★天文『復活』に備えて・・・ええと・・・皆さん、冷却CMOSカメラの撮影ツールとして、どんなPCをお使いですか??
あぷらなーとも色々と試行錯誤してきた方なのですが、メーカーさんの公称FPS(1秒に何コマ撮影できるか)って実際の撮影現場では出せないんですよねぇ。
たとえばZWOのASI1600MM-COOLの場合ならメーカー公称値は14.7FPS(1秒間に14.7コマ撮れる)とはなっていますが、これ実際には相当に困難な値なんですよー。
★手持ちの『最速PC』だと・・・
ちなみに、保有する最速PC:自作Corei5-6600@3.3GHzデスクトップPCを用いてSharpCapで撮像した場合、は20秒間で123コマの撮影が可能でした。要するに6.15FPSですね。
(※mono16bitFITS 露光量:最小値)
また、あえてFITSではなくSerで保存した場合は、さらにレートが向上して、20秒間で231コマの撮影が可能でした。これだと11.5FPSです。この場合20秒間のデータ量が6.85GBになりますので、1秒当たりのデータ転送量は約340MB。SATAのSSDの速度を考えると、このあたりが限界なのかも知れません。
とはいうものの、実際にはデスクトップPCで撮影する訳ではありませんので、ノートPCやタブレットなど『現実的な』PCでどこまでいけるか『検証ごっこ』してみることに・・・・。
★実際に観測に使えるPCで『総点検』!
今回エントリーした観測用PCは下記の通り♪
①DELLのA4ノートPC(Corei5-7200U機)
②HPのA4ノートPC(AMD E1-6010機)
③NECのB5ノートPC(Corei5-7Y54機)
④SkynewのミニPC(AMD A6-1450機)
⑤ASUSのミニノートPC(Atom x5-Z8350機)
⑥MSの10インチタブレット(Pentium 4415Y機)
これらにASI1600MM-COOLを接続して、それぞれ何FPSまでいけるのか実測してみましょう。
○撮像ソフトはSharpCap3.1
○露光量は最小値(バイアス撮るときのアレね)
○ファイル形式は16bitモノクロFITS
で条件を統一します。
フレームレート(FPS)の測定は「実際に20秒間で何コマ記録できたか」で行います。
SharpCapでは撮影前のプレビューでFPSと欠落コマ数が自動表示されるのですが、本撮影を開始した途端に数値が激減することが多いからです。
また、Windows10機でいつも泣かされる『勝手にアップデート』『勝手にスキャン』などなどの影響を避けるため、撮影前にたっぷり1時間ほど稼働して、CPU使用率が0%になるまで馴らしてから撮像しました。
さてみなさん。
「メーカー公称値」・「Corei5デスクトップでの実測値」をヒントとして、それぞれの小型PCでどれだけのFPSが出せるか、予想できますか??
果たして、その結果は・・・??
ででん!
もともと非力との評判のAtom搭載ミニノートは1秒間に1コマも撮れません。
また、A4ノートではありながら2コアの廉価版CPU:AMD E1-6010を積んでいるHPのノートPCも同様で全く速度が出ません。0.6FPSということは、1コマ撮影するのに1.7秒ほどかかってしまう訳で、1.7秒露光よりも切り詰めたラッキーイメージング撮影などではデッドタイムが発生してしまい効率が悪そう。
対して、Corei5系(といってもノート用なのでそれほどパワーはないですが)を搭載しているDELLのA4ノートとNECのB5ノートは、それぞれ4.15FPS、2.8FPSと好結果が出ました。これらのPCならば0.5秒露光の多数枚連写でも十分に実用になりそうです。
ここで、ダークホースだったのがマイクロソフトのSurface-goです。ペンティアムゴールド4415Yという耳慣れないCPUなのですが、実測で2.95FPS。なんとCorei5-7Y54を凌駕しているではないですか!!
実はこのCPUは案外高性能でして、本業で(簡易電子黒板用として)使っている時もAtom系のタブレットとは別格の安定性を誇っていたのですが、撮影制御用としてもこれだけの高性能とはうれしい誤算でした。(あ、ちなみにSSDが128GBの方のモデルです。こちらは単に容量が大きいだけでなくM2系の超高速SSDが奢られているので、それが寄与しているのかもしれません)
まあ、なんというか『お高い』だけのことはあるんだなぁ・・・と。
「タブレット好き」の あぷらなーと は、これまでLenovoやASUSのタブレットを色々とわたり歩いたのですが、タッチペンの書き心地が絶妙だったり、起動が爆速だったり、簡易キーボードのタッチ感触が良好な上にバックライト搭載だったり、USB端子と電源端子が別になってたり、・・・色んな意味で『別格』・・・これ、もっと人気が出ても良さそうなんだけど。
★グラフにまとめてみると
今回の『検証ごっこ』の結果をまとめてみると、こんな感じ。
★そういえば・・・
ここまでの文章では、華麗にスルーしてるけど
・・・むう?
SkynewのAMD A6-1450ミニPC・・・だと?
いや、ほらリモートデスクトップで『ぬくぬく天体観測』を満喫されている方、結構いらっしゃるじゃないですかー。でも、手持ちのノートPCをWindows10Proに載せ替えるくらいなら、この手のヤツを買った方がコスパ高いかな・・・・なんて。
試してみると、実測で0.75FPS。
え?
「Atomに毛が生えた程度ゃん」
ですと?
ふはははは
露出を切り詰めなければ
どうということはないッ!!
さて、あぷらなーとの『天文界復帰・Xデー』はGWを予定。
今のところ、着々と迷走してます(ん??)
★★★お約束★★★
①実際は、メモリ量やキャッシュ設定などの影響も受けます。
②SharpCap3.1では遅延書き込み機能がありますが、その挙動の詳細はまだ把握してません。
③今回成績が振るわなかったPCでも実際の惑星撮影においては十分実用性があります。
たとえば、8bitFITSで800×600のROI(クロップ)をかけてHighSpeedModeをONにすると

このように、機種による差がほとんど無くなりました。
メーカー公称値はADC10bit駆動の場合
1280×960 ROI : 73.6fps
640×480 ROI : 125.7fps
とのことなので、非力なAtomx5機ですら、ほぼ公称値に達しているため「頭打ち」になったと思われます。
④本記事は特定の機種を否定したり推奨するものではありません。