解析ごっこ・検証ごっこ

ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・

★ダークノイズさえ取ってしまえば!
いつかやってみようと思ってたんですよねぇ
コンポジット枚数をNとしたとき、画面の滑らかさを阻害するショットノイズはNの平方根に反比例して減少していくという定説が本当かどうか。
ええ、天体から到来する光を光子という粒々と解釈すればポアッソン分布に従うはずなので、確かにそうなのでしょう。でも、今まで取り切れていないダークノイズが邪魔して納得のいく結果が出なかった(コンポジット枚数増やしても思ったほど良くならなかった)んですよねー。
でも、先日来試行錯誤して見出した『手動ダーク減算法』で驚くほど画質が向上したので・・・・
ようやく『解析ごっこ』に着手できました。


★あるライン上の輝度分布を比較してみる
先日撮影したパックマン星雲のHα画像478コマを用いて、ある特定ライン上の輝度分布がコンポジット枚数によってどう変化するのかをマカリを利用して『解析ごっこ』してみました。
ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・_f0346040_22391688.jpg
すると、コンポジット枚数によって例えばこんな感じ↓の輝度分布になっていることが分かりました。
ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・_f0346040_22402880.jpg
1コマから478コマコンポジットまで明るい線ほど多数枚変化させると、どんどん輝度のバラツキが減少して真(と思われる)の輝度分布に収束していくことが分かりますね。
・・・うむ。
面白れぇ♪

より違いを分かりやすくするために2例ずつ(1コマVS2コマ、2コマVS4コマ、4コマVS8コマ・・・・etc)グラフにしてみると、こんな感じ↓に。
ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・_f0346040_22472407.jpg
ちと2コマコンポジットのバラツキが少なすぎて『気色悪い』ですが、全体としてはコンポジット枚数を増やすことでどんどんショットノイズが減少していくことが読み取れます。



★『ごっこ』なので定量的言及はしない方針だったけど
あぷらなーとは、あくまで天文学や撮像デバイスに関しては素人なので、(誤解を招きやすい)定量的なデータを書くのは苦手なんだけど、思いの外「いい感じ」のデータが取れたので載せます
上記の解析を、パックマン星雲の中で「比較的フラット」な輝度を持つ部分に限定して行い、そのバラツキ度合いを標準偏差で表して、到来光子がポアッソン分布していると仮定した場合の理論値(めいたもの)と比較してみます。

すると・・・

ででん!!
ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・_f0346040_22551868.jpg
おおっ!?
これなかなか良いんじゃね?
まあ、細かくみると(特に対数グラフの方)で120コマを越えたあたりから理論値とのズレが大きくなっているように見えますが、恐らく下記の要因が絡み合ってこうなっているのではないかと推測。

①星雲自体の輝度勾配を拾った
(真値が完全にフラットだと仮定して誤差を計算したから)
②ダークファイルは全て120コマコンポジットしたものしか使ってない
(ダークノイズの揺らぎが影響した可能性大)

まあまあ、所詮お遊びなので細かいことは良いじゃないですかー。
傾向として「ダークノイズを(ある程度)真面目に処理すればコンポジット枚数の増加が効きやすい」(理論に近くなる)ということくらいは確かめられたのではないかと・・・・♪



★・・・とここまで作業していたら
げげっ!!
いつの間にか晴れてるやんかー!!

ぬかったー。
『解析ごっこ』などしている場合じゃ無かったわ!

ええい。出でよ!
ナローバンド撮影に特化した『新・邪道兵器』ッ!

ででん!!
ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・_f0346040_23123417.jpg
名付けて『とりぷるみるとる』ッ!
(発声練習かよ。舌噛みそう。)

え・・・と。
天文用に使ってる人、たぶん・・・いないですよねぇ。
「MILTOL200mmF4」
口径50mmのアクロマートなのに定価だと5万円以上するし、評判聞こえてこないし、すでにディスコンだし。

でも、『にせBORG』の『開発ごっこ』を通じて、あぷらなーとは悟ったのですよ。
純正のミニBORG50アクロにしても、ACクローズアップレンズ転用の『にせBORG』にしても、フラットナー代がバカ高くつく・・・・と。

その点MILTOLちゃんはなんと最初から「フラットナー内蔵」なのですよー。
・・・で、最終在庫(?)分がどんどん値下がりするのを虎視眈々とウオッチしていたところ、先日ついに・・・・・

なぬ?
1本1万円・・・だとっ?!

