★入院中のリハビリをかねて現在、左肩の治療のため入院中なのですが、退院後も2~3ヶ月程度は右腕だけで生活&仕事しないとダメ。
今日は右手だけでPCの操作をする練習を兼ねて、先日のCP+2021で登壇させていただいたサイトロンジャパンさんのオンラインセミナー「アクロマートで星雲を撮る」の補足記事を書いておこうと思います。
※下記はアーカイブへのリンクですが、3月末までの公開のようです。
★「お任せ」と言う名の「無理ゲー」?
いやー、それにしても当日のライブ配信は無茶苦茶に緊張しました。
人様の前で天文系のお話をするなんて高校時代の文化祭以来のことですし、そもそも来場される方の層が全く不明で、一体どのレベルの話がウケるのかが読めません。
しかも、セミナーに登壇される方のリストを拝見すると、業界人・プロカメラマン・有名アマチュア天文家・・・・ひいいい(涙目)
天リフ編集長さんからは「自由に突き抜けちゃってください!」とのお言葉を頂戴したのですが、下記の方針で話を組み立てました。
想定対象:
①「街中とか安物望遠鏡では星雲が綺麗に写せない」ことを知らない初心者の方
②「カメラのレンズは分かるけど望遠鏡は未知」というアマチュアカメラマン
③「直焦点で冷却CMOS。追尾はノータッチガイド。」等の意味が分かるアマチュア天文家
④「ででん!」「多連装!」「エクスカリバー!」「フルアーマー!」「ジャスティス!」などのネタをご存じのフォロワー様
とにかく30分の中で、どこかに反応していただければヨシとします。
メッセージ(主題):
☆「高級機+暗い夜空」が苦しい人も
「安価なアクロマート+QBPフィルタ」で気軽に星雲撮影を楽しんでみて!
気をつけること:
①普段の方言(讃岐弁)は封印
②普段のクセ(早口)は封印
③声だけでもスライドだけでも一応内容が分かるようにする
④専門用語は用いるが、必ず補足説明を入れる
⑤正確ではない用語には「いわゆる」や「などの」を付ける
⑥使用パーツは全て現行品のみで組み替える
⑦極力サイトロンジャパンさん及び親会社さんの商品を中心に筋道を組む
⑧棒読みになると嫌なので、台本は作らない
ちなみに、通しの自主リハーサルは2回だけやりました。
それぞれ録音を聴いてみて、噛みまくったり失言が出た箇所については「話し方を変える練習時間は無いので、ミスしにくいスライドに差し替える」という必殺技の投入で2回改定を加えました。
★セミナー当日
いやはや緊張しまくりで、肝心な所で
「まるで神様が、」→「まるで神さがまが・・・」
「偶然の一致があります」→「偶然の一致があるんなります」
「メーカーさんの望遠鏡」→「メーカーの望遠鏡さん」
「ASI294MC」→「ASI249MC」
「BK150750」→「BK105750」
などと噛み噛みでしたが、致命的な失言は無し。
講演時間が2分オーバーしちゃいましたが、事前許可はいただいていたのでセーフ♪
余裕が無かったのでリアルタイムでチャットは追えなかったのですが、なんと
「ででん!」の合いの手(仕込みで無く)
を入れてくださったり
「3連装キタ!」
「邪悪だ!」
「偶然の一致」
「ごっこ」
「変態」
「無理な努力」
などなど「マニアにだけ伝わるキーワード」に沢山反応していただけたのが感激でした。
また「日本語がきれい」「話なれてる」との感想をいただけたのは予想外の喜びでした。たしかに意識はしましたけど噛み噛みだったので(汗)
とにかく、
お忙しい中ご視聴いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
★当日話せなかったこと
はい。ではここからが本題です(おい)
スカイウオッチャーの15cmF5アクロマートBK150750+ケンコーPro1DクローズアップレンズACNo3+サイトロンQBPⅡ+ASI294MCP
を用いて実際に撮影した網状星雲のデータを元にして、実際の画像処理について補足説明をします。
①撮影機材について
セミナーでは簡略化しましたが、正確には下記の機材です。
