★ほしぞLoveログのSamさんが・・・
とても面白い考察だったので、ベイヤー構造を持つカラーカメラではどうなるか、『考察ごっこ』してみることに。

次に、これをレイリーリミットに相当するピクセルピッチ(エアリーディスク径と同等のピッチ)を持つモノクロセンサーで撮像することを想定したシミュレーションを行います。
※スケールが上記と異なる点に注意してください。簡単のため、センサーをシミュレートしたエクセルのテーブルに像の縮尺を変えて投影するようなロジックでシミュレーションしたためです。

なんとか2点の分離に成功しました。


※左:回折像 中:モノクロセンサー 右:カラーセンサー

※左:回折像 中:モノクロセンサー 右:カラーセンサー

※左:回折像 中:モノクロセンサー 右:カラーセンサー

※左:回折像 中:モノクロセンサー 右:カラーセンサー

※左:ASI1600MM 右:ASI1600MC
電子観望や太陽望遠鏡の魔改造など精力的に情報を発信されているSamさんが、カメラセンサーのピクセルサイズとレイリーリミットの関係性について大変興味深い考察を記事にされていました。
とても面白い考察だったので、ベイヤー構造を持つカラーカメラではどうなるか、『考察ごっこ』してみることに。
★想定した前提条件
理論的な詳細は前述のSamさんの記事をご参照いただくとして、まずは同等条件で同じ結果が得られるかどうかやってみました。
Samさんの考察によれば、点光源の回折像の強度分布が1次ベッセル関数を用いて表現できるとした場合、モノクロセンサーであっても
「レイリーリミットと同等のピクセルピッチでは十分な解像が得られないが、レイリーリミットの1/2のピクセルピッチであれば、解像する。」
とのこと。SamさんはMathematicaを用いて計算されていましたが、こちらではエクセルとVBAだけを用いてシミュレーションしてみます。
まずは、レイリーリミット分だけ離れた2つの点光源が作る像をシミュレートしてみます。


おお、こりゃ全く2点を弁別できませんね。イメージ的には2つのピクセルで2点を弁別しようとしているのと同等ですから「隙間」を表現するピクセルが存在しないわけで、当然の結果といえます。
そして、Samさんも『劇的』と表現されていた「レイリーリミットの1/2のピクセルピッチ」をもつモノクロセンサーで捉えた像のシミュレーションをしてみます。

Samさんの計算結果ともほぼ一致しましたので、(用いたツールは異なるけれど)ロジック的には間違っていないだろうと一安心♪
★・・・と、ここまで来て
いやー、ベッセル関数なんて扱ったのは約30年ぶりのことですから、実は、回折像の基礎すら忘却の彼方なんですね。
・・・で、ふと疑問が・・・。1次ベッセル関数は振幅を表すものなので、これを明るさ(強度)に変換するために2乗するのですが、ふと「2乗する前に加算しないとマズいのでは??」と疑問がよぎったのです。よく考えると2つの恒星像同士が干渉しそうな気がしたんですね。
そこで思わずSamさんにDMで質問してみました。
(正確には、こちらの暫定的シミュレーション結果を紹介してた最中に議論が始まりました。)
あぷらなーと:
質問なんですが、回折像同士の干渉を考えるなら、強度に変える(2乗する)前にベッセル関数同士を加算させるべきなのでしょうか?
Samさん:
干渉を考える場合は2乗の前に加算だと思います。と思って自分の計算見直したら2乗してから足してました。あー、結果かなり変わりそうです。
あぷらなーと:
やっぱりそうですかー。先ほどの結果も2乗してから足しちゃってます。こちらも結果が変わりますね(笑)
その後、お互いに色々と再計算していたのですが・・・・・
「そもそも、インコヒーレントな光同士の話だった!」
※コヒーレント光:位相がそろっていて干渉しやすい光
※インコヒーレント光:位相がばらばらで干渉しにくい光
ということから、
「2乗して(強度に変換して)から加算するのが正しい」
という結論に至りました。
いやー。1時間ほどでしたが、楽しい議論でした。
Samさんにはお時間を取らせてしまいましたが、こういう議論も面白いですねぇ。
★安心してカラーセンサーのシミュレーションを
変なことをしているわけでは無いことが分かりましたので、カラーセンサー版のシミュレーションシートのバグ取りをして仕上げてみます。
カラーセンサーのベイヤーデータをデモザイク(ディベイヤー)する演算は、下記の記事で行った簡易的な手法を用いました。
★レイリーリミットの1/2のピクセルピッチ

