その他

バーチャル天文談義

ほら、皆さんもやりませんか?
何が正しいのか不明確で奥が深い天体写真の迷宮。
そこに迷い込んだときに、一人でボソボソ「あーでもない」「こーでもない」と脳内談義すること。

・・・・おや?
なにやら『邪道望遠教』の信者:あぷらなーとの脳内から、ボソボソ声が聞こえてきましたよ。


 
★中二病めいた妄想天文談義


太郎「・・・という訳で、みなさん、長時間露光の一発撮りと短時間露光の多数枚コンポジットとでは、それほどの差が出ないということでOK?」

次郎「うん、まあ、それはそうなんだけどさ。細かく見ると、差があるんじゃねーの?」

太郎「それは・・・たとえば、どんな??」

次郎「そうねぇ。やっぱ短時間露光だとノイズが多いだろうから、厳密にはコンポジットしても長時間露光には勝てないっつーか・・・。」

三郎「いや、それは違うと思いますよ。あくまで短時間露光がノイジーなのは、カメラ側の問題ではなくて、単に天体から飛んできた光子数が少ないために生じた揺らぎであって、コンポジットすることによって回避できるハズです。」

四郎「その通りやー。総露光時間が同じなら長時間露光でも短時間露光の多数枚コンポジットでも受け取る光子数は同じやもんなぁ。むしろ、高輝度部分がサチってしまうリスクがある分だけ長時間露光の方が不利やろ。」

三郎「そこ重要ですね。たとえカメラのADCが10bitだったとしても16枚コンポジットすれば、理論上は14bitADC搭載機と同等のダイナミックレンジになりますもんね。分かります。」

次郎「なんだよ、みんなで寄ってたかって短時間露光の味方かよ。」

太郎「いや、そういう訳ではないんだが・・・。」

次郎「いいよ。じゃあ、短時間露光が抱える根本的な弱点を教えてやるよ。」

四郎「根本的な弱点やと?そんなもんがあるんなら言うてみい。」

三郎「コンポジットの手間がかかる、とかは無しですよ。」

次郎「短時間露光多数枚コンポジットの弱点はな。・・・それは、バイアスノイズが露光回数分だけ乗ってるってことなんだよ!」

太郎「なんと!それは思いもしなかった・・・・。」

四郎「ううむ。そう言われてみると確かにそうかもしれんのー。ダークノイズなら総露時間と同等の計上になるけど、バイアスは読み書きのたびに生じるけん、総露光時間ではなくて撮影枚数に比例して増えていくわなー。図で表すとこんな感じや。」
バーチャル天文談義_f0346040_05121384.jpg

太郎「では、ショットノイズとダークノイズの面では同等だけど、バイアスノイズの面で短時間露光の負けという結論でよろしいか?」

三郎「あ、いや、ちょっと待ってください。そもそも、バイアスノイズはダークファイルの中に記録されているのですから、ダーク減算を行った時点で全て消えているハズではありませんか?短時間露光の弱点である低輝度状態がもたらすダーク減算の不一致も、手動ダーク減算法で解消されるってウワサですし。」
バーチャル天文談義_f0346040_05254029.jpg
四郎「そらそうやけどのー。ダークファイルの減算でも消し切れないノイズいうて結構残っとるで。たとえば、や。10分露光の一発撮りと30秒露光の20枚コンポを比べるとするやろ?すると、一発撮りの方は10分の露光量に対してたった1回のバイアスしか乗って来んけど、多数枚の方は10分の露光量に対して20回もバイアスが乗ってくるんやぞ。」

次郎「ほう。ようやく気づいたか。ま、ともかく多数枚コンポの方は乗ってくるバイアスノイズが桁違いに大きい訳だ。な?だから、いくら減算しても誤差もデカくなって消し切れるわけねーだろ。」

三郎「待ってください。なんか論理的に破綻してますよ!いいですか?ダークやバイアスが消し切れない原因は何ですか?これは統計的揺らぎだったのではないですか?

