※ご注意:前半は「前振り」で、後半が「本題」です
★『ど変態機材』には困難が山積み
一見、着々と魔道の兵器を量産しているように見えるあぷらなーとですが、実はその陰で『黒歴史』も量産しておりまして、試作品の段階ではお蔵入りしそうになるのがたいていなんですねぇ。
ただ、今年は『やりたいことリスト』を公言しているだけに、少なくともその大半は実現したいものだと楽しく悪戦苦闘してます。
例えば・・・
①二連装『フルアーマーBORG』89EDのファーストライトを敗北に追い込んだ『日の丸ゴースト』

冷却CMOSカメラ3台とビームスプリッタを投入して組み上げた『フルアーマーBORG1号機』ですが、ファーストライトでそのうちOⅢバンドを担当したASI1600MC-COOLの画像が・・・・

こんな有様で壊滅!・・・名付けて
『日の丸ゴースト』(笑)。ちなみにビームスプリッタは使ってない筒なのに
フラットも全く合わないという始末。
後日これは、レデューサ代わりに使っていたケンコーのACクローズアップレンズNo3が、この筒だけ「Pro1-D仕様」ではなく「ノーマル仕様」だったためと判明。
要するに、ピカピカのナローバンドフィルタの表面で反射したバックグラウンド光がクローズアップレンズの表面で反射+結像してしまったのではないかと推測されます。後日、見事に解消し、実戦投入に至りました♪
②ビームスプリッタ二連結による『三板式にせBORG』を「絵に描いた餅」に追い込んだ『斜め線ゴースト』

相対角45度で連結した2個のビームスプリッタによってパララックスやライムラグなく三波長同時露光できるという『野心作』だったのですが・・・

像自体は非常に解像度が高くて実用化まで行くかと思ったのですが、上図の通り、
斜めに走るゴーストが頻発。これ、ゴーストというか斜め45度に設置した2個のビームスプリッタ間で生じた『像の二重写し』に近い物なんですよねぇ。ま、平行ガラス面が短距離に4つもあるんですから、さもありなん。
こちらは解決の光が見えず『お蔵入り』とあいなりました。
③ビームスプリッタ装備×二連装による『フルアーマーBORG・ペケーニョ』を「一時休止」に追い込んだ『ひし形ゴースト』

BORG60ED+ビームスプリッタの二連装で4波長(Hα・Hβ・SⅡ・OⅢ)同時露光できるという邪悪な兵器ですが・・・

特にSⅡ画像に上のような
顕著なゴーストの大群が発生。しかも形状が円形ではなくてひし形っぽいという摩訶不思議な症状。
こちらはまだ原因が判明しておらず、調査中。
さて、ここからが本題。
★今回の人工星テスター遊びで新たな現象を発見
これまでの諸々のゴースト像の正体を暴く一助になるかどうかは分かりませんが、興味深い現象を2例見つけました。
その①:ピントをぼかしていくと再び現れる謎の合焦像

これは、「ミニBORG60ED+純正フラットナー+OⅢナローバンドフィルタ+ASI1600MM-COOL」という構成で人工星テスター(点光源が5つある)を撮影した物です。これ、
中央の輝点ではなくて回りに広がる巨大な多重円が像本体です。で、
真ん中にある輝点がゴースト。
実は、思いっきり焦点より内側にカメラをズラしてボケ像を観察しようとしてたら、あら不思議。「ある程度内側に進んだところで鮮明な像がもう一度現れた」という顛末。しかもよく見ると各光源につき2匹ずつ生じてるんですね。
少しずつピントをズレして、その挙動を調べてみると・・・
※左から右:順次カメラの位置を前後に変化させたもの
面白れぇー!なんか非点収差(サジッタル面とメリディオナル面とで焦点がズレること)が特盛りのダメダメ望遠鏡を見ているみたい。
要するにこれ、有害光を生み出す反射面が2カ所生じていて、しかもその間隔が近いと推測されます。
・・・となると・・・
「犯人は貴様かっ!!」
では、早速『対照実験』に移ります。
OⅢナローバンドフィルタのみを外して見たところ・・・・
見事に解消♪
これ、皆さんが懸念されている「ピカピカのナローバンドフィルタ表面」に起因するゴーストで間違いありませんね。
もっとも、これは像本体とゴーストとの合焦関係を逆にすると分かりますが、実際の撮影では相当に拡散していることが予測されます。大きく拡散したゴーストは(淡くなるので)目立ちませんから、適切な距離を取って配置したナローバンドフィルタなら実害は少ないでしょうね。
「例えば①」で紹介した日の丸ゴーストも(クローズアップレンズのコーティング特性や曲率半径はもちろんのこと)そもそもナローバンドフィルタ表面の反射光が効いているの「かも」しれません。
その②:格子状に展開する奇妙なゴースト
「ミニBORG60ED+OⅢナローバンドフィルタ+ASI1600MM-COOL」という構成で色々と遊んでいたとき、今度は合焦面から少しズラした付近で奇妙なゴーストが出ることを発見しました。
な、なんぞこれー!
なんという美し・・・否、邪悪なゴースト!
というか、なんかゴーストと言うよりも回折像っぽい趣。
よく観察すると、点状に結像しているグループと円形にボケたグループとに分かれています。
では、少しだけピント位置をずらしてみます。

ああ、なるほど、今度は
ゴースト像のボケ方が逆転しましたね。
要するに微妙に結像位置の異なる2種類のゴーストが同時発生しているということですね。
ふはははは。分かっておるわ。
これもナローバンドフィルタの表面反射でなんか起こっているのだろぉ?
早速、フィルターを外してみます。
すると・・・・。
き、消えぬっ・・・というか酷くなった・・・だと?ぬかったー!
MMではなくMCで撮像すべきであったわ!
意外!ナローバンドフィルタは犯人じゃないようです!!
本来は上の写真のように線状に伸びたゴーストで、たぶん虹色に分光してるんだと思われ・・・で、ナローバンドフィルタはそれから特定波長のみを「切り取った」に過ぎないのだと。今後の『検証ごっこ』&『考察ごっこ』の課題ではありますが、これひょっとしてCMOSセンサー表面の微細構造が反射式グレーティング(回折格子)として作用していて、その分光像がカメラの保護ガラスに反射して結像した・・・・とかだと、ユーザーサイドで回避するのはほとんどムリなんじゃ・・・・。
★そういえば!
今回の件と直接関係はないかも知れないけれど、昔、デジカメで撮影した画像に赤や緑の格子状斑点がウジャウジャ出てるのを見たことがあったぞ?
・・・で、少しググってみた。
ほおー?
巷で
『サッポロポテト現象』
と呼ばれている症状に少し似ているなぁ。
★★★以下つづきます・・・が時間かかりそう★★★