「検証ごっこ」第4弾です♪
ZWOの冷却CMOSカメラASI1600MC-COOLについて、
「短時間+多数枚コンポ VS 長時間+少数枚コンポ」 ですが、
今回は、別な視点から見てみます。
★総露光時間が同じなら良い?
いえ、色々と他の要素が絡んでくるので、一概にそうとも言えないようです。
<短時間露光のメリット>
①高輝度画像がサチらない(飽和しない)
低輝度データは加算で救えますが、一度サチったデータは救えません。
②ガイドミスのリスクが少ない(ノータッチガイドでも可)
オートガイドしないなら、唯一の選択肢になります。
③何枚重ねるかで後から露出を加減できる(加算できる)
前回の「検証ごっこ」で短時間露光コマを加算すると
長時間露光コマに匹敵することが分かりました。
④ディザリング(もしくはそれに類した)効果を出しやすい
ノータッチガイドだと『勝手にディザリング』状態になり
ノイズが消えちゃいます。
⑤とにかく、手抜き撮影に最適(これ、重要)
まず失敗しませんので・・・楽ちんです。
<短時間露光のデメリット>
①撮影データが膨大になる。
もしD810Aを現像してFITSにした日には、100コマ画像が
実に『83GB』にもなっちゃいます。
②いくらなんでも限度というものがありそう。
1秒露光の3600コマコンポジットとかは非現実的っぽい。
(データ量と処理時間の面で)
③処理時間が多くかかる。
今回の「検証ごっこ」は、この点に注目してみます
★基本的なワークフローについて
①ASI1600MC-COOLのRAWデータをFITS形式で記録する
②あらかじめ準備したダークファイルを減算してベイヤーのまま保存
③消し切れていないホット&ダークピクセルなどを除去処理する
④デモザイク(ディベイヤー)してRGB化する
⑤加算コンポジットを行う
⑥レベル調整を行う
⑦デジタル現像を行う
⑧その他、モロモロの処理を施す
このうち、撮像枚数が処理時間に関係するのは、②~⑤の工程です。
では、先日自作した新PC(Core i5-6600 3.3GHz メモリ16GB)を使用しておよその処理時間を計ってみましょう。
★工程②に要する時間
ダーク減算+ベイヤー保存に要するおよその作業時間を測定してみました。40コマのASI1600MC-COOLのビニングなしRAWデータからダークを引いて、ベイヤーデータのままFITS保存するのに要する時間は
ステライメージ6.5:33.5秒
ステライメージ7.1:70.5秒
でした。
★工程③④に要する時間
40コマのダーク減算済ベイヤーデータからホット&クールピクセル除去を行い、デモザイク処理してRGBデータをFITS保存するのに要する時間は
ステライメージ6.5:576秒
ステライメージ7.1:746秒
でした。
ちなみに、ホット&クールピクセル除去フィルタ処理をせず、
デモザイクのみ(行程④のみ)なら
ステライメージ6.5:78.5秒
ステライメージ7.1:82.7秒
でした。急ぐときは、断然こっちの処理ですね。
★工程⑤に要する時間
40コマのデモザイク済みRGBデータを位置合わせし、加算平均コンポジットするのに要する時間は
ステライメージ6.5:17.5秒
ステライメージ7.1:260秒
でした。ミスタイプではなくホントに15倍かかります。
・・・ええと、D810AのRAW現像ができないにも関わらず未だにステライメージの6が捨てられないのは、⑤のコンポジット処理の『圧倒的な速さ』なのですね。
これは、コンポジットの位置合わせに関してその仕様が全く異なるからです。
ステライメージ7で最速コンポジットをやろうとすると、
(1)40枚の画像を全てを開きます
(2)そのうちの1枚に基準星マークを入れます
(3)バッチメニューから基準星指定を実行します
(4)バッチメニューからコンポジットを実行します
ちなみに、40枚全てをロードするのでメモリも10Gほど食います
これが、ステライメージ6だと・・・
(1)代表として1枚だけ画像を開きます
(2)基準星マークを入れます
(3)バッチメニューからコンポジットを実行します