太郎「確かにその通り。だからダークファイルやバイアスファイルはできるだけ沢山撮影してコンポジットすることで、統計的揺らぎを小さくしてるわけだが。」

三郎「では、ライトフレームに乗っているバイアスノイズの揺らぎはどうなんですか?ダークノイズは良いですよ。一発撮りでも多数枚コンポでも総露光時間が同じなら、同じだけのダークノイズが乗っている計算になりますから。ところが、バイアスノイズはそうではありません。」

次郎「だから言ってんじゃん。短時間露光多数枚コンポジットの方がバイアスがかかっている回数が多いんだって。」

四郎「まだ気づきませんか?バイアスが発生する回数が多いからこそ、トータルでは平均化されて揺らぎの生じない正確なバイアスが記録されていると言ってるんです。」

三郎「おお?ということは、一発撮りの方はせっかくバイアスファイルを何百枚もコンポジットしても、肝心のライトフレーム中のバイアスノイズが一発露光やけん、意味がないわけやな?」

「迷える子羊たちよ・・・。不毛な争いをするでない。」

一同「あ、あなた様は・・・?!」

「我が名は王道神・オーソドックス。皆の衆、そもそも加算平均コンポジットは輝度そのものが増加しているのではなく、あくまでも平均。それをレベル調整などで見かけ上明るく見せかけているに過ぎぬ。それにともないノイズも大幅に引き延ばされておる。たとえば20枚コンポジットなら目標とする一発撮りの露光量が20倍のため、ノイズの振れ幅も20倍に増幅されているのだ。とはいえ、皆が心配する高輝度のサチりは如何ともし難いのも事実。ここは中をとって中程度の露光の少数枚コンポジット+ディザリングを行うがよかろう。」

一同「ははー。恐れ入りましたー。」

「みんな、だまされちゃダメ。」

一同「今度は、誰だッ?!」

「私は人々を自由な天文道に導く女神・フリーダム。気をつけて。あれは神などではないわ。ヤツこそ天文道の多様性を消し去り一元化を企む『悪の化身ラプラス』よ。」

太郎「なんと、ヤツはランダム現象を作為的に弁別してエントロピーを減少させ、ノイズの違和感を増長させるという、あの恐ろしい悪魔か!」

女神「そう。天文には色々なアプローチがあって良いと思うの。だから、多連装とかビームスプリッタとかを『変態』と揶揄されても、むしろ名誉なことなのよ。ノータッチガイド一本槍・・・これも立派な楽しみ方。オートガイダーとかシグマクリップに耐えうる高性能PCを買う余裕があるなら、むしろ鏡筒とカメラをこそ増やしなさいな。」

一同「ありがたやー。」

ラプラス「何を言うか。貴様こそ女神とは名ばかり。その正体は純真な天文ファンを軍拡の無間地獄に誘い込む『邪道沼の魔女』ではないか。皆の衆、だまされてはならぬ。」

魔女「黙りなさいラプラス。実際に撮影して検証すれば分かることだわ。さあ筒を増やして!」

ラプラス「貴様こそ黙れ沼女。見よ、この素晴らしい作品群を。先達のノウハウをコッソリ盗み取ることこそ上達の王道ぞ。検証など時間の無駄。そもそも邪道など認められるべきではないのだ。」

一同「ああ、一体どうすれば・・・。」


さて・・・・と。
そろそろ『考察ごっこ』再開ですかな。



★撮影枚数がどう『効く』か?
まあ、談義後半の次郎くんの発言でほぼ結論は出てるのですが、もうすこし「どんぶり勘定」してみます。

<前提>
ある目標総露光時間を達成するために、
 A:長時間露光の一発撮り
 B:目標時間の1/Nの露光をN回繰り返しコンポジット
の2群を想定します

<考察ごっこ>
①ダークファイル(バイアスノイズ込み)は後から無制限に撮影できる上にレベル調整の必要がありませんので、理論的には誤差(統計的揺らぎ)ゼロに追い込めます。
②ライトフレーム内に含まれるバイアスノイズの誤差(揺らぎ)は撮影枚数がN枚だと 1/√N に比例(コンポジット枚数を増やせば減少)します。
③B群のライトフレームN枚を加算平均コンポジットした後、Aと同じ明るさにレベル調整すると、バイアスノイズがN倍に増えたように振る舞います。
④以上の考察により、最終的には、ダーク減算後の「B群のバイアスノイズ(の揺らぎ)」は「A群のバイアスノイズ」に対して√N倍大きいと推測されます。

