★何度か痛い目にあったのに・・・
望遠鏡の結露防止用に用いる目的で購入したカイロ用木炭が『爆発』したり
生徒実験用のスタンドが、『ゴミレベル』の梱包で届いたり
どうも最近、『はずれクジ』を引くことが多い『激安中華グッズ』なのですが、
性懲りも無く、またポチってしまいました。
梅雨時は、これ(ポチリヌス菌)が怖いんですよねぇ。
★今回のポチりテーマは「多灯ライティング」
マクロ撮影やブツ撮りをするときに、デジカメの内蔵フラッシュ一発では汚い影が出て使い物にならないので、たいていは2台以上のストロボをリモート制御して「多灯ライティング」します。
例えば、あぷらなーとの手持ち機材で「2灯ライティング」するなら、
①ニコン ワイヤレススピードライトコマンダー SU-800
②ニコン スピードライト SB900
③ニコン スピードライト SB600
を下記のように配置して、
ストロボをそれぞれAグループとBグループに分けて設定して・・・
※SB900を1CHのB群に割り当てた様子
※SB600を1CHのAグループに割り当てた様子
コマンダーSU800でそれぞれの光量比を設定して・・・
※同期チャンネルを1CHに一致させ、ストロボAとストロボBの光量比を1:2に設定した様子
カメラ側でシャッターを切ると、良い感じで光が回ります。
※上記の設定で撮影した画像(動作が分かりやすいように、ワザと影を残してます)
※カメラ:ニコンD300 レンズ:ニコンマイクロ60mm F22 1/250秒
※ストロボ:ニコンSB900+SB600
ところが、コレ、結構なお値段がする組み合わせでして・・・
定価だと
ニコンSU-800 43,200円
ニコンSB900 70,200円
ニコンSB600 37,800円
という有様で、カメラとレンズ以外の出費が15万円を超えちゃいます(涙)
こうなると、さすがにもう一セット組み上げるのは苦しい・・・。
★激安中華グッズで同等の効果を狙う
こんなとき頼みの綱は、『激安中華グッズ』ですよねぇ。
・・・というわけで、組んでみた。
思案の末、採用したストロボは・・・・
NEEWERのTT560
これ、とても立派な外観の割には・・・・
お、お値段が・・・・・ま、まさかの
2個セットで
5,699円!!
一応、内蔵ストロボの可視光をカットして赤外線に変換する装置(ニコンSG-31R)が必要なので、そこに1404円かかりますが、
それでも・・・
★ニコン純正システム
151,200円
★中華ストロボ利用システム
7,103円
と、実に21分の1の出費で済んでしまいます。
・・・・ここまで来ると、もう頭がクラクラするほどの激安ぶりですね。
★実際にシステムを組んでみる
NEEWERのTT560ツインシステムを組み上げるとこんな感じです。
★もちろん、色々なコツが必要ではあります
無論、そんなにオイシイ話はそうそう無いわけで、安いには安いなりの理由があります。
実はこの中華ストロボTT560は「完全マニュアル仕様」なのです。
要するに、ストロボの照射量を自動で調整する類いの機能は「全く」ありません。
若い人には難しいかもしれませんが、昔から写真を趣味にしているオッサンであれば、たぶん楽勝で使えます。
★ノスタルジーを感じつつ・・・・
あぷらなーとが、一眼レフなるものにもっとも傾倒していたのは、中学~高校の頃でした。
その頃、手持ちのカメラはニコンFG20という初心者用の安い一眼レフのみでしたが、(買えもしないのに)主要メーカーの一眼レフのカタログは全て入手していて、その仕様は全て丸暗記している始末でした。
あの頃のニコンのストロボ(ニコン用語では『スピードライト』が正しいですが)の制御方式には4パターンありまして、エライ順に・・・
①TTL自動調光(F3・FA・FE2・FGなどに実装)
→露光中にフィルム表面に反射したストロボの光をセンサーで測って明るさを調整する
フィルターや絞り値を変えても、自動的にストロボの明るさを合わせてくれる素晴らしい機能
②絞り連動自動調光(EMとFG20のみに実装)
→外部自動調光(いわゆる外光オート)する際に、カメラがレンズのF値をストロボに自動転送し演算に加味する
使用できる絞りの候補が格段に多くなる画期的機能
③外部自動調光(機種依存が無くすべてのカメラで使用可能)
→ストロボが被写体から反射した光を専用の受光窓で捉えて、照射量を調整する
たいていは、使用できるF値が1~2種類に限定されていしまう。
④マニュアル調光(機種依存が無くすべてのカメラで使用可能)
→ストロボはある決まった光量で発光するだけで、明るさの自動調整は一切行わない
ちなみに、現在のストロボは上記の①よりもさらに高度な調光技術が実装されています。
さて、TT560は上記の④なわけですのでこのご時世では考えられないほど古典的な仕様だと言えます。
★マニュアル調光のやり方
ベテランカメラマンの方には常識でしょうが、最近では失われつつある『文化』だと危惧されているので(笑)、念のために記載しておくと
L:ストロボから被写体までの距離(m)
F:レンズの絞り値
GN:ストロボのガイドナンバー
とするとき、適正な明るさを得るための公式は
L = GN / F
です。
たとえば、ISO100でガイドナンバーが22のストロボを用いて、撮影距離が2mの被写体を撮るなら
レンズの絞りを11にすれば良い、などと計算してから撮影するわけですね♪
逆に、撮影距離2mの時に、どうしてもF5.6で撮影したければ、ストロボのガイドナンバーが11になるように光量を下げてやれば良いわけです。
ところが、オート頼りのたいていのストロボには光量を手動で調整する機能が省かれていることが多くて、難儀したものです。
さて、TT560の機能はどうでしょう?
