あぷらなーとの『邪道ブログ』をご贔屓にしていただいている皆様、あけましておめでとうございます♪
本年も怪しいネタ満載でお届けいたしますので「無茶しやがって・・・」と笑ってやってください。
<お約束>素人が書いている記事なので、本年もあまり真に受けてはいけません♪
★新年早々いきなりですが・・・ででん!!
年の瀬に再出撃した『フルアーマーBORG』に装填していた3台のASI1600MM系冷却CMOSカメラで同時撮影したHα・SⅡ・OⅢの画像処理が(20時間あまり難儀していましたが)ようやく完成。
見よ。
邪道奥義『リバースパレット法・SOAリバース』による不可思議な発色ッ!!
説明しよう。
『SOAリバース』とは、「シアン=SⅡ・マゼンタ=OⅢ・イエロー=Hα」に割り当てた『邪道パレット』のひとつで、HαとSⅡが重なった領域がG、HαとOⅢが重なった領域がR・SⅡとOⅢが重なった領域(これはほとんど無い)がBにそれぞれ表現されるという『魔道のカラー合成法』なのじゃーッ!!
ちなみに元画像はこんな感じ。
各波長とも「ゲイン300・30秒露光・ノータッチガイド・240コマコンポジット」です。
★誰の参考にもならない『邪道』っぷり
●邪道その①:「多連装鏡筒」
BORG89EDの三連装砲。
普通は『良い』筒を一点買いするべきでしょうが、貧乏性のあぷらなーとは「数がそろう」方が嬉しいのです。
「シャア大佐」と「黒い三連星」が大好きなので「3」にこだわってたのは内緒。
●邪道その②:『ビームスプリッタ』
たしかに光量は1/2になるし、キューブ型ビームスプリッタは結構お高い。
・・・でも、撮影途中で曇られた場合でも全波長の画像が取りこぼし無しってのは素敵♪
※上の図は初期バージョンなので、現在ではかなり変更が加えられています。
※万が一酔狂な方がいらっしゃいましたら、エドモンド・オプティクス社でパーツ(スプリッタ本体)が個人入手可能です。
●邪道その③:『クローズアップレンズ』の転用
自称『アマチュア天文界で最もクローズアップレンズを楽しむ漢』あぷらなーととしては、この神アイテムを最大限活用したいもの。当然光学系の中に余計なレンズが加わるわけですから、像面の平坦化と引き替えに色収差や球面収差が発生するのですが、実はビームスプリッタが(負の収差発生により)それらを打ち消す方向にはたらいてたりして・・・♪
●邪道その④:『5つの冷却CMOSカメラ』
ええ、これだけ揃えるヒマがあれば、潔く冷却CCDに行った方が幸せになるとは思います。
でも貧乏性のあぷらなーとは・・・以下略
●邪道その⑤:『クールファイル補正法』
『じゃじゃ馬』ASI1600MMシリーズは個体によりクールピクセル(黒いポチポチ)が出ます。原理的にこの黒点はダーク減算やフラット除算では消せません。またステライメージなどのクールピクセル除去フィルタは「短時間露光+多数枚コンポジット」には無力です。
そこで試行錯誤の末に苦肉の策として編み出した『クールファイル補正法』で、かなり軽減することができます。手作業でこれをやるのは骨が折れるのですが、ぴんたんさんのFlatAideProのバッチ演算機能の中に実装していただいたことで相当に楽に処理できるようになりました。
●邪道その⑥:『手動ダーク減算法』
本来ダークノイズはダーク減算処理で消えるハズなのですが、あぷらなーとの環境下ではどうもこれが『消しきれない』。その原因がステライメージのダーク減算ロジック(減算後の値が負になると強制的にカットされる)にあることが判明したため、これを手動でワークフロー登録して回避できることを見つけました。特に比較的F値が大きな光学系で短時間露光+多数枚コンポジットを運用する場合は飛躍的な画質改善を生みます。
※2019年1月1日現在、どうもステライメージ(6.5・7ともに)で上記の手法が再現できなくなりました。なんらかの設定をミスした可能性が高いのですが、代案としてFlatAideProのバッチ演算メニューにある「ファイルの減算処理」機能を用いたところ、同等の成果を得ました。
