★実を言うと・・・
あぷらなーとは、結構小心者なので、
「ブログで大きな事を公言して、失敗したらどうしよう・・・」
などと、心配することも多いわけですねぇ。
だから白状すると、「250円霧箱制作記」の時も、仮実験が成功してから執筆開始。
実は、その前に
「PET樹脂を使った積層型シンチレータ作ってミューオンの軌跡を撮る」ことに挑戦して玉砕したり、
アクリル板で製作した霧箱がドライアイス冷却による温度差に耐えられず一瞬で大破したり
その他もろもろの『大失敗実験ごっこ』があったことは、ほとんどヤミに葬ってます。
書くとしても、別案が成功した後・・・・・・我ながらズルいなあ(笑)。
★今回の遊びは、リアルタイム連載です
『光害チョッパー』プロジェクト、考えれば考えるほど失敗の公算が高いのですが、今回は『あほネタ』となることを覚悟の上でのお遊びなので、まだ結果が見えないうちから、リアルタイム連載にチャレンジします。(だから、期待しちゃダメ・・・・)
ええ、失敗しても笑いが取れたら良いか、という体当たり企画です♪
★『光害が照明と同期して点滅している』のを前提に
さて、高価な機材(位相コントロール機能付き液晶シャッターとか)を使わずに、点滅する光害を軽減して天体写真を撮るために最初に思いつくのは『プロペラ状の回転シャッター』でしょうねぇ。
F:光害の点滅周波数(1秒に何回点滅するか) N:回転シャッターの羽の数
X:回転シャッターの(1秒あたりの)回転数
とすると、
F=NX
が成り立つように調整すれば、成功しそうです。
ちょうど光害が明るいときに羽でカメラを隠して、光害が暗くなるタイミングで羽のスキマがカメラを通過するという発想です。
これなら安上がりで、まさに光害を斬って捨てる『光害チョッパー』が完成しそう・・・
・・・ですが・・・
★いや、ちょっと待て
この案は数年前に思いつきましたが、試作することもなく、速攻で却下したんですよー。
却下した理由は主に2つ。
①プロペラ式回転シャッターで点滅光源を撮影すると、光量ムラが生じる。
②(センサーなど高度な部品を使わないと)回転位相を調整する手段が思いつかない。
では、①について思考実験してみます。
上の概念図のように、どうしても
シャッターの羽が通過するタイムラグで、撮像素子の部分によって光害のON-OFFに同期できない箇所が出てしまいます。
※光学的には、光学絞りの位置に配置することでこの現象は回避できます。ただし実際には色々と厄介そうです。
望遠鏡のようにレンズ構成が単純な場合は対物レンズの直前に配置すればいけそうな気はしますが、問題は②です。
プロペラの羽が通過するタイミングと光源の明滅タイミングを同期させる仕組み(位相調整)が、どうしても思いつかないのです。
この②の回避法は後ほど詳しく書くとして、まずは改善案をお見せします。
★プロペラのどこをとっても「位相が同じ」になるには
光量ムラや位相調整の困難が生じる原因は、プロペラ型の回転シャッターの構造にあります。
場所によって『羽の角度が異なる』のが諸悪の根源だと判断しました。
要するに12時方向の羽は「位相が0』なのに、3時方向の羽は『位相がπ(90度)』といった具合で、放射状にシャッターを配置すること自体が問題を生んでいます。
そこで!!
放射状ではなく、スリット状のシャッターを2枚組み合わせる方法を考案しました。
上の概念図のようにレンズの前に置く第①スリットはグルグル回転しますが、各スリットは平行なため、どこをとっても位相(傾き)が同じです。
ただし、このままでは、全体的に常に光量が1/2になるだけで点滅に同期できませんので、第①スリットとカメラとの間に第②スリットを配置します。
このスリットは、第①スリットと同じ構造(スリット幅など)ですが、回転せず固定されています。
すると、上図のように第①スリットが1/4回転するごとに第②スリットのスキマを完全にふさぐことになるので、回転数の2倍の周波数でシャッターのON-OFFが繰り返されることになります。
それになにより、この手法が(我ながら)面白いのは、第②スリットの固定角度を手動で調整することがシャッター全体の動作位相の微調整になり得る点です。
例えば、ですよー。
プロペラ式回転シャッターの通過タイミングを1/1000秒のオーダーで調整するのは神業(と言うか人力ではムリ)ですが、
二重スリット式シャッターなら第①スリットの回転数が毎秒100回転の場合、360度の角度エラーが1/100秒のタイミングエラーに相当します。
ということは、360度÷10=36度 だけ第2スリットの固定位置を回転させれば、1/1000秒の調整が可能となるのです。
言い換えると、仮に第2スリットの角度設定誤差が3度あったとしても、シャッタータイミングの同期精度は実に1万8000分の1秒まで追い込める計算になりますね♪
実際には、格子が太いとそれ自体が格子状のムラを生みそうなので、スリットを無限小に細くする努力は必要そうです。
★無限に細いスリットって、根本的にダメなんじゃ?
ここまで来て、鋭い読者の方は「そんなんダメだ」と思ったかもしれません。
・・・だって・・・極細のスリットって一種の『回折格子』なので、天体が写らずにスペクトルが写っちゃうんじゃ?・・・(笑)。
でもね!
身近なところにあるんですよ!
回折が起こらない『無限小のスリット』がっ!!
それは・・・
ででん!!
PL(偏光)フィルターだっ!
これに・・・
安物偏光板を組み合わせると・・・
「平行ニコル」でシャッターOPEN! 「直交ニコル」でシャッターCLOSE!
※偏光板が通常の偏光仕様のため、デジカメ時代の円偏光フィルタ(サーキュラーPL)ではなくて
フィルム時代の偏光フィルタ(ノーマルPL)を用いる必要があります。
ね?
なんだか実現しそうな気配がしてきませんか?
あとは、いかにして偏光板を高速回転させるかですが、そのための材料は秘蔵の『ガラクタボックス』から発掘済みなんですねー。
★★★以下つづきます★★★