天体望遠鏡

『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪

★ここまで長い道のりでしたが・・・

ようやく、『フルアーマーBORG』が当初夢想した仕様に到達しました。

目指したのは、
「Hαナロー・SⅡナロー・OⅢナロー・RGB の全てを同時露光してしまう」
という、まさに『ど変態仕様機』


★まずはカメラ・・・

カメラはZWOの冷却CMOSカメラです。
 ASI1600MC-COOL×1機
 ASI1600MM-Cool×2機
 ASI1600MM-Pro×1機
合計4台の『赤缶』がついに揃いました!

『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_20475998.jpg
★誰もマネしてくれないであろう「ビームスプリッター」

我ながら画期的アイディアだと思ってはいるのですが、色々とリスクがあって、万人にはオススメできない変態アイテム「ビームスプリッター」も、ついに2セット目の部品が納品されました。

『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_20520470.jpg
発注先は前回と同じ、エドモンドオプティクスさん。
本来研究者向けであろうパーツを個人相手に販売してくれるところが素敵♪

・・・で、色んなパーツを組み合わせて・・・

『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_20553412.jpg
クローズアップレンズ利用のレデューサ内蔵のビームスプリッタ装置が2個完成♪

これらを組み上げると・・・・


・・・ででん!!

★『フルアーマーBORG』完全体、降臨っ!

『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_20581051.jpg
ちなみに、50mmガイドスコープ・50mm光学ファインダー・広角電子ファインダーも装備していて、死角無し。
もはやBORG89EDが原型をとどめていません(汗)

うーむ。
我ながら、ほれぼれするほど変態チックな機材だなぁ(笑)。

少ない観測時間しか取れない身でも・・・
こ・・・この機体なら!

うひひ・・・。



★ご注意★

●ビームスプリッタによる同時露光には、下記のリスクを伴います
 ①光路分割するものなので、明るさは1/2になります。
 ②一種のハーフミラーなので、その原理上、偏光が生じます。
 ③40mmほどのガラスを通過するので、負の球面収差が発生します。
 ④若干の色収差が発生します。
 ⑤設置位置によってはゴーストが避けられません
 ⑥たいていの場合、コスパ悪いです。

●ASI1600MMは、そのバージョンやロットによって個体差があり、特性をよく調べてからでないと意図通りの運用ができない可能性があります。
例えば、あぷらなーと保有の3個体については、下記のように吐き出される像には大きな差がありました。
『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_21071570.jpg
 ※左:1号機 中:2号機 右:3号機
 ※全て-30度+ゲイン200+0.5秒露光でフラットパネルを撮影して出力した16bitFITS画像を50コマコンポジットしたもの。

ご覧のように
 1号機は網目状ノイズが少ない代わりにクールピクセルが多い
 2号機はクールピクセルが少ない代わりに網目状ノイズが盛大に出る
 3号機は(今のところ)どちらも少ない
という有様で、とても同じ(系列の)機種とは思えませんね(笑)。
さらに、1号機にはゲイン400前後で盛大に横シマノイズが発生するため、高ゲイン下で撮影した像は、ステライメージでのコンポジットは不可能で、AutoStackert!2のRowNoiseCollection機能を利用したスタックなどの必要があったり・・・など、色々とクセがあります。

※MM1号機の横シマノイズ(Rowノイズ)は、例えばこんな感じ
『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_01140479.jpg
とりあえず、ゲイン400+30秒露光で発生することは分かってるんだけど、同じゲイン400でも短時間露光によるフラットフレームには再現しないという困りもの。でも、まあ、AutoStackert!2で補正できるので良しとします。


※MM2号機の網目状ノイズの正体は、素子別の輝度分布を解析してみるとハッキリします。

『フルアーマーBORG・完全体』出撃準備♪_f0346040_01162806.jpg
このように感度の高いピクセル(L2・L3)と感度が低いピクセル(L1・L4)が交互に並んでいる訳ですね。
正確には、感度と言うよりもむしろ、L2・L3群とL1・L4群のオフセット(零点補正)がズレてる(涙)。
まあ、これもオフセットのズレ(バイアスノイズ)を含んだダークフレームを減算すれば軽減するので、良しとします。

さて、MM3号機、今回のフラットパネル試写では良い感じに見えるけれど、実際に天体撮ったときは一体どんな問題が出てくるのか、ハラハラドキドキです。

Commented by オヤジ at 2018-01-29 06:53 x
ででーんの赤缶4個写真、思わず吹いてしまいました。
Commented by たじ at 2018-01-29 12:54 x
4缶揃い踏みおめでとうございます。
まずは最後のproのお仕事調査でしょうか。。。
レポート楽しみにしています。
ところで、L用はいらないのでしょうか?
もう一缶?σ(^_^;
Commented by supernova1987a at 2018-01-29 13:23
> オヤジさん

