★接眼部の換装眼視用の短焦点アクロマートの弱点は主に3つ。
①盛大な色収差
②ドローチューブの細さ
③鏡筒の短さ
このうち、①についてはNB1フィルタを用いることにより相当なレベルまで改善することが分かりました。
こうなると問題は②と③です。
簡単な作図で分かるのですが、ドローチューブの内径もしくはフィルタ径を定めた場合に、撮像素子からどこまで離しても良いかは下記の通りとなります。

例えば、15cmF5アクロマートのBK150750にマイクロフォーサーズのカメラを用いる場合は、

このように、撮像素子からドローチューブまでの長さを約160mmまでに止めるのが得策のようです。

標準の接眼部はこのようにおよそ130mmの長さを有しますので、各種アダプタを接続するとすぐに160mmを越えてしまいます。
※むろん、このようなことはこの望遠鏡に限った話では無くて、たいていの望遠鏡にはケラレがあります。
と言うわけで、接眼部を笠井のV-Power(S)接眼部に換装することに。

この接眼部はドローチューブが非常に短いのが特徴です。
ただし、このままではピントが出ません。ただし、接眼部のカメラ側に延長チューブをつないでしまったのでは、換装の効果が薄れてしまいます。
そこで・・・

このように、接眼部の根元(対物側)に専用の太い延長筒を接続しました。これなら(内径が大きいため)ケラレも軽減できるでしょう。

もちろん、剛性のアップとマイクロフォーカス機構によりピント合わせの効率も飛躍的に向上します。
★1時間だけの晴れ間
休日の前日に限ってなかなか晴れないのですが、当夜はなんとか晴れ間が広がりましたので、その隙に速攻でバラ星雲を撮影してみることに。
接眼部を換装したBK150750にPro1D-ACクローズアップレンズNo3とIDASのNB1フィルタを装着して、ASI294MC-Proで短時間露光多数枚コンポジット撮影を狙います。
撮像温度はー10℃、ゲインはbit数が減少しない限界の390にセット。オフセットはいつもよりやや高めの20をチョイス。ダーク減算時のマイナス値が生じるのを回避します。露出は20秒で、追尾はいつものEQ6Proノータッチガイドで行きましょう。
さて、120コマ撮像したところで曇りましたので、ダークフレーム240コマ、フラットフレーム240コマ、フラットダークフレーム240コマを撮像し、お開き。早速画像処理に移ります。
すると・・・
ででん!!
おお、なかなか良い感じです♪
ほぼノートリミングなので、スケアリング調整不足による星像の流れがみられますが、なかなかの描写力。
あとは色々な補正レンズとの相性チェックと、NB1以外のフィルタとの相性を試してみたいですねぇ。
さて、最近ネット上ではアクロマート+フィルタで星雲を狙う『アクロマート戦士』の方々をお見かけするようになりました。嬉しい限りですね!!