機材

サンニッパと冷却CMOSカメラ

★やりたかったこと
ZWOの冷却CMOSカメラ ASI1600MC-COOLですが、マイクロフォーサーズフォーマットという巨大なチップなため、ぜひやってみたかったのが、望遠鏡ではなくカメラ用のレンズで天体写真を撮ってみるということ。F値明るいですしね♪
・・・というわけで、かねてから用意していた ニコンF→マイクロフォーサーズ→ASI1600MC-COOL アダプタの出番がやってきました。
どうせなので、大本命レンズ ニコンのサンニッパ(300mmF2.8)を使ってみます。

★今回はアトラクスではなく
赤道儀は最近K-ASTEC改造Newアトラクスばかりを使っていたのですが、ポールマスターのテストも兼ねてEQ6PROを使ってみます。
撮影対象は、『お約束』のM31とM42です!

★雲の妨害と格闘
・・・・・が、赤道儀を据え付けた辺りから「嫌がらせのように」北の空から雲がどきません。せっかくのポールマスターの画面も雲しか写らず、時折顔を見せる北極星もすぐに隠れてしまうという状況で、極軸合わせにまさかの90分もかかってしまいました。この時点で早3:00過ぎ。もたもたしていると薄明が始まってしまいます。
外気温が低かったのでASI1600MC-COOLを-15℃まで冷却して、アルフェラッツ(アンドロメダ座α星)を使って1点アライメント+ピント合わせを行いM31を導入。
いざ撮像開始!・・・と思ったら、曇りました(泣)。
西から天頂にかけてワラワラと雲が流れてきているうちにM31は電線に架かってしまいボツ。
作戦を変更して、オリオン座大星雲M42に向け直します。
・・・・が、今度は東から南にかけてモクモクと雲が流れてきます。

★薄明との格闘
イライラしているうちに4:30を過ぎてしまいました。たしか今日の天文薄明は4:00過ぎのハズ。
市街地からのニワトリなので、まだ肉眼では薄明を感じませんが、これ、絶対に背景真っ青になっちゃうパターンです。
そんな中、オートガイダーがキャリブレーションエラー。ああ!と思ったらノートパソコンがバッテリー切れ。
もう絶体絶命・・・・。
諦めきれないので、急遽外部電源から給電してノートPCを復活させ、EQ6PROはノータッチガイドに変更。
露光も10秒まで切り詰めて、「やっつけ撮影」に切り替えです。

★撮れはしましたが・・・
なんとか撮れた画像は、撮って出しだとこんな感じです。
サンニッパと冷却CMOSカメラ_f0346040_10292549.jpg
※ニコンAF-S300mmF2.8 絞り開放 LPS-D1フィルタ併用
ASI1600MC-COOL ゲイン400 露光10秒 RAW
EQ6PROでノータッチガイド
ステライメージ6.5でデモザイク(ダークファイル減算なし。色補正なし。)
トリミングあり

・・・なんか、完全にアウトですねぇ。薄明に襲われてしまえば、もはや光害どころの騒ぎではありません。(フィルタが無力化されちゃうので)
でも、まあ、M42本体は一応しっかりと写っていることですし、ここは『デジタルマジック』に期待してダメ元で処理してみましょう。


★画像処理で『後から』がんばってみる
撮像した画像の内雲が写っていなかったコマ42コマを下ごしらえします。
どうせ薄明の影響でボロボロでしょうから、ダークファイルも引きません。
気休め程度にステライメージでホット・クールピクセル除去フィルタをかけた後デモザイク。
それに2×2ソフトビニングをかけてからコンポジットし、大気差を補正したり、デジタル現像したり、トーンをいじったりしてみます。

・・・えいっ!!
サンニッパと冷却CMOSカメラ_f0346040_10382600.jpg
おお。意外や意外!
こ、こんな劣悪環境下でも・・・け、結構良い感じでは♪
ダークもフラットも無く、薄明中なのに、M42とM43はもちろんのこと『ランニングマン』(NGC1977)もくっきり鮮やか♪
お恥ずかしながらランニングマン、きれいに写せたの「初めて」です。(天文歴30年以上のクセに、ちっとも釣果が上がらなかったもので・・・)
しかし、近年VMC260Lでドアップにした「おどろおどろしい感じ」のM42(↓こんなん)しか撮ってなかったので、定番構図で撮るとホッとしますね♪
サンニッパと冷却CMOSカメラ_f0346040_21355244.jpeg
 ※VMC260L+ASI1600MC-COOLで先日撮影したM42のどアップ



・・・・・うーむ。
ともあれ、やはりASI1600MC-COOL、かなり『できる子』ですねぇ。

あれ?・・・そういえば今回の写真、どのコマ見てもシマシマノイズが見当たらない・・・・あれ一体なんだったんだんだろう??
あ!・・・また無意識のうちにhighspeedmodeをOFFにしてた・・・けれど、けむけむさんの検証実験では「シロ」と判明したしなあ?
なんか、他に気づいていない要因がありそうな気配・・・。
結局今回も、ゲインの比較、露光の比較、シマシマノイズの原因、オートガイドのリトライ・・などなど、やりたかった『検証ごっこ』はできずじまい(泣)。


★GPV予報を見ていると・・・
・・・ん???

今夜は夜半、雲量ゼロ予報ですと??
え、遠征、・・・行って・・・みようかなあ??


