あぷらなーと


あぷらなーとの写真ブログ
by あぷらなーと
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
あぷらなーと
文系寄りの元理系(?)
「天体」「マクロ」「実験ごっこ」その他諸々の科学写真が大好きな HN:あぷらなーと が いろんな写真ネタをのんびり語ります。あまり気合い入れすぎると続かないので、「ぼちぼち」いきます。
※コメント大歓迎です♪

生息地:香川
カテゴリ
最新のコメント
相変わらず秀逸な記事を量..
by kem2017 at 07:59
わぁー、これがカラーシフ..
by にゃあ at 03:07
> Samさん ありが..
by supernova1987a at 22:46
縮麺ノイズ完全制覇ですね..
by Sam at 22:07
> ゴットハンドさん ..
by supernova1987a at 20:41
美しい~。ノイズの”ノ”..
by ゴットハンド at 20:20
> kem2017さん ..
by supernova1987a at 18:28
お見事! サッポロポテ..
by kem2017 at 16:48
> Te Kureさん ..
by supernova1987a at 13:53
ツィートを拝見して慌てて..
by Te Kure at 09:19
以前の記事
お気に入りブログ

ディザリングはなぜ「効く」のか?

★結局、ディザリングに勝るもの無し?
お恥ずかしながら、ディザリングはおろかオートガイドすらほとんど経験の無い「ひよっこ」あぷらなーとなのですが。ディザリングって不思議なんですよねぇ。

ええ、固定位置に居座るホットピクセルやクールピクセルを『散らす』ことによって希釈するのがディザリングだというのは理解しているつもりですよー。
でも考えてみると「ピリオディックモーションをあえて補正しないノータッチガイド」とか「極軸を少しズラしてノータッチガイド」で短時間露光したコマを多数枚コンポジットしても固定ノイズは『散る』はずだと考えるとなんだか訳が分からなくなりませんか??

・・・と言うわけで、今回はディザリングについて『考察ごっこ』してみることに



★まずは、論より証拠
ま、本来はここで実際にディザリングの有無をテスト撮影するべきなんでしょうが、ディザリングってやったことないんですよー。
でも、原理は理解しているつもりなので、シミュレーションしてみようじゃないか

素材はASI1600MC-COOLで撮影したダークファイルに決定。ゲイン400で15秒露光したダークファイルを20コマ用いて実験。
ノータッチガイドやディザリングで被写体のみが動いた結果、本来固定位置で発生するダークノイズが流れるはずなので、これを再現してみようじゃないかという遊びです。

f0346040_00053916.jpg
想定したモデルは上の図の通り。
20コマのダークファイルをコンポジットする際に、その位置合わせをコマごとにズラしていくという方法です。

すると・・・

f0346040_00071428.jpg
 ※左:①シフトなし 中:②追尾エラー再現型 右:③ディザリング再現型

①「シフトなし」について
 固定位置でコンポジットしたものです。普通のダークノイズ(いわゆるホットピクセル)が観察されますね。
②「追尾エラー再現型」について
 ピリオディックモーションの大きな赤道儀で短時間露光ノータッチガイドを行い、コンポジット時に被写体に合わせた位置合わせを行うというシミュレーションです。見事な『縮緬ノイズ』が再現されましたね。
③「ディザリング再現型」について
 ディザリングの1方法であるスネーク型の駆動を行った結果をシミュレーションしたものです。この3種の中では最もノイズが目立たないことが分かります。




★被写体の画像と合わせるとどうなる?
では次に、ノイズが目立たない素材(先日再処理したM42)にシミュレーションしたノイズを加算してみます。
これは同じ被写体を3種類の方法で撮影し、それぞれコンポジットすることに相当します。

すると・・・

ででん!
f0346040_00311387.jpg
 ※左:①シフトなし 中:②追尾エラー再現型 右:③ディザリング再現型

うむ。予想通りのイメージが再現できたぞ♪
 ①は完璧な精度でノータッチガイドした場合
 ②はノータッチガイドした場合
 ③はディザリングした場合
にそれぞれ相当しますね。
やはり、ノイズが取り切れないカメラの場合にはディザリングの効果は大きいようです。




