★『クールファイル』やらフラット補正やら・・・
レンズ無しのD5000を3台縦に連結して、真上を向けて15秒露光を延々繰り返すという『遊び』。
※D5000IR改造 ISO1600 15秒露光 長秒時ノイズリダクションあり RAW 強トリミング レベル調整
こんな感じで、結構ウジャウジャ写っちゃうものなのですねぇ。あらためてビックリ。
左が一層目のD5000に写った輝点で、右が二層目のD5000に写った輝点です。三層目のD5000には何も写っていませんでした。それぞれヒット箇所が500ピクセルほどズレているので、これが斜めに入射した粒子だとすると、ちょうど三層目に到達したところで撮像チップ外に外れたことになり、つじつまが合うと言えないこともありません(笑)。
最近、色々と天体写真の下ごしらえを勉強中ですが、ダーク減算用のダークフレームを処理していたとき、ふと思いました。
・・・突発的なノイズの中には、結構明るいヤツがあるよなぁ・・・。
これ、何なんでしょ?
巷では、宇宙線が撮像素子をヒットしたものが多数含まれているというウワサ。
大学院生時代に「一次宇宙線のエナジースペクトル解析」が専門だった身としては興味津々。
★観測装置はないけれど、少し遊んでみた
宇宙線とは、「宇宙から飛来する高エネルギーの放射線の総称」です。カミオカンデでお馴染みのニュートリノとか、バーストした天体から飛んでくるガンマ線とかが有名ですね。もっとも、地球に飛来した高エネルギーの宇宙線は地球大気とインタラクション(相互作用)して、二次粒子に変化しますので、イメージとしては地表に到達する宇宙線は、『宇宙線本体のカケラ』とか破壊された『大気原子の破片』がごっちゃになって飛んできているものです。地表に降ってきている宇宙線の大半は、ミューオン(μ粒子)とエレクトロン(電子)とポジトロン(陽電子)の混成だと思われます。
ちなみに、研究していたころは標高5000m超の高山のてっぺんに有効面積が1~4平米のシンチレーションディテクタを多数展開して、空気シャワー現象(大気内で無数に増殖した荷電粒子がシャワーのように飛んでくる現象)を観測していました。例えるならば、「1画素の大きさが1~2mくらいある数十画素のデジカメ」といったところでしょうか。
アマチュア用のCCDセンサーとかCMOSセンサーとかは学生時代になかった装置なので、完全に専門外です。確かに、フォトマル(光電子増倍管)を使ったシンチレーションディテクタのデータ解析の際に、プラスチックシンチレータ(望遠鏡の主鏡のような役割)にヒットせずにフォトマル(望遠鏡の副鏡の位置にあるようなもの)を直接ヒットする粒子があって、その影響を排除するのに苦慮した思い出があります。これと同じようなことがデジカメでも起こっているんでしょうが、よく分かりません。
・・・で、ちょうどD5000用のダークファイルを作り直そうかと思っていたところなので、ついでに遊んでみました。
はい。「なんちゃって積層ディテクター」ですな(笑)。
さすがに三層通過できる立体角はわずかなので、なかなかヒットしないでしょうが、二層くらい貫通する粒子が捉えられても不思議はないかも??
※注:すんません。遊びなので、なんにも計算してません。
★ダークを引いても残る輝点例
D5000を三連結した『なんちゃって積層ディテクター』の第一層目で捉えられた「不自然な輝点」の例がこれです。
撮影時に長秒時ノイズリダクション(1枚撮影するごとにダークを取得して減算する機能)を掛けていますのでほとんどダークノイズは消えています。
そんな中、画像をよく見ると数コマに1個程度の割合で強い輝点が写っていました。もちろん、1枚ごとにその位置は異なります。
さて、今度は15秒露光をした画像100コマを比較明コンポジットしてみましょう。
すると・・・・
★二層貫通した例??
