天体写真

バラ星雲画像処理・暫定終了♪

★7バンド同時撮影などという・・・
ええ、暴挙ですよコレは(笑)。
 BORG89ED×3本
 モノクロ冷却CMOS×3機
 カラー冷却CMOS×2機
 ビームスプリッタ×1機
が合体した『フルアーマーBORG』による「Hα・SⅡ・OⅢ・Hβ・R・G・B」の一気撮り作戦


年末にようやく真のファーストライトに成功してから、気が遠くなるような物量の画像データをコツコツ画像処理していたんだけど、色々と見えてきました。


★「カラー×一発撮り」VS「モノクロ×ナロー」
ま、本来はどちらでも良いんですよ。写れば。
欲を言えば、楽に写るとなお良し♪
でも、今回『最後の1ピース』となるべく生えてきたASI294MC-Proの画像を色々と処理してみて、カラーカメラの限界も見えてきました。
たしかに評判通り294MCPは驚異的に良く写りますし(例のアンプグローを除けば)ノイズも素直で消しやすいのにはビックリ。
でも・・・・。

ま、『モヤモヤ』してたことをハッキリとさせるために、とりあえずカラー画像をRGB分解してみましょうか・・・。

ででん!!
f0346040_06081963.jpg
  ※左上:R画像 右上:B画像 左下:G画像
   右下:元画像(各ピクセル約60%拡大相当)

右下の画像を見るとよく分かるように、BORG89ED+ACNo3(スプリッタ無し)+ASI294MCPの画像は赤ハロや青ハロが出るんですが、RGBに分解した画像を見るとこの原因がハッキリします
この画像の撮影では(バーティノフマスクなどは用いずに)モニタ目視でピント出ししたのですが、恒星に対する感度が高く素子数も高いGチャンネルのバリバリシャープさと比べてR画像は微光星ごとボケボケになっています。要するに2次スペクトル(残存する軸上色収差)の影響でピント位置が大幅にズレちゃってるんですね。
またB画像は微光星は悪くありませんが輝星の像が肥大していることが分かります。これも2次スペクトルの影響と考えられますね。

要するに、このあたりが「EDアポ+カラーカメラ」の『限界』で、いくらバーティノフマスクなどを用いた精密合焦を試みても、そもそも波長によってピント位置がことなるので、いずれかの色がピンぼけになっちゃうのですね。


では、モノクロカメラ+ナローバンドフィルタではどうでしょう?

ででん!!
f0346040_06242792.jpg
  ※左上:SⅡ画像 右上:OⅢ画像 
   左下:Hα画像 右下:Hβ画像
   (各ピクセル約50%拡大相当)
   SⅡ:ASI1600MMC2号機 
   OⅢ:ASI1600MMC1号機
   Hα:ASI1600MMP 
   Hβ:ASI1600MCC 
(注)HβだけはモノクロカメラではなくカラーカメラASI1600MCCを用いてます。しかし感度特性から考えるとHβの位置はB感度曲線とG感度曲線がクロスするポイント付近に位置するため、ベイヤー構造の「GRBG」4個のうち3個が活きていることになって、さほどの不利益は無いと考えられます。

ううむ。
我ながらスゴいシャープさだなぁ。どの波長もモニタ目視で十分なピントが出てる♪

いつぞや昼間の風景で『解像度テストごっこ』して分かったように・・・・

そもそもナローバンドフィルタ自体に色収差を『強制カット』する働きがあるため、たとえ対物レンズが安物アクロマートであっても色ニジミの無いシャープな像が得られます。上記記事で用いた「クローズアップレンズ転用対物レンズ」ですらシャープに写るのですから、EDアポならなおさらです。(球面収差が少ないと仮定した場合)

ところが、これ、実際の撮影では意外と難儀するんですよねぇ?
フィルタそのものの特性や対物レンズの色収差によって波長毎にピント位置が変わるので、フィルタを交換する度にピントを合わせ直さないといけませんもの・・・。
でも、『フルアーマーBORG』なら大丈夫。各カメラのピント機構が独立してるので、全部の波長にピントを合わせた状態で一気撮りできるという訳です。

うむ。やはり楽ちんだぞ、これは・・・♪

はい。
膨大な準備期間と軍資金を掛けちゃった『フルアーマーBORG』の目論見(ビームズスプリッタによる光量損失やセットアップの大変さを差し引いても撮影自体の効率は上がるハズ)が上手く行っているらしいということを、単に自慢したかっただけなんですぅ・・・。ごめんなさい。



★というわけで、バラを仕上げてみる♪
一応『フルアーマーBORG』が無用の長物では無さそうだということが確認できたことで一安心したので、バラ星雲を仕上げてみましょうかねぇ。