※左:回折像 中:モノクロセンサー 右:カラーセンサー
スカスカのカラー素子を補完する際に生じるエイリアシングと偽色が悪さをして全く分離できません。
★レイリーリミットの1/3のピクセルピッチ

偽色は多いものの2点に分離できたように見えますが、カラー画像の輝度ピークが本来の位置からズレてしまっています。
★レイリーリミットの1/4のピクセルピッチ

ここまできて、ほぼ2点に分離できたといえるでしょう。
★レイリーリミットの1/5のピクセルピッチ

これだと、完全に2点に分離できました。輝度ピークが本来の位置からズレて見えるのは、カラーセンサーは「どの色のピクセル上に輝度ピークが来るか」の影響を受けやすいからです。
★レイリーリミットの1/6のピクセルピッチ

これで、偽色の影響もほとんど気にならないレベルになりました。
★暫定的結論
レイリーリミット分だけ離れた2つの恒星を撮像した場合、
モノクロセンサーはレイリーリミットの1/2のピクセルピッチから2点が分離されるが、カラーセンサーだと、少なくとも1/3、できれば1/4のピクセルピッチが必要らしい。
ということですね。
別な表現を用いると、
シーイングや収差やガイドエラーの影響を無視した場合には、
カラーセンサーは、同じピクセルピッチのモノクロセンサーを用いる場合よりも約2倍の焦点距離で撮像するのが良さそうだというところですかねぇ。
ま、確かに昼間の試写だとカラーセンサーとモノクロセンサーとでは解像感が全く違いますものねぇ。

