★1600円対物レンズの性能とやらを先日来取り組んでいるクローズアップレンズを対物レンズに転用して自作した『三連装にせBORG』ですが、なかなか良い感じです。
せっかくですから、ファーストライトついでに、色々とチェックをば・・・。
★焦点内外像のチェック
アクロマートレンズは、本来メインの波長を設定してその波長に関しては球面収差とコマ収差が出ないように設計されています。ええ、たいていは人間の目の感度が高い黄色か緑の波長でしょうね。・・・でも、ナローバンドでの星雲撮影で一番効いてくるのはHαの赤なんですよねぇ。しかも『アクロマート』といってもクローズアップレンズはそもそも近接撮影時にもピントが合うようにする『カメラ用の老眼鏡』ですから、それ単独で対物レンズとして転用するような『変態チックな用途』は考慮されていないハズです。
・・・というわけで、今回は撮影準備作業がてら星雲撮影時にメインとなるHαの波長域について焦点内外像をチェックしてみました。
すると・・・
※Hα域の焦点外像
※Hα域の焦点内像
うむ。
完璧ではありませんが、意外に健闘してると思いませんか?
ちなみに内外像の形が一致すれば球面収差ゼロのパーフェクト鏡です。
まあ、そのうち詳細は『検証ごっこ』するとして、今回はこれで良しとします♪
★周辺部の星像はどうなのだ?
ええ、当初は2種類のクローズアップレンズだけを組み合わせて作っていたんです・・・が、ナローバンド撮影の場合、思いの外実用になりそうだったので、すこし本気出しちゃって禁断の宝具「BORG純正マルチフラットナー」を装着。これはもう旧ザクにビームライフル持たせるような反則技(笑)。
本来フラットナーと撮像素子の間隔を色々と試行錯誤しないとダメなのですが、今回は時間が無かったので『適当』に調整。
それでも・・・

※コンポジット後に2×2ビニングしてから等倍チェックしたもの
調整不足とスケアリングズレ(?)の影響で周辺部は少々流れていますが、大元が1600円レンズなので大健闘と言えるでしょうね。
★何コマくらい撮らないとダメ?
あぷらなーとの基本的戦闘スタイルは、
①ノータッチガイド
②短時間露光
③多数枚コンポジット
という『お手軽・邪道流撮法』です。
この場合、露光時間に相当するのは撮影枚数です。当然沢山撮れば撮るほどクオリティは上がってくるハズなのですが、一体何枚くらい撮れば実用になるんだろう・・・と。
ええと・・・実は、明るいはずの北アメリカ星雲だったんですが、30秒×120コマでも「ちと足らない」という感触だったんですよ。・・・炙り出すと荒れちゃう・・・っていう。
ふっふっふ。
そんなこともあろうかと、実はコッソリ240コマ分撮影していたのだよ。ああ、無論三波長全てについて・・・だ。
さて、120コマと240コマとで差は出るか・・・??
・・・ででん!
※左:120コマコンポジット 右:240コマコンポジット
よし、ペリカンの顔付近も・・・
ででん!!
※左:120コマコンポジット 右:240コマコンポジット
おお。全然違うなぁ~。
要するに、一番写りやすいHαナローであっても2時間くらいの総露光時間が必要ってことか・・・・。
でもこれ3波長全部撮影してたら、1対象だけで1晩かかっちゃうよー。しかも途中で絶対に子午線またいじゃう。
ふはははは。
そのための『三連装』なのだ!
北アメリカ星雲め、通常の3倍の速さで一気撮りする魔道兵器の威力を思い知るがよいわ!
(もういいって・・・)
はい。
2時間の撮影時間でゲットしたHα・SⅡ・OⅢ合計720コマのライトフレームを全て用いて画像処理をやり直してみました。せっかくですから、個人的に好きな色合いを探ってみました。今日のお気に入りは、ズバリ『AOS+OSAリバースのミックス』
すると・・・
ででん!!!
おお。同じ対物レンズを使った前回のシステムの戦果↓と比べてみよう・・・
圧倒的じゃないか、我が三連装は!
これにて『三連装にせBORG:ナローハンター』も実戦用兵器に昇格決定です!
めでたい♪
1600円のクローズアップレンズを何枚も買う酔狂な人はいないと思うけれど・・・これだけ遊べれば、流石に元が取れただろう(笑)。
★★★懺悔コーナー★★★
実はフラットフレームを一切撮っていなかったので、周辺部の色むらとかはNikCollectionのコントロールポイントを使って強引に修正してます。
たしかに、フィルム時代でも暗室で焼き付け中に印画紙の上に手をかざして覆い焼きとか焼き込みとかは多用してましたよー。でもねぇ・・・デジタルでコレやると、なんだか悪いことした気分・・・・。直感的に作業しちゃうと再現性が薄れるからかなぁ・・・。
ま、天体写真といっても所詮は『お遊び』なので良しということで(笑)