使うは禁断の奥義:「7バンドぜんぶ盛り」

すると・・・

ででん!!
f0346040_06560335.jpg
※5台の冷却CMOSカメラそれぞれにつき、-15度・ゲイン300・30秒露光×240コマコのライトフレーム。
 EQ6Pro赤道儀によるノータッチガイド。
 各カメラにつきそれぞれダークファイル×120コマ&フラットファイル240コマ+フラットダーク240コマを用いて処理
 『手動ダーク減算法』・『クールファイル補正法』によるノイズ処理
 使用パレット:SAO + OSAリバース + AOB + RGB のブレンド
 (AOBの「B」はHβ、RGBの「B」は単なる青)
 使用ソフト:ステライメージ6.5・ステライメージ7・FlatAidePro・PhotoShopCC&Nikcollection・シルキーピクス・レジスタックス
 
うむ。
このあたりのテイストなら違和感が少ないかなぁ♪

中心部をピクセル等倍で拡大してみても
f0346040_08345030.jpg
そこそこ良い感じの解像感出てるし♪

ふはははは。
邪道成就の道、今度こそ本当に見えたわ!


・・・といいつつ、年始早々、『合体ロボ』のHUQさん・『全天候型リモート撮影装置』のHさん・M-GEN開発者のサントさん・・・と立て続けにお話を伺う機会に恵まれたので、あぷらなーとのポンコツ脳みそは『今後の課題』でパンク寸前・・・なんですが・・・ね。

うーん。まさに
『邪の道はヘビー』だなぁ・・・。



追記:
ブログにアップしてから自分で見てみると、少々眠い感じがしたので、少しだけハデ目にしてみたら・・・・。
なんだ、色々と『邪道奥義』を駆使した割には、一般的なSAOナローのテイストになっちゃったかぁ。
ま、素材が同じですからねぇ。弄りすぎてもキリが無いのでこのあたりで終了♪
f0346040_14072720.jpg

P.S.
「ステライメージの『手動ダーク減算法』が突然効かなくなった」という不可解な現象については、「ステライメージのキャッシュをクリアする」という手法で見事解決しました。HUQさんビンゴ! ありがとうございました。


Commented by uto at 2019-01-07 09:22 x
おおぉ、7色のばら星雲ですか!レインボーカラー合成!
いいですねぇ。
ガスの流れが見事です。

球面収差ですが、ED系の方が、屈折率が高いので(?)球面収差も大きくなるんだったような。
ガラス玉の方が特性が良かったような気がします(超うろ覚え・・^^;)

ところで、HαとHβって構造が違う部分ってあるのでしょうか?

Commented by supernova1987a at 2019-01-07 10:44
> utoさん
さすがに痛い所を突かれますねぇ♪

こと球面収差に関する限りEDアポよりもアクロマートの方が優秀な可能性ありますよねぇ。だからナローバンドではアポの必要性自体が無いかもです。
設計データが見られたらなぁ・・・。

HβとHαとでは星雲の励起状態が異なるので、ガスの成分が同じでも輝度分布には違いが出る(温度分布的なイメージ)だろうとも目論見ましたが、あまり芳しくありません。ほかの対象でも試してみるか、真面目に測定してみないとよく分からないですね。でも、そもそもHβで星雲を撮られている方自体が少ないので、今は写るだけでも面白いです。
Commented by オヤジ at 2019-01-07 11:38 x
SⅡ、OⅢ、Hα、Hβ
Hα以外、フィルターも持ってませんが、ナローバンドとは言え、随分違うのですね。
初めて、4フィルターの味を拝見しましたよ。
対象物で、フィルターを交換とかもあるんでしょうね。
只々、驚きました。
Commented by supernova1987a at 2019-01-07 12:05
> オヤジさん
各色について、同時刻に同じ鏡筒で「一気撮り」する酔狂な人は少ないと思いますので、面白いデータが取れたと思います。
本来は対象によってフィルターの組み合わせを変えるんでしょうが、私は不精者なので『何も考えず全部撮っちゃえ♪』という暴力的な戦法で遊んでみようと思います。
ただ、3本の鏡筒のうち1本だけが(ビームスプリッタ無しで)光量が2倍なので、そこに『弱そうな』波長担当カメラを配置すれば良いかなぁ・・・・。あ、でもこれ結構手間がかかりそう。
Commented by いーぐる at 2019-01-07 13:37 x
こんにちは。
7バンド全部撮り、迫力と解像感が凄い!
それを1発で撮るといのも、さらにびっくり。
カラーカメラの限界の説明は分かりやすいので、私にも理解できました。
鏡筒とカメラの組合わせで、青ハロ、赤ハロがでるから、ピントをほんの少しずらすということを時々聞きますし、自分でもやっていますが、このRGBに分解した画像を見ると、なるほどです。
Commented by supernova1987a at 2019-01-07 14:17
> いーぐるさん
コメントありがとうございます。
当方ナローバンド自体が超初心者で、バラ星雲も2回しか撮ったことがない始末なんですが、とりあえず『全部撮り』しておけば後からなんとでもなるだろう・・・という邪な考えで機材を組みました。マスク処理やレイヤー処理を施す技術は持ち合わせていないので、かなりの手抜きですが、一応自己ベストにはなったような気がします。追記に載せたようにさらに弄ってるうちに一般的なSAOのテイストになっちゃいましたが(笑)