★でもどうしてそうなるの?
さて、ここで疑問が生じます。
だって、不思議じゃないですか?
①はともかく、②と③はノイズの輝点が「動いた道のり」が等しいので、原理的には全く同等の希釈がなされたはずなのです。
でも、全く結果が異なる・・・と。

そこで、ちょっとこの図を見てください。
f0346040_00381762.jpg
左の図は固定ノイズの模式図で、全てのノイズが固定されている場合です。それに対して右の図は全てのノイズがランダムノイズだった場合の模式図で、ノイズから生じる総電子数が等しくても各ピクセル位置でそれが累積されるかどうかでその濃度が異なることを示しています。要するに、コンポジットもしくは長時間露光でランダムノイズが減少する原理ですね。

さて、固定ノイズを伴うカメラで短時間露光のノータッチガイドした場合はどうなるでしょうか。
f0346040_00413818.jpg
極軸エラーやピリオディックモーションの効果で、(被写体に位置合わせをすると)固定ノイズが移動して写る事になります。
これが『縮緬ノイズ』ですね。ノイズ自体は薄まったのに非常に不愉快な写真になります。

では、尾を引くように流れるのがダメなのかというと、そうではなくて
f0346040_00443464.jpg
もしも、このようにノイズの流れが「縞目状」だと、そんなに不快感を感じませんよね?

ディザリングも同様で、
f0346040_00455160.jpg
直線上に流れるよりも渦巻き状(あるいは格子状)に流れた方が不快感が少ないのですね。

要するに、ディザリングはノータッチガイドに比べてノイズが軽減された訳ではなく、写真を見る人の違和感を軽減する方向に作用するという解釈です。




★違和感(不快感)の正体は何なのだ?
ところで、物理学にはエントロピーという概念があります。その定義は色々なのですが、概ね『乱雑さ』を表すパラメータだと解釈していいと思います。
個人的には「エントロピーは状態数の対数に比例するもので、言わば『確率』のようなもの」と解釈しています。つまり、ありふれた状態・頻発する現象は「エントロピーが大きい」と表現でき、特殊な状態・レアな現象は「エントロピーが小さい」と表現できるわけです。

ところが、ここで問題となるのは「何をもって『特殊』と判断されるか」です。例えば、こんなケースはどうでしょう?
 太郎くん「おい聞いてくれよ!俺、『あぷらなーとクジ』で一等100万円が当たったんだ。」
 花子さん「ええっ!マジで?そのクジ見せてよー。」
 太郎くん「見ろ、33組の3333番だ。」
 花子さん「もう、そんなバカなー。そんな番号が当たるはずないでしょーが!」
数学の確率で出てきそうなお話ですが、たとえ「23組の1764番」であろうと「33組の3333番」であろうと、当たる確率は同じはずです。(そうでないと、インチキ抽選です。)
でも、心情的には「33組の3333番」が当たりって『気色悪い』ですよね。
あぷらなーとは、これを『心理的エントロピー』または『主観的エントロピー』と呼んでいます。

つまり無機質な観測者(コンピュータやセンサーなど)から見ると同じ確率(等しいエントロピー)であっても、人間から見るとそうではないケースが多々あるということです。これは人間個人の個性によっても変動する現象です。
たとえば、
「0のカード×1枚、2のカード×3枚、3のカード×2枚、4のカード×5枚、7のカード×1枚、8のカード×1枚」
があって、それをシャッフルして並べてみると「4243434202478」という順に並んだとします。
それを見ている人が一般人なら「普通のケース」(エントロピーが大きい)に見えるでしょうが、我々アマチュア天文家なら
「貴様!なにか細工しただろう?オリオン座大星雲・馬頭星雲・燃える木星雲・ウルトラの星・・・ってオリオン座の名所が並んでるなんて話がうますぎるぞ」
『違和感』(エントロピーの小ささ)を感じるかもしれません。

