天体写真

縮緬ノイズ除去に向けて

★『縮緬ノイズ』のジレンマ
天体写真の画像処理で多数枚コンポジットを行った場合に現れる厄介なノイズに『縮緬ノイズ』があります。
例えば、次の写真は昨年にVMC260LとIR改造D5000で撮影したみずがめ座のらせん星雲NGC7293ですが・・・

縮緬ノイズ除去に向けて_f0346040_02290934.jpg
一見良く写っているように見えて、拡大してみると・・・・・・

縮緬ノイズ除去に向けて_f0346040_02294138.jpg
縮緬状(・・・というかあまりに酷すぎて、もう刷毛状ですね)のノイズがあるのが分かります。
ちなみにこの写真はノータッチガイドで撮影した画像を194枚コンポジットしたものですが、ガイドズレをコンポジット時に修正した結果、本来輝点や暗点になる点状のノイズが流れて刷毛状になったものと思われます。かといって、精密にガイドすれば点状のノイズが出るわけですから、どうにもなりません。

もちろん、根本解決法は、十分な冷却処理や精密なダークファイル除去、そして丁寧なフラット処理などなのでしょうが、対処療法的に改善策はないかと模索中です。

★色々とシミュレーションしていて・・・
ふと縮緬ノイズ除去の妙案が浮かんだので、実践してみようと待ち構えていたのですが、どうも天候と休日が合いません。・・・とか言っている内に月が明るくなってしまいました(泣)。そういえば、この『妙案』の要素を取り入れつつ、夏に撮影していたさんかく座のM33の画像データを再処理してみることにしました。

・・・・とか言いつつ、最近Delphiでの『ソフト開発ごっこ』や『画像解析ごっこ』ばかりやっていて天体画像を触っていなかったので、勘が鈍らないように、たまには画像処理してみよう・・・というのが本音ですが。

★枚数の多さは正義??
今回再処理する撮影データはVMC260L+レデューサにASI1600MC-COOLで撮像したもので、露光15秒から60秒まで織り交ぜ、総画像枚数420枚のコンポジットです。方針として今回は、ノイズを悪化させずに、とにかく点在する赤い星雲を炙り出すことを主眼に処理を施してみました。途中で前述の『秘策』なるものを混ぜてあります。

・・・で、どうだ??

縮緬ノイズ除去に向けて_f0346040_03583130.jpg

うーん、
かろうじて自己ベストのM33にはなりましたが、ところどころ暗部の階調が破綻してます。この素材ではこれが限界かなあ・・・。

え?『秘策』の詳細は?・・・ですか。
いや、あの・・・これは本来これは撮影時に施すものでして、今回はたまたま条件に合ったコマを用いただけなのです。
なので、まだ内緒です。撮影時にきちんと実施したら結果報告することにします。

PS
Delphiでの『開発ごっこ』ただいま座礁中(笑)。
ううう、何なんだこの「FireMonkey」っていう、これまでVCLで培ってきた直感を全否定するようなフレームワークは・・・・・。時代についていけません。新しい参考書を買って勉強しないとダメだな、こりゃ・・・・。


Commented by けむけむ at 2016-10-12 07:17 x
縮緬ノイズ悩ましいです。彗星写真でも盛大に縮緬しました。
ホット/クール除去して、ダーク/フラット補正した後のバックグラウンドのムラをスムーズにできればなんとかなりそうな気がしますが、星雲との識別が難しそう...
FireMonkeyって何だか分かりませんが頭と手足が燃えてる猿っぽい姿のようです...
Commented by supernova1987a at 2016-10-12 07:38
> けむけむさん
晴れたら「秘策」公開しますね。月明かり等があるので上手く検証できるか分かりませんが。あ。偶然とは言え、にゃあさんが「秘策」に気付かれたかもしれない・・・・・。
燃えてるお猿使うと、JPEGビューワーとか、たった2~3行のコード書くだけで作れちゃうんですが、カルチャーショックで混乱中。
Commented by けむけむ at 2016-10-12 10:18 x
え~、角度を変えて撮影して合成ですか...
止まってる星雲にはいいかもですね(彗星には無理かな)
Commented by kojiro-net5 at 2016-10-12 10:21
こんにちは。
自分も一時期縞ノイズに苦しめられました。
100コマ分を順に10分割してそれぞれシグマクリップでコンポジットした後、さらにコンポジットするとか試して見たけど手間の割に大して改善せず。