 
★シミュレーションめいたもの
では、上記の「どんぶり勘定」が当を得ているかどうか、みんな大好きEXCELくんを用いて『シミュレーションごっこ』してみましょう。

<方針>
①ある目標総露光時間を達成するために、
 A:長時間露光の一発撮り
 B:目標時間の1/Nの露光をN回繰り返しコンポジット
の2群を想定します。
②撮影枚数のNについては1,2,4,8,16,32の6通りを用意します。
③用意するダークファイルは無限コマの加算平均コンポジットにより誤差ゼロに追い込んでいると仮定します。
④本来のバイアスノイズ値が同等の任意の撮像素子10個を想定します。
⑤バイアスノイズの揺らぎは標準偏差1・平均値0.5の正規分布に従うと仮定します。
⑥確率密度関数を積分したものの逆関数に対してモンテカルロシミュレーションを行い揺らぎを再現します。
⑦想定した各撮像素子10個について、AとB群に差異が出るか統計計算します。


では、行きますよ・・・・
(1)加算平均コンポジット枚数(1~32)とバイアスノイズ
ダークファイル減算を施す前のバイアスノイズが各素子毎にどうバラつくかをシミュレーションすると下記のようになりました。
バーチャル天文談義_f0346040_07071722.jpg
ここでは①~⑩の素子は全て同じバイアス値(0.5)を有していることを前提としています。
当然、一発撮りの「1回」がもっとも揺らぎが大きく、露光時間の分割数が増えるに従って真値である0.5に近づいていく様子が分かります。

(2)一発撮りと32コマコンポジットのバイアスノイズ比較
(1)を見やすくするために、一発撮りと32分割露光のみをグラフ化すると下記のようになります。
バーチャル天文談義_f0346040_07124786.jpg
①~⑩の平均値が大きく異なるわけではありませんが、各素子毎に値がバラつくことは、ダーク減算しても残るノイズに直結します。
では、ここから(バイアスノイズ込みの)ダークファイルを減算するとどうなるか見てみましょう。


(3)ダークファイル減算後の比較
(2)から、理想的に作製(無限枚の加算平均コンポジット)された「バイアスノイズ込みのダークファイル」を減算した場合は下記のように予測されます。
バーチャル天文談義_f0346040_07163684.jpg
理想的にバイアス補正が成される過程ですので、当然(2)のグラフを0.5(バイアスの真値)だけ下にシフトしたものになります。
これが、バイアス補正しても残存するノイズを表します。
ここまで見ると、「長時間露光一発撮り」よりも「短時間露光の多数枚コンポジット」の方が有利に見えますが、1コマ毎の露光量が少ないため実際の画像処理ではレベル調整を加える必要性があります。(そうしないと暗い画像になる)

(4)レベル調整後の比較
(3)のデータに関して仕上がり画像が同じ明るさになるようレベル補正を加えるとどうなるかシミュレーションすると下記のようになりました。
バーチャル天文談義_f0346040_07215821.jpg
ここで一気に形成が逆転します。
「加算平均コンポジットを行った後にレベル調整する」ことは、(加算平均ではなく)「加算コンポジット」を行う行為に相当します。
ここで、次郎くんが指摘した「撮影コマ全てにバイアスが乗っている」点が非常に大きく寄与してきます。
要するに撮影分割数が多くなればなるほど、補正しても取り切れないバイアスノイズが増加していくということが推測されます。


(5)露光分割数と残存バイアスノイズの相関
では、あぷらなーとが苦手とする「定量的」な推測に移りましょう。
演算精度向上のため、上記の(4)のシミュレーションを5回繰り返して、露光分割数と(ダーク減算では補正しきれない)バイアスノイズの揺らぎとの相関を調べて見ると・・・・・・

ででん!!
バーチャル天文談義_f0346040_07313533.jpg
おおー。
どんぶり勘定で予測した「撮影枚数をNとすると√Nに比例してノイズが悪化する」とほぼ一致するなぁ。

※すみません。本来モンテカルロシミュレーションは統計的に揺らぐ各個のイベント例を再現するときにこそ有用なのであって、統計処理した大局を支配するのは想定した確率密度関数そのものですから、どんぶり勘定と一致して当然なんですけど・・・ね。


ということで、暫定的結論は・・・

短時間露光の多数枚コンポジット」は「長時間露光の一発撮り」と比較して、天体画像の明るさやダークノイズ除去に関しては不利とはならないが、補正しきれないバイアスノイズが撮影枚数の平方根に比例して悪化していくことが予測される。」

ですなぁ。

うーむ。
これは参った~。


クールピクセルとかダークノイズに関しては、結構いい線まで改善処理を思いついたのだけど、バイアスノイズだけは『どうしようもない』っぽいです(泣)。
ええ。
ここは潔く『負け』を認めましょう。

現状、これ以上のSN比を得ようと思えば・・・・。

「1コマあたりの露光時間を延ばす」しか無いです。

※追記:
Samさんがおっしゃるとおり、これはあくまで『同じ総露光時間内で』という制限下での暫定的結論ですので、大好きな「短時間露光×多数枚コンポジット」を否定するものではありません。また、多連装の場合には「個々の露光時間が短くても全機の総露光時間が稼げる」ので、条件はさらに複雑になります。

★なんぞこれ?
バーチャル天文談義_f0346040_07483546.jpg
むう?
なんか赤道儀から『妙な装置』が生えてきたような気が・・・・??