RGB分解は昼間の風景ではちょくちょくやってたんですが、星雲に対して行ったのは久々です。思った以上にピントの差があって自分でも驚いてます。個人的には「赤ハロはキライだけど青ハロは好き」なので、もう少し長波長側にピントを振った方が良かったのかも知れません。
Commented by 是空 at 2019-01-07 16:06 x
昨年末に公開したASI294のRGB画像は星の色が賑やかでしたけど、RGB分解した画像を見ると原因が一目両全ですね。
Bチャンの星像がこれほど肥大してたとは。
反射式はこれを気にせずに使えるのが魅力なんでしょうけど、レンズにはレンズの魅力ってが・・・

私も赤ハロよりは青ハロの方が許容範囲が大幅に広いと思う。
赤紫の星を見るといかにも色収差って感じがしちゃう。
Commented by 上杉蒼太 at 2019-01-07 19:56 x
バラ星雲、お見事です! 極彩色の薔薇の花が咲きましたね~。
ナローバンドフィルタ自体に色収差を強制カットする機能がある、という部分が面白いですね。SE102のような大口径アクロマートでもナローバンドならばかなり綺麗に撮れるはず、という仮説を立てていますが、ほぼ間違いなさそうですね(ちなみにSE102とLPS-V4の組み合わせは相性がいいというブログ記事も読んだことがあります)。こちらも負けずに大口径アクロマートによるナローバンド撮影の可能性に挑戦してみたいですね。
Commented by せろお at 2019-01-07 21:02 x
『邪の道はヘビー』
上手いっすなぁ、座布団あげます。

EDレンズでも波長によってかなりピントがずれますね。
ASIAIRには対応電動フィルターホイールによる自動撮影機能がありますが、
ピントがずれるのでは自動化できませんね。
あぁ、反射望遠鏡を使えばいいのか。

対応電動フィルターホイールも買ってあるのですが、そもそも白黒カメラ持ってません。
それ以前に使っていない機材の数々が・・・
Commented by kem2017 at 2019-01-07 21:51
ASI294MCP の動作温度は、40~-10℃だったと思います。多分、ASI1600系も同じくらいと思います。
5℃くらい問題ないと思いますけど(誰もしないようなコメントしようと思って努力しました)
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 00:32
> 是空さん
屈折望遠鏡だと色収差によるボケやハロは仕方ないですね。
ただ、ピント位置を上手く中庸の位置へ持って行ったり相性の良い補正レンズを併用したりすると改善が見られるかも知れません。
いずれ、もう少し真面目に調べて見ます♪
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 00:39
> 上杉蒼太さん
ナローバンドだとアクロマートでも十分にシャープになりますよね。
以前買ってしまった格安90mmアクロマート↓は
https://apranat.exblog.jp/29630079/
実はBORG89EDの代わりにならないか(口径・焦点距離ともにほぼ同じなので)と企んでポチった物だったんですが、色々とアレだったので結局BORG89EDを買い増ししちゃったという経緯があります。
SE102とかSE120とかの多連装ナローバンド専用マシンっていうのも面白そう。
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 00:52
> せろおさん
『邪の道はヘビー』座布団ありがとうございます♪
このくだらない台詞を吐きたくてこの記事を書きました(嘘)。

色収差による波長毎のピント位置のズレは、素人計算↓でも
https://apranat.exblog.jp/28567701/
ある程度予測されたことでしたが、天体写真の場合は画像処理で強調しますので、より明瞭に差が出たような気がします。電動フィルタホイール、私も持ってますが、一度も実戦投入することなく死蔵してます。結局、「超高級レンズ+フィルタホイール」ではなく、多連装やビームスプリッタによる同時撮影に舵を切ってしまったので・・・・・。
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 00:55
> kem2017さん
>ASI294MCP の動作温度は、40~-10℃