話をノイズに戻します。
下記の画像を見てください。
「上下が一致していない画像は左・中・右のどの列でしょう?」
f0346040_01304016.jpg
恐らく、ほとんどの人は左の列の上下が異なることはハッキリと認識できたはずです。だって2本だけ線が横倒しになってますもの。目立ちますよね。少し注視すれば真ん中の列も模様が異なることに気づきます。それに対して、右の列は一見同じに見えます。
でも実は3列とも同じ数のピクセルを別な場所に移動させているのです。
「ノイズとはランダムであるはず」という先入観から、その配列が「キレイすぎる」ノイズは『心理的エントロピーの低下』すなわち心理的な違和感を生みます。縮緬ノイズが持つ『違和感』の正体はこれだと考えられないでしょうか。それに対して、ディザリングはノイズ配置のランダム性を殺さないようにその濃度だけを希釈する作用を持ちますので『心理的エントロピーの低下』を招きません。何気ない風景の中に人の顔状のパターンを見出してしまう「シミュラクラ現象」(心霊写真とか火星の人面岩とか)と同様、「自然現象っぽさ」を鑑賞者に与えるノイズ以外は嫌われるのかもしれませんね。

----------------------------------------------

うむー。
やはり、ディザリングって偉大なんだなぁ。

あぷらなーとの撮影環境だとディザリングできないけど(笑)。
だってー、多連装・複数カメラでディザリングする方法って思いつかないよぉ・・・
やはり、ここは『くるりんぱ撮法』開発プロジェクトを進めるしかないか・・・・。


★★★お約束★★★
①『心理的エントロピー』『主観的エントロピー』は単にあぷらなーとの造語です。
②各ノイズの模式図は適当に描いたので雰囲気程度に捉えてください。
③ディザリングのみを賞賛する意図はありません。恐らく、撮影対象の明るさ・ダークノイズ量・撮影コマ数の組み合わせによって、「ダーク減算やホットピクセル除去処理」と「ディザリング」のどちらが効いてくるかの閾値がありそうな予感がします。
④現在のあぷらなーとは数式処理能力が著しく劣化してるので正確な議論はご容赦ください。今回の文字ばかりの記事を書くにも(20数年前の記憶を忘却の沼からサルベージするため)教科書(キッテルの熱物理学)を読み返す始末です。
⑤20数年ぶりに読んだが、キッテルは良い♪


by supernova1987a | 2018-10-02 07:52 | 天体写真 | Comments(16)
Commented by にゃあ at 2018-10-02 10:59 x
写真を見る人の違和感を軽減する方向に作用って、驚愕の所見ですっ!ノイズが消えたのではないのですか。説得力ありますね。ディザリングはノイズをかき混ぜて軽減するのに対して、冷却はノイズを消すのかしら。おもしろーい!
Commented by まーちゃる at 2018-10-02 11:42 x
こんにちは!
まーちゃるです。

ディザ撮影ファイルは単に加算平均するよりもシグマクリップ加算平均することで、突出して明るいホットピクセルを除外して加算平均をかけるのでもっと目立たなくなりますよね。
僕的には、画像にアンプグローが無い前提でですが、数学的にはディザ撮影して、ダーク引きしない状態でシグマクリップ加算平均が一番品質が高いと思ってます(^-^)
どうでしょう?是非検証してみてほしいです(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
Commented by morito at 2018-10-02 14:00 x
こんにちは

最近のエントリーネタ興味津々

D5000の検証結果はやはり...って感じ
D5100複数台現役稼働させている私 モヤモヤノイズ(きもい)これって気付いていましたが、諦めモード

この趣味を続けていると、気付かないうちに暗い対象狙いたくなるから旧機種だと対象限られてきますよね....

>ダークを引いてコンポジットすれば明るい星雲は写せます

激しく同意

やはりノイズ対策は冷却に勝る物はないか.....
ASTRO D850 使用されている方のレビューだとかなぁり良いみたいですがコストが....私にはちょっと手が出ない....

