★先日の比較で・・・
冷却CMOSカメラASI1600MC-COOLとASI1600MM-COOLの解像度比較を行いましたが
※左:MM 右:MC
圧倒的にモノクロ版のMMの方がカラー版のMCよりも解像度が優れていることが分かりました。
ただし、2×2ビニングして400万画素運用をする際には、カラー版MCでもRAW画像を直接ソフトウェアビニングしてL画像とすることにより、原理的にベイヤー構造のデモザイクに起因するボケを回避できるはずなので、実験してみることに・・・・。
★ベイヤー現像の有無による差
少々分かりにくいかもしれませんが、次の2系統の処理を比較してみます。
<処理A>
①MCのRAW画像(FITS)をステライメージでデモザイク処理(ディベイヤー処理)してカラー化
②カラー化した画像をモノクロ化
③2×2ソフトウェアビニング
<処理B>
①MCのRAW画像(FITS)をステライメージでRAWのまま2×2ソフトウェアビニング
処理Aでは一度ベイヤー構造のデモザイク処理による補完が入りますので、ここでボケが生じますが、処理Bでは隣接4素子の輝度データを直接加算しますので原理的にボケが生じることが無いはずです。むろん、どちらも1600万画素から400万画素へ画素数がダウンする点は同じです。
さて、目論み通り、解像感に差は現れるでしょうか??
※左:処理A(通常) 右:処理B(補完無し)
うーん。微妙ですね。
ただ、詳細に見ると、若干ですが右の方が解像感が高いように見えます。
★MMのビニング画像と比較
次に、モノクロ版MMの画像を2×2ソフトウェアビニングしたものと上記の処理Bとを比較してみましょう。
果たして、MCはMMに迫れているでしょうか??
※左:MMのビニング処理画像 右:MCの処理B
ああ、かなり肉薄してますね。
ただし、正確に言うとMCが迫ったというよりも、1600万画素のままでも十分にシャープなMMをあえて400万画素にすることによってMCの解像度に『降りてきた』という表現が適切かもしれませんが・・・・。
★画像復元で肉薄させる試み
ステライメージには強力な画像処理機能が満載な訳ですが、(月面など)比較的シャープな画像に対してはウェーブレット処理よりも最大エントロピー法の方が好みです。そこで、今度はカラー版MCの画像に最大エントロピー法を2段階で掛け、モノクロ版MMの解像度に肉薄させてみます。
処理過程は次の通りです。
①MCのRAW画像(FITS)をステライメージでデモザイク処理(ディベイヤー処理)してカラー化
②カラー化した画像をモノクロ化
③ステライメージで第1段階の最大エントロピー法を実行
(想定PSF半径1.2 ノイズ10 再帰計算回数5)
④ステライメージで第2段階の最大エントロピー法を実行
(想定PSF半径0.6 ノイズ10 再帰計算回数5)
⑤ステライメージでアンシャープマスク処理
これをモノクロ版MMの素画像と比較してみます。
※左:MMの素画像 右:MCに画像復元処理
強力な画像復元処理により、かなりMMの解像度に迫ったことが分かります。
いつもながら、こういった素材に対する最大エントロピー処理ってスゴイですねぇ。魔法みたい♪
★でも、結局・・・・
では、モノクロ版MMの方にも同様の画像処理を加えてみるとどうなるでしょうか。
やってみます。ただし元々のボケが少ないのでPSFはMCの半分で演算。
※左:MMのに画像復元処理 右:MCに画像復元処理
ああ、MMの解像度がさらに上がった分、また引き離されてしまいました。当然と言えば当然ですね。
★というわけで・・・・
シーイングの影響をあまり受けない画像の場合、
①最終的に400万画素にビニング加工することを前提に運用するなら、MMとMCの解像度上の差異はほとんど無い。
②1600万画素をフルに生かすことを前提に運用するなら、画像処理してもその差は埋まらない。
といったところでしょうか。それにしても、MMは最大エントロピー画像復元が「恐ろしいほど」上手くキマりますねぇ。改めてビックリ。
・・・・・で、肝心の天体は、今回の休みでも曇天のため撮影できず、満月期が迫ってきました。
あ~あ。ストレスばかりが積もりますねぇ。