さて・・・と。
『邪道』の限りを尽くし、「長時間露光しなくても」「オートガイドしなくても」「ディザリングしなくても」ある程度まで強引に追い込んだ『変態』が『王道』に手を出したらどうなるか・・・これは見物かも、ですぞ(??)

ええ。
『邪道と王道が交差するとき、あらたな物語が始まる』
んですよ。きっと・・・ね♪


★★★お約束★★★
①素人の『考察ごっこ』につき、信憑性はありません。
②ここで言うバイアスノイズとは、主として「リードアウトノイズ」の事を指します。
③「ラプラスの悪魔」については、こちら↓をご参照ください。
④「ゲインとバイアスノイズの相関」など突破口も残ってますので『邪道ファン』の皆様、早まってはなりません。
⑤情景描写が皆無な上に登場人物毎に口調が異なるのは手抜き物語文の定石です。
⑥「ようやく邪教から改宗したか?」などと鼻で笑ってはいけません。泣きます。
⑦EXCELに数値計算させずに紙と鉛筆で解析的に解けなどと怒ってはいけません。マジ泣きします。
⑧「脳内談義だなんて友達いないの?」などと失笑してはいけません。号泣します。 

Commented by kem2017 at 2019-01-14 09:08
これはいくらなんでも厨…とドキドキしましたが、M-gen使ってディザリング頑張ってください

私事ですが、木曜夜、腹痛で救急外来したら、胆石で緊急手術。胆嚢切除して入院生活病院食もう嫌ですなう。
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 09:39
> kem2017さん
えへへ。
『萌え娘』とか出てくると思っちゃいました?
残念ながら『沼女』しか出ませんでした。スミマセン。
M-Genではディザリングしないかもしれませんが、とりあえずオートガイドが恐ろしく楽ちんなのは確認しました。なんかセットアップに30秒もかからないなんて狐に化かされてるみたいでした(実は、我が家のEQ6ProはPHD2のキャリブレーションが失敗しまくる問題児だったので・・・・)。

それはさておき胆石で緊急手術ですか!
そんな大事になっているとは・・・。
入院生活は憂鬱ですよねぇ。唯一の楽しみの食事はアレだし・・・・。
先生の言いつけを守る良い子にして、1日も早く全快してください!!
Commented by kem2017 at 2019-01-14 09:53
M-genはすごい良くできた子なので、楽勝でガイドできますし、ディザリングも簡単っす。あれでカメラが何でも使えたら最強だと思いますが、専用カメラでピント合わせにくいのが、課題ですね(ケーブル1本にしたいって設計思想はいいけど汎用性が)

明日、退院になりそうです。味の無い食事は、もういいです
Commented by 木人 at 2019-01-14 10:06 x
今までのモヤモヤがすべて解決したようなお見事な理論でした。
実際自分も、短時間露光でどうにもならなかったノイズが数倍の露光(30秒とか)の多枚数
に変更することで劇的に改善しております。
あー、こういうことだったのかと納得です。
M-gen手軽でいいですよ。
Commented by noritos1047 at 2019-01-14 11:46 x
機を読むに敏?とはまさにこのこと。超後発、試行錯誤する猶予なしの私にこのタイミングで高度の内容を噛み砕いて下さるのはほんとありがたい。
30秒、20枚どりという短時間少数露出、重いからというだけで、軽いBORG89EDをカウンターバランスなしで搭載、画像処理はコンポジットのみという超手抜き人間にお手軽で満足のいく撮影法を教えて下さい。フィルターワークとか希望。
ハンガリーからの刺客に脅されて、ブレることがあってはなりませぬぞ。
Commented by にゃあ at 2019-01-14 12:34 x
長時間露光で高輝度部分がサチるのが避けがたいので、短時間や低ゲインもためそうと思っていた矢先にこのエントリー。そして、いろんな神々が登場した末にまさかのM-GEN! なんという怒涛の展開でしょうか。しかし、EQ6Proの菌床は優秀ですね。私のAVXからもにょきっとこないかな。
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 13:07
> kem2017さん
ともかく、短時間露光のノータッチガイドで「やるべきこと」はあらかた試したので、次は露光を伸ばす方向性『も』探ってみようという魂胆です。
M-genを用いたファーストライトでは、ピントは(販売店推奨の初期位置のまま)全く合わせませんでしたが、おおむね15~20分程度はビシッと追尾してくれていました。
さすがに60分だと少々流れちゃいましたが、たぶんこれは接眼部の撓みに起因するものかと。でも結局、ダークとクールピクセルの補正をするだけで縮緬ノイズは皆無だったのでディザリングの必要性は無いかもしれません。

