機材

フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる

★せっかくの五連休だというのに
久しぶりに天体撮影に復帰するつもりで楽しみにしていたお盆休みですが、
「ペルセ群をやっつけて、天文復帰だ~」
と画策して色々やっていたのに、ドン曇りで玉砕。
仕方が無いので、気になりつつも後回しにしていた「考察ごっこ」をしてみました。


★「LRGB同時露光用ビームスプリッタ装置」で気になることが

アマチュア天文界では世界初(?)の自作「ビームスプリッタ装置」は、我ながら画期的なパーツだと思ってはいるのですが・・・
フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる_f0346040_01400989.jpg
フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる_f0346040_17213736.jpg

いかんせんバックフォーカスが長くて、マイクロフォーサーズのASI1600シリーズを使うとしても、スプリッタの開口部の直径やフィルタ径などが『大丈夫』なのか(ケラレないか)、ずっとモヤモヤしていました。

一応、これまでの数少ないテスト撮影の結果では、不具合無く撮影できてはいるのですが、今後「ナロー方面」に進撃するにあたって、スプリッタの口径やフィルター系が『大丈夫』なのか、とても心配。

先達の方からは、「F4よりも明るい場合は31.7mm径のフィルタでも大丈夫」などの情報をいただいてはいたものの、なんだか不安が募ります。

※8/14追記:上の行、ミスタイプですので訂正しました。

先達の方からは、「F4よりも暗い場合は31.7mm径のフィルタでも大丈夫」などの情報をいただいてはいたものの、なんだか不安が募ります。


★・・・で、久々の『考察ごっこ』行ってみます!!

あくまで考察『ごっこ』なので、超簡単なモデルの下で考えてみると・・・・

フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる_f0346040_01485872.jpg
※対物レンズは「無収差の単レンズ」と仮定
 対物レンズの口径をD(mm)
 撮像素子の対角長をd(mm)
 対物レンズの焦点距離をfl(mm)
 フィルタ(もしくはスプリッタの開口部)径をx(mm)
 フィルタから撮像素子までの間隔をr(mm)
として、上の図のように作図をしてみると、最低限必要なフィルタ径が求まりそうです。
単純なモデルなので、光線追跡はもちろんのこと三角関数すら必要なく、直角三角形の相似比のみで計算可能です。

一応、解いた過程も上の図にメモしてますが、(計算ミスしてなければ)

 <必要なフィルタ径は>

 x=r*(D-d)/fl + d

という単純な数式で表せることが分かりました。


★あとはEXCELくんに丸投げ♪

ビームスプリッタの開口部はTネジなので、約40mm強の口径しかありません。
また、ビームスプリッタの開口部から撮像素子までの距離は実測で約130mmもあります。
まずは、これでケラレが出ないかEXCELくんに計算させててみましょう。

フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる_f0346040_02055054.jpg
わー!
ギリギリでセーフですね♪
危ない危ない!

では、撮像素子と開口部(ORフィルタ位置)までの間隔ごとに必要な口径を色々と計算してみると・・・

フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる_f0346040_02080735.jpg
なるほどなるほどー
つまり、VMC260L+RDの場合、31.7mmの小さなフィルタでも
撮像素子から78.5mm以内に配置すればケラレが出ないという訳かぁ・・・。
結構楽勝ですねぇ。

これなら、小型のフィルターホイールをかませても、なんとかなりそうです。



★手持ちの主要望遠鏡を全て計算してみる

とりあえずVMC260Lとビームスプリッタの組み合わせの件は理解できたので
ついでにR200SSとかカプリ102EDとか、色んな手持ち望遠鏡について、31.7mm径のフィルタを用いてケラレ無く撮影するための(フィルタから撮像素子までの)限界間隔を片っ端から計算してみました。

使用したモデルは先述の通りの単純なもので、想定した撮像素子はASI1600シリーズです。

フィルタ径とケラレについて『考察ごっこ』してみる_f0346040_02180133.jpg
・・・・ふむふむ。

定性的には

 ①口径が大きくなるほど条件が厳しくなる
 ②F値が小さくなるほど条件が厳しくなる
 ③そのうち、主に効いてくるのはF値の方

ってとこですね。

ああ、すっきり♪


★ん?・・・強烈なデジャブが・・・

 この『問題』を解いていて、「強烈なデジャブ」に襲われたので記憶をたどってみると、コレ、『本業』で小学生に教えている理科の「日食が起こる条件」を求めさせる問題と似ていることに気づきました。

 対物レンズ→太陽
 フィルタ→月
 太陽と地球の距離→焦点距離
 月と地球の距離→フィルタからのバックフォーカス
 地球上に生じる本影幅→撮像素子の対角長
 で、光が当たる部分と影の部分を反転!

とすれば、全く同じ解き方(小6の算数)に!!

