天体写真

『うっかりSer』から救出する

★「SharpCap使い」の皆様の中には・・・

えーとですねぇ。皆様、やらかしたことないですか??
「FITSで保存したつもりが『勝手にser動画』で保存されていて号泣」
なんていう大惨事。

かくいうあぷらなーとも度々やらかしてます。
ピント合わせや対象物の導入のため、撮影前に8bitモノクロで表示させておいて、撮影時に16bitRAWに切り替えた場合に保存形式がserファイルになっちゃうのが原因なのですが、頭では分かっているのに、ついうっかりやらかしてしまいます。


★8月31日に撮影していたM42が・・・

ちょうど5秒露光の50コマ連写のつもりが、見事にser動画になってしまっていて、『ゴミ箱行き予備軍』になっていた画像が4セット(つまり200コマ分も!)死蔵されていたので、救済策を考えてみました。

<撮影データは>
[ZWO ASI1600MC-Cool]
Debayer Preview=Off
Pan=0
Tilt=0
Output Format=SER file ←ココで痛恨のミス(泣)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
Colour Space=RAW16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode=Off
Turbo USB=80
Flip=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=400
Exposure=4.999974
Timestamp Frames=Off
White Bal (B)=99
White Bal (R)=60
Brightness=1
Gamma=81
Temperature=-15
Cooler Power=32
Target Temperature=-15
Cooler=On

こんなのが4つも!!
・・・ああ、もったいない!
残念ながらステライメージでは手も足も出なかったので
近年よく使われていると評判のスタッキングソフト「AutoStakkert!2」を試してみました。

★AutoStakkert!2の画面イメージ
『うっかりSer』から救出する_f0346040_19095611.jpg
雰囲気としてはお馴染みのレジスタックスとよく似たソフトなのですが、後発ソフトなだけに操作が分かりやすくて好感が持てます。また、アライメントポイントが任意の位置に任意の大きさで打てるのがうれしいですね。それになによりSER動画ファイルに対応しているのが素敵♪

動作も非常にキビキビとしていて、スタッキングも速いです。
ちなみに、ASI1600MC-COOLで撮影した16ビットSERファイル中の40コマをアライメントポイント14個設定でスタッキングするのにかかる時間は、
 ○アライメントに0.7秒
 ○スタッキングに6.2秒
 ○その他処理に17.7秒
となかなかの速度でした。
・・・これ、コンポジットが爆速なステライメージ6.5よりもさらに速いかもですね。

★SER動画からの1コマ切り出しだと
『うっかりSer』から救出する_f0346040_19170362.jpg
ピクセル等倍でこんな感じですね。5秒露光の割には良く写っていますが、ザラザラです。ただし、-15℃まで冷却していることと超短時間露光のため、ほとんどダークノイズが見当たりません。この辺はASI1600MC-COOLの凄いところですね。

★AutoStakkert!で160コマスタックすると
当日は風が強くて、恒星が踊り狂っていたのですが、品質の悪いコマを選別してくれるので比較的像が安定しているコマを各ファイルから40コマ選別してスタッキングし、それを16ビットTIFFで出力しておいて、ステライメージで4枚加算平均コンポジットしました。要するに、160コマをスタッキングした事になりますね。
・・・すると・・・
『うっかりSer』から救出する_f0346040_19205383.jpg
うひゃー!
すんごいなめらか~♪
しかも特殊な画像処理を一切していないのに微細構造が見えてます。
ああ、意図せず「ラッキーイメージング」になっちゃったという訳か!

