★雨天のため星空テストはできなかったので
先日行った昼間の風景での「300mmF5.6級」レンズの『総点検ごっこ』の解答を発表しまーす。
みなさまのお暇つぶしに「ブラインドテスト」として掲載したテスト画像は下記の通り。
これを
①ニコンAF-S300mmF2.8D
②ニコンAF-S70-200mmF2.8G-ED-VRⅡ +ニコン1.4×テレコン
③トキナーAT-X828(80-200mmF2.8)+ケンコー1.5×テレコン
④トキナーAT-X304(300mmF4)
⑤ニコンAF-S-VR70-300mmF4.5-5.6G
のどれで撮ったのかを当てていただくという『目利き遊び』でしたー。
これ、相当に難しかったハズなのですが予想以上に鋭い回答を多数書き込んでいただきまして、みなさん凄いなあ・・・とビビってます。
では、正解発表でーす♪
ででん!!
★Aの画像の正体
今回分かった特徴は
・解像度は高そう
・逆光時にはフレアっぽくてコントラストが低下
・光源の回りには不規則な光芒が出るっぽい
・色にじみは少なそう
といったところでしょうか。
この画像を撮影した機材は・・・
④トキナーAT-X304(300mmF4) でしたー!
フィルム時代のトキナー好きにはたまらない『幻の逸品』。当時のAF一眼レフ専用仕様なのでピントリングはスカスカですが、梨地仕上げの金属鏡筒は高級感があって『まるでニッコール』なデザイン。いつか手に入れようと貯金しているうちにディスコンになって地団駄踏んだという苦い思い出があります。
内蔵のフードは短めなので、きちんとハレ切りしてやればもっと写るハズ・・・。
ただし、定価の約9割引で中古購入したブツなので個体差の可能性もあります。
★Bの画像の正体
今回分かった特徴は
・解像度はそう悪くない
・逆光時にはフレアが酷い
・光源の回りには軸上色収差に伴う不規則なハロが盛大に出る
・後ピンだとブルー系のニジミ、前ピンだとグリーン系のニジミが盛大に出る
といったところでしょうか。
この画像を撮影した機材は・・・
③トキナーAT-X828(80-200mmF2.8)+ケンコー1.5×テレコン でしたー。
ニコン純正のMF80-200mmF2.8が42万円もしていた頃に、『12万8千円』という信じられない定価をひっさげて彗星のごとく登場した『伝説のレンズ』。
当時、50mmF1.8S1本しか持っていなかったあぷらなーとがいつか手持ちのFG20に付けることを夢見ていた憧れのレンズ。(だってー、望遠ズームなのにスプリットプリズムやマイクロプリズムが陰らないって素敵すぎ)意外なことに天体写真撮影でも『結構いける』との評価が当時の天文ガイド誌上テストに掲載されていましたね。
また、300mm相当に揃えるために取り付けたテレコンはケンコーの「テレプラスプロ300」。本来はサンニッパ用に開発されたデジタル対応型の高性能テレコンです。
今回の結果は、テレコンではなくマスターレンズの設計の古さによるものと思われます。昭和のMFレンズですから、平成のデジタル対応レンズと勝負しろと言う方が残酷ですよねぇ。(もう少し頑張れると思っていたのだけれど・・・)
ただし、これも定価の約9割引で中古購入したブツなので個体差の可能性もあります。
★Cの画像の正体
前回のエントリーのコメント欄で、あぷらなーとが『ダークホース』だと述べたのがこの画像。
今回分かった特徴は
・解像度は良好
・逆光時でも恐ろしくコントラストが高い(ヌケが良い)
・色収差に伴う色ニジミもほとんど見られない
といったところでしょうか。
正体は意外なヤツでした。
この画像を撮影した機材は・・・
ででん!!
ま、まさかの!!