ええ、別件用に蓄えていた軍資金を全額投入して3本「大人買い」しちゃった(あーあ、サヨナラ。巷で人気の某自動導入経緯台くん・・・)
これ、もしミニBORG50アクロ+フラットナーの3連装なら、15万円以上しちゃうところが3万円で済む(かもしれない)お話ですからねぇ。もう完全に『気絶買い』っす。



★あーあ、やっちまったな。あぷらなーとよ
もう、また妙な物に散在してからに・・・。
『例の』経緯台ほしがってたくせに軍資金使い込んじまってー。
と冷笑しておられる皆様、

たった今、撮影中のHα画像を少し取りだして45分間相当分だけつまみ食い(仮処理)してみたんですよ。
例のごとく、バーティノフマスクなし・オートガイドなし・ディザリングなし・σクリップなし・フラットなしの手抜き加工ですが、ダークファイル減算だけはキッチリとやりました。

すると・・・

ででん!!
ショットノイズの『解析ごっこ』してたけど・・・_f0346040_23292502.jpg
※MILTOL200mmF4+ASI1600MMーPro+Hαナローバンドフィルタ
-15℃・ゲイン300・30秒露光・95コマコンポジット

げ!
ノートリミングで、この写りですか?!

えー!
ケンコーさん、なんでMILTOLディスコンにしちゃったのー?!
初心者ナローハンター達の定番になった「かも」しれないのにー!

むう。
やっぱりナローバンド撮影にEDとかフローライトとか不要で、大切なのは「フラットナー」ということかー


★★★お約束★★★
①ショットノイズの『解析ごっこ』に関しては、まだ色々と問題点が残っています。
②MILTOLの画像は上部の周辺に流れが生じています。
③SⅡやOⅢの画像が実用に耐えうるかは、まだ未知数です。
④ASI1600はマイクロフォーサーズ相当のフォーマットです。MILTOL200mmもフルサイズでは周辺部が盛大に流れることを確認済みです(念のため)
⑤MILTOL+ASI1600の場合、本体の三脚台座では重量バランスが取れないためBORGのパーツを追加しています。
※MILTOLの接眼部はBORG互換のため鏡筒バンドや延長筒が流用可能です。
⑥気のせいか、在庫が少なくなるにつれてMILTOLの実売価格が上がってきてるような・・・・。


Commented by せろお at 2018-10-29 00:20
新・邪道兵器!
なんかカッコイイ
相変わらず兵器の撮影も上手ですね

APOが必要ないのはナローバンド故なのでしょうね。
MILTOLは一時期持っていましたが、星撮りに使ったことは無いです。

>MILTOLの接眼部はBORG互換
T2リングしか使えないと思ってました。
Commented by supernova1987a at 2018-10-29 01:13
> せろおさん
安さに釣られての『気絶買い』ゆえに実は「使い物にならなかったらどうしよう・・・」と内心気が気じゃなかったんです。ただ、良い方向に予想を裏切られたので俄然元気が出てきました♪
MILTOLの接眼部、T2のオスネジになってると思いますが、あれ延長筒ごと外すとM57のメスネジが現れるんですよー。BORG沼に浸かっている人にこそ有用な望遠鏡だと思うんですが、商業的には成功しなかったのでしょうかねぇ・・・。

アクロマートでもシャープに写るのは、おっしゃるとおりナローバンドだからで、普通のカラーで撮影すると多分悲惨なハロハロ画像になると思います。
Commented by にゃあ at 2018-10-29 01:56
ラテラル分布のグラフ、スピリチュアルな音響が聞こえてきそうなくらい色も曲線も美しいグラフですね。ラジオの周波数がしだいに合って行くイメージを持ちました。とてもよく理解できました。ありがとうございます。

