機材考案

AZ-GTi出撃準備・・・の準備

★奇想天外なセットアップ

すっかりメジャーになった自動導入経緯台AZ-GTi、流行り物が寄りつかないハズのあぷらなーと家になぜ生えてきたのかというと・・・・・。
はい。それは普通と異なる楽しみ方をするためなんですねぇ。

さて、突然ですが・・・

なんぞコレ?!
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け、経緯台の先に赤道儀が載ってる!?

ついにあぷらなーともネタ切れでご乱心か?

いえいえ、ちゃんと考えた上での意図的なセットアップなんですよー。


★経緯台で自動追尾させると・・・
赤道儀と異なり、経緯台の回転軸は水平と垂直です。
したがって、天の北極(天の南極)を回転軸とする天体とは回転の様子が一致しません。

例えば、もっともシンプルなモデル(天球が平面だったと仮定)でも、
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 ※左:天体の日周運動による動きモデル(グラフの左下隅を回転中心と仮定)
 ※右:経緯台で視野中心の星を自動追尾した場合のエラー推算

こんなふうに、写野内の星がグルグルと回ってしまいます。これを「写野回転」と呼びます。
回転ズレ自体は、コンポジット時にある程度補正できるのですが、コンポジット時に元画像を回転させながら位置合わせする関係上、画面の周辺部がカットされてしまいます。
これを軽減させる装置を「フィールドデローテータ」と呼び、単純に言えば写野の回転を軽減する方向にカメラを回転させる装置です。ただし、近年はこの手の製品を見かけません。


★真面目にシミュレーションしてみる

天空をちゃんと球面として捉え、経緯台の水平軸と垂直軸それぞれにピリオディックモーションが存在していることを考慮したシミュレーションをしてみると、
例えば、天の赤道上の天体を、水平・垂直ともの75秒角のピリオディックモーションを持つ経緯台で、地平上に出始めてから沈むまで、開始時刻を30分ずつ変えてノータッチガイドで60分露光した場合の追尾エラーは、下記の図のようになることが分かりました。

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※もっと高解像度の動画はこちらから↓


直感とは反するのですが、低空時にはほとんど写野は回転せず、子午線通過時に最大の角速度で回転するように見受けられます。


次に、天の赤道付近の天体について、子午線通過前後の2時間に注目すると・・・
ピリオディックモーションが無い場合だとこんな感じのエラー
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両軸ともに75秒角のピリオディックモーションを仮定するとこんな感じのエラー
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かなり複雑な追尾エラーが写る事が予想されますが、そもそも短時間露光の多数枚コンポだとこれらのエラーは画像処理時に補正できそうなので、あと問題は写野回転に伴う写野の欠損です。




★ならば!!
結局写野回転の補正はコンポジット時に行うのですが、回転補正を加えた結果、写野の隅っこは無効となって全体的には円形写野のようになることが危惧されます。
ならば、これを軽減させるような回転運動をカメラに与えれば良像範囲が拡大できそうですね。

というわけで・・・
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AZ-GTiの垂直軸の上にスカイメモTを接続。写野中心に常に恒星時回転を加えることでフィールドデローテータ的な作用をさせることを思いつきました。

名付けて『なんちゃってフィールドデローテータ』♪

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これ、意外に組み立てに難儀しました。
とにかく回転軸が3軸になるため、バランスを取る機構が大変なんです。結局ウエイトシャフトが2本になりました。さらに、ネジ止めした部分が重力で緩むと大惨事を引き起こしそうなので、スカイメモT周りは直交する2方向から固定するように工夫。

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重心バランスの関係で、連続運転しすぎると架台と鏡筒が干渉してしまうのですが、色々と工夫してなんとか稼働角度90度を確保。
約6時間の連続運転が可能な仕様となりました。