さて、明日は退院ですか!おめでとうございます。
今日1日良い子にして明日からはオイシイ物を食べましょう♪
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 13:11
> 木人さん
遅ればせながら、オートガイダー界隈に本格参入することになりそうです。
・・・が、『邪道教』からは改宗してないので、当面はディザリングとシグマクリップは無しの方向性で行きたいと思います。
ともかくバイアスノイズの挙動が少し理解できてきたので、次は「露光量」「ゲイン」「フラット」「突発ノイズ」界隈を探検してみようと思います。
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 13:21
> noritos1047さん
ははは。
いやー、刺客とは仲良くなってしまいまして・・・面目ない(笑)。

冗談はさておき、『邪道流』は諦めていないので、「短時間露光+多数枚コンポ+ノータッチガイド」は優れた別解だと今でも信じています。ただし、従来の常識は通用しない世界なので、ポイントは「できるだけ大量にコマ数をかせぐ」ことと「ダークファイルはゲインや温度を正確に合わせた物をできるだけ大量に撮る」ことと「ソフト任せにせず必ず手動でダーク減算」を行うこと。そして「クールピクセルの退治」をしっかりすることですかねぇ。
フィルターに関しては、まだ初心者なのでなんとも言えませんが、ナローバンドの威力は絶大だということと撮影地近辺の光害の主要因(スペクトル)を見て光害カット系のフィルターは吟味すべきだというところでしょうか・・・。
Commented by Sam at 2019-01-14 13:21 x
(先のコメントうまく表示されないようなので、分けて再投稿します。)

あぷらなーとさん、いつも面白い検証ありがとうございます。私も最初の頃センサーのノイズがあまり理解できなくて、一時期凝っていたことがありました。
http://hoshizolove.blog.jp/archives/28026282.html
よかったらご覧ください。

読み取りノイズは1枚あたりでは露光時間が変わっても一定で、その他ダークノイズなどは露光時間のルートに比例して増えていくので、原理的に仕方ないですね。トータルの露光時間を同じにして、明るさで規格化した場合は、あぷらなーとさんの結論の通りか思います。

でも『「1コマあたりの露光時間を延ばす」しか無い』と言い切ってしまうのはまだもったいなくて、読み出しノイズ(バイアスノイズと言ってしまっていいと思います)の小さな機器を選ぶとか、冷却で読み出しノイズを減らすことを考えてもいいはずです。手持ちのカメラが限られていて、簡単に機材を変更できなくてもまだ手はあります。今回の検証ではトータル露光時間が同じという前提がありますが、その前提を外してしまえば、当たり前のことかもしれませんが、トータル枚数を増やすという手が考えられます。
Commented by Sam at 2019-01-14 13:22 x
(続きです)

なぜこんなことを言うかというと、短時間露光でシンチレーションの影響を少なくするという絶対的に有利な点を、長時間露光に逃げるということで無くしたくないからです。また、短時間露光だとガイドをする必要がないとか、他にも有利な点があります。

でも単純に枚数を増やすと言っても、効きはルートでしかないのでそんなに簡単でもありません。例えば読み出しノイズを10分の1に減らすのに、長時間露光なら単純に10倍の時間をかければいいのですが、短時間露光では100梅の枚数を稼ぐ必要があります。実際に1000枚とか、10000枚とかのコンポジットで本当に理論通りにS/N向上が見込まれるか、そこらへんが制限になるのかもしれません。

実は私も冷却を始めようと思っているのですが、長焦点でシンチレーションの影響を少なくするために、短時間露光でまさにこの読み出しノイズを減らすということを考えているところです。

