機材

『三連装ガチBORG・グランデ』出撃!

★前夜のリベンジを果たすための・・・

せっかく設置した笠井のピラー脚+EQ-6Pro赤道儀のニワトリ拠点ですが、結局セッティングが終わった頃にはどん曇りで泣く泣く撤退。

でも、そんなことは想定の範囲内なのだー。
むしろ、そんなときこそ常設機材の威力が問われるというもの。

なにしろ、鏡筒だけをポンと載せたらセッティングがほぼ完了ですからねー♪


★というわけで『グランデ』出撃っ!!

本日の天候は「薄曇り」なんとか北極星が見える程度で、モヤモヤ。
特に北天は薄雲に遠方のナトリウム灯が反射してオレンジ色に光ってます。

だがしかし、

『三連装ガチBORG・グランデ』+ナローバンドなら星雲を迎撃することが可能かも。

ま、ダメでも貴重なデータは取れるでしょう。

「グランデ、出るっ!!」
『三連装ガチBORG・グランデ』出撃!_f0346040_11153690.jpg
見よ!
BORG89ED+純正レデューサ×三連装+ASI1600MM系のモノクロ冷却カメラ3機+ナローバンドフィルタで、Hα+SⅡ+OⅢを一気撮りするという魔道の兵器の禍々しさ♪。


★攻撃目標:NGC7000っ!

まだ右腕が動かせない病み上がりの身。
負傷すること無く勝ちたいので、メジャーな天体をターゲットに選定せねばなりません。
というわけで、今回は北アメリカ星雲のナローバンド行ってみます。

せっかくですから、今回は徹底的に「邪道:あぷらなーと流」を貫いて戦ってみます

邪道①:3本のうちファインダー付きは1本だけ。
 残りの2本の平行出しは、鏡筒の傾きを目視で確認してアタリをつけるのだー!
邪道②:露光は1コマ30秒の短時間露光。
 各色120コマの連射で60分相当の露光を稼ぐのだー!
邪道③:アライメントは1点のみ。
 下手に極軸のズレを計算した微妙な駆動をされてもかえって邪魔なのだー!
邪道④:ピント出しにバーティノフマスクなどのツールは使わない。
 ライブビューの250%で焦点内外像を目視して、前後から挟み撃ちすれば十分なのだー!
邪道⑤:オートガイドはしない。
 短時間露光の多数枚コンポジットならノータッチガイドで行けるのだー!
邪道⑥:フラット撮影はトレース版で代用。
 メジャーな天体なのであまり強烈な画像処理は無し。よってフラットも大体合えば十分なのだー!
邪道⑦:ステライメージは、あえて6.5を使う。
 コンポジット枚数が多いときは7や8の10倍以上高速に処理できるのだー!
邪道⑧:マスク処理はしない。
 デジタル現像とNikCollectionのHDRである程度炙り出し可能なハズなのだー!
邪道⑨:縮緬ノイズはクールファイル補正法で乗り切る。
 ぴんたんさんのFlatAideProに実装されたので楽勝で処理できるのだー!
邪道⑩:カラー合成は『リバースパレット法』を使う。
 2波長が重なった部分が大きい天体はRGBではなくCMY合成が楽なのだー!
邪道⑪:最終仕上げはシルキーピクス。
 使っている人を見かけないけれど最後の一押しが直感的に可能な良いソフトなのだー!

よーし。これだけ邪道を貫いていれば『自分で戦ってる気』がするぞ♪



★NGC7000攻撃開始♪

前回数時間かかったセッティングを、わずか45分で切り抜け、北アメリカ星雲がPC画面に浮かび上がりました。
うむ。これは勝利の予感♪

各カメラについて
 ●ゲイン300
 ●冷却温度0℃
 ●露光30秒
 ●16bitモノクロFITS
の設定で、120コマずつ連写攻撃。

さらに、ダークフレーム120コマ×3セット、フラットフレーム120コマ×3セット、フラットダーク120コマ×3セットを撮影
『三連装ガチBORG・グランデ』出撃!_f0346040_11453383.jpg
なかなか快調に作業が進みました。


★画像処理、行ってみます

Hα・SⅡ・OⅢの各バンドについて、それぞれ120コマコンポジットしてみると・・・・。
『三連装ガチBORG・グランデ』出撃!_f0346040_11513356.jpg
 ※左から、Hα・SⅡ・OⅢ(各30秒露光×120コマコンポジット)

おお。OⅢもSⅡもちゃんと写ってるではないかー!!

「なんと他愛の無い。鎧袖一触とはこのことかっ!」
(ごめんなさい。ホントは前回、この台詞が使いたかったのに雲にやられて使う機会を逃した・・・という)



★リバースパレット法に持ち込んでみる

いわゆるSAOとかASOなどのように、Hα・SⅡ・OⅢの各画像をRGBに充てる疑似カラー処理がナローバンド撮影の主流ですね。
でも、天邪鬼あぷらなーとは、あえてRGBではなくCMYで合成するという『リバースパレット法』がお気に入り♪

せっかくですから、最後まで『邪道』を貫いてみます。

今回は、『リバースパレット』6種類の内でも特にお気に入りの『OSAリバース』を用いてみます。
OⅢ→シアン、SⅡ→マゼンタ、Hα→イエローにそれぞれ割り当てて疑似カラー化を決行。

すると・・・・

ででん!!
『三連装ガチBORG・グランデ』出撃!_f0346040_12073458.jpg

ふはははは。
三連装砲なら2等星しか見えない市街地の下、たった1時間の露光作業でも十分戦えるではないか!