果たして目論見通り稼働するかどうかは、梅雨明けのお楽しみ♪


★他にも色々楽しむ準備
折角初挑戦する自動導入経緯台ですから、他にも色々と怪しいことを目論むべきでしょう。

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ビームスプリッタ搭載のBORG89に冷却CMOSカメラと広角アイピースを同時装填して、「眼視と電視を同時観望できる」魔道兵器を組み上げてみたり

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以前試して好感触だったBORG60EDを用いた「対空正立双眼望遠鏡」を搭載して、自動導入を可能としたり


いやー、赤道儀化がトレンドのAZ-GTiですが、経緯台モードのままでも知られざる楽しみ方が沢山ありそうです。


★★★お約束★★★
①素人の手によるシミュレーションのため、色々と間違っているかもしれません
②双眼望遠鏡の光軸調整はなかなか難しいもので、光軸誤差のある双眼鏡などを見て気分が悪くなった経験のある方には危険かもしれません。
③経緯台の先に赤道儀を接続する場合、取り付け方法をよほど工夫しないと脱落などの事故が起こる危険性があります。少なくとも通常のスカイメモ(と雲台との)接続法は通用しないと考えた方が無難です。(今回の例では、スカイメモの下端と後端の2カ所を固定することで回転によるネジ緩みを防止しています)
④『なんちゃってフィールドデローテータ』はあくまでコンポジット時の写野周辺データの欠損を軽減する目的のもので、長時間露光における写野回転を補正しうるものではありません。
⑤今回のシミュレーションロジックと赤緯値・方位角・天頂角の測定を組み合わせると、高度な制御が可能かもしれませんが、そこまで手を出す技術力はありません。あくまで『遊び』です。
⑥経緯台はその機構上、天頂付近の追尾が苦手です。シミュレーション結果でも下記のように、赤緯値が大きい天体の追尾においては天頂付近で異常な追尾エラーが起こることが示唆されました。





Commented by にゃあ at 2019-07-21 16:28 x
まさに奇想天外!パンの耳による欠損は馬鹿になりませんものね。同じレンズを2台ぶら下げているのも工夫ですね。こういうカンブリア爆発的な組み合わせはワクワクしてしまいます。
Commented by りっくん at 2019-07-21 16:39 x
対空正立双眼望遠鏡にはマツモトEMSはなしですか?
Commented by supernova1987a at 2019-07-21 17:25
> にゃあさん
なかなか禍々しく仕上がりました。
上手く行けば、『ギルガメッシュ』の陰で『ついん☆みるとる』経緯台バージョンがAOO攻撃で大暴れするかもしれません。
Commented by supernova1987a at 2019-07-21 17:28
> りっくんさん
いやいや、あんな贅沢なもの、欲しくなんて・・・・ほ、欲しい(泣)
冗談はともかく、今回の企画は全て「追加費用ゼロ円でなんとかする」だったので、手持ちパーツ以外は封印してるんです。
もし今後EMSに身を投じるならむしろBORG89EDかSE120あたりを投入しないといけませんねぇ。
Commented by noritos1047 at 2019-07-21 18:41 x
梅雨も長引くと色んなものが生えてくるもんですねぇ。
うちの玄関先も見てみましたが、洗車用具がチラホラと生えているだけでした。
Commented by supernova1987a at 2019-07-21 21:17
> noritos1047さん
ちと今日の玄関先は色んな物が生えすぎですねぇ。(雨降りだったので庭でブツ撮りできなかっただけですが)
あ、でも今回は全て手持ちパーツの組み直しばかりで、ネジ1本も買っていないので、追加経費はゼロ円なんですよー。
というわけで、生えてきたのではなく「植え替え」ですかねぇ(笑)
Commented by せろお at 2019-07-21 22:16 x
この変幻自在な組合せはまるでガンダム+Gアーマー!
ガノタネタでスミマセン。

