機材

ASI1600MM-COOLの運用方法を『妄想』する


★そもそもASI1600MM-COOLをポチった目的は・・・
ASI1600MM-COOLの運用方法を『妄想』する_f0346040_01544720.jpg

せっかくASI1600MC-COOLというカラー冷却カメラがありながら、そのモノクロ版であるASI1600MM-COOLを追加したのには理由がありまして
・・・別にナローバンドをやろうとか、そういう高尚な志ではなくて、カラー版のASI1600との『同時運用』がやりたかったのです(やせ我慢)。

カラー版のカメラは(一般のデジカメもそうですが)ベイヤー配列の素子が用いられているため、1600万画素であったとしてもGRBGの4素子で1つの画素を構築しますので、単純に考えて実際には400万画素相当の解像度しか出せないはずです。(昼間の風景ではそれを軽減するために、人間の目の感度が高い緑の光をうけるG素子をRやBの2倍配置することが功を奏するはずですが、赤い星雲の場合に効いてくるのはあくまでR素子ですので、やはり解像度は1/4と解釈するべきかと)

また、各画素1つ1つについて考えるとRやGやBのカラーフィルターが付いている分、受け取れる光の量は1/3以下に低下していると考えられます。

以上から、赤や青の星雲を撮影する場合、おそらくモノクロカメラは同じ画素数のカラーカメラに対して、感度も高くて解像度も3~4倍高性能なのでは?と邪推するわけです。ちなみにベイヤー配列という概念自体がありませんので、モノクロカメラの場合「現像処理(デモザイク処理)自体」が不要となります。

ただし、得られる画像はあくまでモノクロなので何らかの手段で色情報を与えてやらなければなりません。
一般的にはモノクロカメラにカラーフィルターを装着し、Rフィルタで撮影した画像・Gフィルタで撮影した画像・Bフィルタで撮影した画像の三種類のデータをPCで合成してカラー化(RGB合成法)するか、RGB画像に加えて、フィルター無しの画像(L画像)を撮影して、輝度データと色データを最終的に合成(LRGB合成法)する手法がとられます。

ちなみに、RGB合成法はフィルムカメラ時代(高校生の頃)にやったことがあります。
T-MAX400ネガを装填したカメラにカラーフィルターを付けて惑星などを撮影したものを自家現像した後、暗室でそれぞれ色別に手動(手焼き)コンポジット。できあがったプリントをカラーネガを入れたカメラにフィルターを付けたもので多重露光で複写合成。という荒技ですが(笑)。文化祭の展示では「モノクロフィルムでカラー写真を撮る~三色分解カラー合成法による火星~」なんて仰々しいタイトルをつけて、処理過程とともに意気揚々と展示しましたが、展示を見た一般生徒には「そもそもモノクロフィルムでカラー写真を撮る意味が分からん」とスルーされました(笑)。

さて、今回目論むのは、モノクロカメラにフィルターをかまして撮影するRGBチャンネルの代わりに、手持ちのASI1600MC-COOLのカラー画像を用いることで、フィルターワーク無しで「手抜きLRGB合成」をやっちゃおうっていう作戦です。(実際に、実践しておられる方も多いと思いますが)


★という訳で、MM+MCのダブル運用方法を『妄想』

たとえば、フリップミラーを使って・・・・
ASI1600MM-COOLの運用方法を『妄想』する_f0346040_02304789.jpg
MMとMCをワンタッチで切り替えて撮影するとか・・・・
が考えられます。

あと、受け狙いの「ネタ」としては

ASI1600MM-COOLの運用方法を『妄想』する_f0346040_02324138.jpg
双眼装置で光を2等分して、一気にMMとMCを露光するとか(笑)
・・・あ、あくまでこれはギャグです。ごめんなさい。
(本当はペリクルミラーを使ったビームスプリッターの転用とかも妄想しましたが、色々難しそうなので断念・・・・)


そのほかの構想としては・・・・・


ASI1600MM-COOLとASI1600MC-COOLをそれぞれ別な望遠鏡に装着して
ASI1600MM-COOLの運用方法を『妄想』する_f0346040_03354745.jpg
二連装同時露光しちゃう!とか、ですかねぇ。

本当は「同一機種の二連装が最強」だとは分かっているんですが、さすがに大きな口径の同一鏡筒を揃えるのは苦しいので、安価な小口径機で連装させるか、似たようなスペックの2本で妥協するしかありませんね。海外製の安いニュートン反射の二連装とか面白そうですが、たぶんスパイダーの角度を厳密に揃えたり光軸を調整したりするのが大変な気がしますので、やはり簡単に連装できるのは屈折望遠鏡ですかねぇ。

たとえば、上記写真のように「カプリ102ED+笠井のフラットナー」&「BORG89ED+マルチフラットナー」の組み合わせなら、そこそこ似たような画角になりそうです。ただし、過去に「(望遠鏡の)異種混合作戦」を決行して惨敗したのがこの2本の組み合わせ。なんか画面の部分部分によってコンポジットがズレちゃうんですよねぇ。おそらく、ディストーション(歪曲)などの傾向が望遠鏡によって異なるのが原因かと推測するのですが、こればかりは補正が難儀しそうです。

