこの機能使ってません(笑)。


★では実際に撮影してみます
下記スペックの機材を用いて、スカイメモSのピリオディックモーションを撮影してみました。
f0346040_04162034.jpg
望遠鏡:ACクローズアップレンズNo4を用いた自作『にせBORG』
口径:約50mm
焦点距離:250mm
レデューサ:BORG0.85×レデューサ
合成焦点距離:212.5mm
カメラ:ニコンD810A(APS-Cクロップ)
画素サイズ:4.9×4.9μm
撮像素子サイズ:23.6×15.8mm
画素数:3216×4820
露出:30秒
ショット数:121コマ
赤道儀:スカイメモSによるノータッチガイド

★ステップ①
「1ピクセルあたりの角度を求める」
f0346040_05315000.jpg
まず、撮影画像の1ピクセルがどれだけの角度に相当するのかを求めます。
上図のように、対物レンズの中心を通る光は屈折しないという原理を用いて計算すると
撮像素子の短辺方向の画角θは

  2×atan(撮像素子短辺×0.5/焦点距離) (ラジアン)
 =2×atan(15.8×0.5/212.2) (ラジアン)
 =2×atan(15.8×0.5/212.2)/3.1416×180(度)
 =4.258(度)

となります。
次に、1ピクセルあたりの画角を求めます。
メーカー公称値を見てみると、1画素のサイズよりも画素数の方が有効桁が2桁大きいので、ピクセルサイズではなく画素数を用いて計算します。
先ほどの画角を縦方向の画素数(有効画素数ではなく実画素数)で割ると

  4.258/3216(度)
 =4.258/3216 ×3600(秒)
 =4.767(秒)

これで、1ピクセルは4.767秒の画角に相当することが分かりました。


★ステップ②
ステライメージ7のバッチ処理で「D810AのRAW画像をステライメージ6で読み込めるよう加工」する
これは
 ○D810AのRAW画像はステライメージ6では読めない
 ○メトカーフコンポジットと比較明コンポジットの同時使用はステライメージ7では不可
というジレンマを回避するのが目的です。

ステライメージ7のバッチ処理で
 1.RAW画像の読み込み(ベイヤー配列のまま)
 2.トリミング処理
 3.FITSファイルに変換して書き出し
の各処理を121コマのRAWファイルに施します。

★ステップ③
 ステライメージ6で「位置合わせ無しの比較明コンポジット」を行う

ステップ②で書き出した121コマのFITSファイルをステライメージ6で比較明コンポジットし、デモザイク(ディベイヤー)処理してカラー画像に変換します。
f0346040_08255541.jpg
一見きれいなピリオディックモーションが写ったように見えますが、このままでは測定ができません。
画面の上下方向が東西に一致するように撮影しましたので、本来は「上下に振動しながら右に移動」した像が欲しいのです。
これは極軸設定の誤差により、
f0346040_08374374.jpg
このように『斜めに』像が移動してしまったことを示します。
このままでは、上下方向の振幅(ピリオディックモーションの大きさ)を測定しづらいので、メトカーフコンポジットを行います。


★ステップ④
メトカーフコンポジットに必要なパラメータを推算する

ステライメージ6.5はステライメージ7と異なり、比較明コンポジット時にメトカーフ補正を併用することが可能です。
f0346040_08594098.jpg
この機能を用いれば、比較明コンポジット時に、余計な運動のみを打ち消すように処理ができます。
f0346040_09052345.jpg
ではメトカーフ法ダイアログに入力すべきパラメータ(固有運動値)を求めてみましょう。

まず「1ピクセルの角度」はステップ①で求めました。
今回の場合は縦横とも4.767秒ですね。

次にステップ③で加工した位置合わせ無しの比較明コンポジット画像を観察します。
f0346040_12534745.jpg
121コマの露光中には、ピリオディックモーションとは別に東西方向に33ピクセルの固有運動があったことが分かります。

ここで1コマ目の露光開始時刻をEXIFから調べると2時28分14.03秒
121コマ目の露光開始時刻は3時33分34.04秒でした。
その間の時間差は3920.01秒間となります。
さらに、最後のコマの実露光時間32秒を加えると、3952.01秒間となります。

つまり、
3952.01秒間に33ピクセルの固有運動が起こったことになります。

ステップ①から1ピクセルに相当する画角は4.767秒なので、これは
33×4.767=157.311秒の移動角度となります。
したがって
1秒間あたりの移動角度
 157.311/3952.01=0.039805(秒)
1分間あたりでは
 0.039805×60=2.388319(秒)
の移動角度となります