望遠鏡:スカイウオッチャー 口径15cmF5アクロマート
接岸部:笠井トレーディングV-PowerⅡ
補正レンズ:ケンコーPro1DクローズアップレンズACNo3
カメラ:ZWO ASI294MC Pro
フィルタ:サイトロンQBPⅡ + ZWO IR/UVカット
赤道儀:ケンコーEQ6Pro
上記は撮影時風景です。BK150750と同等のメーカー不明機を同架してツイン化していますが、セミナーの作例はBK150750による画像だけを処理しました。
また、上記画像にはオートガイダーが写っていますが、実際にはノータッチガイドで撮影しています。なお、マイクロフォーサーズで撮影する場合は接眼部の換装は必須ではありません。
②撮影時の設定について
セミナーでは簡略化しましたが、正確には下記の設定で撮影しました。
撮像ソフト:SharpCap3.2(フリー版)
撮影パラメータ
Output Format=FITS files (*.fits)
Colour Space=RAW16
Flip=None
Gain=300
Exposure=30sec
White Bal (B)=95
White Bal (R)=75
Brightness=10
Temperature=-0.3
※夏場だったので冷却は0℃
※ノータッチガイドなので露出は30秒に切り詰め
※短時間露光なのでゲインは高めにしてノイズを減らす(ただし390を越えると破綻する)
※ブライトネス(オフセット)はもう少し高めの方が良かったかも(要検討)
※本当はホワイトバランスはBもRも50に固定すべきだった(反省)
※ピント合わせはPC画面上の目視。軸上色収差の出方をよく観察して好みのテイストに落とし込む。
※上記設定で400コマを連続撮影した
③画像処理についてA
究極の手抜き処理ですが、この程度でもSNS用なら十分かも?
ちなみに、この程度の写りで良いなら、
30秒露光1コマのみ!
ダークフレーム不要!
フラットフレーム不要!
バイアスフレーム不要!
コンポジット(スタック)不要!
ノイズ除去フィルタ処理不要!
マスク処理不要!
フォトショップ不要!
使うソフトはステライメージだけ♪
というお気軽さです。
では、実際の処理を見てみましょう
●ステライメージ9の初期設定
取りあえず、勝手に余計な処理をさせないためとフリーズ抑止のため、上記の黄色四角部分は全てチェックを外しておきます。
●画像のデモザイク(ディベイヤー)
まず、撮影した16bitFITS画像1コマをステライメージに読み込みます。
読み込んだ画像はベイヤー画像(RAWデータ)なので、画像→ベイヤーRGB変換を実行します。
カメラに合ったベイヤー配列パターン(ASI294MCならRGGB型)を指定し、他の余計な処理は外します。
これでいわゆる現像処理が完了しました。一見何も写ってないように見えますが大丈夫です。ちゃんと写ってます。
●デジタル現像など(階調圧縮とあぶり出し)の実行
階調→デジタル現像を実行します
まず右側のスライダ2つをヒストグラムの右裾によせて・・・・
左側に空白ができるまでヒストグラム拡大を実行します。
そして、プレビュー画像を見ながら、ヒストグラムの両裾を左右のスライダで挟むように調整します。
これで、星雲があぶり出されましたが、色が変なので・・・
階調→オートストレッチを実行します。
※もし、この段階であまりに色合いがおかしい時は、デジタル現像とオートストレッチの順番を逆にしてください。
これだと、少し色分離が悪いので・・・
階調→マトリクス色彩調整を実行します
まだ若干色合いがスッキリしないので・・・・
階調→Lab色彩調整を実行します
完成です♪
後はお好みでトーンカーブを微調整しても良いでしょう。たとえば・・・
ちなみに、撮影にかかった時間は約30秒、画像処理にかかった時間は1分ほどでした。
楽ちんです♪
④コレジャナイ!という方は・・・
左側(今回の処理)を右側に変える処理については、次回書きます♪
つづく