天体写真

クールピクセルにお悩みの方に朗報♪

★マイナーバージョンの違いにより差はあるものの

ASI1600MM-COOLは大変優秀な冷却CMOSカメラで、私などは2個も買っちゃったのですが、私の『1号機』の最大の弱点は、ウジャウジャ出てくるクールピクセルでした。

クールピクセルにお悩みの方に朗報♪_f0346040_11075769.jpg
大晦日に『年越し薔薇』したときの画像をダーク・フラット処理して、位置合わせ無しで119枚コンポジットした画像です。
こんな感じで黒点まみれになってるわけですね。さらに、これを位置合わせありでコンポジットすると、『縮緬ノイズ』(モヤモヤした黒い筋)が無数に生じて悲惨な像になります。


★『クールファイル補正法』考案♪

そこで、苦肉の策として編み出したのが『クールファイル補正法』でした。


これ、珍妙な処理過程なので「鼻で笑われるだけ」かなーと思っていたのですが、意外に反響が大きくって、色んな方が実際にテスト運用して成果を出されたようです。

ただ、結構複雑な行程を踏むので処理枚数が多いと難儀します。特に単純ミス(加算したっけ?減算したっけ?位置合わせしたっけ?処理後のファイルはどこ行った?)が出るのが怖いんですね。特に徹夜観測明けは危険です。

ところが!


★救世主ぴんたんさん降臨♪

昨日の拙ブログに「目を疑うような」コメントが・・・。
あの「FlatAide」の開発者ぴんたんさんから「お初コメント」をいただいたのですが、
その内容が・・・

ええっ!?

「FlatAide Proに『クールファイル補正』機能を実装した!」

ですと?!
しかも、バッチ処理一発で完了するという夢のような仕様
・・・で、本来はライセンスを購入しないと(処理画素数などに)制限がかかるPro板なのに、この機能はフリーで使えるという太っ腹仕様。


★早速試してみる♪
クールピクセルにお悩みの方に朗報♪_f0346040_11240827.jpg
FlatAide Proを立ち上げたら

プロセス → バッチ演算
と進み、「クールピクセル補正」にチェックを入れます。

元ファイル群を「ブラウズ」ボタンで読み込んで
処理後ファイルを吐き出すフォルダを「保存先フォルダ」で指定します。

・・・で、実行してみますと・・・・

1600万画素のFitsファイル119コマを全課程処理するのにわずか6分!
しかも、随時メモリも解放してくれているようで、最大でも8G弱しかメモリを食いません。

さて、上手く処理できているか見てみましょう♪

すると・・・

ででん!
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 左:ダークフラット補正のみでコンポジット
 中:あぷらなーとの『手動クールファイル補正』実施後コンポジット
 右:ぴんたんさんの『一発でクールピクセル補正』実施後コンポジット

すげえ!

いやはや、処理アイディアをあっという間に実装レベルまで持って行けるスキル、恐れ入りました。

黒点問題・縮緬ノイズ問題でお悩みの方、
あぷらなーとの『クールファイル補正法』が面倒くさくて悶絶中の方

FlatAidePro 必携ですぞ!


★★★補足★★★
自己解決したのですが、処理前のFITSファイルの拡張子は「fits」ではなくて「fts」に変換しておかないと上手く行かないようです。私の場合は、元ファイル群をコマンドプロンプトから「ren *.fits *.fts」実行で一括リネームしてから処理しました。FlatAide使いの皆さんには常識だったのかも知れませんが、私、初めて触ったもので・・・。
★★★追記です★★★
ぴんたんさんより、
「さきほど公開したver1.0.25では拡張子*.fitsでも問題はなくなった」
とのコメントをいただきました!!
・・・ぴんたんさん、仕事速すぎ♪


Commented by kem2017 at 2018-01-03 11:55
おおおお!これは凄そう!
撮影してないので、古いfitsを引っ張り出して処理してみたいですねぇ~
Commented by ぴんたん at 2018-01-03 12:21 x
早速検証していただきありがとうございます。
これでうまくいけば、ずいぶん省力化できますよね!
すべてはあぷらなーとさんの秀逸なアイデアのおかげです。
格子状の輝度差の補正のほうは、まだ問題がありそうなんですが、ひきつづき研究をつづけてみます。
Commented by まーちゃる at 2018-01-03 12:53 x
あけましておめでとうございます!
まーちゃるです。