>ディザリングはノイズ配置のランダム性を殺さないようにその濃度だけを希釈する

ノイズ様とは ここらあたりで手打ちって感じです。
Commented by kem2017 at 2018-10-02 17:54
『心理的エントロピー』と『主観的エントロピー』
かっけぇ。
昔、吾妻ひでおの
『エントロピーはもりもり増大した』
に匹敵するエントロピー関連キーワードです。
なんとかリフレがヒックアップでツイートしそうです(笑)

次は、エンタルピーもお願いします。
Commented by kem2017 at 2018-10-02 19:43
p.s. 熱力学はエンリコ・フェルミ/著でしたが、何も覚えてません
Commented by supernova1987a at 2018-10-02 23:32
> にゃあさん
ガイドエラーはノイズを引き伸ばして薄めるのに対して、ディザは均一にかき回して撹拌するイメージですかねぇ。たとえ濃度が同じでも人間から見るとその差は歴然ということですね。
Commented by supernova1987a at 2018-10-02 23:39
> まーちゃるさん
シグマクリップ、まだ成功したことがないのですが、今回の考察ごっこの延長として色々と調べられますね。
とにかく、実写データだとガイド精度とかディザリングの有無(またはパターン)を後から変えられませんが、ダークファイルを用いたシミュレーションならいくらでも実験できますから。台風25号のせいで週末は自宅に引きこもってゴソゴソやることになりそうです。
Commented by supernova1987a at 2018-10-02 23:48
> moritoさん
ほんと、ノイズって難敵です。D5000のモヤモヤノイズを「ボケてて良い」と判断するか「後から除去しにくい」と考えるかは撮影者の好みかもしれません。ここから発展して最低光子数(検出閾値)まで検証できると面白いんですが、ダイナミックレンジ・バイアスノイズなど色々調べていることがあって、ゴールインできる気配すらありません。
Commented by supernova1987a at 2018-10-02 23:53
> kem2017さん
と、「特選」の方で取り上げられちゃった。
エントロピーはまだ思い出せるのですが、エンタルピーやエクセルギーとなると完全に忘却の海に沈んでてサルベージ不可能(涙)。
Commented by supernova1987a at 2018-10-03 00:07
> kem2017さん
おお、けむけむさんはフェルミで勉強されましたかー。
これも名著ですねぇ。しかし、久し振りに大学の教科書開けると難しいこと!大学受験やろ高校受験用の物理ばかりやってると、ダメですねぇ。
Commented by kem2017 at 2018-10-03 03:23
「特選」でも予言的中と言いたいです (^o^)

大学の教科書が開けるって、すごいですね。実家にあるかなぁ?
古い資料類、自宅にあったものは、地震の時、ゴミとして色々処分しちゃったので、過去を捨てた男してます。えへん。
Commented by supernova1987a at 2018-10-03 05:24
> kem2017さん
はい。予言的中ですね。
『主観的エントロピー』は大分前に『縮緬ノイズ』を見つけ際に思いついた概念ではあるのですが、こう天気が悪いと考察ごっこが捗ります(良いんだか悪いんだか)。
ちなみに我が家の土蔵の中は、魔道書(物理・天文・情報系の書籍)でいっぱいです。まさに魔窟。
Commented by kem2017 at 2018-10-03 19:13
教科書ではないですが、お客さんのサーバ室掃除してたら、四半世紀前に作ったパッケージソフトの操作マニュアルを発掘しました。
当時は個人情報とか、ウルサクなかったので、登場人物は実名のテストデータ (^o^)
むちゃくちゃ懐かしかったです
Commented by supernova1987a at 2018-10-03 23:47
> kem2017さん

おお、それは懐かしい物が出てきましたね。
今、過去の文献とか教科書を色々探しているのですが、要らない物ばかりが出てきて難儀してます。しかも、そういうのに限って懐かしいので『発掘作業』が滞るという・・・。
Commented by kem2017 at 2018-10-04 05:49
>多連装・複数カメラでディザリングする方法
APTの作者はリクエストに応えて対応してくれる事もあるようなので
多重起動したAPTの同期について問い合わせてみられては?
プライマリAPTでオートガイドして、そのステータスを他APTで取得して同期する方式ですね。
Commented by supernova1987a at 2018-10-04 07:51
> kem2017さん
まさにそれ。
でも、まずはそのAPT自体を使ってみることから・・・ですね。
道のり遠し(笑)
名前
URL
削除用パスワード
<< ダーク減算処理についての『不快... デジタル一眼と冷却CMOSカメ... >>


検索
タグ
最新の記事
記事ランキング
ファン
ブログジャンル
画像一覧
外部リンク