今は10分くらいの露出を1セットにして、わずかにガイド星をずらしたり、極軸微動を動かしたりして、手動ディザリングしています。以来、縞ノイズはほとんど出なくなりました。放置撮影できないのがネックなんですけどね。。
Commented by supernova1987a at 2016-10-12 13:30
> けむけむさん
す、鋭い!「秘策」2つのうち1つはそれですね。
シミュレーションはともかく、実写検証をお見せしたいところです。
Commented by supernova1987a at 2016-10-12 13:41
> kojiro-net5さん
こんにちは!
シグマクリップは効果的に思えるのですが、とにかく時間がかかったり大変ですね。シグマクリップを利用した「秘策」も考え中なのですが、うまく行きますかどうか。ちなみに、今回のNGC7293が極軸を少しずらして(ずれて)撮影したパターンに近いのでディザリングしても苦しいのかもしれません。
Commented by にゃあ at 2016-10-13 01:59 x
高度な謎解き、私にはとんと分かりません。けむけむさんのコメントを見て、そーなんだ!と膝を打ちました。もう一個、あるとしたら理屈では長秒で撮るということでしょうか。ノイズの点は撮った数だけでるとしたら、10枚より1枚の方がノイズの数は少ない。あーーーちがうかも〜 ドカーーン!(自沈)
Commented by supernova1987a at 2016-10-13 18:54
> にゃあさん
えーとですねぇ。まだ実施検証に至っていませんが、撮影を2群に分けてカメラを回転させて撮影しておくというアイディアです。ちなみに『縮緬ノイズ』は、各コマの露光が「少なければ少ないほど」目立たなくなると予想しています。ただし、どうも縮緬ノイズの本質は「人間の画像認識の仕組み」にあるようでして、いわゆるエントロピー(乱雑さ)が小さい像ほど明確に認識されてしまうという仮説を立てています。ま、どうでもいい話ですが、なんだか深みにはまりそうな予感・・・・。
Commented by にゃあ at 2016-10-13 23:32 x
あぷらなーとさん、解説いただき、ありがとうございます。私の理解が原理に追いつくには時間が必要そうですが、ハウツーならすぐにキャッチアップできそうです(^^;) またもや期待しています!
Commented by supernova1987a at 2016-10-14 01:38
> にゃあさん
いえいえ。こちらこそ遂に「ニシキヘビ」と戦う時が来たようですので、例の記事見ながら色々悩んでます。
そう言えば、資料探しのため実家の物置整理をしてたら、「未開封」のビジュアルC++のラーニングエディションパッケージが出てきて仰天。あかん。全然記憶にない!なんて無駄なことを・・・・・(泣)。
Commented by にゃあ at 2016-10-14 22:09 x
鉄のニシキヘビやらお尻に火のついた猿やらシュールな動物園ですよね(^-^)未開封のパッケージはプレミアムがついてオークションで高く買ってくれる人がいればいいんですが、期待薄でしょうね(>_<)
Commented by supernova1987a at 2016-10-15 23:21
> にゃあさん
実に不覚でした。多分delphi7使って職場内稼働のオリジナルアプリを開発してたときOfficeとの親和性が悪くて手を出そうかと浮気したものの、結局delphi7だけで制御出来たので未開封のままお蔵入りしたような、そうでなかったような。いやはやもったいないことしました。
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by supernova1987a | 2016-10-12 06:40 | 天体写真 | Comments(12)

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