あぷらなーとさんの秀逸なアイデアがFlatAideProに実装されて、何もしていない僕はウハウハです(^-^)
ありがとうございましたm(_ _)m

ぴんたんさんとも話してたんですが、問題に対する考察のアプローチや検証が秀逸でどんな人なんだろうね〜って話題です(笑)

今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
Commented by supernova1987a at 2018-01-03 13:13
> kem2017さん

いやー。
ネットの力って侮れませんねぇ。
素人が呟いているだけなのに、賢い人がサクッと理解して実体化してしまうという。
ああ、自分にももう少しコーディング能力があったらなぁ。

ともあれ、けむけむさんも過去データを処理してみてください。
※網目状ノイズの軽減機能も実装されてたりして、FlatAidePro、フットワーク軽すぎです!
Commented by supernova1987a at 2018-01-03 13:18
> ぴんたんさん

コメントありがとうございました。
拡張子の件は、処理後にヘッダデータが破損してたことから思いつきました。
そもそもプルダウンメニューの表記が「fts」になってた時点で気付くべきでしたね。
素人が慌てるとロクなことがありませんね。お手数をおかけいたしました。
アイデアだけは豊富に抱えているので、またお暇なときにお立ち寄りくださいませ♪
Commented by supernova1987a at 2018-01-03 13:27
> まーちゃるさん

あけましておめでとうございます!

ええと、ただのオッサンです。
学生時代は宇宙線物理屋でしたが、ドクター取る前に野に下りました。
現在の専門は大学入試現代文なのですが、その他にも(小1~浪人生まで)理科や数学や小論文や音楽など、節操なく授業する身なので、時々変なアイディアが浮かんでくるのかも知れませんね。
Commented by にゃあ at 2018-01-03 20:28 x
いやぁ、才能と才能を結びつけるネットの力ってすごいですね。しどろもどろなビギナーに救いの手を差し伸べていただくとか、いつもありがとうございます! FlatAidePro、食べてみないとです☆彡
Commented by ぴんたん at 2018-01-03 21:16 x
fitかftsの二つしかFITSファイルの拡張子にしてなかった僕のミスです。
解決してよかったー。
あぷらなーとさんのアイデアは刺激的です。
固定星景用のイーブンオッド法スタックもFlatAideProに実装してもいいですかね?
Commented by ぴんたん at 2018-01-03 21:42 x
書き忘れました。さきほど公開したver1.0.25では拡張子*.fitsでも問題はなくなったはずです。
Commented by supernova1987a at 2018-01-03 21:54
> にゃあさん

ぴんたんさんはともかく、私に関しては褒めすぎですよー。
でも(実は褒められると嬉しいので)さらに頑張っちゃうよ~♪
クールピクセル除去機能は、今のところライセンス無しで完動するので、ダウンロードしたら即実戦投入できます。ぜひお試しを。
今までの苦労がウソのように楽ちんです♪
Commented by supernova1987a at 2018-01-03 22:38
> ぴんたんさん
うわー。もう拡張子の件、フィックスされちゃいましたかー。
お仕事速いですね。とても真似できません。

イーブンオッド法の件ですが、実装、大歓迎です。
たぶん、待ってる人達いると思いますし。

ちなみに、釈迦に説法だと思いますが、ステライメージにも比較明コンポジット機能に(Ver6.5以降)「加算」オプションが付加されています。効能は「星の軌跡が途切れるのを軽減」するとのことで、狙いは私のイーブンオッドと同じです。こちらも(今更ながら)挙動を観察してみたのですが、最終結果はイーブンオッドと全く同じだと推測しています。

では、イーブンオッド法に優位性が無くなったのかというと、実行プロセスが非常に少なくて済む点で有利だと自負しています。恐らく、ステライメージの加算比較明コンポジットでは

 ①:iコマ目とi+1コマ目の輝度データを加算演算
 ②:iに1を加算する(カウントアップ)
 ③:①+②を「総画像コマ数-1回」ループさせる
 ④:③で出来上がったN-1個の画像全ての輝度を比較明演算する

