機材

ASI1600MM-COOLを使ってみる②

★今回ツインBORGで狙うのは・・・
ASI1600MM-COOLを使ってみる②_f0346040_15061166.jpg

あいにく昼間なので、遠くの建物を撮影してみます。
せっかくですから、期待通り
 「同じ画素数でもカラーよりもモノクロの方が感度が高く、解像度も高いのか??」
を簡単にチェックしてみます。

だいぶ前にEXCELのVBAを使ってベイヤー画像のデモザイク処理のシミュレーションをした際、思いの外デモザイク処理による解像度低下が見られたので、そもそもデモザイク処理が不要なモノクロカメラであれば、相当に解像度が上がるのでは無いか?というわけです。
ちなみに、シミュレーションの結果、(一切のノイズが無い場合に)モノクロカメラで下記のように写せる対象は
ASI1600MM-COOLを使ってみる②_f0346040_22343212.jpg
ベイヤー型カラーカメラで撮影してモノクロ現像すると、下記のようになることが分かりました。
ASI1600MM-COOLを使ってみる②_f0346040_22353681.jpg
さてさて、実写でも
カラーカメラとモノクロカメラとで上記のような差異は出てくるのでしょうか??


★同時に撮影したMMとMCの画像(無加工)の比較

遠くの建物を撮影した画像を、200%で比較してみると、こんな感じです。

ASI1600MM-COOLを使ってみる②_f0346040_15313874.jpg
★左画像
[ZWO ASI1600MM-Cool]
Pan=0
Tilt=0
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
Colour Space=MONO16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode=Off
Turbo USB=76(Auto)
Flip=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=50
Exposure=0.0004
Timestamp Frames=Off
Brightness=1
Gamma=50
Temperature=24.7
Cooler Power=0

★右画像
[ZWO ASI1600MC-Cool]
Debayer Preview=Off
Pan=0
Tilt=0
Output Format=Fits files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4656x3520
ColourSpace=RAW16
Hardware Binning=Off
High Speed Mode=Off
Turbo USB=80
Flip Image=None
Frame Rate Limit=Maximum
Gain=50
Exposure (ms)=0.00046
Timestamp Frames=Off
White Bal (B)=80
White Bal (R)=50
Brightness=1
Gamma=50
Sensor Temp=26.2

実際にはMCの方がかなり暗かったので後からレベル調整を加えてあります。

MCの画像に比べてMMの方が圧倒的に解像度が高いことが分かります。恐らくこの辺がベイヤー配列素子のデメリットなのでしょうね。



★比較しやすいようにMCの画像をモノクロ化してみます
ASI1600MM-COOLを使ってみる②_f0346040_15393173.jpg
やはり左画像(MM)のほうが数段シャープです。恐るべきはMMのシャープさでして、これ、ウェーブレットはもちろんのこと、アンシャープマスクやレベル調整すらしてない素の画像なんですよねぇ。シミュレーションで予想されたこととは言え、かなりビックリ。

短焦点BORG特有の浅い被写界深度も明瞭で、ピント合わせがすごく楽でした。




★「素のMC」対「MMのL+MCのRGBでLRGB合成」
天体と違い、昼間の風景ですのでウェーブレットは(局所的には良いですが)全体的に画像が荒れるので見送り、本題の下記比較をやってみます。

 左:L画像:MMの素画像 RGB画像:MCの素画像 でLRGB合成したもの
 右:素のMC画像

ASI1600MM-COOLを使ってみる②_f0346040_15475372.jpg
おお!良い感じです♪
ちゃんと目論み通り、MMの解像感を保ったままMCの色情報を使ってカラー化が成功しました。

そうそう。念のためお断りしておくと、全体像はお見せできません。
ツイン鏡筒は原理上パララックス(視差)が避けられませんので、被写体との距離により記録位置が異なるため、無理矢理合成すると周辺部のLとRGBがズレまくって悲惨なことになったからです。

無論、天体ならパララックスは生じませんので大丈夫だと思います。

★★★以下続きます★★★



Commented by けむけむ at 2016-12-08 07:24 x
MMスッゴいですねぇ
これは、RGBフィルタ使ってMMで撮影したら、MCとは比較にならない美しさでしょうねぇ
M81でちっちゃな赤いのが写ったりしそう
わくわく
Commented by らっぱ at 2016-12-08 09:09 x
こうして比較されると面倒でもモノクロで撮影されるのがわかりますね、今までこういう風に直接比較されたものはあまり無いでしょうから納得感が大きいです(*^^)v
けむけむさんワクワクって導入するって事・・(^O^)
あぷらなーとさんの計画性が素晴らしいです\(^o^)/
Commented by にゃあ at 2016-12-08 10:18 x
この比較は一目瞭然ですね!らっぱさんがおっしゃるようにモノクロを選ぶ理由が分かりました。何もフィルターを使わなくてもこんな風にして、色を乗せられるんですね。次はモノクロを選んでしまいそうです。
Commented by supernova1987a at 2016-12-09 00:58
> けむけむさん

以前シミュレーションしていたとは言え、思いの外、解像度に差が出てビックリです。しかし、先立つ物が枯渇したのでフィルターワーク無しで何とかしてみます。
Commented by supernova1987a at 2016-12-09 01:07
> らっぱさん

