天体写真

満月に負けない!③

★『難敵』馬頭星雲

いつも、ネット上の素晴らしい作品を見てため息をついている天体があります。
メジャーな割に結構難敵な対象、馬頭星雲です。
これ、すごく苦手なんですよねぇ。

そばに輝星があるし、そもそも暗いし、・・・暗いお空の元で明るい光学系使わないと上手く写せそうにありません。
これまでのチャレンジだと、星雲本体が淡いか盛大な『縮緬ノイズ』が出るかで全て玉砕。


★3つの『新兵器』フル動員でがんばってみる

久しぶりに晴れた先日の日曜日、満月期ではありますが、リベンジしてみることに。
今回は、昨年までと異なりVMC260Lに「3つの新兵器」を投入。

 ①ASI1600MCとMMで同時露光するビームスプリッター
 ②『縮緬ノイズ』を劇的に軽減する『クールファイル補正法』
 ③Hα12nmナローバンドフィルタ

さらに、普段無精して割愛しているポールマスターによる極軸合わせとPHD2によるオートガイドも実施します。

満月に負けない!③_f0346040_14093122.jpg

馬頭初心者としては、あまり欲張らずに
「とりあえず、それっぽく見える」
ことを目標に仕上げてみます。


★撮影の主データ

望遠鏡:VMC260L+自作レデューサ
カメラ:ASI1600MC-COOL + ASI1600MM-COOL
赤道儀:K-ASTEC改造Newアトラクス
ガイド:PHD2+ミニBORG50によるオートガイド
ゲイン:400(MC.MMとも)
冷却:-10度(MC.MMとも)
フィルタ:MCにLPS-D1 MMにHα12nm
露光:30秒(MC.MMとも)
※ドリンクウォーマー転用ヒーターで結露とり

珍しくオートガイドを入れているので本来は露光をもっと伸ばせそうですが、すぐ近くに満月がありますしガイド鏡のたわみやVMCのミラーシフトなどがあるので、いつもの「短時間露光多数枚コンポジット」で行きます。


★1コマ撮りだと・・・

MCとMMの1コマ撮りだとこんな感じです。

満月に負けない!③_f0346040_14182181.jpg
 ※左:MC1コマ撮り 右:MM1コマ撮り

お?
MCだと完全に満月の明かりに埋没している馬頭が、MM+Hαだとうっすらと見えます!!


★120コマコンポジットしてみます

MCはダーク減算とホットピクセル除去を施してコンポジット
MMはそれに加えて『クールファイル補正』を加味してコンポジット
できるだけ『縮緬ノイズ』を押さえ込んでみます。

満月に負けない!③_f0346040_14214984.jpg
 ※左:MC120コマコンポジット 右:MM120コマコンポジット

おお!

MM+Hαの方は、クッキリと馬頭が浮かび上がってきました。
ナローバンド、すげぇ♪


★その他ゴニョゴニョしてLRGB合成

(炙り出しした際に)ある程度ノイジーになる画像の『応急処置』にも慣れてきました。
ステライメージの他にNikCollectionとシルキーピクスを使って、ノイズを『ごまかし』ます。

今回もフラット補正はしていないので、「今後のお楽しみ」

さて、ノイズ処理加工したMMのL画像とMMのRGB画像をLRGB合成してみます。

すると・・・


ででん!
満月に負けない!③_f0346040_14310055.jpg
うむ。
明らかに「自己ベスト」の馬頭星雲ゲットです♪
・・・満月期に(笑)

・・・まあ、ベテラン諸氏から見ると『鼻で笑う』レベルでしょうが、前回作と比べるとその差は歴然
ここは自己満足しておきましょう。

前回の馬頭星雲(2016年8月31日撮影)↓

満月に負けない!③_f0346040_14402157.jpg
 ※VMC260L+純正レデューサ+LPS-P2フィルタ
  ASI1600MC-COOL(-15度) ゲイン200 露光30秒×50枚コンポジット
  (低ゲインなのに『縦縞まみれ』なのは、無理して炙り出してる証拠xx)

さて、新月期に真面目に撮るとどうなるんでしょうなぁ。
わくわく!


