★ファーストライトが良すぎるとロクな事が無いいやはや、ここ2週間ほど悶絶していました。原因は、自作オンアキシスガイダー『テレサ』の挙動に再現性が見られないこと。『テレサ』はあぷらなーとの邪悪な精神から生み出されたとはいえ、一応『科学兵器』ですから成功も失敗も因果関係がハッキリしないと気色悪いわけです。ところが、ファーストライトの時に何の問題も無く圧倒的成功を収めたはずの『テレサ』が、それ以降全然ダメな子に化けちゃいまして、難儀していたのです。
※ファーストライトの時には見られなかった恒星像の変形(上下に伸びる)と点状のゴースト(緑円内)
一応、心臓部のプレート型ビームスプリッタが表裏逆になっていることに気付いて改修したものの、撮影側カメラへの影響はほとんど見られませんでした。
また、ガイド側カメラに装着しているレデューサからの反射光が逆入している影響も関係ありませんでした。
仕方が無く、別仕様のビームスプリッタを発注したのですが、その前に、どうしても「上手く写る条件」を見つけないと気が済みません。だって、コンディションが同等でも写ったり写らなかったり・・・って心霊写真や念写じゃないんですから(笑)。
★困ったときの人工星
アクロマート鏡筒の波長毎の収差補正状況の確認や『サッポロポテト現象』の検証などで、大活躍している「人工星テスター」。もうこうなったら、この必殺アイテムに頼るしかないでしょう。これなら、恒星と異なり天候やシーイングの影響を受けず、いくらでも実験が可能です。また、星像の歪みや点状ゴーストが『テレサ』起因であることはハッキリしているので、これらの現象はVMC260Lでなくとも他の望遠鏡でも再現されるはずです。
という訳で、『人工星テスト仕様テレサ』を投入決定です。
対物レンズはBORG45EDをチョイス。これなら屋内での人工星テストでも充分ピントが出ます。また手で触れた際の振動や体重移動による像のズレを防止するため、
AZ-GTiをWiFiで操作して微動を行います。
★見えるぞ、私にも非点収差が見える!
そもそも、最初の段階で光軸に対して非対称なプレートが挿入されることで非点収差が発生することは危惧していました。
ところが、ファーストライトでは非常に良好な像↓が得られてしまったため「ほとんど影響なし」と勝手に思い込んでいたのです。
※ファーストライトでのM8干潟星雲の画像。恒星像も円形で、ゴーストも見られない。
ところが今回のテストで人工星の焦点内外像をよく観察してみると・・・・・
ででん!
なんと、人工星像が見事に「横長」→「十文字」→「縦長」になる様子がハッキリと分かります。しかも、横長から縦長に星像が変化して行くにつれ、下部にあるゴースト像がどんどん明瞭になっていくではありませんか!
ああ、分かった!!
そうです。全ては初めから予測通りだったのです。
プレート型ビームスプリッタは斜め45度に傾けた板状のガラス体です。そのため、その内面反射で発生するゴースト像も垂直な成分と水平な成分とでピント位置がズレますが、全体としてゴースト像が最も明るくなるポイントが恒星像が上下に伸びる位置にあったということです。これはゴーストの方が光路長が長くなることと、水平方向の光が(スプリッタの傾きの影響を受けないため)より収束しやすいことの両方が作用しているようです。
要するに、「ファーストライトの時は恒星像は適正なピント位置(十文字状になる位置)にあり、ゴーストは拡散していた」のに対し、「サードライトの時は恒星像が上下に伸びるピント位置にあり、ゴースト像は結像していた」ということです。
★なぜピント条件が変わったのか
そう言えば、ファーストライトの時に撮像したバーティノフマスクの像にはゴーストが写っていました。

サードライトの時も
同様にバーティノフマスクを用いてピント合わせをしたはずなのに、なぜピント位置がズレたのでしょう?もう一度記憶をたどると・・・・
そうだ!!
バーティノフマスクでピントを合わせた後、M8の構図を縦位置から横位置に変えようとカメラを回転させた際にピント調節ノブに手が触れてピントがズレたため、ライブビューの目視でピントを合わせ直したのだった!!
原因はそれか!!
目視でピントを合わせたのが悪かったのではありません。目視だからこそ、ベストな条件にピントが出ていた可能性があります。
残念ながら、BORG45EDを用いた『テレサ』のテストでは、バーティノフマスクが示す合焦位置と非点収差がある場合のベスト焦点位置とのズレの相関は明確には検出できませんでした。また生じたゴースト像の形状にもVMC260Lの場合とでは差異があります。そもそもVMC260LとBORG45EDとでは光学系が全く異なるのですから、当然かもしれません。いずれにしても、プレート型ビームスプリッタを含む光学系を用いる場合、バーティノフマスクが示す合焦位置を盲目的に信じるのは問題がありそうです。
★『テレサ』はすでに完成していた
よし、次のチャンスには、現有の『テレサ』をVMC260Lに装着して、バーティノフマスクではなくライブビュー目視で恒星像の変形具合からピント合わせをするとしよう。そして、心の中で叫ぶのですよ。
冗談じゃありません。現状でテレサの性能は100%発揮できます!!
「バーティノフマスクが付いていないようだが・・・・」
あんなもの飾りです。偉い人にはそれが分からんのです。
ふははは・・・・は?
「確か反射率:透過率=3:7の新たなビームスプリッタを発注したと聞いたのだが・・・」
ええと、どうもスタンド攻撃で時間が飛んじゃったみたいで、ボク覚えてない。
★★★お約束★★★
①今回の検証ごっこは、実際の撮影機材とは異なる望遠鏡を用いたため、誤った解釈をしている可能性があります。
②本記事はバーティノフマスクの効果を否定するものではありません。
③キューブ型、プレート型ともに、ビームスプリッタを用いた際の弊害は組み合わせる光学系によって様々です。
よって、異なる光学系を用いた場合の挙動を推測することは困難です。
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