画像処理法解説

CP+2021オンラインセミナーの補足②

★30秒露光1コマ画像の限界
前回の記事では、15cmアクロマート+QBP+ASI294MCPを用いて撮像した30秒露光1コマ画像の処理詳細について書きました。


だだ、このように綺麗に見える画像でも・・・・・
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_10044613.jpg
ピクセル等倍で観察すると・・・・・
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_10054962.jpg
このように、ザラザラであることが分かります。

これが、光子ショットノイズです。一般のカメラ用語としては『高感度ノイズ』と称されることが多いようですが、これはカメラ側に起因するノイズではなく自然界に存在するノイズ(光が粒子性を持つことに起因する個数の揺らぎ)で、たとえ低ISO感度や低ゲインで撮影しても露出時間が短すぎる画像を処理すれば必ず発生します。むしろショットノイズが写るのは正常です。身近な例にたとえるならば「小雨がパラパラと降っている状態では紙を長時間雨にさらすと全体が均等に濡れるが、短時間だけ雨にさらすとポツポツ模様が写ってしまう」ことに相当します。

以前書いたノイズの諸々についての長い記事でも触れましたが、この光子ショットノイズこそが最強のノイズだと考えています。他のノイズについては、まずこの「優先度①」の光子ショットノイズを退治してから考えても遅くありません。

さて、光子ショットノイズを退治する画像処理が加算平均コンポジットです。理論的にはコンポジット枚数をN倍にすると、光子ショットノイズは1/√Nに減少します。

では、さっそく前回処理した画像と同じ日に撮像した画像120コマをコンポジット処理してみましょう



★光子ショットノイズを退治する

①画像処理についてB-1
<対象RAW画像全てを一括デモザイクする>

まずは、画像を1コマ開き、設定→ワークフローを実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13031481.jpg
ワークフローの記録開始を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13070418.jpg
画像→ベイヤーRGB変換を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13083550.jpg
前回と同じくデモザイク(ディベイヤー)処理を指定し、OK(記録)を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13114541.jpg
記録の終了を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13102080.jpg
これで、デモザイクの手順が記憶されたので、対象ファイル全てに対して同じ演算を一気に掛けます。
「バッチ実行」ボタンを押すと
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13161193.jpg
対象ファイルを聞いてくるので、「ファイルから追加」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13145580.jpg
対象ファイルを全て選んで、「開く」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13184276.jpg
結果の出力先を聞いてくるので、「別のフォルダに保存」を押して、出力先を指定してから「OK」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_13195482.jpg
これで、指定したフォルダ内にデモザイク(ディベイヤー)されたRGB画像が一括生成されました。


②画像処理についてB-2
<対象RGB画像全てをコンポジットする>

まず、デモザイク済みのRGB画像を1コマ開き、基準星を1点指定します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_16562305.jpg
バッチ→コンポジット を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_16572622.jpg
最低限の設定を確認したら「詳細」を開きます。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_16584075.jpg
位置合わせのパラメータを設定します。サーチ範囲は1コマ間の最大追尾誤差です。30~50ピクセル程度でやってみて、不具合があれば適宜調整します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_16594084.jpg
基準画像以外の対象画像を読み込むため「ファイルから追加」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17041547.jpg
対象画像を全て指定します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17040549.jpg
位置合わせをの実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17060153.jpg
全コマの修正値が表示されたら、コンポジットを実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17071384.jpg
「中断」表示が消えるまで待ちます。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17075776.jpg
「中断」表示が「実行」表示に戻ったら完成なので閉じます。
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これでコンポジットが完了しました。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17104063.jpg
前回と同様、デジタル現像・オートストレッチ・マトリクス色彩強調・Lab色彩調整を実施しますと・・・
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17121853.jpg
完成です。
1コマ画像と比較してみましょう。
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17131703.jpg
CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17132644.jpg
120コマコンポジットの威力で、ほとんどのノイズが消失し、格段に鮮明になりました。


※追記

なお、ステライメージ9は以前のバージョンと比べると動作が劇的に軽くなったのですが、それでもお使いのPC環境によっては上記の手順だとメモリが枯渇してスワップが発生し、処理に時間がかかるケースがあります。
その場合は下記の裏技をお試しください。なんと必要メモリが数十分の1で済んでしまい、さらに数倍速くなります。






★まだコレジャナイって??
え・・・光子ショットノイズ退治よりも奥に踏み込みますか?
もう引き返せないですよ(笑)。

CP+2021オンラインセミナーの補足②_f0346040_17321245.jpg
はい。上記の画像を見ると、赤や青や緑のジグザグ模様が写っていることに気がつきます。
これが、いわゆるホットピクセルによる輝点ノイズとかダークノイズと言われるものです。
本来真っ暗であるはずの像にカメラが発するノイズが明るい点状に写ってしまう現象です。

これは退治する優先度2のノイズなのですが、このように優先度1の光子ショットノイズを退治して初めて目立ってきます。

次回は、このダークノイズを退治する方法についてお話しします。

つづく


Commented by te kure at 2021-03-22 09:28 x

先日のコメントがダブってしまい失礼しました💦
削除パスワードがおかしな事になり、削除出来ませんでした。

ところでSI9でのコンポジットは、一枚のファイルの基準点指定でOKなのですか?
それですと位置合わせに時間が掛かりませんね?
Commented by supernova1987a at 2021-03-22 12:36
> te kureさん
はい。
本来、ステライメージは「そこ」が好きだったんですが、7以降その機能が消されてました。
それが9になって復活したので嬉しくてたまりません。


※重複コメントはこちらで削除いたしましたのでご安心を♪
Commented by te kure at 2021-03-23 09:06 x
削除ありがとうございます!🙇‍♂️
SI9、そうだったのですか、それは楽しみですが膨大な残雪を前にまだ出番が有りません💦
過去の撮影でお試しします。

それとあぷらなーとさんシリーズをiPadのiBookに専用のフォルダーを作りました。
以前に頂いた解説も合わせて入れております。😅
後は将来コッソリ印刷するだけ・・😉✌️
Commented by supernova1987a at 2021-03-24 10:20
> te kureさん
専用フォルダ!!
いやー、光栄です。

おかげさまでステライメージの処理詳細記事が純情に進んでいますのでご期待ください(笑)

最終的には、いつぞやのノイズ記事と混ぜたコンテンツを書いてみたいです。
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by supernova1987a | 2021-03-21 18:41 | 画像処理法解説 | Comments(4)

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