天体写真

『本命』の投入④

しぶしぶ固定撮影でオリオン座を撮ってファーストライトとしたD810Aですが、その翌日、1~2時間ほど晴れ間が期待できる天候になりました。

★VMC260L+D810A強行軍

北極星を探すだけでも四苦八苦するほど雲が流れてきている中、強引にセッティングを済ませました。
狙うは、当初の目的・オリオン座大星雲M42です。
流れゆく雲々が光害でオレンジ色に光っている中、短時間露光のコンポジットを画策します。

★D810A一発撮り

まずはVMC260L直焦点(3000mmF11.4)にD810Aを装着して、ISO6400の15秒露光を試みます。
『素』の性能を見るために、高感度ノイズリダクション・長秒時ノイズリダクションともに切ります。
後から加工することを考えて、WBはデイライト、アクティブDライティングは少なめ、ピクチャースタイルはニュートラルを選択しました。・・・さて、どう出ますか・・・。
『本命』の投入④_f0346040_02141564.jpg
※ビクセンVMC260L+D810A+LPS-P2フィルタ ISO6400 15秒露光 RAW一発撮り K-ASTEC改造ニューアトラクスノータッチガイド 現像はキャプチャNX-D

・・・おおお!良く写りますね!
IR改造デジカメほどではないですが、ノーマルデジカメとは全く違う写りです。

それに、『嬉しい誤算』だったのは、
なんと、素のVMC260Lがフルサイズでも結構使い物になることが分かったことです。
・・・ううむ。これ、VMC200とは基本設計が異なるんでしょうかね。変形マクストフカセグレンのくせに意外なほど画像が平坦で、致命的な像の流れも見えません。しかも周辺減光がごくわずかです。もちろん、よく見るとサジッタル方向(円周方向)に周辺星像が流れていたり、再周辺部では十文字形に星像が変形していたりします。しかし、そもそもVMCは写真用ではなく眼視用の鏡筒のハズ。VMC260Lは他のVMCシリーズと根本的に何かが違いますね・・・これ、写真鏡としてもっと宣伝しても良いのでは??。(もちろん、レデューサを用いてAPS-Cで撮るのがベストなようですが)

★「やっつけ仕事」でコンポジット!

得意の短時間露光コンポジットを試みてみます。
ただし、IR改造D5000で用いていた複雑な現像処理はパスします。
なにしろキャプチャーNX2とステライメージ6がD810Aに対応していないので処理できないのです。仕方なく、キャプチャーNX-Dでトーン修正とノイズリダクションをバッチ処理してTIFFファイルを吐き出させ、それをステライメージに突っ込みます。

・・・・さて、うまくいきますでしょうか?

『本命』の投入④_f0346040_02295363.jpg
※ISO6400 15秒露光の40コマコンポジット キャプチャNX-Dで現像+ノイズ低減したものを ステライメージでコンポジット+デジタル現像+トーン修正

すばらしいっ!!

・・・なんというか、「無理」がありません。
改造デジカメと異なり、『好みの色』を出しやすいのは、一般撮影も視野に入れたD810Aならではですね。

もちろん、以前IR改造D5000で撮影したM42ほどの「スゴみ」はありませんが、昔懐かしいフィルム撮影のような色。
・・・うーん。この色なんですよねぇ、欲しかったのは♪

★M42の『記憶色』

オリオン座大星雲はじめ散光星雲が発するHα線は可視光の赤の中でもかなり赤外線寄りの「赤黒い光」なので、肉眼ではその色は分かりません。
それなのに自分の中にはオリオン座大星雲について、いわゆる『記憶色』があります。

思いかえせば、アマチュアの天体望遠鏡でも星雲の撮影ができるということを初めて知ったのは、小学6年生の時に買った藤井旭氏の「星雲星団ガイドブック」でした。毎日のように読みふけってボロボロにし、ついに2冊目を買ったほどに没頭した本です。そこに掲載されたM42の「もの凄く綺麗なピンク色」に衝撃を受けて以来、その色が『記憶色』として脳内にすり込まれていたようです。

以来、オリオン座大星雲の色を出すための試行が始まるのですが・・・
  中学の頃のSR400では感度が足りず、そもそも写らない
  高校の頃のGX3200では赤茶けた発色となり、粒子もボロボロ
  社会人になってからのデジタル一眼では青紫にしか写らない
  近年のIR改造デジカメでは真っ赤に写ってしまう
・・・・まあ、レタッチ次第である程度色の操作は可能なのですが、階調と色を両立させるのは難しいわけです。

その点、D810Aは少しレベルをいじるだけで、この『記憶色』が出てしまいます。
あまりにも色が綺麗なので、今後使い方をさらに考えないといけませんねぇ。


★覚え書き★

・・・それにしても、キャプチャーNX-DのRAW現像は遅すぎます。しかも、しばしば「落ち」ます。
これは早々にステライメージ7に行くか、本家のシルキーピクス(キャプチャーNX-D、どう見てもシルキーの改造版ですよね?)に行くか決めないといけませんね。
さて、色々と試行錯誤した結果分かったことをメモ。ベテランの方には常識かも?

①ステライメージのコンポジットがあまりにも重い時
 →環境設定でキャッシュファイルをSSD上に移してやると劇的に速くなりました♪

②キャプチャNX-Dが重すぎる原因の一つは
 →デフォルトで「ノイズリダクション2013」がかかってしまうことのようです。
  これを切ると劇的に速くなりました♪


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by supernova1987a | 2016-01-13 06:09 | 天体写真 | Comments(0)

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