MILTOLきれいな星像ですね。ここまで撮れるって計3万円はお値打ちです!ASTRO NIERより安いし、フラットナーまであるとは。あとは、カメラをそろえるだけですね!(気絶)
Commented by kem2017 at 2018-10-29 05:59
一気に3ナロー撮れるのスゲーと分かっていても、同じモノが3つづつあるってのが気になって気になって...
Commented by オヤジ at 2018-10-29 09:19
「とりぷるみるとる」トリプルは無理だとしても、ダブルみるとる、面白そうですね。
Hαとカラー出来そうですね。
FS-60CBを、もう一本探そう。
それにしても、3本の軸は、合わせているんですよね。それとも金具に取り付けると、大体OKとか。
BORGの3連装もそうでしたが、どうされているのかの質問です。(爆)
Commented by supernova1987a at 2018-10-29 13:00
> にゃあさん

いずれ『にせBORG』のレデューサ兼フラットナーもクローズアップレンズで済ませたいのですが、やはり300mmを切る短焦点だと像面湾曲が補正しきれなくて・・・。で、今回爆安だったMILTOLに浮気しちゃいました。

ノイズ解析の件は天気が悪いときに少しずつ前に進めようと思います。
Commented by supernova1987a at 2018-10-29 15:07
> kem2017さん
気になるでしょう?でも、
「おんなじ機材が3つ揃えばたいてい何とかなる」
が最近の持論ですので、頑張って大人買いしました。
ディスコン製品なので一度失敗すると二度と揃わない危険性があったので・・・。
Commented by supernova1987a at 2018-10-29 15:11
> オヤジさん
Hαとカラーの組合せも面白そうですね。
ちなみに、三連装のうち2本は微動雲台に乗せているので、撮影時にセンター合わせを行っています。
BORGの時もおんなじですね。これ、意外に面倒なのですが仕方有りません。
Commented by kem2017 at 2018-10-29 15:15
>ちなみに、三連装のうち2本は微動雲台に乗せているので、撮影時にセンター合わせを行っています。
地味に面倒臭そうですが、大事ですよね、3本の位置合わせとピント合わせ。
デジタルファインダー、西側で合わせても東側に回ると、微妙にズレるって現象で悶々中です... (-_-;
Commented by supernova1987a at 2018-10-29 17:16
> kem2017さん
結構面倒くさいですよね、位置合わせ。
下手すると全部の筒にファインダーが必要な事態に。
あと、意外に大変なのがカメラの回転角あわせ。
Commented by Te Kure at 2018-10-29 18:16
ハハァ〜 やっぱり大変なんでしょうね・・
コンポジットの枚数だとか、もろもろの調整やら探究やら・・
その耐震(心)性と言うかしつこさに、もう言葉も有りません!(笑)
Commented by supernova1987a at 2018-10-29 19:28
> Te Kureさん
特殊な流儀なので、慣れないと難儀します。
とりあえずは、
ノータッチガイド・三連装ナロー・ゲイン300・30秒露光
という手法に固定化してみようと思います。
BORG89EDだと最低でも4時間、可能なら8時間は露光したいところなので、三連装じゃないと一晩で一対象も撮れないことになっちゃいますので。
Commented by kem2017 at 2018-10-29 20:47
>三連装じゃないと一晩で一対象も撮れないことになっちゃいますので。

ココが強いですよね~。晴れる機会は少ないので、一気に撮るって憧れです。
彗星だったら、鏡筒8本くらい並べちゃえば、メトカーフ・コンポジットもへったくれもなく、DSSも使わずに彗星と恒星が止まったコンポジット出来ちゃうっつ~。
恐怖しかないような巨大施設になっちゃう予感しますけど (^o^;
Commented by supernova1987a at 2018-10-30 02:05
> kem2017さん
確かに。
星雲・星団・銀河なら、何日かに分けて撮り増しできますが、移動天体の場合は一期一会ですものねぇ。RASAのような超絶明るい光学系か多連装が強いというところですね。
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by supernova1987a | 2018-10-28 23:41 | 解析ごっこ・検証ごっこ | Comments(14)

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