うむ。
『三連装ガチBORG・グランデ』の初陣は大勝利。
めでたい♪




P.S.
※ホントは、大ポカやらかしてます。
ええと・・・延長チューブとフラットナーの接続順を間違えて周辺部が流れまくってたのでトリミングで逃げたっていう(笑)。

※ちなみに、素直にSAO(ハッブルパレット)使った場合は、こんな感じです。冬にバラ星雲で人生初SAOをやった時に比べてOⅢが良く写ったので、このままでも見応えがありますね。
『三連装ガチBORG・グランデ』出撃!_f0346040_02044357.jpg

Commented by kem2017 at 2018-08-14 15:43
さすがです (^o^)
極めまくって戦いに勝利されたのは喜ばしい限りですが、怪我人が無茶やっとるなぁ感がアニメ的セリフに滲み出てる気もするので無理はご自重ください...
Commented by Te Kure at 2018-08-14 18:01 x
しばし気配が感じられませんでしたので、少々心配しておりましたが、余計でしたね(笑)
さすがあぷらなーとさん! 素晴らしい!

こんな時にまた初心な質問なのですが・・💦
過去ブログを勉強するつもりではあるのですが・・
ナローバンドの白黒に擬似カラーを割り当てるのは、SIでされるのでしょうか?
Commented by せろお at 2018-08-14 18:36 x
あぶらなーと・がとー少佐、出撃お疲れ様でした。
見慣れた赤き星雲が、まるで別モノです。
これがジオン驚異の科学力かぁ!
Commented by ゴットハンド at 2018-08-14 20:21 x
かっけ~。
ほれぼれしますね、3連装。
一糸乱れぬこのフォルム、「やってやるぜ~」という意思があふれ出ています。
しかも、出てきた画像は、「1時間あれば十分だぜ、おつりはっとっておきな~」みたいな。(笑)
たまらん。
Commented by supernova1987a at 2018-08-15 01:11
> kem2017さん

ああ、読まれてましたかー。
ご推察の通り、アニメ的台詞を吐きまくってるときは、たいてい無茶やってるときです。
元ネタが分かる人とそうじゃない人とに分かれるので、乱用は避けないといけないのですが・・・ね。(私自身守備範囲が狭いですし・・・)

あ、もちろん、無理はしてませんよぉ。
むしろ通院でのリハビリトレーニングがすっげえ痛くて弱音吐きそう・・・・。
Commented by supernova1987a at 2018-08-15 01:17
> Te Kureさん

ちょうど本業が繁忙期だったので、数時間の睡眠時間の確保に必死でした。
ようやく一段落したので、ぼちぼち活動再開です。

ナローバンド撮影のモノクロ画像からのカラー合成は、ステライメージ7を使っています。
位置合わせなどが簡単なので愛用していますが、基本的にはフォトショなどでも可能だと思います。詳細が載せられると良いのですが、まだ内部のロジックがよく分かっていないことが多くて、目下、FITS画像を16bitのTIFFに変換してからで無いと意図通りに合成できていません。恐らくは、ステライメージの場合、画像データ自体と見かけ上の表示画像との間に差が大きいのが要因かと推察しています。そのうち、考察ごっこしますね。
Commented by supernova1987a at 2018-08-15 01:26
> せろおさん

一人寂しく天文をやっているので、コメントをいただけると元気が出ます。

子供の頃は連邦が大好きだったはずなのに、この歳になると圧倒的にジオンに感情移入しちゃいます。今回は上手く撮影できたので、入院中からネタに使おうと決めていた『鎧袖一触』がようやく吐けて一安心(笑)。

当初、「一人天文」と書いて『ソロモン』とルビ打ちたかったのですが、あまりにも中2病っぽいので自重(笑)。
Commented by supernova1987a at 2018-08-15 01:34
> ゴットハンドさん

コメントありがとうございます。

今回は、ちと「外観から入った」ところがありますが、思った以上に実用的だったので一安心です。単筒だと3時間は掛かった計算になりますので一晩では無理だったと思います。懸念されていた鏡筒ごとのタワミの差も認められず良い感じでした。

ビームスプリッタ+クローズアップレンズ+ナローバンドフィルタだと、ゴーストの出にくい配置を模索するのに難儀しますが、純正フラットナー+ナローバンドフィルタだと楽ちんでした。
Commented by にゃあ at 2018-08-15 01:53 x
OSAリバースかっこいい〜。3時間分の露光を1時間なんて、三連装砲の面目躍如といったところでしょうか。独自の作風を編み出され、継続されているところが素晴らしいですねー。邪道1〜11の考え方がH.E.N.T.A.I.ですね!

(*ノェノ)キャー
Commented by supernova1987a at 2018-08-15 02:17
> にゃあさん

ご参考までに、SAO+若干の色相シフトを施した物もアップしてみました。
SAOだと、このブルーが出せるかどうかがカギだと感じました。
ま、疑似カラーに正解は無いと思うので、あぷらなーと的にはリバースパレットをもう少し試してみようと思ってます。

邪道1~11、良い子がマネするといけないのであえて公開しました。
本来は、タップリ露光+オートガイド+スカイフラット+ディザリング+シグマクリップ+フォトショでマスク処理・・・・というところでしょうけれど(笑)。
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by supernova1987a | 2018-08-14 12:24 | 機材 | Comments(10)

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