そういえば!実は小口径機(6cm屈折)で良いなら、すでにツイン準備整ってたりして・・・・。まずはココからですね。

★★★以下続きます★★★


Commented by にゃあ at 2016-12-06 11:36 x
二つそろうと壮観ですね!最後の写真とかロケットみたいに火を噴いて飛んで行きそうです。昔のLRGBのコンポジットって大変だったんですね。あぷらなーとさんの作品が楽しみです。
Commented by けむけむ at 2016-12-06 15:47 x
妄想と言いつつ、実機搭載写真があるなんざ、実はやる気むんむんですねぇ。
双眼装置が(どのくらい分岐時の損失があるのかアレですが)、一番面白そう(メンドクサクなさそう)。
MMとMCってイメージセンサは同じでフィルタが違うだけ?そもそもイメージセンサが別物?なんてな疑問が湧いたりしてます。
まさかのRGBをソフトウェア的にモノクロに変換して出力してまんねん...なんて恐怖仕様とか(ここ笑うトコです)。
Commented by オヤジ at 2016-12-06 21:25 x
何か、病気でもないのに眩暈がします。(笑)
こちらのサイトを、お気に入りにして置くと、破産するかもですね。(汗)

おーーーー恐わ!
技術の無いオヤジですが、MMを買う気はあるのですが、今夜は、MCでカラー。
明日の夜、同じ条件でMMで撮って、L+RGBって画像処理しても面白くないのですかね。
こういう、使い方ができるなら、MMを買いたい気もしてます。
まあ、後はMMでナローバンドも興味ありますけど。
Commented by supernova1987a at 2016-12-06 23:24
> にゃあさん

確かに兵器っぽくて何か飛びそうですね。
ただし、ここ組み合わせはD810AとD5000の同時撮影を試した時に上手くコンポジット出来ないことを確認してますのでボツです。カメラが違っても何とかなりますが、望遠鏡が異なると異種混合は難しそうです。
Commented by supernova1987a at 2016-12-06 23:35
> けむけむさん
実は、当初双眼装置はそれなりにマジでした。・・・が、ASIが太すぎて目幅が合わずボツに。さらにプリズムかますと何とかなりますが、これはさすがに無理そう。

ちなみに、MMはMCからフィルターを取り除いただけのものですが、ベイヤー処理が無くなるので「本物の」1600万画素の解像度が得られる点が最大の特徴でしょうか。恐らくは感度が約3倍、解像度が約4倍になるのではないかと期待してます。

驚愕の解像感比較は、近日中にアップします。
Commented by supernova1987a at 2016-12-06 23:54
> オヤジさん
眩暈起こしちゃいましたかー、私の悪い病気がこれ以上感染しませんように(笑)。
さすがに30年以上天文やってると、無駄に機材が増えちゃいます。
唯一の美徳は、小学生や中学生の頃に買った機材がまだ出撃可能な状態に整備されていることでしょうか。出番が回って来ないですが思い入れが強くて・・・。

ちなみに、同一望遠鏡で別日に撮影したLとRGBを合成、大いにアリですよー。
条件が良い日にMMでL画像撮って、ふつうの日にMCでRGB撮って、後から合体とか効果的でしょうねぇ♪

私の場合は出撃回数が少ないので、1回の出撃で全部撮りきりたいと画策しているだけですので。
Commented by けむけむ at 2016-12-07 01:34 x
>恐らくは感度が約3倍、解像度が約4倍になるのではないかと期待してます。
これはソソられますねぇ
彗星とか超新星は、どうせモノクロな写真になるので、MMの方が潔いです。
どうにかして、双眼装置使えるとL+RGBでキモチ良さそうですねぇ...(そんなマネする気力も財力もありませんが)
Commented by supernova1987a at 2016-12-07 02:17
>けむけむさん
まあ、仮に双眼装置の光学的ロスが無かったとしても光量だけは半分になっちゃいますので露光時間は倍になりますよねー。ってことはフリップミラー使って時間差撮影しても総作業時間は変わりませんね。同時刻性が大切な木星などの撮影時には何か考えることにして、当面の本命は、大口径+フリップミラーと、小口径+ツインですかねー。
Commented by オヤジ at 2016-12-07 07:30 x
>ちなみに、同一望遠鏡で別日に撮影したLとRGBを合成、大いにアリですよー。
破産病に感染しそうですよ。ワクチンワクチン!
Commented by けむけむ at 2016-12-07 08:58 x
彗星は同時に撮って細部が綺麗なL+RGB出来そう
移動天体は双眼そそられます。絶対しないけどw
Commented by supernova1987a at 2016-12-07 23:20
> けむけむさん

移動天体には双眼装置いいかもですねー。
5~10諭吉くらいあるとビームスプリッタ買えちゃうんですが、それだけあれば15cm反射のツインとか買えちゃうので、うーむ、です。
Commented by supernova1987a at 2016-12-07 23:22
> オヤジさん

危ない危ない。
今後、感染者が増えるような記事を目指すので、ご用心あそばせ!
Commented by Te Kure at 2018-07-11 13:24 x
なる程なる程・・ MMだと感度が3倍・解像度が4倍! だからMCでもL画像は得られるけど、MMのLが良いと・・ 少しづつ小生にも分かるようになって来たのかな〜?(謝)
ところでこのシステムって、フルアーマーのプロトタイプ?
Commented by supernova1987a at 2018-07-12 00:02
> Te Kureさん

スゴい!
ずいぶんと過去記事を研究されましたねぇ。
あくまで白色光の対象をシーイングの影響ゼロで撮影した場合限定の話ですが、モノクロ機の方が感度も解像度も段違いに高いです。

ご推察の通り、この記事は、ビームスプリッター方式、ツイン鏡方式、フルアーマー方式、全ての発端ですね。
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by supernova1987a | 2016-12-06 06:33 | 機材 | Comments(14)

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