レンズはどちらもBORG60ED
★★★お約束★★★
①前述の通り簡易的なシミュレーションのため、厳密な考察ではありません。
※大元の回折像の演算には48×48のメッシュ(テーブル)を用いています。
②実際には入射光の波長によりレイリーリミットが異なるため、実際に撮像したカラー画像とは多少差異があると考えられます。
③デモザイク(ディベイヤー)化する際の演算は、あくまで『推測』にすぎません。
④実際には、波長毎のエアリーディスク径変動、シーイングの影響、ガイドエラーの影響、光学系の各種収差の影響などが複雑に絡み合うため、シミュレーションよりも解像度は落ちると考えられます。
⑤カラー画像のシミュレーションでは、ローパスフィルタの影響を考慮していません。
インコヒーレント光の話だったんですね。う~んなるほどなるほど。
インスタントコーヒーでもいれます。
しっかし、今年は雨が多い気がしますね。
インスタントコーヒーでもいれます。
しっかし、今年は雨が多い気がしますね。
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> noritos1047さん
天気が悪いと、この手の『考察ごっこ」系記事しか書けませんねぇ。
それにしても「インコヒーレント」と「インスタントコーヒー」似てて、コメントを読みながらおもわず笑ってしまいました。
天気が悪いと、この手の『考察ごっこ」系記事しか書けませんねぇ。
それにしても「インコヒーレント」と「インスタントコーヒー」似てて、コメントを読みながらおもわず笑ってしまいました。
すばらしいです。
やはりカラーとモノクロでキワキワのところでは決定的な差が出ますね。
しかも偽色が出るのも面白いです。偽色のことは全然考えていませんでした。
Lambdaさんもエンケ環で面白い考察をしていますね。ちょうど同時期に同じようなことを考えていたみたいです。
いつか3人で議論してみたいものです。
やはりカラーとモノクロでキワキワのところでは決定的な差が出ますね。
しかも偽色が出るのも面白いです。偽色のことは全然考えていませんでした。
Lambdaさんもエンケ環で面白い考察をしていますね。ちょうど同時期に同じようなことを考えていたみたいです。
いつか3人で議論してみたいものです。
> Samさん
ありがとうございます。
ようやくカラー版のバグをやっつけられました。本当は元画像のメッシュをさらに細かくしたい(96×96メッシュとか)のですが、いかんせんEXCELだと演算時間が長いので難儀しそうです。
Lambdaさんのエンケ環考察も興味深いですよねぇ。
ひょっとすると、今回の私の記事中で乗せている元の回折像を見た際に「メッシュ(タイル)の境目が黒く見える」現象(錯覚)とも関連があるのかもしれません。
ありがとうございます。
ようやくカラー版のバグをやっつけられました。本当は元画像のメッシュをさらに細かくしたい(96×96メッシュとか)のですが、いかんせんEXCELだと演算時間が長いので難儀しそうです。
Lambdaさんのエンケ環考察も興味深いですよねぇ。
ひょっとすると、今回の私の記事中で乗せている元の回折像を見た際に「メッシュ(タイル)の境目が黒く見える」現象(錯覚)とも関連があるのかもしれません。
む、難しい〜!
先ずはお元気そうでなによりです。(笑)
え〜と Samさんとあぷらなーとさんのお話しから想像させて頂きますと、mc−CMOS の分解能に限って!言えばレイリー限界とやらの4分の1から6分の1位の相対素子サイズになる様な焦点距離が良いと・・?
計算は面倒くさそうですが、55FL+テレコン+ASI 290 mc (f350mm )は果たして?(大いなる勘違い?)
先ずはお元気そうでなによりです。(笑)
え〜と Samさんとあぷらなーとさんのお話しから想像させて頂きますと、mc−CMOS の分解能に限って!言えばレイリー限界とやらの4分の1から6分の1位の相対素子サイズになる様な焦点距離が良いと・・?
計算は面倒くさそうですが、55FL+テレコン+ASI 290 mc (f350mm )は果たして?(大いなる勘違い?)
> te kureさん
このあたりは個人によって色々な価値観があるので、非常にややこしいですね。
55FL+テレコンで運用した場合に緑の光を基準にすると、
レイリーリミットもエアリーディスク径も
6μm程度になります。
ASI294の画素ピッチはおよそ4.7μmですので、
もう少し焦点距離を伸ばした方が解像度が上がる可能性があります。
とは言え、実際にはシーイングやガイドエラーによるボケの方が遙かに大きく効いてきますので、惑星面や月面を撮影する場合に限ったお話だと思っていただいてよろしいかと。
このあたりは個人によって色々な価値観があるので、非常にややこしいですね。
55FL+テレコンで運用した場合に緑の光を基準にすると、
レイリーリミットもエアリーディスク径も
6μm程度になります。
ASI294の画素ピッチはおよそ4.7μmですので、
もう少し焦点距離を伸ばした方が解像度が上がる可能性があります。
とは言え、実際にはシーイングやガイドエラーによるボケの方が遙かに大きく効いてきますので、惑星面や月面を撮影する場合に限ったお話だと思っていただいてよろしいかと。
天リフで見ましたが、15cmアクロマートが届いたそうですね!
さすが、日本一?のアクロマート使い
レビュー終わる頃には3倍に増えていることを期待しています(笑)
