★ビームスプリッタは大口径機用で・・・
ASI1600MM-COOLとMC-COOLを同時露光する「ビームスプリット装置」は、あくまで大口径機種用の便法として『開発ごっこ』したものです。
しかし、小口径の望遠鏡を使うのなら、なにもそんな『ややこしい装置』を持ち出さなくても、望遠鏡を2本用意してL画像とRGB画像を同時露光すれば良いわけです。光量も減りませんので露出時間も(ビームスプリッタの)半分で済むはずです。
一応、BORG60ED(絶版モデルですが、個人的に大好きな望遠鏡です)を2本揃えていたので、いつか「ツインBORG」としてLRGB同時露光を決行しようと画策しつつ、お仕事が忙しかったり天気が悪かったり「VML260L+ビームスプリッタ」の誘惑に負けたり(笑)して、ファーストライトが伸ばし伸ばしになってしまいました。
★GPVは『ダメダメ』表示だったけれど
8/27の夜は、GPV予報がずっと白~灰色でして「常に雲が流れている」残念な天気と思われましたが、いざ夜になってみると意外に雲が『薄く』て2~3等星くらいなら目視できるじゃないですか。
・・・こら、ニワトリに出撃せんとあかんでしょー!
所詮「テスト撮影」なので、少々の雲やモヤは気にしない気にしない♪
★今回のお題は・・・
「比較的高価な機材(BORG89ED+D810A)に、より小さな機材(BORG60ED+冷却CMOSカメラ)が肉薄できるかどうか」
です。
うーむ。これは面白そう♪
・・・というわけで、この日のために構想を温めてきたスペシャル装備でニワトリ出撃です。

K-ASTEC改造Newアトラクスにプレートを載せて、その上に
BORG89ED×1本 + BORG60ED×2本を搭載します。

・・・で、
BORG89EDにはD810A、2本のBORG60EDにはASI1600MM-COOLとMC-COOLをそれぞれ装着。
D810AはISO3200のRAWで30秒露光、ASI1600はゲイン300のRAWで30秒露光を繰り返す作戦です。
空の条件はよろしくないので、オートガイドは無し。ノータッチガイドでお気軽撮影です。
★モヤが光害で光ってる中、M31は写るのか?
BORG89ED+笠井フラットナー+D810Aの30秒露光×140枚コンポジットだと、こんな感じになりました。

ひゃー。フラットは撮影していないので、すんごい周辺減光。
しかも背景の色が左右で異なるという悲惨な写真。(右の方が光害が強いのでしょうかね?)

それでも、トリミングすれば、「そこそこ見られる」アンドロメダになりました♪
★BORG60ED+MCの一発撮りでは
BORG60ED+純正レデューサ+LPS-P2+ASI1600MC-COOLの組み合わせで、ゲイン300の30秒露光をするとこんな感じ。

一応、アンドロメダの中心核だけが分かる程度ですね。
トーンをいじってみると・・・・

ショットノイズまみれでザラザラですが、周辺部まで写っていることは分かります。
今回の『対決』のキモは、「焦点距離600mmのBORG89ED+フルサイズ一眼」に対して「焦点距離約300mmのBORG60ED+フォーサーズCMOS」を戦わせる所でして、ご覧の通り、ほぼ同じ画角になるのですね。当たり前ですが(笑)。
★MCの画像を120枚コンポジットしてみる
ASI1600MC-COOLのゲイン300+30秒の画像を120枚コンポジットして、トリミングしてみると・・・・。

ウェーブレットやHDR等のような特殊な処理はせず、単にコンポジット+デジタル現像しただけですが、結構良く写りますね。
このコンディションで、これだけ写れば十分満足なのですが・・・・・・
★MMのL画像は強めに画像処理に耐えられそうだったので
ASI1600MM-COOLのゲイン300+30秒の画像を120枚コンポジットして、NikCollectionのHDRやらシルキーピクスのノイズ整列やらを施してみます。
すると・・・・

おっ!
これ、なかなか良いんじゃないですか?!
では、いよいよ・・・・
★MM+MCでLRGB合成してみる
実はダークは先日撮影したときの使い回しですし、フラット補正も無し。追尾もノータッチガイド。
いい加減な撮影ですが、雲が薄くなるタイミングのみを狙うので、仕方ありません。
ともかく、MMの120枚コンポジットした画像をLに、MCの120枚コンポジットした画像をRGBにして、LRGB合成してみます。
ついでに、若干のマスク処理とルーシーリチャードソン画像復元と軽くHDRを加えて、シルキーピクスでテイストを調整します。
すると・・・
ででん!
おお、とても良い感じです♪
えーと、たしか前回M31を撮影したのは・・・・・そうだ!
2009年のお盆に、R200SS+コマコレ+ニコンD700(無改造)で2分露光6枚コンポジットしたきり、8年間もご無沙汰!!
ちなみに2009年のM31がコチラ(満濃池に遠征して撮影)
そもそも露光量が異なりますし、画像処理の手法が全く違うので比較はできませんが、当時、20cm反射で(空の暗いところまで)遠征してようやく写せたアンドロメダが、薄曇りの自宅でしかもたった6cmの屈折で写せるようになった、ということですねぇ。
・・・これ、ちょっと真面目に撮影行きたくなってきました。