★クールピクセルの軽減のために
「位置合わせ無しコンポジットした画像からクールピクセル情報を抽出して補正する」というアイディアがなかなか上手くいっています。
そこで、ツインBORG60EDで撮影したM31のデータをLRGB合成して再処理するために、今度はカラー冷却CMOSカメラASI1600MC-COOLのクールピクセルについて処理してみました。
★カラーカメラのクールピクセルはどんな様子?
ASI1600MM-COOLの時と同じ手法で、ASI1600MC-COOLのクールピクセルを抽出してみます。
左:ダーク・フラット補正したMCのRAW画像を位置合わせ無しで60枚コンポジット
右:その画像から抽出したクールピクセル(の反転画像)
カラーカメラはそのベイヤー構造のために、ぱっと見クールピクセルが目立ちませんが、抽出処理をしてみると「ウジャウジャ」出てきました。
ただしカラーカメラの場合、実際の画像処理ではクールピクセルが目に付くことは希ですし、一般的にクールピクセルの軽減処理は不可欠では無いとされています。
では、なぜ目立ちにくいのかを確かめるために、上で抽出したクールファイルをさらに反転して、デモザイク(ディベイヤー)処理に掛けてみます。
左:ダーク・フラット補正したMCのRAW画像を位置合わせ無しで60枚コンポジットしたものをデモザイク
右:クールファイルを反転しデモザイク
どうやらカラーカメラの場合はそのベイヤー構造によって、クールピクセルが「輝度の欠損」ではなく主に「色の欠損」として処理されるわけですね。
そのため、クールピクセルを放置していても「黒い筋」にならず、むしろ「色むら」として認識されやすいと推測されます。
ちなみに、ホットピクセルは輝度が過剰になっているため加色混合法にしたがい「赤か緑か青か」で現れますが、クールピクセルの場合は一種の減色を行うことになるため、補色である「イエローかシアンかマゼンタか」で現れるようです。(上の右図参照)
★ASI1600MC-COOLで『クールファイル』補正処理
では早速、ASI1600MC-COOL用に作製した『クールファイル』について、補正の有無を比較してみましょう。
左:クールファイル補正なしで加算平均コンポジット(位置合わせあり)
右:クールファイル補正を加えて加算平均コンポジット(位置合わせあり)
左の画像に見られる「マゼンタやシアンで横に伸びた様な不愉快なノイズ」が右の画像ではキレイに除去されていること分かります。
モノクロカメラほどではありませんが、カラーカメラにもこの手法は効果があるようですね。
★では、全データを使って再処理してみます。
ツインBORG60EDにASI1600MC-COOLとMM-COOLを用いて撮影したM31の画像(MCとMM、それぞれゲイン300・30秒露光×120コマ)を再処理してみました。
前回LRGB合成したときは、NikCollectionのノイズ処理やシルキーピクスのノイズ整列などを多用する必要(要するにノイズをぼかして誤魔化す必要)がありましたが、今回はほとんどノイズ処理の必要がありませんでした。いい加減なフラットファイル(PCモニタ+ディッシュ)を使ったので色むらは残っていますが、M31本体とその周辺の『縮緬ノイズ』や『色むら』は激減しました。
えらく苦戦しましたが、少し前進したような気がします♪
★さて、次は・・・・
久しぶりに「主砲」VMC260L+ビームスプリッタ装置を用いて、星雲などをドカーンとクローズアップしたいですねぇ。
※この可愛らしいイラストは、『ASI1600仲間』の にゃあさん が描いてくれました。
どうです? スゴイでしょこれ。
もうメーカーさんのカタログや説明書に使えそうなクオリティで、ビックリ!