★『今』できることを
怪我(肩腱板断裂)したものは仕方ないし、右腕が動くようになる(予定の)来年の夏までは無理は禁物。でも、本当にこの状態での天体観測は不可能なのか?
★健康な左腕の強化
とりあえず、右腕は一眼レフ1機すら持ち上がらない状態。手首から先は動くけれど腕は伸ばせない。反面、健康な左腕は密かに実施していたトレーニングの成果で、お箸もマウスもキーボードも自由自在に使えるまで向上。荷物も片腕で15kgまでなら比較的安全に運搬できることを確認。
となると・・・
「ビクセンGPDを片手で運用できるようにする」のが今回の目標。
★まずは足下整備♪
怪我する前からどうも赤道儀の極軸設定が安定してなかったんだけど、地面への三脚めり込みも一因かも知れないですね。
スカイメモなら大丈夫だけど、GPD以上だと柔らかい赤土のままでは限界が・・・。
よし、まずは足下から少し固めてみよう!
左手で少しずつ土を削って、去年買っていたレンガ状の敷石を埋め込んでみます。
すると・・・。
ででん!!
なかなか良い感じで安定しました。
もちろん、セメントは打ってないので石そのものを踏んだら即アウトですが、なにも無いよりはましでしょう。
★片腕運用でもサクッとカメラを取り出したい
あぷらなーとは不精者なので、増殖した『赤缶』(ZWOの冷却CMOSカメラ)群も「元箱に入れっぱ」だったんです。でも片手でコレをゴソゴソ開けてセッティングするのは骨が折れますし、撤収時の事故にもつながりかねません。(怪我が悪化するといけないので、左手が滑ったら潔く落下するに任せることにしてます)
というわけで、アマゾンベーシックのケースをポチっとな。
これを
パカッとやると・・・
ででん!!
乾燥剤も湿度計もいれてあって、
各カメラにはあらかじめ延長筒とフィルタを装着したままで格納。
左手でひょいっと抜き取れば、即・臨戦態勢に移行可能♪
★現実的な新兵器降臨
スカイメモと『にせBORG』では少々心許ないですし
本命のEQ6Pro+89EDによる『三連装フルアーマーBORG』は、どう考えても片腕での運用は不能。
ええい! ならば、その空隙を狙ったシステムを構築するのみっ!!
というわけで
ででん!!
降臨・GPDとミニBORG60EDによるビームスプリットシステム、名付けて
『フルアーマーBORGペケーニョ」!!
ちなみにペケーニョ(pequeño)とはスペイン語で「ちっちゃい」の意味。ニュアンス的には「プチ」ですな。
え?
「これ結構重くて設営で怪我するのでは・・・・」
ですと?
いや、地球の重力攻撃も「右腕に当たらなければどうということはない。」
★いざ出撃・「ペケーニョ出る!!」
いやはや、ホントは悪戦苦闘したのですよ。
台風が過ぎ去って光が差してきた午後3時頃から色々と作業始めて、気がつくと午前3時!
ついに『フルアーマーBORGペケーニョ』初陣に出撃です。
では本日の装備をご紹介
対物レンズ:ミニBORG60ED×2
光路分割:自作ビームスプリッタ×2
補正レンズ:ケンコーPro1DーACクローズアップレンズ×4
カメラ:ASI1600MM-Pro×1 ASI1600MM-Cool×2 ASI1600MC-Cool×1
フィルター:Hα・Hβ・SⅡ・OⅢのナローバンド
赤道儀:ビクセンGPD+ステッピングモータ
極軸設定:PoleMaster
オートガイド:無し
以上の装備で、4波長ナローバンドを同時露光するという変態的・・もとい画期的な戦術です。
※どうでも良いですが、上記の出撃写真、良い感じで光が回ってると思いません?
左手だけでは大きな光源が使えないので、いつもの「A3LEDトレース台で拡散光を当てる」技が使えないので、「露光を8秒まで伸ばし、その間に小型LEDランタンを左手で持って色んな角度から当てる」という秘策を編み出しました。
★今回のターゲットは『初』カリフォルニア
台風の影響で大気は不安定なまま。
晴れ間があるといっても雲がどんどん通り過ぎます。
しかも満月期で2等星までしか見えません。
シーイングも最悪。
まもなく薄明・・・・。
今回はテスト運用的要素が強いので、ターゲットには人生初のカリフォルニア星雲を選定。
(あぷらなーとは初心者ですから、メジャーな天体もまだ網羅できてないんですよー)
各カメラをゲイン400+15秒露光にセットして、各240コマ連写します。
Hαの1コマ画像
さすがHαナロー。こんな悪条件下の15秒でも写りますね♪
Hβの1コマ画像
うーむ。予想はしていたけど、淡いなあ。ほとんどなんにも無い(泣)
SⅡの1コマ画像
淡いけど、なんか構造が見えますね♪
OⅢの1コマ画像
ここで、事故。ケーブル不調で
冷却できず、ダークノイズまみれ(笑)
★画像処理を軽くやってみる
では、軽く画像処理してみましょう。
4台の冷却CMOSカメラで撮影した合計960コマのライトフレームと同数のダークフレームを用いて下ごしらえ。
これを2群に分けて
A群:Hα+SⅡチーム
B群:OⅢ+Hβチーム
それぞれでコンポジットします。
RチャンネルはA群、G+BチャンネルはB群を充て、「とりあえず赤いカリフォルニア」を目指します。
(今回の条件では極彩色とかは、とうてい無理なので・・・)
ええと、諸処の課題が山積してるので、いつもより小声でいきます・・・
ででん(笑)
いえ、あまりパッとしませんが、これは
これで良いんです。
人生初のカリフォルニア星雲がゲットできたんですから。
★今回見えた課題
①なんか変なゴーストが出てる
小さくて四角いゴーストが多い。ナローバンドフィルタ・撮像面・ビームスプリッタ・・・平行反射面は多いのでなんらかの工夫が必要そう。ついでに、なんかAC-No3には個体差がありそうな予感。
②なんか変な色むらが出てる
強めの画像処理するとムラムラ出てます。アンプグローの影響はダーク引きで軽減できているのですが、機器内の反射とかも影響してそう。こんどはフラットも撮らないと・・・ですね。
③OⅢとHβが弱い
ま、スペクトル強度みればその通りなんですが、もっと露光が必要なようですね。いや、それ以前にOⅢ用のカメラが冷却できていなかったってのが・・・ね。
★なんぞ、これ?
えーと、無理に石を埋めてみたり、なんか気合いの入り方が『変』・・・と思われた方は鋭い。
それになんだよ「ペケーニョ」ってネーミングセンス(笑)。
ふっふっふ。
「戦いとは常に二手三手先を見て行うものだ。」
すでに、次の一手は打たれておりまして・・・・。
笠井のイタリー製・軽量ピラー脚「グランデ」ですなぁ。
形状が独特なので左手だけで組み立て運搬が可能なのですよ、これ。
しかも、GPD、EQ6Proのどちらにも対応する仕様。
ふはははは。
赤道儀常設への道、見えたわっ!!
※グランデをスペイン語ではなくイタリア語と解釈すると反意語はピッコロでしょう?というツッコミは無しの方向で・・・。だって、ペケーニョって語感が可愛らしいので。
★★★ご注意★★★
個体差かもしれませんが、私のGPDは水平調整用の『ツノ』の長さが不適合でそのままではグランデに搭載できませんでした。