うーむ。この問題を教えたことがなければ、三角関数と直線の式を用いて複雑な計算して泥沼にハマるところだった~(笑)。危ない危ない。


★★★お約束★★★
『考察ごっこ』はあくまで素人による「お遊び」です。
仮定の間違いや計算ミスがあるかもしれませんので、
結果は鵜呑みになさらぬよう、お気を付けください。







Commented by kem2017 at 2017-08-14 03:47
うえー、夜中に困ったモノ見ちゃった...

えーとえーと...
色々と理解できてないのですが
38.3 > 31.7 -> NG ではないか?ってトコロで躓いてます...
130 > 78.5 -> NG ってコトですよね?

その r=130 ってのは、図の⑩の部分?

>「F4よりも明るい場合は31.7mm径のフィルタでも大丈夫」
計算もせずに、31.7mmはF5より暗ければケラれないと妄信してます...
Commented by supernova1987a at 2017-08-14 06:46
> kem2017さん

ええと、
まず「F4より明るい」は「F4より暗い」のミスタイプです。訂正しました。

次に、38.3>31.7 ですが、ここはフィルタ径ではなくビームスプリッタの開口部が大丈夫かの検証です。ビームスプリッタの開口部は40mm以上あるので、
38.7<40 でセーフという意味です。
ちなみに、この部分にもフィルタ取り付けてますが52mm径のものですので、無問題です。

また、130 > 78.5 ですが、31.7mmフィルタは、ビームスプリッタの前側ではなく後ろ側に付けています。その場合のフィルタから撮像素子までは78.5mmより短くなるので大丈夫です。

最後に、r=130 ですが、図面の⑩の付近(スプリッタの開口部)です。この部分の口径はTネジ径なので、それが大丈夫かどうかの検証です。

ちなみに、R200SSでも撮像面から45.12mm以内の場所なら31.7mm径フィルタを使用可能との結論に至りました。

以上、色々と混乱させてごめんなさいです。
Commented by オヤジ at 2017-08-14 07:19 x
今回も、数式はパスしますが(爆)、ケラレって正直何の事か良く解ってません。
確か、今、フリップミラーでL+RGBのパーツを頼んでいるショップさんが、
R200SS=F4は蹴られるかも
とか、メールの中に書いてあったような。
ケラレると、単純な話、周りが暗く見える(見えない)んですかね。
それにしても、貴重な貴重な連休、ずたずたにされましたね。恨めしい四国の空(汗)
心中お察しいたします。
Commented by kem2017 at 2017-08-14 07:55
ケラれると、激しい周辺減光になります。画角の□がレンズの〇からはみ出しちゃう状態です。
Commented by kem2017 at 2017-08-14 07:57
あぷらなーとさん
フィルタが⑩かな?と思ってましたが、⑥あたりなんですね。(計算式以外は)じわーと分かってきました (^o^)
Commented by kem2017 at 2017-08-14 07:59
⑥二つありましたね...
⑦付近がフィルタですよね、タブン
Commented by オヤジ at 2017-08-14 09:03 x
けむけむさん
>ケラれると、激しい周辺減光になります。画角の□がレンズの〇か>らはみ出しちゃう状態です。
周辺減光=ケラレと、言葉的には使うのですね。
また、1つ、利口に成った気がします。(汗)
Commented by にゃあ at 2017-08-14 09:35 x
あぷらなーとさん、計算弱いので、これ助かります! R200SSきびしいなぁ。ただでさえ短いのにホイール挟んだら、ほかに何もはさめない感じです。まずはやってみるべし。ありがとうございます!
Commented by supernova1987a at 2017-08-14 15:09
> オヤジさん

確か、ケラレは狭義の意味ではフードが傾いてたりイメージサークルが小さすぎて周辺部が欠けて写る事だったと思いますが、広義には口径食を含め周辺減光全般を指して使われることが多いですね。

ところで、オヤジさんのコメントを見て、ググってみたら、
ケラレってラテン語の「celare」(隠すの意)が語源ですって。
Commented by supernova1987a at 2017-08-14 15:13
> kem2017さん

そうですね。
今は、⑭や⑩付近に52mm径のフィルタ、
⑦付近(スリーブの内側)に31.7mm径のフィルタを付けてますが
今後31.7mmのフィルタホイールを⑥と⑦の間付近に装着予定です。
Commented by supernova1987a at 2017-08-14 15:20
> にゃあさん

フィルタ使うとなると短焦点ニュートンは色々と難しいですね。
数値的には工夫次第でなんとかなりそうなので、ぜひ色々トライしてみてください。
・・・たぶん計算は間違ってないと思うんだけど・・・・(実は自信なし)

そうそう、この記事を書いている間に「少しだけ」晴れ間が見えたので、月面をビームスプリッタ撮影しました。現在、画像処理中♪
いやはや、本当に久しぶりに天体写真が撮れたよ~。
名前
URL
削除用パスワード
by supernova1987a | 2017-08-14 02:38 | 機材 | Comments(11)

あぷらなーとの写真ブログ


by あぷらなーと
PVアクセスランキング にほんブログ村