M-GENはこのあいだの影響でしょうか。30秒でセットアップ完了とかなら、導入の価値があるかもしれません。

また面白い検証期待しています。
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 13:27
> にゃあさん

どいやー、うちのEQ6Proはー。どんどんうまげなもんが生えてくるでー。
すんません。調子に乗りすぎました。

短時間露光や低ゲインなど、色んな試行錯誤は楽しいですね。システム構成によって最適解は全く異なると思いますが、にゃあさん軍は「アリも這い出ぬ焦点ラインナップ」を誇っていらっしゃいますので、ケースバイケースを研究できるかもしれませんね。ぜひ♪

こちらはそろそろ本気で軍拡を終了したいのですが、『沼女』の呪縛が解けなくて・・・(汗)
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 13:55
> Samさん
こちらも返信がエラーしたので2回に分けますね(笑)

> Samさん
とても詳しいコメントをいただきありがとうございます。
ノイズに関するエントリー拝見しました。程よくかみ砕かれた定量的考察は流石ですね。分かりやすい!!さらに「理論上の結論」と「実用レベルでの落としどころ」の差異に言及されているのも画期的ですね。

私が研究室にいた頃はまだ天体のイメージングに関する論文が少なくて、こういった理解しやすい記述には出会えませんでした。このあたりのテーマは今更ながら興味が出てきたので、今後も『ごっこシリーズ』で少しずつ味わっていこうと思います。

Commented by supernova1987a at 2019-01-14 13:56
> Samさん
(続きです)

短時間露光の可能性に関しては、まさにおっしゃるとおりで、今回の結論はあくまで『同一稼働時間』におけるベターな方向性のひとつが示唆されたに過ぎないと考えています。「長時間露光の2乗のオーダーで総露光時間を累積した場合」や「サチることを恐れずにゲインを上げた場合」など、試すべき課題は多岐にわたると思いますので、今後も『邪道』研究は継続します。あと妄想中なのが・・・・「シーイングをキャンセルする方向性」と「鏡筒の撓みから逃れる方向性」の合わせ技ですかね。(その前に軍資金を稼がねば・・・)

PS
メーカーサイトに良く出ている「ゲインとリードアウトノイズの相関」が今ひとつ釈然としていないのですが、もし機会がありましたら、ご教授ください!・・・ああ、富山に行きたい・・・。
Commented by 是空 at 2019-01-14 21:03 x
前々から気になっていたり、疑問に思っていた部分。
消化しきれていない部分があるので、何度も読み直してじっくり消化していきたい。

それにしても色々生えますねぇ。^^
肥料や水の与え方なども、ででん!!と。
Commented by supernova1987a at 2019-01-14 21:36
> 是空さん
そろそろ『お水』が干上がってきたので、栽培計画は一時終了です。

ノイズに関しては意外と厄介な知識が必要そうなので、一度に解明せずのんびりと謎解きしていこうと思っています。多分いろいろな間違いやミスがあると思うので、あまり信じない方が良いかもしれません(笑)。
Commented by Yamashita at 2019-01-29 22:55 x
こんにちは、大層出遅れてすみません。題名を見てこんな内容とは思いませんでした・・・昨日初めて拝見いたしました。

まだ完璧には理解できていないのですが、総露光時間が同じでも長時間露光と短時間露光の多数枚コンポジットではノイズが違う、というアタリマエそうな考えはやはり間違っていない、ということですね。
短時間露光の場合は総露光時間を稼ぐためにかなりの枚数がやはり必要なのですね。

でもこの文を読んでやはり短時間ラッキーイメージングはダメだって勘違いする人が出るのがちょっと怖いです(え、そんな人いない?)
2000mm超などの長焦点距離ではシーイングが良くても5秒を越える露出はなかなか難しく、天体によっては数秒未満でないと写らない微細構造があるので、腰を据えて数千コマに挑むしかなさそうですね。。。
Commented by supernova1987a at 2019-01-29 23:35
> Yamashitaさん
一応、『短時間露光・多数枚コンポジット信者』である私がチョッピリ浮気する顛末記だったのですが、これはあくまで600mm級の焦点距離でのお話で、主砲3000mmが復活した時には全く別なアプローチを計画中です。
そのときに備えて、今はバイアスノイズ系の解析ごっこを頑張ってみます!
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by supernova1987a | 2019-01-14 07:58 | その他 | Comments(18)

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