なんだか意地で組み上げた感が強いですが、とりあえず完成です。
先日の3缶使って撮影したナローバンドが思いの外好調だったので、コスパ度外視で組んじゃいました。まあ、これで思うように行かなくても別な活用法も考えてるので良しとします♪
Commented by supernova1987a at 2018-01-29 13:29
> たじさん

ありがとうございます。
しかし、ASI1600MMの個体差が大きいのは困りものです。
中にはもっと差異が出る個体もあるようで、このあたり何とかならないものでしょうかねぇ。

え?・・・もう一缶?!
いやー。2018年の軍拡予算を1月に全て使い果たしてしまったので、もう無理です(笑)。
やるなら、BORG89ED+ビームスプリッタをもう1セット作って、二缶増やして「L」と「Hβ」(or赤外線)ですかねぇ。
Commented by にゃあ at 2018-01-30 01:27 x
いつのまにか4缶が揃い踏み! 写真がショップのショーケースに見えてきました(笑)ツインのときは機関砲に見えましたが、4缶が刺さると、バイクの4気筒エンジンのように見えてきましたよ。冷却V型4気筒完全体……恐るべしです。注意書きがあったので、良い子は真似しません!
Commented by オヤジ at 2018-01-30 10:02 x
赤い茶筒の出口は、最初、2インチホルダ-SⅡで、その次の白いリング状の物は、7504等のマクロエクステンションチューブですか。
前は、白いリング無かったような。(笑)
Commented by あべ at 2018-01-30 17:29 x
驚きのスタイルですね。ここまで行きつくなら、高価なビームスプリッターやめて四連砲方式の方が光のロスが少ないのでは?
Commented by uto at 2018-01-30 18:31 x
フルアーマーBORG,カッコイイですねー!分離(ビームスプリッター)・合体とは、ZZガンダムちっく。

ASI1600もいろいろとクセがあるのですねぇ・・。自分も苦労はしているのですが、ここまで定量的には見てないです・・

エドモンド、昔は、山桜商会経由で個人で買った事がありましたが(15年くらい前?)、今だと、Webからでも注文できますか?
そのうちフィルター欲しいなー・・と思っているところです。




Commented by supernova1987a at 2018-01-30 22:47
> にゃあさん

なかなかゴツいマシンになりました。
まさに冷却V型4気筒完全体ですね♪
ええと、悪い子はマネして良いんですよ~。
Commented by supernova1987a at 2018-01-30 22:52
> オヤジさん

さすが鋭い!
細かいところまで見てますねー。
実は、VMC260Lの時と(クローズアップレンズ転用の)レデューサの位置が異なるので、かなり構成を変えました。純正部品と爆安部品を組み合わせて適切な光路長を出すのに四苦八苦しました。
ちなみに白リングはM57のメスメスリングです。その先にM57のオスオスリングをかまして、そこにレデューサをねじ込んでます。
Commented by supernova1987a at 2018-01-30 23:07
> あべさん

おっしゃるとおり、軍資金があれば4連装のクアッドシステムにしたいのですが、2連装+ビームスプリッタの場合と比べて、多分経費が2倍近くかかりますので・・・。現有の2本はどちらも格安のB品で入手した物なので、なかなか正規の価格では手が出ません。でも最大の問題は、赤道儀が重量オーバーになってしまいそうなことだったりします(笑)。実は50mm自作アクロマートのクアッドシステムは組み立て中です♪

ちなみにビームスプリッタは、悪いことばかりではなくて、クローズアップレンズ転用のレデューサで発生した球面収差を補正する役割を持たせていたりします。
Commented by supernova1987a at 2018-01-30 23:16
> utoさん

どうです?
フルアーマーBORG、なかなか邪悪な変態オーラが出てるでしょう?
ASI1600MM、とある筋からの情報だと、これでも私の個体は(相当に)バラつきが少ないみたいです。ということは、三台揃えるというのも結構危ない橋を渡ってたんだなぁと。

エドモンドオプティクスさんは、日本支社のWeb注文窓口があります。
カタログ見るだけでもテンション上がるパーツが山盛りですよー♪
Commented by HUQ at 2018-02-09 16:34 x
どうみても発動機です。
本当に(ry
Commented by supernova1987a at 2018-02-10 22:47
> HUQさん

ですねー(笑)。
でも、このゴテゴテさが元宇宙物理実験屋としては、愛おしいです。
パーツの組み換えで、さらに面白そうなことも狙ってますが、ターゲットとなる対象天体がそろそろシーズン終わりかけで、焦ってます。
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by supernova1987a | 2018-01-28 21:15 | 天体望遠鏡 | Comments(14)

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