機材

ASI174MC-COOLで木星撮影

★本来冷却CMOSカメラは・・・

本格的な冷却CCDカメラと比べ、驚くほど安価なZWOの冷却CMOSカメラASI174MC-COOLですが、本来はワンショットカラー撮像で惑星写真を撮影するためのカメラなのでしょうね。あくまで「星雲『も』撮れますよ」的な・・・・。がんばって冷却しても一向に消えないアンプノイズとか色々見ていると、そう感じます。

・・・というわけで、
今回は、惑星のテスト撮影、行ってみましょう♪

★まずは接続方法を試行錯誤

ASI174MC-COOLは、これまで使っていたイメージングソース社のCCDカメラDFK21AU618.ASと比べて、画素数が多くチップサイズも大きいです。

●DFK21AU618.AS
 ピクセルサイズ:約11.2μm
 有効画素数:約30万画素
 チップサイズ:約6.3mm
●ASI174MC-COOL 
 ピクセルサイズ:約5.9μm
 有効画素数:約230万画素
 チップサイズ:約13mm

チップ全面をつかって撮像するとコマ落ちがひどそうなので、欲張らずに800×600ピクセルあたりでトリミング出力するとして、
そこそこの大きさに写すためにバーローレンズをかますことにします。
また、視野中心に木星を導入するためにレチクル付きのアイピースとフリップミラーで切り替えることができるようにします。

★まずは、こんな構成に♪
ASI174MC-COOLで木星撮影_f0346040_22102136.jpg
・ビクセンのフリップミラー
・BORGのTネジ→36.4mm変換リング(7423)×2個
・BORGの直進ヘリコイドS(7315)
・BORGの31.7ミリアイピースホルダー(7317)
・笠井のTリング延長筒
・笠井のアイピースCH-SWA20mm
・笠井の高輝度暗視野照明装置
・笠井のFMC3枚玉2.5×ショートバロー

を組み合わせたものをVMC260Lに接続し、ASI174MC-COOLを装着します。
この組み合わせでアイピース、カメラともにピントがきます。


★テスト撮影・・・のハズが

なんということでしょう。春だというのに、シーイングが悪いです。アイピースで木星を見ても「クラゲのように」ゆらゆらしています。
・・・これ絶対にボケボケの木星しか撮れないですよねぇ・・・(涙)

しかし今日を逃すと、当面休みは取れないので、強引に撮影してみます。
とりあえずゲインを200にして露光は約1/100秒でフレームレート30コマ/秒で、動画撮像してみました。


★元データの1コマ切り出し

SharpCapでRGB24のAVIファイル出力をしてみると、こんな感じです
ASI174MC-COOLで木星撮影_f0346040_22290577.jpg
 ※VMC260L+笠井2.5倍バーロー+ASI174MC-COOL(-15℃まで冷却)

ああ、なんか『懐かしい』木星像です。
そうそう、フィルム時代の私は確かこんなのしか撮れませんでした。

★レジスタックスで画像処理

次に、比較的質が良さそうなコマ100コマをレジスタックスでスタックさせ、ウエーブレット処理と色ずれ補正をしてみました。
ASI174MC-COOLで木星撮影_f0346040_22325756.jpg
 ※上記画像の100コマスタック+ウエーブレット処理

おお!
意外に良いではないですか♪

それになんだかDFK21AU618.ASよりも色々と「楽」でした。
ええ、撮像も画像処理も「変な挙動」が起きにくいというか、なんか素直な感じがします。

というわけでASI174MC-COOL、ちゃんと惑星撮影にも使えそうですね♪



Commented by piachan7 at 2016-03-29 03:10
模様がくっきり。
しかもとぐろを巻いている模様まで見える。
凄いですね。
天体写真撮りのお供したいです!
近くだったら良かったのに(TOT)
こんな綺麗な写真・・・見てるだけで幸せになる
Commented by supernova1987a at 2016-04-01 23:06
> piachan7さん