「眼視と電視を同時観望できる」
おぉーすげぇー
これ観望会でやったら、受けると思います。
Commented by supernova1987a at 2019-07-21 22:30
> せろおさん
Gアーマー、実用性はともかくGブル形態が好きでした(笑)。
近年の望遠鏡は合体ロボ的要素があるので油断なりません。
各種パーツが転用できるところは経済的なのですが、ある程度組み上がった後にバラすと元に戻らなかったりするのでバラすのがイヤになって、結果だんだんパーツが増えていくのが恐ろしいところです。

「眼視と電視の同時観望」
ぜひどこかでお披露目したいところです。たぶんビームスプリッタを本格運用している方はほぼ皆無だと思いますし。
Commented by 是空 at 2019-07-22 15:14 x
そう来たかぁ。
パンの耳までケアする発想は全然なかった。
当たり前のものは当たり前に受け入れるというちょー自然体なもんで。
それを単純に受け入れないのが変〇なんでしょう。^^

写野の回転が角度で変わるというのが不思議。
なんでだろ??
素人には単純に円運動している中の一部でどこも同じように思える。
実際だと地平線近くの星が浮き上がってるため楕円運動になるので、等速で回転しないとは思うのだが・・・
Commented by supernova1987a at 2019-07-22 22:39
> 是空さん
回転速度が一定でないというのは感覚的に違和感がありますが、球面上の対象を平面上に写すことによる歪みが効いていると考えます。メルカトル図法で書かれた地図上の最短経路が実際と異なる、とういうアレに似てます。
たとえば、北の空で北斗七星を経緯台で12時間追尾すると、180度回転して写りますよね。ところが、北緯35度の地点で天の赤道上の天体を12時間追尾すると、110度しか回転しません。方向としては確かに180度分移動したのですが天体の傾きが110度しか変わらないんです。

他にも、北天の天体なら反時計回りに、南天の天体なら時計回りに回転して写ります。では天の赤道上の天体は?・・・など、考えると色々と面白いことが起こっていることに気づかされます。

平面幾何学が通用しないという点で、球面上の幾何学は難しいですね。
Commented by 是空 at 2019-07-22 23:21 x
丁寧な説明、ありがとうございます。

頭の中でうまくシュミレーションできない(=球面上の幾何学は難しいということだと思う)のですが、「他にも、北天の天体なら反時計回りに~」で非常に納得。
昔、星の軌跡が天頂から沈むにつれて北側と南側の星の間隔が段々狭くなって写るのがどうしてなのか?というのを一生懸命考えたことを思い出した。
考えると色々と面白いことがいっぱい。
Commented by タカsi at 2019-07-23 18:09 x
こんにちは。
ま、まさかのスカイメモTと合体ですか!!
奇想天外な組み合わせにビックリです^^
そろそろ実写テストが出来そうな天気予報になってきましたね。
楽しみにしてま~す^^
Commented by supernova1987a at 2019-07-23 22:14
> 是空さん
どこかで計算ミスしてるかもしれませんので、落ち着いたら実写とともに再計算してみます。
先達のお手本が見当たらないので、スリリングな反面、不安が募ります。
まぁ、私の場合は、そもそもそういうネタが多いんですが・・・ね。
Commented by supernova1987a at 2019-07-23 22:23
> タカsiさん
ね、奇想天外なネタでしょう?
天文台では(回転速度可変の本格的なものが)実用化されてると思うんですが、アマチュアでは(回転速度固定のものすら)接眼部回転式以外の実用例を見かけません。

事前にしっかりとシミュレーションした上で、1倍速回転で行くか0.5倍速で行くかを決めてチャレンジしてみたいと思います。意図通りの結果にならなくても、それはそれで愉快なネタになりますし・・・ねぇ?

しかし、メカニカルPECの部品にされたり、フィールドデローテータに転用されたり、うちのスカイメモTは不憫なヤツです(笑)。
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by supernova1987a | 2019-07-21 14:19 | 機材考案 | Comments(14)

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