★「通常の3倍」とはいうものの
ケンコーの観望用大口径アクロマートSE120を三連装化して「SAOナローバンドを一気撮りする」という邪悪な作戦。戦果をTwitterで公開したら、天リフ編集長さんが「見えるぞ・・・私にも創造の柱が見える。」とリプくれたので、作戦名を『アクロマートの逆襲』から『逆襲のアクロマート』に変更します(なにやってんだか)。
というわけで・・・
いきなりででん!!
○M16・SAOバージョン
○M16・AOOバージョン
○M16・SAO+OSAリバース ブレンドバージョン
★おもな撮影データは・・・
<望遠鏡>
ケンコーSE120+ケンコーPro1D・ACクローズアップレンズNo3
×三連装
<カメラ>
ASI1600MM-Cool×2
ASI1600MM-Pro×1
<赤道儀>
ケンコーEQ6Pro
ノータッチガイド
<フィルタ>
Hα・OⅢ・SⅡの各ナローバンドフィルタ
<撮像データ>
撮像温度:-10度
ゲイン:300
露光:30秒
Hα:149コマ
OⅢ:150コマ
SⅡ:101コマ
ダーク:各240コマ
フラット:各120コマ
フラットダーク:各120コマ
★案外実戦的かも
ネタ半分で取り組んできた大口径アクロマートの三連装

でも、ここまでのテスト撮影で、
結構実戦的だと感じ始めました。
なにしろ、上記の「創造の柱」が、たった75分の運用時間でゲットできたんですからねぇ。
しかもオートガイドもディザリングも無しですから、ややこしいキャリブレーションは一切不要。
クランプをフリーにして(架空の)1点アライメントをしたら、アライメント対象を手で導入して、あとは自動導入にお任せ。
フレーミングとピントを決め、カメラが冷えたら即撮影開始です。
え?
「空の条件が良かったのだろー」
ですと?
いやいや、モヤと光害とで全天オレンジ色に光っていて1等星しか見えない透明度でした。しかもシーイングの悪さは、「踊り狂うヒトデ」のような星像を前にピント合わせに難儀したほどです。(ピントの山を錯覚したので、実はSⅡだけピンぼけです。)
それでも、画像処理でなんとかなるんですからねぇ。
・・・大口径アクロマート三連装砲『ギルガメッシュ』
・・・おそるべし。
★★★お約束★★★
①本記事は、フローライトやEDの存在意義を否定するものではありません。
すくなくとも通常のカラー撮影をアクロマートで行うのは困難を極めます。
②三連装化は運用時間を1/3にできる便法ですが、それ以上に、波長によってピント位置が大きく異なるアクロマートでは(色収差のない高級な)アポクロマートや反射望遠鏡では定番のフィルターホイールが事実上使用不可能である点を回避するのがその目的でもあります。
③オートガイドやディザリング、あるいはシグマクリップなどの効果は定評のあるものです。
それらを封印した撮影フローは、あくまで『別解』のひとつだと解釈してください。
少なくともダーク減算の挙動(特にマイナス値がカットされていないか)やクールピクセルの挙動(個体によってはクールファイル補正法が必須)などを粘り強くテストしない限り、定番の技法を放棄するのはリスクを伴います。