背面をみれば分かりますが、
なんと光量をMAXから1/128まで8段階に調整できるのです!!
しかも操作が(+-ボタンを押すだけという)分かりやすくて素晴らしい♪
ちなみにフル発光でガイドナンバーが公称38ですので、もし理論値通りの仕様だと仮定すると、
ガイドナンバーは
38-27-19-13-9.5-6.7-4.8-3.4
の中から選択できることになります。
★リモートライティングの機能は??
最近のストロボは赤外線通信機能が実装されていて、カメラ側(もしくはマスターライト側)から離れたところに設置してても自動的に同期発光が可能です。しかし、TT560にはこのような機能は一切ありません。
ところが!!
その代わりに「スレーブ機能」が実装されています。
背面パネルの「モード切替スイッチ」をよく見てみると
「M」「S1」「S2」の3つのモードがあることが分かります。
英文による簡易マニュアルが付いているので、それを意訳すると
Mモード:マスタースレーブモード(通常の発光)
S1モード:スレーブモード1(マスターライトが1回光るとそれに同期して光る)
S2モード:スレーブモード2(マスターライトが2回光ると、2回目に同期して光る)
一瞬「S2」の意味が分かりづらいですが、実はこれこそがこのストロボの『真骨頂』でして、クラシカルな機種のくせに、実に『今風』なのです。昔なら、シャッターを切ると同時にストロボも一回光るのが常識でした。ところが、最近のストロボは「明るさの調整等のため、事前に1回予備発光」する機種が多いんですね。つまりマスターライトが光ったとしてもそれはあくまで「プリ発光」であって、スレーブ側はそれに同期しちゃ「フライング」になるのでダメなんです。
ところが、TT560のS2モードは「1回目の光を無視して2回目の光に同期して光る」という、実に賢いモードな訳です。
これには思わず唸ってしまいました。
なら、話は単純です!
カメラ側に内蔵されているストロボをIRフィルタで隠して、赤外線のみが当たるようにすれば(人の目には映りませんが)プレ発光は無視して本発光のタイミングでTT560が光ってくれるハズです。
★高価なリモート装置は一切不要!
こうなると、TT560で多ライティングする際には、赤外線や電波で同期させる専用の装置は一切不要で、カメラ側のストロボを隠すIRフィルタ(ニコンならSG-31R)を追加するだけで、システムが完成します。
ちと分かりにくい写真になりましたが、ポップアップしたD300の内蔵ストロボに覆い被さるように付いているのがSG31Rです。
これにより、被写体には内蔵ストロボの(可視)光が当たらず、TT560には発光シグナルが伝わる事になります。
・・・・で、実際に撮影してみると・・・
・・・ででん!
※上記の設定で撮影した画像(動作が分かりやすいように、ワザと影を残してます)
※カメラ:ニコンD300 レンズ:ニコンマイクロ60mm F22 1/250秒
※ストロボ:NEEWER-TT560を2台シンクロ
比較のため、ニコン純正システムでの画像をもう一度載せてみます。
※ニコンの純正システムによる画像
どうです?この写り!
純正システムの20分の1以下のシステムとは思えないほど、ソックリではないですか♪
中華ストロボ、バンザイ♪
★ご注意★
あくまでこのストロボは「分かっている人」用の、特殊アイテムだと思います。
ニコンのSB900などの純正ストロボと比べると、外観は似たように見えても
○TTL調光できません
○外光オートできません
○AF補助光の照射できません
○純正のリモートライティングシステムに同期できません
○照射角ヘッドのズームできません
○後幕シンクロできません
○マルチフラッシュできません
○FP発光できません
など、ほとんどの機能が省略されている「完全マニュアル機」です。
少なくとも「最初の1台」としてはオススメできませんので・・・念のため。