ちなみに、7と同じ操作も可能ですが、6のコンポジットには「自動で読み込みながら順次位置合わせ」してコンポジットしてくれる機能があり、圧倒的に高速な上にメモリもほとんど食いません。
★40枚の総処理時間は・・・
その1:ホット&クール除去フィルタを使う場合
ステライメージ6.5:627秒
ステライメージ7.1:1077秒
その2:ホット&クール除去しない場合
ステライメージ6.5:130秒
ステライメージ7.1:413秒
★ということは1枚あたり・・・
その1:ホット&クール除去フィルタを使う場合
ステライメージ6.5:15.7秒
ステライメージ7.1:26.9秒
その2:ホット&クール除去しない場合
ステライメージ6.5:3.23秒
ステライメージ7.1:10.3秒
が、それぞれかかる処理時間ということになりますね。
★・・・というわけで
15秒露光×40コマでも、30秒露光×20コマでも、60秒露光×10コマでも、撮影に要する時間は同じですが、その画像処理時間は、枚数に比例して多くなっていきます。今回の『検証ごっこ』では
ステライメージ6を用いた場合で
15秒露光×40コマコンポジット:130~627秒
30秒露光×20コマコンポジット: 65~314秒
60秒露光×10コマコンポジット: 33~157秒
ステライメージ7を用いた場合で
15秒露光×40コマコンポジット:413~1077秒
30秒露光×20コマコンポジット:207~538秒
60秒露光×10コマコンポジット:103~269秒
がそれぞれ最低限必要であることが分かりました。
たとえ400コマコンポジットをする場合でも、ステライメージ6.5で、しかもホット$クール除去フィルタを使わなければ、ものの20分で終わっちゃいますので、どうでも良いことかもしれませんが・・・・・。
ただし、これがデジタル一眼の場合には、事態は深刻です。ステライメージでダーク減算するために、まずRAWファイルをFITSに変換する必要がありますし、とにかくNEFファイルに対する動作は恐ろしく遅いので、以前D810Aで撮影した干潟星雲のRAW画像400コマを処理しようとしたときには、まだPCを作り直す前でメモリ3GBだったこともあり、丸1日を費やしても無理でした。結局あきらめて、JPEGからの処理に切り替えました。ASI1600MC-COOLの最大のメリットは、RAWファイルがいきなりFITSであることかもしれませんね。
★文字ばかりが続いたので
今回の「検証ごっこ」で、前回M33の画像処理に用いた60秒露光のコマ60コマ分に加えて、15秒露光×50コマと30秒露光×25コマも処理したので、合わせてコンポジットしてみました。
合計135コマのコンポジットとなります。以前の物よりさらに少しだけ良くなったかな??

お恥ずかしながら、さそり座の『カラフルタウン』など、我が銀河系内の分子雲・いわゆる『モクモク』すら写したことが無いのに、ご近所の銀河の『モクモク』を先にゲットできるとは想定外でした。
それにしても、初心者の方は、まさかコレ↓が元画像だとは思いもしないでしょうね。

うーむ。まさに、デジタルマジック♪
★★お約束★★
本記事のデータは、あくまでも検証『ごっこ』です。
私あぷらなーとの頭からは、すでに「有効桁」とか「シグマ」とかの概念は蒸発しています。したがって、数値は精度を保証する物では無く、根本的に何かを勘違いしている可能性も大いにあり得ます。あくまでもネタとしてお楽しみください。
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-25612712"
hx-vals='{"url":"https:\/\/apranat.exblog.jp\/25612712\/","__csrf_value":"13dcdd24e76f4e1ac3711a5920f9eeb23f18a077f0307b9fa3620ebb9a4ecd3f226584c124f23473d0a52aec465be93a40f8477e6061b59c7a3958623021f92c"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">