うちにもあるけど、持ち出すのがメンドクサイ・・・
さすが、日本一?のアクロマート使い
レビュー終わる頃には3倍に増えていることを期待しています(笑)
うちにもあるけど、持ち出すのがメンドクサイ・・・
> せろおさん
まだ実写テストできていないんですが、サイトロンさんからレビューのオファーをいただきました。SE120の姉妹機ですから、ナローバンド撮影で威力を発揮するのではないかと目論んでいます。
しかし巨大な筒なので、多連装化はとても無理ですねぇ。
まだ実写テストできていないんですが、サイトロンさんからレビューのオファーをいただきました。SE120の姉妹機ですから、ナローバンド撮影で威力を発揮するのではないかと目論んでいます。
しかし巨大な筒なので、多連装化はとても無理ですねぇ。
う~む、難しいお話でしたが、モノクロカメラの解像感が優れている理由がなんとなくわかります。
いつもの、カラー合成した途端、解像感がぐっと下がってしまうのはベイヤー配列のピクセル補完に起因しているんですよね。
Haのモノクロ画面をピクセル等倍で鑑賞している時が、実は幸せだったりします(笑)
いつもの、カラー合成した途端、解像感がぐっと下がってしまうのはベイヤー配列のピクセル補完に起因しているんですよね。
Haのモノクロ画面をピクセル等倍で鑑賞している時が、実は幸せだったりします(笑)
素人質問なのですが、「約2倍の焦点距離で撮像するのが良さそう」というのはF値は元のままがよいのでしょうか? しかしなんですか!いつの間に武器の密輸が行われていたとは!
> タカsiさん
特にHαに感光するR画素の場合、カラーセンサーの画素数はモノクロセンサーの1/4しか無いわけですので解像度が下がるのは仕方ありませんね。一方、全体の3/4を占めるG画素とB画素の両方に感光するOⅢやHβが対象だと、補完方法を工夫することでモノクロセンサーと遜色ない解像度が出せそうです。
特にHαに感光するR画素の場合、カラーセンサーの画素数はモノクロセンサーの1/4しか無いわけですので解像度が下がるのは仕方ありませんね。一方、全体の3/4を占めるG画素とB画素の両方に感光するOⅢやHβが対象だと、補完方法を工夫することでモノクロセンサーと遜色ない解像度が出せそうです。
> にゃあさん
この辺りのお話はややこしいですよね。
「同じ構図で同等の解像度を得る」ことをお題にした際に、カメラをモノクロからカラーに変えた場合は
①口径は同じでよい
②焦点距離は2倍に
③カメラの画素数は4倍に
④カメラのフォーマット(面積)は4倍に
する必要があるということですね。
具体的には
・口径5cm焦点距離400mmの望遠鏡
・マイクロフォーサーズ1600万画素のモノクロカメラ
を用いることと
・口径5cm焦点距離800mmの望遠鏡
・フルサイズ7200万画素のカラーカメラ
を用いることが同等という意味です。
あるいは
・口径5cm焦点距離400mmの望遠鏡
・マイクロフォーサーズ7200万画素のカラーカメラ
・ただし露出を4倍かける
でもOKです。
実際は、シーイングや収差やガイドミスの影響の方が大きいので、あまり細かいことは考えず「写れば勝ち」だと思いますけれど・・・。
『密輸』ネタについては、そのうち記事を書きますのでお楽しみに!
この辺りのお話はややこしいですよね。
「同じ構図で同等の解像度を得る」ことをお題にした際に、カメラをモノクロからカラーに変えた場合は
①口径は同じでよい
②焦点距離は2倍に
③カメラの画素数は4倍に
④カメラのフォーマット(面積)は4倍に
する必要があるということですね。
具体的には
・口径5cm焦点距離400mmの望遠鏡
・マイクロフォーサーズ1600万画素のモノクロカメラ
を用いることと
・口径5cm焦点距離800mmの望遠鏡
・フルサイズ7200万画素のカラーカメラ
を用いることが同等という意味です。
あるいは
・口径5cm焦点距離400mmの望遠鏡
・マイクロフォーサーズ7200万画素のカラーカメラ
・ただし露出を4倍かける
でもOKです。
実際は、シーイングや収差やガイドミスの影響の方が大きいので、あまり細かいことは考えず「写れば勝ち」だと思いますけれど・・・。
『密輸』ネタについては、そのうち記事を書きますのでお楽しみに!
あぷらなーとさん、ご丁寧に解説をいただいて、ありがとうございます。ものすごいスペックのカラーカメラが必要になるのですね。こういう計算があるから、そういうスペックのカメラを作る人が出てくると。世の中恐ろしいです。
> にゃあさん
というわけでモノクロカメラ大好きだったんですが、最近のNB1ネタで一気にカラーカメラ好きに戻っちゃいました。シーイング悪いとモノクロカメラとの差が出ませんし、とにかく撮影が楽ですので。
個人的にはシーイングの影響が少ない陸戦用途でこそ、モノクロカメラが威力を発揮すると思うんですがねぇ。
というわけでモノクロカメラ大好きだったんですが、最近のNB1ネタで一気にカラーカメラ好きに戻っちゃいました。シーイング悪いとモノクロカメラとの差が出ませんし、とにかく撮影が楽ですので。
個人的にはシーイングの影響が少ない陸戦用途でこそ、モノクロカメラが威力を発揮すると思うんですがねぇ。
by supernova1987a
| 2019-08-31 23:30
| 考察ごっこ
|
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