そんな中、3台のD5000の画像を丹念に調べてみて1例だけ「二層貫通したのかも??」と思われる事象が見つかりました。
※注:いわゆるコインシデンスタイム(同期時間幅)が15秒もあるので、全くあてにはなりませんよ(念のため)
★ともかく・・・
今回の『遊び』で、ランダム発生しているホットピクセルが意外に多いことが分かりました。
果たしてこれが二次宇宙線がヒットしたものかどうかは分かりませんが、ダークファイル作成時には、安全のため加算平均ではなくメジアンとかシグマクリップとか使った方が良いのかも知れませんね。(ちなみに今回の撮影は木造の屋内で行いました)
※フランジバックが短い(有効立体角が大きくなる)ミラーレスを使った『三層ディテクタ』とか、霧箱とCMOSセンサーを組み合わせた『ハイブリッドディテクタ』とか、面白そう♪・・・いや、いっそのこと、ジャンク品のデジカメを買いあさってセンサーだけ積み重ねるとか・・・・ダメだダメだ。これ、泥沼に陥りそうなのでやめとこう(笑)。
★★★ご注意★★★
※今回の記事は、完全なる『落書き』ですので信用してはいけません。
※シーレベルの地表の場合、ミューオンを主体とする二次宇宙線は1㎠センチあたり1分間に1個程度到来していると言われていますが、どのようなエネルギーレンジの時に『感光』するのか、あぷらなーと自身が理解していません。また、撮像素子を貫通した時よりも停止した時の方が放出するエネルギーは大きいはずなので、そもそも『貫通して写る』のかどうか極めてアヤしいです。
※ライトフレームに生じる突発的輝点はステライメージのホットピクセル除去フィルタで相当緩和できますので、ほとんど実害はないでしょうね。
※強い粒子が入射した際は、素子自体が破壊されて永続的なクールピクセルになるとのウワサもありますが、真偽の程はよく分かりません。
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kem2017
at 2017-09-26 04:43
実験もスゴいけど、D5000が3台あるのもスゴいですね (^o^;
荷電粒子なら、宇宙線もあるでしょうが、逆に下からのカリウム40だのラドン222だのが悪さしてるかも?
荷電粒子なら、宇宙線もあるでしょうが、逆に下からのカリウム40だのラドン222だのが悪さしてるかも?
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supernova1987a at 2017-09-26 10:20
> kem2017さん
D5000大好きなもので・・・。(全部中古品ですが)
下からの放射線も沢山来てると思います。たぶん地表から飛んでくる粒子はエネルギーが低めだと思うので、霧箱を併設すれば特定できるかも知れませんね。・・・自作してみようかなぁ。
D5000大好きなもので・・・。(全部中古品ですが)
下からの放射線も沢山来てると思います。たぶん地表から飛んでくる粒子はエネルギーが低めだと思うので、霧箱を併設すれば特定できるかも知れませんね。・・・自作してみようかなぁ。
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supernova1987a at 2017-09-26 10:34
> オヤジさん
本当はガンマ線で天体観測とか憧れるのですが、アマチュアの機材では無理・・・。
ちなみに標高5200mの研究所は酸素が薄くて大変でした。十分にトレーニングしてから現地入りしたつもりでしたが、歩くだけでゼーゼー。ところが、現地人はそこで「走る」んですよ。2ヶ月ほどで私もランニングできるようになりましたが、二度と行こうとは思いません(笑)。そんななか毎年数ヶ月ほど現地入りしてたプロの物理学者の根性には頭が下がります。
本当はガンマ線で天体観測とか憧れるのですが、アマチュアの機材では無理・・・。
ちなみに標高5200mの研究所は酸素が薄くて大変でした。十分にトレーニングしてから現地入りしたつもりでしたが、歩くだけでゼーゼー。ところが、現地人はそこで「走る」んですよ。2ヶ月ほどで私もランニングできるようになりましたが、二度と行こうとは思いません(笑)。そんななか毎年数ヶ月ほど現地入りしてたプロの物理学者の根性には頭が下がります。
レンズもないカメラを映画「ムカデ人間」のように連結して???と思いましたが、なるほど言ってみればデジタル霧箱ですね。面白いです!宇宙線が斜めに2台貫通している様子とか脳内再生してワクワクしてしまいました。けむけむさんのレスにも萌え(笑)
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supernova1987a at 2017-09-27 08:53
> にゃあさん
ミューオンなら透過力が大きいので三台通過とかも有りそうなんですが、頻度的に難しいのかもしれません。
天気が悪いままなら、霧箱作って再度チャレンジするかも、です。
鉛板使って遮蔽実験までやれば、突発的ホットピクセルの軽減アイディアにもつながるかも(笑)
ミューオンなら透過力が大きいので三台通過とかも有りそうなんですが、頻度的に難しいのかもしれません。
天気が悪いままなら、霧箱作って再度チャレンジするかも、です。
鉛板使って遮蔽実験までやれば、突発的ホットピクセルの軽減アイディアにもつながるかも(笑)
by supernova1987a
| 2017-09-26 03:45
| 考察ごっこ
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Comments(6)