えっ?マジっすか?
あ、でもそれは冷却前の気温では??
メーカーさんのダークノイズと撮像温度の関係グラフでは-15℃以下で最小ノイズとなっていたので、それを信じていつも-15℃で撮影してたんですけど・・・・。
とりあえず、上手く写ってるので大丈夫・・・・ですよね???
Commented by kem2017 at 2019-01-08 03:46
どっかで見たよなぁ~と思って、ググってみました。
http://www.kyoei-tokyo.jp/shopdetail/000000007694/
動作可能温度  -5゚C~45゚C
保管温度  -20゚C~60゚C
えええッ、-5℃だったの?
ダークノイズで横軸が温度のグラフだと、-10℃までしか記載ないです。
星見屋さんのページには
「冷却には電源が必要です。冷却能力は外気温-35~40°(ただし最低温度は-45℃)です。外気温が-15℃の時に-50℃や55℃まで冷やせるわけではありません。万が一冷えたとしても-45℃以下での動作保証はありません。」とか記載ありませんでした。
で、本家(ZWO optical)
Working Temperature: -5°C—45°C
Storage Temperature: -20°C—60°C
やっぱ、動作可能温度は -5℃。これ、CMOSのスペックですね。
ついでにペルチェに無理させると、素子が死ぬはずなので、能力の半分で使うのが吉かと。
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 08:18
> kem2017さん
あらためて本家のマニュアル見てみました。
https://astronomy-imaging-camera.com/manuals/ASI294%20Manual%20EN.pdf

たしかに6ページには、スペック表の中に-5゚C~45゚Cと書かれていますね。
ただし10ページには、外気温29℃の際に冷却に必要な電流が記載されていて
グラフには-17℃付近まで記載されています。
また11ページには、-15℃までの暗電流が記載されています。

うーん、やっぱり-5゚C~45゚Cというのはセンサー温度ではなくて、稼働時の外気温のように思えるんですけど・・・違う??
Commented by noritos1047 at 2019-01-08 12:26 x
初心者の私は、ほとんど反射のVMC260Lとカラーカメラでええんとちゃうのと思ってしまいます。
数で高集光力と高解像度を目指すとこうなるのかな。
高性能の高感度、高精細のカラーカメラが出れば、大口径反射一本でいけるんでしょうか。
で、20cmくらいの反射と天体用のカメラってとこで大抵の人は落ち着くんでしょうね。膨大な試行錯誤とそれを楽しむいろんな面での余裕がないと、変態道はなかなか大変なようです。


Commented by ゴットハンド at 2019-01-08 18:06 x
凄い!
こんな滑らかな画像、今まであっただろうか!というくらい効果てきめんですね。\(^o^)/
やはり複数鏡筒だよな〜。せめてツインくらいにはしたいところです。
ところで、自分の使ってるフィルターも、RGBでそれぞれビミョウにピントがずれるので、Rでピントを合わせてます。逆に青ハロが少しくらい出た方が星に色がついて良いです。赤ハロは嫌いです。
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 23:12
> noritos1047さん
仰るとおりVMC260Lならカラーカメラ一発撮りでも良いですね。ただ、難点は焦点距離が3000mmもあることでして、小さな天体しか写野に入らないことと、シーイングの影響でボケボケになることです。
また、F値も11.4と非常に暗いので、三連装BORG89EDの20倍以上の露光が必要となりますね。
まあ、それ以前に右腕の怪我の影響で完治する夏まではVMC260Lが持ち上がらないって事情の方が大きかったりもするのですが(笑)。
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 23:24
> ゴットハンドさん
実はBORG89ED+ビームスプリッター+モノクロナローバンドって、『手動ダーク減算法』と『クールファイル補正法』が極めて有効に効くんですよねぇ。今回も難なく滑らかになりました。今後は『ネタ』ではなく実利を取るためにカメラは4台に減らすかもですが。
(明るく写るHαとRGBはスプリッタ併用で、S2とO3は素の鏡筒で・・・とか♪)
Commented by supernova1987a at 2019-01-08 23:28
> noritos1047さんへのレス
訂正です。
20倍以上ではなくて12倍以上の書き間違いでした。
すみません。
Commented by kem2017 at 2019-01-09 14:48
ASIカメラの動作温度問題、曇天夜でのやりとりを見ると、明確な事は分からないけど、-20℃くらいでも大丈夫だったからいいんぢゃね?的な感じみたいです。
https://www.cloudynights.com/topic/556218-asi-1600mm-%25D1%2581-working-temperature/&prev=search

Commented by supernova1987a at 2019-01-10 08:24
> kem2017さん
曇天夜のやり取り見ました。
同じように悩んでいる方がいたのですね。
はっきりとは言えませんが、今のところ大丈夫っぽいですね。
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by supernova1987a | 2019-01-07 07:34 | 天体写真 | Comments(23)

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