Commented by けむけむ at 2016-08-30 11:07
こんなに青いのを黒くしちゃうとは…
まさに、黒魔術…
Commented by オヤジ at 2016-08-30 11:11
ブルーの撮って出しが、こんな風になるんですか。!
情報は蓄積されているんですね。
凄いです。
Commented by supernova1987a at 2016-08-30 11:18
> けむけむさん
れ、レス早っ!
いやはや、今回は悪条件下でのASI1600MC-COOLの底力を見たような気がします。これ、逆に言えば薄明程度の光害があってもメジャー天体は平気で写せるってことですよねぇ。なんか「星雲・見える見える詐欺」みたい。・・・『黒魔術』恐ろしいですねぇ。
Commented by supernova1987a at 2016-08-30 11:22
> オヤジさん
ああ、オヤジさんも光速レスですね。
1枚画像では見えて無くても密かにデータが載っているのでコンポジットすれば炙り出せるということでしょうね。もっとも、M42の中心部はF2.8ゲイン400の10秒露光で完全に飽和していたのでどう弄っても救済は不可能でした。ゲインを下げるか露光を切り詰めるかで多段階露光の必要がありそうですね。(・・・となるといっそのこと全部短時間露光で逃げた方が良いかもなどと邪推しちゃうのですが、検証できてません。)
Commented by にゃあ at 2016-08-30 23:47
すごいマジックですね!短時間露光でも数重ねれば、青い空もdeep skyになるということでしょうか。私は一枚ものですが、月明かりで撮って諦めた青いカットあるので、どこまでいけるのか試してみたいと思います!
Commented by オヤジ at 2016-08-31 02:08
昼間は、コメント沢山ありがとうございました。
お蔭様で、今夜は赤も出てくれましたので、ホッとしました。
Fitsファイルをステアイメージ7にドラッグして、ベイヤーRGBの設定は、
1)手動
2)『GRBG』型
を選択して、赤もでるようになりました。
タイミングで設定が替わってしまうので確認しながらコンポジットへ移ります。
ありがとうございました。
Commented by けむけむ at 2016-08-31 04:02
シマシマですが、HighSpeedModeパラメタとは関係ないようで、今回もHighSpeedMode=Offで撮影しましたが、M16にシマシマ出てます。
そのシマシマですが、強烈に炙ってない http://lqz.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2016/08/29/m17.jpg では目立ちませんが、派手派手盛り盛りな http://lqz.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2016/08/30/m17_2.jpg には、ハッキリ・クッキリと出てます。画像処理によって 沸いてくる or 目立ちたがる 邪なシマシマな気がしてきました。
派手派手盛り盛りは、RGBのTiffをコピって2枚にして、片方はモノクロ化した後、レベルいじりまくり、もう一枚はRGBのまま彩度いじりまくりした後、2枚を yimg でLRGB合成してあります。
この手順のどっかで邪な効果があるのかも知れません。
Commented by supernova1987a at 2016-08-31 11:55
> にゃあさん
デジタルの威力ですね。フィルム時代には考えられないことです。普通のデジカメでもこういうことができますが、冷却CMOSカメラの場合(冷却のおかげで)元々のノイズが少ないので画像処理が楽ですね。あ!sharpcapのバージョンを2.9にしてみたら、先日来発生していた不具合(撮像処理が勝手に止まる)が皆無になりました。貴重な情報、ありがとうございました♪
Commented by supernova1987a at 2016-08-31 12:00
> オヤジさん
おお!上手くいきましたか。おめでとうございます♪
実は、私もちょくちょくやらかすのです。特にD5000とかのデジカメのRAW現像をやった後にパラメータ設定がそのまま残っている場合など・・・・。ちなみに、今、私の個体では昼間の草木を撮影するとなぜか色がとても薄くなってしまって、まるでセピア調のようになってしまうという怪現象に襲われ、頭を抱えています。天体はちゃんと写るので別にいいのですが、なんだか釈然としません。
Commented by supernova1987a at 2016-08-31 12:09
> けむけむさん
やはりhighspeedmode疑惑は『シロ』ですね。私も色々やってみましたが、差異が見られません。やはり淡い天体をあぶり出すと多かれ少なかれ出ちゃうということでしょうね。『派手派手盛り盛り』面白そうですね。私がステライメージでやってるLRGB分解再合成の流れよりも強力な処理のようですので、微弱なノイズも強調されているのかもしれませんね。
ところで、フラット補正はシマシマノイズ退治に効きますか?!
Commented by けむけむ at 2016-08-31 14:53
フラット補正ではシマシマは除去できません。今夜0時解禁記事に書いてますが、派手派手盛り盛りは消したはずのフラットが壁から出てくる黒猫のように湧いてきて恐怖する手法です(話も盛り過ぎ...)
盛り過ぎるとシマシマが分かるようになるってのが正体かも激しく派手派手盛り盛りしないとシマシマに遭遇せずに済むようです。
と、ASi1600MC-Coolで風景撮影して木々の緑がセピアになる件ですが、ガンマ補正をゴニョゴニョすると改善するようです。
Commented by supernova1987a at 2016-09-01 22:36
> けむけむさん
え、フラット補正でもダメなんですか。残念。期待していたのに。おお、セピア現象はガンマ補正で調整できるんですか!これは思いもしませんでした。今度試してみます。
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by supernova1987a | 2016-08-30 10:57 | 機材 | Comments(12)

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