天体写真

デジタル一眼の画像処理復習

★台風24号の接近で・・・
本来、本日は天体写真の物理実験的アプローチ勉強会」に参加予定にしてて、とても楽しみにしてたのだけど、台風24号の接近に伴い11月に順延とのこと。残念で仕方ありません。(11月だと参加できるかどうか微妙なライン・・・)

・・・で、やることも無くなったし、台風で天候も大荒れなので外出もできないので、デジタル一眼の画像処理の復習でもしてみようかと。


★デジタル一眼の弱み
敬虔な『ニコン信者』を自認するあぷらなーととしては、天体界のメジャー代表のキヤノンや、無改造でHαが写るペンタやフジ、そして近年高感度性能で注目されているソニーなどのメーカーさんには浮気しません(やせ我慢)。・・・え?ZWO赤缶の大群は何なのだ?って・・・ああ、あれはカメラじゃなくて兵器なのでセーフなの♪
冗談はさておき、軌跡のカスタム機D810Aの登場で天文屋さんのニコン使用率が少しは上がってきたかな?とも思うのですが、D810Aは画素数があまりにも多過ぎて処理が苦しいのと、大好きなステライメージ6.5でRAW画像が読めなかったりするので、目下のところ天体用メインデジカメは改造D5000なのです。
無論、D5000は非冷却ですから、冷却CMOSカメラであるASI1600MC-COOLと比較すると・・・
デジタル一眼の画像処理復習_f0346040_14352593.jpg
※左:改造D5000 ISO3200・20秒露光 ノイズ処理無し VMC260Lレデューサなし
※右:ASI1600MC-COOL -15℃・ゲイン400・10秒露光 VMC260L+レデューサ

このようにダークノイズが目立ちます。しかも強拡大してみると
デジタル一眼の画像処理復習_f0346040_14392123.jpg
 ※左:改造D5000 右:ASI1600MC-COOL

このように、明るいダークノイズ(いわゆるホットピクセル)以外にもモヤモヤした斑点状のノイズなどが生じていることが分かります。

でも、このD5000、一昔前のニコンデジタル一眼の中では結構低ノイズ↓なのですよー。

とうわけで、(無改造の予備機も含め3台も保有している)大好きなD5000ですから、再び第一線で働いてもらうためにも画像処理の復習をしてみることに。



★一発撮りとコンポジット
では、先ほどの改造D5000の画像144枚にダークファイル減算を加えてコンポジットし、さらに無改造D5000の画像144枚にダークファイル減算を加えてコンポジット。それらを合成してみます。

すると・・・
デジタル一眼の画像処理復習_f0346040_14535558.jpg
 ※左:改造D5000の1枚画像 右:288枚コンポジット

ずいぶんと滑らかになりましたが、なんだか少し『眠い』ですね。


★『秘技』投入♪
まあ、別に『秘技』と呼ぶほどの物ではないのですが、下記の処理を試みます。

①ダーク減算済みの元画像をデモザイク(ディベイヤー)せずにそのまま2×2ビニング
②ステライメージ6.5でコンポジットし、デジタル現像やレベル調整を実行
③さらにレジスタックスでウェーブレット処理してL画像とする
④ダーク減算済みの元画像をデモザイクしてから2×2ビニング
⑤ステライメージ6.5でコンポジットし、デジタル現像やレベル調整をしたものをRGB画像とする
⑥③と⑤でL-RGB合成

⑦ダーク減算済みの元画像をデモザイクしてから2×2ビニング
⑧ステライメージ6.5でコンポジットし、デジタル現像やレベル調整を実行
⑨NikCollectionのHDR+Defineを実行

⑥と⑨を合成

以上を288コマの画像について行います。要するに解像感をウェーブレットで出し、モクモク感をHDRで稼ぐという作戦ですな。

すると・・・
デジタル一眼の画像処理復習_f0346040_15055725.jpg
 ※左:コンポジットのみ 右:『秘技』投入

よしよし、だいぶ勘が戻ってきたぞ。

というわけで、

ででん!
デジタル一眼の画像処理復習_f0346040_15080488.jpg
うむ。なかなか良い感じ♪
VMC260LとD5000(改造+無改造の2台)を用いたM42オリオン座大星雲の画像処理の練習完了♪

・・・といいつつ、2ヶ月前の記事↓でやった処理とほとんど同じ仕上がりっていう・・・

なぁーんだ。進歩ないじゃん。

・・・否っ!


もし天体写真が『科学写真ごっこ』と位置づけられるのならば、多少異なるアプローチでも常に似たようなテイストの作品が出せるってのは、意外に大切なことなのでは・・・・なんてね(笑)。(もし『芸術作品ごっこ』ならば、自己模倣はダメだろうけど)

さて、ぼちぼち冬期の一大プロジェクト:作戦名『マルチ隊形』の準備を進めるとしようか・・・・。
「それ、死亡フラグ」とか言っちゃダメ、絶対!