さて、この移動は赤緯ではなく赤経方向のため、ポイント②で述べたように、値を変換する必要があります。
一般的な角度を赤経方向の角度に変換するには、15で割れば良いので
 2.388319/15=0.159221
より、1分間あたり約0.1592秒の移動速度となることが分かります。

最後に、画面の上が西であることから、上方向の位置角として90度を与えます。

★ステップ⑤
メトカーフ補正で比較明コンポジットを行う

ステップ④で求めたパラメータをセットしてメトカーフ補正付きの比較明コンポジットを実行します。
f0346040_13320894.jpg
移動方向が西→東なので移動量は負の数に設定しました。

すると・・・

ででん!!
f0346040_13405596.jpg
おお!
なんと美しいピリオディックモーション画像!
メトカーフ補正バッチリ決まったぜ♪

よし、ではさっそく測定に入りましょう・・・・いや、待った!

その前に、ポイント①の補正をせねばなりません。


★赤緯がいくらなのかによって追尾エラーは変化する

ここで、正しいピリオディックモーションを測定するため、赤緯補正の方法を考えてみます。

f0346040_14023682.jpg
天球の概念は上のようなものです。
赤道儀は、上の図の地軸を中心として東から西へ1日(恒星日)で一回転するように追尾運動しています。ピリオディックモーションは、この追尾運動の誤差です。

したがって、ピリオディックモーションの値は地軸を中心に測った値であることに注意しないといけません。

f0346040_14213481.jpg
ある特定の赤緯値を持つ天体は(日周運動によって)天の赤道上にある天体よりも『小さな円』を描きます。
f0346040_14393941.jpg
これは、それぞれの天体の赤緯値により日周運動を表す円の半径が異なることによって起こります。

ピリオディックモーションはあくまで自転軸に対する回転角(上の図のθ)に対応する値で表さないといけませんので、ここで赤緯値による補正が必要となります。

f0346040_14524772.jpg
上の図から明らかなように、天の赤道からφだけ離れた天体は、
その運動円の半径がcosφ倍になります。

したがって、その弧の長さもcosφ倍になることになり、結局
「ピリオディックモーションがcosφ倍になったように見えている」
という訳です。

つまり、赤緯値がφの天体のピリオディックモーションを実測した場合は、
測定値に1/cosφを掛けないと正しい値になりません

では、本題に戻りましょう。

★ステップ⑥
撮影天体の赤緯値補正を行う

今回撮影した天体はNGC7000北アメリカ星雲付近です。
その赤緯は約44度10分です。したがって、「1ピクセルの角度」は、ステップ①で求めた4.767秒をcos( (44+1/6)/180×3.14159 )で割ることにより

 4.767 / cos( (44+1/6)/180×3.14159 )
6.618(秒)
6.646(秒)
と修正されます。

※追記:
計算ミスしてました。ご指摘していただいたTeiKureさん、ありがとうございました!


★ステップ⑦
実測行きますよ♪


ででん!!
f0346040_15261162.jpg
これにステップ⑥で求めたパラメータを掛けると
15×6.618=約99.3秒
15×6.646=約99.7秒
振幅に直すために2で割ると
 99.3/2=約50秒
99.7/2=約50秒
※追記:
計算ミスしてました。ご指摘していただいたTeiKureさん、ありがとうございました!

★というわけでファイナルアンサー

今回の『検証ごっこ』の結果、
スカイメモSのピリオディックモーションは
±50秒
と推測されました。

うーむ。
スカイメモS、ポータブル赤道儀としては、まずまず健闘ってところか




ああ・・・疲れたけど面白かった♪

★★★お約束★★★
★今回の『検証ごっこ』では文献などを調べる作業を怠ったので、どこかに致命的なミスが潜んでいるかも知れません。
★今回の測定数値は、あくまであぷらなーと個人が保有する個体の特性をチェックしたに過ぎません。
★残念ながらオイラー変換などの『正しい』数学的処理を行う能力はすでに20年以上前に失われています。
★各種数値の見積もりを自動化するツールも多数存在しています。
★そもそも天の赤道付近の天体を撮影すれば、変な補正計算の必要はありません。


# by supernova1987a | 2018-05-14 16:15 | 機材 | Comments(20)


検索
タグ
最新の記事
記事ランキング
ファン
ブログジャンル
画像一覧
外部リンク