そういえば、ここまで露骨な比較記事ってあんまり見かけませんよねぇ。
研究に没頭していた時の悪い癖で理論と実践の両方が一致しないと納得できない性分なので、たかが道楽に熱くなってしまいます。構想から3年もかかっちゃいましたが、少し前進したような気がします。

ちなみに、MCでMMの解像度を超えるという構想も暖めてまして、その検証の為にもMMが不可欠だったりしたのですが、さすがにこれは本末転倒ですね(汗)。
Commented by supernova1987a at 2016-12-09 02:34
> にゃあさん

はい。というわけで、フィルム時代から天体や生態写真をやっていた身としては、ベイヤーカラーデジカメの像の甘さに閉口していたので、ローパスフィルターもベイヤー補完も不要な、「素の」像が写るモノクロカメラが夢でした。

世の中には撮像素子の表面を割り箸などでこそぎ落としてモノクロ化に成功した強者もいらっしゃるようですが、さすがにこれは怖すぎて無理です。
Commented by オヤジ at 2016-12-09 07:37 x
らっぱさんへのお返事に書いてあった
>理論と実践の両方が一致しないと納得できない性分
成る程なーぁと、痛く関心しております。
どしてだろう、何故だろうは、基本だと思いますが、「まっいいっか」で、かたを付けてしまうことが多いのに、学者さんなんですね。
Blogは、難しいですが、何時も楽しみに拝見してます。
Commented by supernova1987a at 2016-12-09 10:15
>オヤジさん

その分、なかなか前に進まないのが欠点ですが、のんびり謎解きを楽しめるのが道楽の魅力だと思ってます。なにしろ、出撃回数が少なかったり失敗作しかなくても、撮影結果を見ながら遊べますので(笑)。彗星や流星や日食などの天文現象を除けば、天体はいつでも同じ場所に見えてますので、何度もチャレンジできますしねぇ♪

Commented by けむけむ at 2016-12-09 23:56 x
MCのベイヤーは、フィルターを通してGBRG化してるだから、フィルターの逆効果をどうにかできれば、GBRGがそれぞれ独立したモノクロ画素として... ううう~ん
ってな感じで、ベイヤー・RGB変換せずにコンポジットしてL画像を作ってみたのと、ベイヤー・RGB変換したのち、モノクロ化して作ったL2画像を比較してみると...
ベイヤー・RGB変換した方が鮮明でした...orz
Commented by supernova1987a at 2016-12-10 00:26
>けむけむさん
鋭いですね。とにかくMCの画像がボケるのはベイヤー補完によるものですので、デモザイク(ディベイヤー)しなければ良いのです。
たとえは、ステライメージでベイヤーのまま開いたものをそのまま2×2ビニングして保存していき、後からそれをコンポジットすれば、ベイヤーボケが皆無なL画像が出来上がりです。400万画素にはなりますが本来の解像感が得られるかと。
その後普通にカラー現像してコンポジットしたものをRGB画像として、最後にLRGB合成すれば、なかなか良い感じになりますよ。
ちなみに以前、D5000の解像度を上げるために多用してました。

詳細は下記をどうぞ♪
http://apranat.exblog.jp/24565442/
Commented by supernova1987a at 2016-12-10 00:34
>けむけむさん

追記です
けむけむさんが目指した処理(1600万画素のままでMCの解像度を上げる)についても考案してたのですが、高精度の電動ステージとモーターに加えてコード書くことが必要でして、こりゃMM買った方が安そうだ・・・と。
機会があればアイディアだけでも公開しますねー。
Commented by けむけむ at 2016-12-10 04:44 x
既に記事にされていたのですね!
ちょっとマジメにやってみます (^o^)
高精度の電動モーターって、(モノクロの)1ピクセル分上下左右に移動させるって精度ですか?
Commented by けむけむ at 2016-12-10 04:48 x
http://apranat.exblog.jp/24565464/
コレコレ。参考にさせていただきます。
Commented by supernova1987a at 2016-12-10 07:18
> けむけむさん

そうです。1ピクセル単位でシフトできる精度ですね。
デザリングに近いのですが、上下左右に1ピクセルずらしながら4回露光するのを繰り返して、それぞれ4群に分けてコンポジット。さらにそれを元にカラー化すれば、各ピクセルに対してフィルター交換した計算になるのでモノクロカメラでRGB合成したのと同じになるなぁ・・・・というアイディア。

こりゃ特許ものか?と去年思ってたら、すでにペンタックスがリアルレゾリューションという名称でK3-Ⅱに実装してきて仰天。メーカーさんには勝てませんなぁ。
Commented by Te Kure at 2018-07-11 13:42 x
むむっ やっぱり難しい・・💦
ところで一つ前に戻りますが、撮像用のCMOSで同時にオートガイドが出来ないものなんでしょうかね〜?
Commented by supernova1987a at 2018-07-12 00:07
> Te Kureさん

過去には、ダブルチップ型の冷却CCDカメラが主流でしたのでガイド鏡は不要でした。

また、露光の途中で一度露光を止めて位置のズレを検知し、赤道儀に修正指示する『オートトラッキング機能』を持った冷却CCDもありました。

最近はどちらも見かけませんね。
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by supernova1987a | 2016-12-08 00:11 | 機材 | Comments(16)

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