⑤ニコンAF-S-VR70-300mmF4.5-5.6G
なんですよ、これが。
もう、テストした本人がビックリ仰天のクリアーさ。
今から10年以上前にニコンD300に付けるために買った中古品なんですが、そういえば過去にこんなことがありました。
「ほぼ無敵」の高性能との評価だったニコンのAF-S300mmF4を中古で買ったときに
「ん?なんか感動がない。・・・というか70-300mmとさほど変わらないような気がする・・・??」
と首を傾げたのですよねぇ。・・・で300mmF4はドナドナ。
そうそう、思い起こせば
こんな風な「シビアな条件」での写真撮影にはこのレンズばかり使っていたことを思い出しました。
(えへへ。昨日の奇妙なツイートは、この結果発表のための伏線だったり・・・♪)
うーむ、このレンズ、実は『防湿庫の肥やし』になりかけてたんだけど、早々にスタメン復帰だなこりゃ。ひょっとしたら下手な短焦点レンズよりも天体写真用として『いける』のかもしれない(撮ったことないけど)。
いやはや普及レンズとは言え、デジタル対応設計の恐ろしさを思い知りました。技術は進歩してるんだなぁ・・・。
・解像度は良好
・逆光時でもそこそこの描写(ヌケは悪くはない)
・色収差に伴う色ニジミはほぼ皆無
・光源が入った際にも変な光芒は出ない
といったところでしょうか。
とにかく『凄みはないけれど優等生タイプ』といった印象。
ま、他のレンズと比べて像が小さめなことに着目すると推測は容易だったと思いますが、とにかくCー⑤というダークホースが引っかき回したせいで訳が分からなくなった方もいたかもしれません。
さて、この画像を撮影した機材は・・・
②ニコンAF-S70-200mmF2.8G-ED-VRⅡ +ニコン1.4×テレコン でしたー。
ちなみに、あぷらなーとにしては極めてめずらしく新品購入した『宝物』です。このレンズを買うために手持ちのレンズを泣く泣く3本もドナドナしたという・・・。
テレコンは中古品ですが、望遠レンズ専用設計のタイプで前玉がせり出しているため望遠レンズ以外には使えません(後玉に衝突します)。超音波モーターにも対応している優れ物で、画質の低下もほとんど気になりません。
特筆すべきは被写体前後のボケがほぼ対称的で、前ボケも後ボケもクセがない点。いわゆるフルコレクション型の球面収差補正が施されているのではないかと推測しています。
いつぞや、クローズアップレンズを転用した『にせBORG』作りを始めた時に『仮想敵』にしたレンズで、よくも悪しくも優等生タイプ。じゃじゃ馬タイプの『にせBORG』の対極に位置するレンズといっても過言ではありません。
・解像度は非常に良好
・逆光時でもヌケが良い
・色収差に伴う色ニジミは皆無
・光源が入った際にも変な光芒は出ない
といったところですね。
Cさえ無ければ『パーフェクト』と言いたいところでした。
もうお分かりのように、この画像を撮影した機材は・・・
①ニコンAF-S300mmF2.8D でしたー。
『レンズの中の王様』純正サンニッパですから悪いわけがありません。
しかも、比較的新しい設計で、当時フローライトを用いたキヤノンのサンニッパに『追いついた』との声もちらほら聞かれた名レンズ。
その圧倒的実力は今でも健在といったところでしょうか・・・・。
ええ、Cさえ無ければ。
★というわけで・・・
正解をまとめると
A:④
B:③
C:⑤
D:②
E:①
でした!
いただいたコメントを拝見してみると、E:① と B:③ は ほとんど見破られてしまってましたね(凄いなぁ皆さん)
難しかったのが、競走を引っかき回したダークホース:ニコン70-300mmのせいで残りの順位が予測困難になっちゃったこと。
ちなみに『個人的な感想』として、『フィルム時代の』トキナーはデジタル一眼に使ってしまうと、青ハロ盛大+ゴースト盛大+フレア盛大の三重苦に陥ってしまいがちという印象を持ってます。同じ感想をお持ちの方なら、A:④を当てられたかも知れません(ほらAとBって色ニジミ以外の雰囲気が似てるでしょ?)
・・・でもトキナー大好きなんですよねぇ(笑)。
さて、いかがでしたか?
撮影ができない夜の暇つぶしになったとすれば、幸いです♪
『レンズ沼』にお住まいの星屋さん、たまにはこういう遊び(ブラインドテストごっこ)も如何ですか?
★★★お約束★★★
①今回のテストはフィルターの有無という条件が揃っていないため公平さを欠いています
②フィルム用とデジタル用のレンズは設計思想が異なりますので、本来は比較してはいけないと思います
③前述の通り、1本を除き中古品ですので本来の性能が出ていない可能性は否定できません
④ニコン70-300mmが天体用の適性があるかどうかは現時点で一切不明ですので早まってはなりません(笑)
⑤実際の星空を撮影して行う『本戦』は近日中に実施予定です
⑥このテストごっこはステライメージ7で現像したものをほぼ無補正で行ったものです。
不名誉な(?)結果となったトキナー80-200mmF2.8であっても、実際の画像処理では十分に実用レベルに引き上げられます。
たとえば、ニコン純正の現像ソフトNX-Dで真面目に現像すると
※左:ステライメージ7で現像 右:NX-Dで現像 このように、最新のレンズと遜色のない画像に変身します。
逆に言えば、ネット上の作例はこのようなデジタル補正技術が加味された結果であると判断すべきなのかもしれませんね。