というものと推測しています。
したがって、ロジックが私の邪推通りだとすると、
ステライメージの場合、N枚の画像データを処理するために

 ①加算処理:N-1回
 ②比較明処理:N回

の合計2N-1回の演算が必要となるところ
イーブンオッド法なら

 ①奇数群比較明処理:N/2回
 ②偶数群比較明処理:N/2回
 ③加算処理:1回

の合計N+1回の演算処理で完了します。
要するに、処理枚数が無限大に近づくほど、演算量はステライメージの1/2に収束していくと考えられます。
また、ステライメージの中間処理ロジックは不明ですが、少なくともイーブンオッドの場合は中間処理データは上記の①と②のたった2枚分確保するだけで済むのでメモリ消費量も少ないと思います。
一連の工程が自動化されるとヒューマンエラーが激減しますので、固定撮影ファンには重宝されると思いますのでぜひ実装しちゃってください!!
Commented by ぴんたん at 2018-01-04 01:04 x
イーブンオッド法比較明の実装許可ありがとうございます。
簡単に言えば、奇数コマだけで比較明したものと、偶数コマだけで比較明したものを加算平均すればいいのですよね?
いい加減な理解で作っては申し訳ないので確認です。
なるほどステライメージより計算コストが少ないんですね。
ただ、こちらはVB.Netで書いているので、その優位は帳消しかもしれませんがw
Commented by supernova1987a at 2018-01-04 01:54
> ぴんたんさん

>簡単に言えば、奇数コマだけで比較明したものと、偶数コマだけで比較明したものを加算平均すればいいのですよね?

はい。その通りです。
厳密には、最後は加算平均ではなく加算で処理してますが、実数演算する場合は加算平均でもなんら問題ないと思います。

VB.Netをお使いなのですね。
私は学生時代はFORTRAN中心、社会人になってからはPASCAL(Delphi)ばかり使ってたので、今や時代について行けません(泣)。
Commented by 木人 at 2018-01-04 16:50 x
これは素晴らしいですね。なんとなくカラー版のノイズにも効果ありそうですが1600MCは既に売っちゃったので、、、。それにしてもFlatAidePro、買いですね! 休み明けに早速ライセンス申込みしなきゃ!
Commented by supernova1987a at 2018-01-05 22:57
> 木人さん

1600MCは売っちゃったのですね。
クールピクセルの補正は、カラーでも一定の効果がありますが、真価を発揮するのはやはりモノクロ冷却CMOSカメラの場合でしょうね。
とにかく、私の『クールファイル補正法』は手間がかかるので、同等のプロセスを実装してしまったFlatAideProはスゴいです。

『イーブンオッド法』も実装される予定ですので、こちらも楽しみです。
Commented by ぴんたん at 2018-01-13 11:48 x
あぷらなーとさん
イーブンオッド法の比較明スタック機能をFlatAideProに追加しました。
これもフリーで使えるようにしてあります。
輝度のグラデーションや、途中経過を見ながら合成ストップなんかもできますのでお試しください。
Commented by supernova1987a at 2018-01-14 05:16
> ぴんたんさん

実装作業、お疲れ様でした。
早速、動作確認しました。
まさに意図通りに演算されています。
素晴らしい!!

さすがの神業ですね♪
Commented by ぴんたん at 2018-01-14 12:35 x
おかげさまで実装完了です。
この機能つけたら無性にグルグルが撮りたくなってます。
Commented by supernova1987a at 2018-01-14 14:09
> ぴんたんさん
グルグル撮りたくなりますね♪
そう言えば、デジタル一眼での運用はD700でのイーブンオッドが上手く行かなくて(明るい星が過剰補正)半ば諦め気味でしたが、D810Aでは(ローパスフィルタが無かったり偽色が出にくかったり諸々で)上手く行く可能性がありましたね。ビームスプリッタと3台目ASI1600MM絡みの件が一段落したら、今度試してみたいと思います。
ちなみに『くるりんぱ法』の件は、ロジックから再考し直してます(汗)。(クールピクセル減少とダークノイズ増加の兼ね合いが)思ったより難敵でして・・・。
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by supernova1987a | 2018-01-03 11:41 | 天体写真 | Comments(19)

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