●邪道その⑦:『リバースパレット法』
特にバラ星雲のように、Hα領域が全体に広がっていてその上にOⅢやSⅡが重なっている場合、通常のRGB合成では発色が補色系に偏ります。これを回避するためにあえて各波長のデータを補色(CMY)に充てることによって、原色系の発色を目指した技です。
ただし(その特性上)あまりにも発色がケバケバしいので、今回はさらに色相変換などを加えて整えています。
※CMY合成はステライメージの機能にありますが、その仕様上FITSファイルのままでは上手く行きません。レベルやトーンを整えた画像を一度TIFFに変換した物を合成することで画像が破綻するのを防げます。(原理的にはRGB合成した物をカラースワップした場合と大差あるわけではないと思いますが。)
★邪道その⑤&その⑥の効果
いや、一瞬焦りました。除夜の鐘を聞きながら必殺技を繰り出したハズが「かえって悪化する」という未曾有の事態に直面して半泣きで年を越したんですよ、実は。
・・・で、こりゃダメだと一眠りしてからよく考えると、ASI1600MM-Cool1号機に2号機のダークファイルを充てていたことが判明。同一機種を2台持ちするのは良いんですが、データの見分けが付かないんですよねぇ。(フラットファイルなら個体差が激しいのですぐに見分けられますが、ダークは難しい)
ようやくデータの保存ファイルの命名ミスだということに気がついたときには、あまりの初歩的ミスっぷりに笑ってしまいました。
・・・で、今回のASI1600MM1号機によるOⅢバンド画像の『邪道⑤⑥』のビフォ-&アフターがこちら。
※左:処理前 右:邪道⑤⑥処理後
左の画像には3つのノイズが混在しています。
A:強烈なホットピクセルによる明瞭な白線
B:弱いホットピクセルによる淡い白スジ
C:クールピクセルによる淡い黒スジ
このうちAに関しては通常のダーク処理やホットピクセル除去フィルタでも軽減できるのですが、BとCは通常の処理では消せません。
ま、「短時間露光+多数枚コンポジット」で「オートガイドもディザリングもシグマクリップもなし」ということ自体が王道を外れてますから、邪道には邪道なりの補正法が必要ということですね♪
★今回の隠し球は・・・・
前回のエントリーで言及した『異常に写り過ぎちゃう』カラーカメラ:ASI294MC-ProによるRGB画像↓と
ASI1600MC-Coolに担当させたHβナローバンド画像↓
がありますね。
なにしろ最終形態の『フルアーマーBORG』の強みは「Hα・Hβ・OⅢ・SⅡ・R・G・B」の『7バンド同時撮影』
これらを用いると・・・・
AOBパレット(R:Hα G:OⅢ B:Hβ)とか・・・・・・
AOB+RGBブレンドとか・・・・
OSAリバース+AOB+RGBブレンドとか・・・・
もう、
パレットのバリエーションは無限大ッ!
こりゃ、このデータだけで当分遊べそうだなぁ♪
★そろそろ処理過程を定番化しないと・・・
今年の第一目標は、撮影ルーチンと処理ルーチンの定番化。
だって・・・今回のなんて、結局、鏡筒の「どこにどのカメラを付けるか」をいつもと変えてたために「ダークファイルの取り違え」という恥ずかしいミスをやらかしてたし、撮像パラメータを固定化していないからフラットファイルの撮影時に「うっかりSerで保存」しちゃってたし、画像処理に至っては、処理工程を1段すすめるごとにいったん試しコンポジットをやってみて『意図通り演算されているか』をマカリで数値分析するものだから、中間ファイルだけで500GB(!)もの量に・・・。これじゃ3TBのHDDがわずか数対象で満杯になっちゃう。
処理工程が定番化すれば、ミスも減るし、中間処理ファイルは圧縮するか捨てるかできるもんねぇ・・・・。
その他の『プロジェクト』は後日公言するとしましょうかねぇ・・・。