科学写真

百均パワーで宇宙線を見る②

★百均霧箱が素晴らしく良く見えるので

前回の記事で書いた『百均霧箱』が非常に良い感じです♪


試運転ではD5000の動画機能を使って640×480ピクセルで撮影したのですが、解像度を上げるため冷却CMOSカメラを投入してみました。



★対霧箱撮影仕様の冷却CMOSカメラ

まずは、ASI174MC-COOLです。
グローバルシャッターのおかげで『コンニャク現象』が出ないのが魅力で、ミルククラウンの撮影では大活躍しました。

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今回は、こんな装備で行きます。
ASI174MC-COOL+ニコン35mmF2で、画角の微調整のためにベルボンの微動雲台を装着。

※どうでも良いことですが、この機材写真、いつもより良い感じで写ったと自画自賛。最近、にゃあさんがブツ撮り用ボックスを使ってスゴく格好いい機材写真をアップされているので、負けじと(笑)新兵器『LEDトレース台』(本来はフラット撮影用に買った物)を拡散光源として用いたのですよー♪

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三脚は、変幻自在の変形機能を持ち、真上からの撮影に強いマンフロット190を投入。

速射性を優先して、冷却温度-10度・ゲイン400・8bitモノクロ・HighSpeedMode-ONで撮像。
ところが(ここがASI174MCの最大の弱点なのですが)盛大な横シマノイズが発生してトーンを持ち上げられません。
また、霧箱の運用ミスで底面にホコリが混入して光っていたり、開口部に微少な水滴が付いて丸いボケになったり、もうダメダメ



★一応、アマチュア天文家なので

ま、普通はここであきらめる所ですが、「こういう時に天体写真のテクニックが活きてくる」んですねぇ(笑)。

まずは、背景のゴミとか余計な光:『ダークノイズ』
と見立てて、処理してみます。

撮影した動画は1000コマのSerファイルなので、これをコンポジットして「位置の変わらない光」をノイズとして認識できるようなファイルにします。
ただし、空中に漂う霧粒が流れているので、そのままではその軌跡が悪さをして『縮緬ノイズ』になってしまいます。
そこで、2コマ飛ばしで333コマのコンポジットを行い、出来上がったファイルを『ダークファイル』に見立てて処理

さらにASI174系のシマシマノイズは位置がめまぐるしく変動するので補正は無理と判断してシルキーピクスの「ノイズ整列」(バンドノイズ軽減機能)を掛けます。

その他、ステライメージのホット除去フィルタやNikCollectionのDefineなどを用いて、余計な明暗を目立たなくさせます。

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 ※左:撮って出し 中:背景減算処理後 右:ノイズ処理後

これで随分見やすくなりました。

なかなか良い感じです♪  

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いやー、この軌跡は面白いですね。
明らかに途中でインタラクション起こしてますよ。
・・・いつか「こんなん」撮ってみたかったんだー。


★ASI1600MMだと、さらに

ASI174で良い感じの放射線が撮影できて悦に入っていたものの、「ASI1600MMの方が良く写るんではないか?」と気になったので、早速機材組み替え。
今度は、ASI1600MMーCOOLで霧箱撮影をしてみます。
たしかに、モノクロで撮影するなら最初からモノクロカメラの方が良いですし、ASI1600MMにはほとんど横シマノイズがありませんものねぇ。

・・・すると・・・

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えっ!?

撮って出しのトリミングのみで、コレですか?!

なんという高感度、なんという低ノイズ!!
まるで流星群を撮影したみたいに鮮明な放射線軌跡。
ローリングシャッターとは言え、霧箱の場合はその軌跡がしばらく「漂う」ためにコンニャク現象は起こりません。

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うーむ。

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うーむ。

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うーむ。
画像処理なしでも、とんでもなく良く写るなあ、ASI1600MM-COOL
こうなると、300FPSくらいが必要となる(ミルククラウンなどの)高速度撮影以外では、もうASI174MCの出番が無いかもなぁ。



Commented by にゃあ at 2017-10-16 10:16 x
2コマ飛ばしのコンポジットという技があるんですね。素晴らしい画像処理です!ダーク処理の応用の仕方に感心するばかりです。背景布の質感とトレース台の柔らかい光がいい感じでまとまっていますねー。私も布を引っ張り出してこよう(笑)
Commented by supernova1987a at 2017-10-16 14:41
> にゃあさん

全コマ連続だと、放射線軌跡の周囲のエタノール滴(霧粒)の動きがつながってしまうので、苦肉の策として間引きしました。(それほど絶大な効果があるわけでは無いですが)

トレース台の拡散光、やはりブツ撮りには効果大でした。
ちなみに、背景の布は・・・・・ただの黒いタオルです(笑)
Commented by voyager_camera at 2017-10-16 18:53 x
面白そうなことをやられているようなので見学に来ました。
霧箱うまくいってますねえ。
ASI1600MM-Coolよりも宇宙線の方が面白そうです。
科学館などで実際に霧箱を見たことが無いので、こんなに沢山飛ぶものですか?
先日の太陽フレアの影響というよりも、ここのところ太陽活動が低調なので銀河宇宙線が増えているのでしょうか。
Commented by supernova1987a at 2017-10-16 20:10
> voyager_cameraさん

ようこそいらっしゃいませ!

私の(学生時代の)専門は、「高エネルギー宇宙線物理学」だったのですが、現在は全く異なるお仕事(民間教育系)をしているので、もはや研究者としてのスキルは失いました。
ただ、趣味の世界は、研究とは異なり「成果を出すことを求められない」ので、厳密な検証や考察無しで純粋に楽しめて気が楽ですね。(ところで、voyager_cameraさんは、もう新天体のサーベイや測定系はされていないのですか?)

※太陽起源の宇宙線は地球磁場によりほとんどがカットされます。また銀河宇宙線のうち低エネルギーのものは大気中で減衰してしまうので地上まで届きません。そして高エネルギーの銀河宇宙線はそもそもの頻度が少なすぎて滅多に飛んできません。我々が研究していたときは、大気の影響を避けるため、標高5000m超の高地に巨大な検出装置を建設して観測していました。(天文風に表現すると、口径1~2m級の装置を100機以上展開)

※透過率が高いために地上まで生き残りそうな放射線は、一次粒子と大気原子核の相互作用で生じたミューオンですが、オーダーレベルでザックリと見積もると1平方センチメートルあたり1分間に1個程度と思われます。したがって、今回検出した放射線の大半は、岩石や建材はじめ、生活圏から放射している低エネルギーの電子などが主体と思われます。(宇宙線らしきイベントも検出されましたが、希でした。)

※もちろん、太陽フレアに伴うCMEが『直撃』したり、超新星爆発に伴うガンマ線バーストが『直撃』するような事態になると、生活圏に多大なるダメージを与えるほどの被曝量になる可能性があります。

以上、中途半端に堅いお話で申し訳ございません。先ほど、霧箱で放射線を検出した面白い動画をアップしましたので、お楽しみください♪
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by supernova1987a | 2017-10-16 06:00 | 科学写真 | Comments(4)

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