そうそう、木星はこのトグロ巻いてるのが面白いんですよぉ。
ご近所さんなら、星とかお花とか、ご一緒できますのにね。
残念。

Commented by オヤジ at 2016-10-01 15:15 x
惑星の撮影もしてみたいと思い、Blog内、ウロチョロしてます。
>視野中心に木星を導入するためにレチクル付きのアイピースとフリップミラーで切り替えることができるようにします。
これって、普通に星雲を撮る機材でも大丈夫ですよね。
天気が悪いので、鏡筒を空に向けることも出来てませんが。
少しづつ、テストしたいと思います。
Commented by supernova1987a at 2016-10-03 20:48
> オヤジさん
ええ、基本的には大丈夫です。ただし、惑星は小さいのでバーローレンズやアイピースで拡大してやるか、チップサイズが小さなCCDやCMOSを用いる必要があります。また、画角が極端に狭くなるので、なかなか写野に惑星が入りません。フリップミラーで眼視確認できる工夫は必須ですね。色々とアレンジしてみてください。

あ!そうそう、惑星の場合、振動の影響を『ものすごく』受けますので、ご注意を♪
Commented by オヤジ at 2016-10-04 11:34 x
色々、難しい問題が有るんですね。(汗)
どうも、ありがとうございました。
Commented by やそはち at 2023-11-15 10:06 x
アクロマートの色について調べてるうちにあぷらなーとさんのブログに辿り着きました。
子供に買った8cmアクロマートの望遠鏡がきっかけで最近初めて望遠鏡に触りCMOSカメラも買ってみて木星を撮影したのですが、木星が白地にピンクの帯をまとったチュッパチャプスのように写ってしまいます。普段禍々しい木星がかわいくなるのはいいのですが、やはり本来の禍々しい色も見てみたいです。
単に撮影時の色の設定が悪いのか、それともあくろまーとさんの星雲フィルター撮影のように惑星撮影でも何らかの方法でアクロマートの短所を克服出来るものなのでしょうか…?
Commented by supernova1987a at 2023-11-19 07:51
> やそはちさん
コメントありがとうございます。
私は惑星撮影に関しては反射系の望遠鏡しか使っていないため、アクロマートでの撮影についてはよく分かりません。
色収差に関してはデュアルナローバンド系フィルタの併用で解消しますが、その場合、白・黒・赤・シアン以外の色表現が不可能となりますので、本体の白色と縞模様の茶色を再現するのは困難かも知れません。ただし、色の再現性を無視した場合は濃淡に関してシャープになることは間違いないと思います。

※星雲については「元々赤とシアンのみで光っている」点を利用しています。
Commented by やそはち at 2023-11-20 01:06 x
あぷらなーとさん、初心者の不躾な質問に返信頂きありがとうございます。
調べてみたら、3色バラして撮影して色ごとのピントが違って大きさ違いになる分は大きさを修正してから再度合成などの方法も見つけられましたが、フィルター一発とか何らかの設定調整で一度で楽に上手くやるなどは無理そうな感じですね。
星雲は赤とシアンのみというのもはじめて知りました、色々と深い分野ですね。赤とシアンだけだと色数が少ないように思えますが、写真を見ると白や多様な色になるものなんですね。
子供が望遠鏡を楽しんで使えるように導いてやれればと思ったのですが私自身がつまづきだらけで、星や銀河を思い通りに愛でるには知識もお金も遥かな道のりと途方にくれかけてますw。
Commented by supernova1987a at 2023-11-23 21:03
> やそはちさん
アクロマート好きの私としては、アクロマートで天体写真にチャレンジする方が増えるのが嬉しくてたまりません。ぜひ、いろいろと試行錯誤を楽しんでみてください。

なお(本来は色収差ボケボケの)アクロマートで、なぜ星雲が鮮明に写せるのかについては
①ブログなら
 https://apranat.exblog.jp/fp/ac1/
②星ナビの記事なら
 2022年2月号
③サイトロンさんのCP+2022セミナーなら
 https://www.youtube.com/watch?v=Zo6UrdH_9U0&list=PLhQN9Omuke-JyRZaWl2SkoW_-Ad_twrAn&index=2
あたりで、色々なアプローチで解説を試みていますので、お暇なときにご覧ください。
※赤とシアンだけでも不自然でない色になる理由も上記の③で説明をしています♪
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by supernova1987a | 2016-03-21 22:38 | 機材 | Comments(9)

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