★渾身の『隠し球』に疑惑が勃発
先日『三連装ガチBORG・グランデ』のファーストライトで偶然ゲットした、極めて希と思われる「ナローバンドで撮影した流星」なのですが・・・

けむけむさんから、
「イリジウムフレアじゃね?」と背筋も凍る(笑)コメントが・・・・。
確かに、言われてみればイリジウムフレアに代表される人工衛星の反射光に似てるんですよねぇ。
これが通常の流星撮影のように広角レンズ+カラーカメラで撮影したのであれば弁別は簡単です。
人工衛星なら見かけの移動速度がゆっくりなので(移動する様子が)複数のコマに写っていたり、流星ならその経路に従って色の変化が写っていたり、明るい流星ならその痕が後のコマに残っていたり・・・・とにかく、見分ける手段はいくらでもあります。
また、動画撮影なら移動の様子からアッサリと正体が判明しますね。
でも、今回は20秒露光で、フルサイズ換算1200mmという長焦点で、しかもナローバンドモノクロ・・・という、あまりにも希有な撮影条件なので、これまでの経験則が活かせません。
さて・・・
けむけむさん家のブログでは、この件に関して言及したエントリーを書いていただきまして・・・
「ああっ、人工衛星ってこんなに飛んでるんだー」
と改めてビックリ。
考えれば考えるほど「人工衛星じゃね?」疑惑が高まってきます。
・・・・だが、しかし!
★面白くなってきたじゃないか!
やっぱ、『サイエンスごっこ』はこうじゃないとねぇ。
なんだか「UFOが写ったような」ワクワク気分になってきましたよ。
台風の接近で天体写真も撮れないことだし、しばらくのあいだ『考察ごっこ』してみますかねぇ。
<素人なりに無い知恵を絞って考えた見分け方>
①そのトラックの太さが異なるのではないか
※無限小の人工天体と励起された大気の柱とは見かけの太さが異なるのでは?
②スペクトルの違いが検出できないか
※太陽光の反射なら連続スペクトル、流星なら輝線スペクトルのハズ。
残念ながら分光測定してませんが、3波長だけでも差異が出ないか?
③ストラクチャの違いは検出できないか
※流星なら短い痕が重なって写っている可能性がある
④理論上、人工天体のフレア継続時間は計算できないか
※中学理科のレベルでも太陽面をピンホールが通過するモデルで説明できる?
★まずは手っ取り早く②と③行ってみよー♪
いやー、ほんと後悔しますよー。
せっかく回折格子を使った『なんちゃって分光器』とか作ってたのに、なんで投入しなかったかなー。
だぶん、スリット+回折格子の簡易分光器で撮影してたらスペクトルを特定できたんですよねー。
※でも明るさが足りないか・・・。
ま、無い物ねだりしても仕方ないしこの手の現象は「一期一会」なので、手持ちのデータだけでやってみます。
ノイズを消したり色々すると変な構造が出るので、素のFITSをいじってみます。
すると・・・
おお!?
明らかにHαバンドとOⅢバンドで構造が違うのを見つけましたよー♪
では、ピクセル400%画像をご覧ください。
★Hαでの画像
★OⅢでの画像
いかがでしょう。
励起された地球大気が水素のバルマー系列の輝線スペクトルを発するとは思えないので、Hαの方は流星本体由来の元素の(Hαと波長が近い)輝線スペクトルを拾ったのだとして、OⅢの方は大気の励起を捉えている可能性があります。つまり『痕』を本体と重ねて撮影している可能性も否定できないのですね。

詳しく見ると、上記のように
OⅢバンドでは明確な構造が捉えられていました。
フラットナーの配置位置ミスで収差が出ている可能性もありますが、それだと本体の軌跡と平行に構造がでるハズです。しかし、上記の画像では『放射状』に広がるように見えるので、収差による像のブレよりも有意な構造が捉えられたと考えます。
さて、①と④の考察ごっこは後日のお楽しみ、ということで(笑)。なお、該当日時に付近を通過した人工衛星が無かったかは(こういうの私苦手なので)けむけむさんが調べてくれることに期待♪