★最近困っていたこと『王道』嫌いの天邪鬼あぷらなーとは、ピント合わせにバーティノフマスクなどの便利な道具は使わずにライブビューの目視を多用するのですが、最近困っていたのは、「近視」+「乱視」+「老眼」の三重苦で、液晶画面が見にくいということ。メガネやハズキルーペを併用しても鮮明に見える距離が狭いので、できればモニターは手持ちで好きな距離で眺めたいもの。PoleMasterなどを利用した極軸合わせの時も架台を操作している手元に画面がないと『苦行』になりますしね。また、ノートPCに保存していた撮像データをUSBメモリや外付けSSDに移して運んでいるときにコピーエラーや操作ミスで画像が消失した経験も多々。
これらのストレスを軽減する策として、人生初のWindowsでの『リモートデスクトップ』に挑戦してみることに。いやー。学生時代にはUNIXワークステーションにX端末やPC用Xサーバを接続して日々操作してたんですが、社会人になってUNIXから離れてからはすっかりご無沙汰してたんです。なんかドキドキする。
・・・というわけで、ミニPCなるものをポチって実験開始です。
目標は・・・
①撮像データを直接画像処理用PCに送る
②操作はタブレットで行う
の2点です。
★テストと言えば『電柱』でしょう♪
いきなり夜間にテストをすると色々とトラブルの元なので、日中に『電柱テスト』を敢行します。
MILTOL200にASI294MC-Proを装着します。
我ながら変な組み合わせ。アクロマートにカラーカメラですから色収差がバリバリ出そうです。
また、MILTOLは絵作りが「後ボケ優先」のいわゆる「負修正」気味の光学系なので、正の球面収差が出ます。さらに気温が高いので電柱が陽炎のように揺らめいているという悪条件。
・・・ま、ボテボテの像を救済する練習にもなることだし、あえてこの組み合わせでいきます♪
ASI294MCを接続したミニPCからギガビットLANでルータに接続し、ルータからWIFIでタブレットにつないでリモートデスクトップを試みます。ちなみに撮像用のミニPCはSSDの容量が小さいのですが、今回は直接画像処理用PCにデータを書き込むように設定したので大丈夫。
すると・・・・
ででん!

おお、
これまでの苦労が嘘のようにスイスイピントが合います。心配した画像表示のタイムラグや乱れもほぼ皆無♪うれしい誤算だったのは、
ピント確認の際ににピンチアウト(指で画像をギュッと広げるヤツ)が可能だったこと。これは楽ちんだなぁ♪
フル解像度での撮像の場合にフレームレートがしょぼいことは前回の『検証ごっこ』で分かっていたんですが、とにかくROI(クロップ)した状態でヌルヌル動けばピント合わせには問題ありません。
1024×768にROIすると約40FPSが得られたので実用性は十分でしょう。
あとは、月面や惑星にそなえて、ROI状態での画像保存で高フレームレートが出れば成功です。
ASI294 - USB3 - ミニPC
ミニPC - 有線LAN ー ルータ
ルータ ー WIFI ー タブレット
ルータ - 有線LAN - デスクトップPC
という経路で1024×768ROIで16bitRAWのSer出力を試みたところ、実用的な速度が出ました。
★ゆらゆらボケボケの電柱を・・・
さて撮影した電柱の「撮って出し」はこんな感じです。

うーん。
色は悪いし色収差出てるしボケボケの像。
しかもシーイングが悪かったので空気の揺らぎも拾ってるみたい。
ここに『秘技』の数々を投入してみます。
①AutoStackert!2で468コマスタック
②良像40%で切る
③カラーTIFFで出力
④ステライメージでモノクロ化
⑤モノクロ画像をレジスタックスでウェーブレット処理
⑥カラー画像の色調や階調を調整
⑦⑤と⑥をLRGB合成
ええ。別に変なことをしてる訳ではなくて、以前カラーカメラで月面とか明るい星雲とかを撮影してたときのやり方を復習してるだけです。
すると・・・
ででん!!
※左:撮って出し画像の色を整えたもの 右:『秘技』投入後
うむ。
なかなか良い感じです。一般的にカラー冷却CMOSカメラで昼間の風景を撮影するのは難しいのですが、きちんとIRカットした上で真面目に画像処理するとキレイになりますね。ちとジャギーがうるさいですが・・・まるでアクロマートがフローライトに化けたみたいな印象(笑)
★『難敵』そよ風に揺れる花
いえ、お花写真くらいは普通のデジタル一眼レフで撮れば良いのですが、今回は画像処理のリハビリを兼ねてますからねぇ。さきほど電柱で行ったのと同等の処理をサツキ相手にやってみます。
※左:撮って出し画像の色を整えたもの
右:『秘技』投入後
ふはははは。
MILTOLの魅惑的な後ボケを活かしつつ合焦面のみがシャープになりおったわ!
このテイストは普通のカメラとレンズでは出せまい。
(※収差曲線をユーザが調整可能なニコンDC135mmF2とかだと可能なんですが、デジタルとの相性が悪くて・・・)
さて、あとは・・・・・。
出しっぱにしているニワトリピラーの場所までLANケーブルを引けば、第1目標クリアかなぁ・・・・。
よし。・・・こんなヤツで屋外にLANケーブルを引き出すとしようか・・・・。
★★★お約束★★★
①書き込み速度向上のためミニPCとルーターとの接続にはWIFIではなく有線LANを用いています。
②ミニPCは販売店のコメントにて「技適認定されている」との情報を確認していますが、本記事はそれを保証するものではありません。
③フレームレートはPC側のメモリ量によっても変動する可能性があります。SharpCapはメモリ4GB以下のPCに対して遅延書き込みバッファの設定が効かないようです。またカメラ本体が内蔵するバッファーの挙動についてはよく分かりません。
④ギガビット優先LANで接続した他PCに遠隔保存するよりも撮像PCに直接保存した方が書き込み速度が良好です。
⑤MILTOL200が不修正気味だというのは、あくまで個人の感想です。