天体写真

ASI1600MC-COOLの謎⑤


★ASI1600MC-COOLの謎、再燃

いやもうホント、けむけむさん はじめ 皆さんには「ごめんなさい」としか言いようが・・・・。

先日来、他のユーザーさんと協力して、色んな謎を解き明かしているのですが、そのなかで「解決済み」扱いした課題がありました。
「HighSpeedMode」の『謎』、です。
一応、マニュアルや本家のサイトなどを色々と調べてみて

「HighSpeedMode」は、高速データ転送を優先するために、ADCを12ビットから10ビットに落として撮影するモードである

と結論づけたのですが、なんとなく、
「え~?・・・ホントに階調が1/4にまで落ちているかぁ?」
という疑念があって・・・・こりゃ、早く真面目にテストしてみないと、けむけむさんの「力作マニュアル」に汚点を残すことになるではないか!
・・・というわけで、早速やってみた。


★同等の条件でサクッと比較するための簡易テスト

いつまで待っても晴れそうにないので、もう、室内撮影でデータ取ることにしました。
ASI1600MC-COOLの謎⑤_f0346040_00303813.jpg
ASI1600MC-COOLにニコンGレンズ→マイクロフォーサーズ変換アダプタを通して、マイクロニッコール60mmを装着。
モニタにグラデーションを表示して、これを撮像するという作戦。これなら、すぐにパラメータを変えられます。

なお、変なノイズの影響を極力排除するため、冷却+短時間露光の組み合わせで行きます。

<撮像データ>
Debayer Preview=Off
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
Colour Space=RAW16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode= <ON /OFF> ←ここだけを変えて『対照実験』してみます
Turbo USB=80
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=400
Exposure=0.0017
Timestamp Frames=Off
White Bal (B)=50 ← RGBの強度を補正せず、素のデータを取ります
White Bal (R)=50 ← RGBの強度を補正せず、素のデータを取ります
Brightness=1
Gamma=81
Temperature=-9.8
Target Temperature=-10
Cooler=On

<データ解析>
Delphiでコーディングした自前のFITS分析(というほどでもないけど)プログラムを使います。
もちろん「エンディアン」「FITSの規定」「補数表現」の三大モンスター(バグ)は退治済みです。

★輝度分布グラフの比較
<HighSpeedMode:OFF>
ASI1600MC-COOLの謎⑤_f0346040_01255409.jpg
すごい!前回出ていた『変な群』がほとんどない!!さすが冷却+短時間露光
カラーバランスの補正も切ったことになるので、RとBはほぼ一致。Gが高いのは想定内(画素数が他の色の2倍あるのでカウント数も2倍あって当たり前)。
さて、「ON」にすると・・・・

<HighSpeedMode:ON>
ASI1600MC-COOLの謎⑤_f0346040_01262366.jpg
なぬ?
あれれ?????
ほとんど何も変わらない!!

いや、あの・・・そんなハズは・・・・。
よし、生き残っているデータのビット数を推定するため、有効な階調数を解析してみる!

★輝度分布を超拡大してみる
先ほどの輝度分布データを超拡大して、輝度データの隙間がどう変わっているか見てみます
ASI1600MC-COOLの謎⑤_f0346040_01462853.jpg
うぐぅ・・・
こ、これは、『全く同じ』と言って良いのでは・・・・。
まるで同じ輝度値のところにカウントが来ています。

えーい。
ではでは、相関関係はどうなのだ?!


★輝度値とデータ間隔の相関比較

<HighSpeedMode:OFF>
ASI1600MC-COOLの謎⑤_f0346040_02035620.jpg
ああ、やっぱりノイズが少ないと、美しい相関が現れますね。恐らくはトーンのガンマ通りかと。

<HighSpeedMode:ON>
ASI1600MC-COOLの謎⑤_f0346040_02053007.jpg
げげっ・・・。

ま、全くもって同じ・・・です。
そ、・・・そんなハズは・・・・。
え・・と、ちょっと待って!

・・・ヒットしたピクセルがゼロのデータを削除して、残った輝度数を数えてみるのだっ!!

<HighSpeedMode:OFF>

データ数:4096個
 = 12ビット理論値ピッタリ

<HighSpeedMode:ON>

データ数:・・・4096個(えっ?)
 = 12ビット理論値ピッタリ(ええ~!)


・・・・ということは・・・・


★前言撤回(涙)
今回の検証実験の結果

16ビットFITSに出力する場合において、
HighSpeedModeパラメータはONでもOFFでも
『全く』差がないらしい

ことが検証・・・・されちゃいました。


ううう。じゃあ、・・・じゃあ、あの、マニュアルとかに書かれてた
「HighSpeedModeをONにするとADCは10ビットで駆動する」
とか
「スピードを優先しない場合は、OFFにすべし」
とか、の文言は一体なんだったんだ~???

ん?ひょっとして、これ、
8ビット出力の場合限定のお話だった、なんてオチじゃ・・・・・??

ともかく、皆様、お騒がせしてごめんなさい・・・でした。


★気を取り直して、別な『謎』に・・・・

次回は、『MMだけでなくMCも赤外線通すんじゃね?』疑惑、行ってみます。

★★★以下続きます★★★



Commented by けむけむ at 2016-10-05 20:11
検証ご苦労様です。
First Step Guide ( //lqz.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/asi1600mc-coo-4.html )は、修正しておきました。
『HighSpeedMode = { On | Off } で出力されるデータに差はないようです。』
な~んて、楽しい表記をしておきました。
Commented by supernova1987a at 2016-10-06 07:53
> けむけむさん
早速の改定、お疲れさまです。
やはり実写に勝る検証は有りませんね。
今回は真面目にチェックしたのでhighspeedmode:ONでも12bitの階調が残っているのは確実です。
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by supernova1987a | 2016-10-05 05:36 | 天体写真 | Comments(2)

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