Commented by kem2017 at 2018-09-30 17:18
サチらずに、こんなディテールの出る写真が色んな手法で作れちゃうって、凄すぎです。

こちらはピークは過ぎたけど、台風、ヤバいヤツみたいです...
Commented by supernova1987a at 2018-09-30 17:39
> kem2017さん
短時間露光の多数枚コンポジットだと、サチりようがないので楽ちんです。しかしD5000改、捨てがたい写り・・・。

台風24号、そちらはピークを過ぎたようですが、こちらは間もなくピークっぽいです。四国山地がガードしてくれてるとはいえ、強風と横殴りの雨が来てます。
Commented by にゃあ at 2018-09-30 18:11
雨降ってたんで、ブログ書いて昼寝して起きたらこの時間。お出かけできないのはつまらないですよね。

といいつつ、やっぱり非冷却でもいい作品が作れるんですねー!って感激しました。

元絵のノイズの乗り方が全然違いますが、「モヤモヤした斑点状のノイズ」が熱ノイズなのでしょうか?
Commented by ゴットハンド at 2018-09-30 18:37
凄い! とても一眼で撮影したものとは思えません。(+_+)
タックスでウェーブレット処理だとJpegで処理ですか? レジスタックスのウェーブレットは重いのと、スライダーが使いづらいので惑星の処理しか使いませんが、やはりやってみたいですね。
凄すぎ。
Commented by supernova1987a at 2018-09-30 19:33
> にゃあさん
そのうち、もう少し詳しく検証ごっこしてみますが、ASI1600MMの方のモヤモヤはショットノイズ(光子の揺らぎ)が大半だと思うのですが、D5000の方はクッキリ写っている物がダークノイズで、大きなモヤモヤは・・・どうも画像処理エンジンが何かしてるような気もしてます。
今回はステライメージ6.5で現像しましたが、現像ソフトを変えるとこのあたりは変化するかもです。非冷却でも十分写せた要因の1つは10月末の撮影だったので気温が低かったことかもしれませんね。
Commented by supernova1987a at 2018-09-30 19:41
> ゴットハンドさん
D5000、明るい天体ならまだまだ現役です。
私の場合、RAWファイルをステライメージ6.5で全てFITSに変換してから画像処理してます。
その後デモザイクせずにビニングすることでモノクロ画像にしてFITSで保存。
これをホットクール除去処理してFITSで保存。
これらをコンポジットした後で16ビットTIFFに変換してからレジスタックスでウェーブレット処理しています。
冷却CMOSカメラだといきなりFITSになるのが一番ありがたかったりします。
Commented by せろお at 2018-10-01 01:56
> 予備機も含め3台も保有
予備機も含め3機と言えば、ガンダム、ガンダムMK2、もしくは黒い三連星
鏡筒関係やASIカメラも3台ですが、3台保有がお好きなのですか?
ってHα・SⅡ・OⅢ合成用ですね

D5000改、所有していますが、最近は出番が少ないです。
ニコ爺ならぬ、ニコ厨ですが、天体カメラは浮気しまくりです。
CANON、SONY、FUJIに手を出しています。
一般撮影にはNIKONしか使わないので、レンズはニコンマウントのみですけどね。
D810A欲しいけど、高すぎる・・・
Commented by supernova1987a at 2018-10-01 02:24
> せろおさん
実は、「どんな機材でも、3個揃えればなんとかなる」というのが自説なんですよー。もちろんナローバンド用ってのはありますが、それ以前に「通常の3倍」とか「3連星」とかの響きが好きなだけかもしれません。もしも今、望遠鏡を持っていないとして、「タカハシFSQ106ED×1本とBORG89ED×3本とどっちが欲しい?」と言われたら迷わず後者を選ぶと思います。

ああっ、CANON、SONY、FUJIに手を出してますかー。これはまたおいしいラインナップ・・・・いやいや、敬虔なニコン信者は浮気をしないのです。
・・・う、うらやましくなんかないんだからっ。
Commented by Te Kure at 2018-10-01 14:01
カメラ1機種📸3台ですか〜 私も改造機が欲しいです・・。
それとDSOのためにセンサーの大きなASIも (笑)
ところでまた初心者質問なんですが、ファイル形式の変換は保存の際に指定する方法で良いのでしょうか?
それとも別にちゃんとしたコマンドが・・?
Commented by supernova1987a at 2018-10-01 22:05
> Te Kureさん
ひょっとするとD5000はさらに増やすかも知れません。天体撮影の場合、新しい機種が適しているとは限らないところが難しいところで、ためしに1台買ってみて相性が良ければそれを増やしていくのが妥当なのかも知れません。(あ、あくまで多連装好きの人の場合ですが)

さて、ファイル形式の変換ですが、基本的には保存するときにファイル形式を指定したので良いと思います。ただし、現像ソフトによってファイル形式(と保存場所)指定のタイミングは異なるかも知れません(特にバッチ処理を行う場合など)。
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by supernova1987a | 2018-09-30 15:37 | 天体写真 | Comments(10)

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