Commented by オヤジ at 2017-11-13 16:27
馬も思ってますよ。「あぷらなーとマジック」だって。
素晴らしいですね。
何より嬉しかったのは、Expとgainが同じような数値だったこと。

晴れたら、一晩1対象位の気持ちで頑張ります。
面倒くさがりのオヤジには、カメラを差し替える必要もなく、便利なFlipMirror教えて貰いました。
感謝!
Commented by kem2017 at 2017-11-13 20:50
あぷらなーとさん、オリオン大星雲は得意なのに、馬頭は苦手だったんですね (^o^)
Commented by supernova1987a at 2017-11-13 21:12
> オヤジさん

悪条件下のテスト撮影としては上々の出来でした。
これで「馬頭コンプレックス」から脱出できるかも。
透明度が良いときに『本番撮影』行ってみます♪
その際には、真面目にフラットも補正します(笑)
Commented by supernova1987a at 2017-11-13 21:18
> kem2017さん

はい。
中学生の頃から、もう『トラウマ級』に馬頭星雲が苦手です。
・・・だって、いくら頑張っても写んないんだもん(泣)

たぶん、経験数の違いですね。
M42は、かれこれ数千ショット以上撮ってるんではないかと・・・。
反面、馬頭星雲はせいぜい数百ショット足らず。

でも今回の撮影で、トラウマ脱出できそうです♪
Commented by HIROPON at 2017-11-13 23:03
あぷらなーとさんをして、馬頭星雲が苦手とは、なんか意外でした。
東京都心でも写ってくれるいい子ですよ?ヾ(@°▽°@)ノ(ぉぃ

とはいえ、満月でこれはすごい!ナローバンドの面目躍如といったところですが、ビームスプリッターで撮影時間を短縮できているからこそでもありますね。さすがです。

しかし、満月でこれだけ写ってしまうとサボれなくなりそう…(^^;
Commented by supernova1987a at 2017-11-13 23:16
> HIROPONさん

えっ。
馬頭星雲、そんなに「よい子」ですかー。
私はいつも馬頭にイジメられてたんですけど・・・・。
『邪道』で遊んでばかりいると、定番すら上手く写せないという見本ですねぇ。

しかし、ビームスプリッタ+ナローバンドなら、『邪道』でも結構戦えることが分かりました。満月で、しかもそばにLED街灯5~6機が煌々と光ってるという『むちゃくちゃな』条件で、これだけ写るんですものねぇ。
さて、次回はOⅢの投入を画策してみます。(睡眠不足が危険・・・・)
Commented by にゃあ at 2017-11-14 00:43
馬のたてがみとあごひげ?の描写が滑らかで、仔細がよく出ていますね!1500光年離れた天体なのに、地上で見る夕方の雲のようです。OIII楽しみにしています!こういう写真を拝見すると長焦点が欲しくなってしまうわけで、じゅるじゅる。
Commented by supernova1987a at 2017-11-14 09:00
> にゃあさん

長焦点は対象が大きく写るので楽しいですね。
と言いつつ、今回は現像時に3x3ビニングしちゃったので600mm相当の解像度しか出てませんが。
早くOⅢも投入してにゃあさんに追いつきたいですが、例のピント位置ズレ問題が心配です。
Commented by YAMASHITA at 2017-12-02 02:23
初めまして、YAMASHITAと申します。
CMOSカメラの天体写真で検索してたどり着きました。
どこに書いたら良いのかわからないので、こちらにぶら下げさせていただきます。

このたび天体用CMOSカメラ掲示板というのを始めました。私自身は撮影を始めたのがまだ1年前ですが、これから情報発信をしていきたいと思います。もしよろしければいろいろ書き込んでいただければ幸いです。

よろしくお願いします。
Commented by supernova1987a at 2017-12-05 01:30
> YAMASHITAさん

はじめまして。ようこそいらっしゃいました!
日本では、天体用CMOSカメラの情報は、まだまだ少ないので掲示板の設置は貴重ですね。
お役に立てるほどのスキルはありませんが、ちょくちょくお邪魔させていただきますね。
では、今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by YAMASHITA at 2017-12-05 23:30
ご返事どうもありがとうございました。
掲示板を盛り上げられればうれしいので是非お越し下さい。

また身近にCMOSカメラでDeepSkyを撮影している仲間がおりませんので、お知り合いに宣伝いただければ幸いです。

なにとぞよろしくお願いします。
-----
別記事にエラそうなコメントを書かせていただきますね。
Commented by supernova1987a at 2017-12-07 11:23
> YAMASHITAさん
こちらこそよろしくお願いいたします。
面白そうなネタが見つかれば
ぜひ書き込ませていただきますね!
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by supernova1987a | 2017-11-13 14:46 | 天体写真 | Comments(12)

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