★さらに手を加えて仕上げてみます
①ステライメージでソフトビニング+デジタル現像+大気差による色ズレを補正+Lab色彩補正
②L画像とRGB画像に分割
③L画像をレジスタックスに回してウエーブレット処理
④ステライメージでLRGB最合成
⑤シルキーピクスでノイズ整列処理+テイスト調整
・・・やっつけ仕事ですが、こんなもんでしょうね。

すると・・・
ででん!
『うっかりSer』から救出する_f0346040_19275618.jpg
おお!
とっても良い感じ♪

あ、正しく撮影できてた他の15秒とか30秒とかのファイル使う必要すらなかった・・・。

むむむ。
なんというか、これ・・・
M42の中心部のような明るい天体は、意外と「数秒露光のSER動画保存」が正解なのかも・・・・。
冷却すればダーク補正もいらないし、むちゃくちゃ処理が簡単かつ早い。

以上、せっかく臨時の休日をゲットしたのに空が晴れないので「縮緬ノイズ除去」の『秘策』実験もできず、FireMonkeyの調教からも現実逃避している「軟弱あぷらなーと」の、暇つぶしネタでした。


Commented by けむけむ at 2016-10-13 19:58 x
毎度毎度素晴らしい記事を量産されてますなぁ~
羨望の眼差し。ジーッ
>明るい天体は、意外と「数秒露光のSER動画保存」が正解
ここに、ビコンと反応しました。惑星状星雲やってみようかな?かな?(でも、それVMC260Lの得意な領域ですよね?ニヤリッ)
Commented by にゃあ at 2016-10-13 23:18 x
本当、毎回勉強させていただいています。おかげで脳みそがちぎれそうです(^^; けむけむさん、VMC260Lが得意領域というのは、焦点距離が長いからですか?それとも光学系が向いているからですか?まったく理解できないことばかりで、すみません<(_ _)>
Commented by supernova1987a at 2016-10-14 01:20
> けむけむさん
ただしダーク引き無しなので、本当に明るい奴しか無理っぽいですが。
え?VMC260Lの得意領域?
確かにその通りなんですが、それ以前に晴れない・・・・。
Commented by けむけむ at 2016-10-14 01:23 x
To にゃあさん
単純に長いからです (^o^;
惑星状星雲って、M27やらせん星雲を除くと、ビックリするくらい小さいんですよ... (-_-;
で、めちゃんこ明るくて、すぐにサチっちゃうっつー
Commented by supernova1987a at 2016-10-14 01:27
> にゃあさん
詳しい解説はけむけむさんにお任せするとして(笑)
元々VMCとかシュミカセとかは、小さな対象をババーンと拡大するための機材ですね。大きな対象ははみ出るしF値暗いしで苦手です。
Commented by オヤジ at 2016-10-14 03:57 x
知らない間にSerになる事あります。
完成のM42、本当に多段露光成功!な感じですね。
あぷらなーとさんの、スーパーマジック!です。
Commented by にゃあ at 2016-10-14 09:25 x
けむけむさん、あぷらなーとさん、ありがとうございます!確かにm57もウォーリーを探せ状態でした。被写体によって望遠鏡を変えるということなんですね。理解が深まりました!
Commented by supernova1987a at 2016-10-14 11:05
> オヤジさん
瓢箪から駒というか、単なる偶然ですが面白いネタが見つかりました。これはAutoStakksert!2についても色々調べてみないといけませんねぇ。もっとも、このソフトは先達がたくさんいらっしゃるようですのでネット上に情報がたくさんありそうですが。
Commented by supernova1987a at 2016-10-14 11:15
> にゃあさん
屈折望遠鏡にレデューサではなく、テレコンをかまして惑星状星雲をゲットされてる方もいらっしゃいますね。私も、昔R200SSでM57とかを撮影するときにはテレコンをかまして撮影していました。カセグレン系の望遠鏡は、もともとの焦点距離が長いのでこの用途に最適ですね。
Commented by にゃあ at 2016-10-14 22:20 x
なるほどです! 眼視用にと手に入れた二倍バローで試してみます!
Commented by supernova1987a at 2016-10-15 23:22
> にゃあさん
暗くなるので相当な露光が必要ですが、面白そうですね。ぜひぜひ♪
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by supernova1987a | 2016-10-13 19:37 | 天体写真 | Comments(11)

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