画像処理法解説

CP+2021オンラインセミナーの補足③

★優先度②のノイズを退治する
さて、これまでの内容に引き続き・・・


今回もCP+オンラインセミナーでお話しした「アクロマートで星雲を撮る」際の画像処理についての詳細を書いていきます
使用機材については、上記の補足①をご覧ください。


★ダークノイズとは・・・
前回の画像処理で、120コマの加算平均コンポジットを行い、退治優先度①のノイズである「光子ショットノイズ」をやっつけましたが、今度は優先度②の「ダークノイズ」が現れました。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_17321245.jpg
このノイズは自然現象ではなく、カメラが発しているノイズです。
これを退治するためには「ダークフレーム」を用います
ダークフレームとは、カメラの設定を実際の天体撮影時と全く同じにし、キャップや暗幕などを用いて真っ暗闇を撮影した物です。
例えば、上記の網状星雲を撮影した時と同じ設定で撮影したダークフレームを1コマだけ処理(現像)してみると・・・・
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_17250892.jpg
左のように奇妙な光芒(アンプグロー)や右のようなカラフルな輝点(ホットピクセル)が写っていることが分かります。
これらのダークノイズにはある程度の再現性がありますので、ライトフレーム(天体を撮影した画像)からダークフレーム(ダークノイズを撮影した画像)を引き算すれば、ほとんどのダークノイズは退治できます。この処理を「ダーク減算」または「ダーク補正」と呼びます。(一般のデジカメにおける「長秒時ノイズリダクション」に相当)

ただし、実際にこのホットピクセルの様子を観察してみると、下記のように明るさが揺らいでいることが分かります。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_17364689.jpg
そこで、正確なダークノイズの量を推測する為にダークフレームはできるだけ多く撮影し、それを加算平均コンポジットします。
目安として、ライトフレームの枚数と同程度は用意するのが良いと思います。


★ダークノイズを退治する
そろそろ画像処理の工程が複雑になってきたので、先に気をつけるべきポイントを書いておきます。

★ダーク減算は、ライトフレームのデモザイクよりも前に行うこと
★ダークフレームのコンポジットは、デモザイクせずに行うこと
★ライトフレームのコンポジットは、デモザイクの後から行うこと

では、行ってみましょう。

①画像処理についてC-1
<ダークフレームのコンポジット>
まず、画像を何も開かずに「バッチ」→「コンポジット」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20385877.jpg
ファイルから追加を実行します
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20400246.jpg
用意したダークフレームを全て指定して開きます
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20405862.jpg
パラメータを確認して、位置合わせ無しでコンポジットを実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20463281.jpg
警告が出ますが、意図的にやっていることなので無視します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20481842.jpg
処理が済んだら・・・
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20493306.jpg
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20494763.jpg
完成したダークファイルの保存先と名前を指定します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20504972.jpg
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20522204.jpg

形式は「実数」の「32bit」のFITSを指定(64bitでも可)
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_20524355.jpg
これで、ダークノイズを撃退するためのダークファイルが完成しました。


②画像処理についてC-2
<ライトフレームの一括ダーク減算処理>

「バッチ」→「共通ダークフラット補正」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00270186.jpg
先ほど仕上げたダークファイルを指定します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00301202.jpg
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00303247.jpg
対象となるライトフレーム(デモザイク前)を指定します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00315434.jpg
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00320997.jpg
出力先を指定します。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00330503.jpg
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00332028.jpg
処理を実行します。

CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00341801.jpg
③画像処理についてC-3
<ダーク補正済みライトフレームの画像処理>

あとは、前回述べたやり方で、ダーク補正済みのライトフレームを全てデモザイクし、加算平均コンポジットします。
そして、前々回述べたやり方で、デジタル現像・オートストレッチ・マトリクス色彩強調・Lab色彩調整を施します。

完成です。
CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00394705.jpg
旋回の結果と比べてみましょう。

CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_09113976.jpg

不快なダークノイズが綺麗に退治されました。

めでた・・・え?ダメ?
★まだコレジャナイという方は

CP+2021オンラインセミナーの補足③_f0346040_00394705.jpg
ああ、周辺の明るさが暗く落ち込んでいるのが気になりますか・・・
これは周辺減光ですが、退治するにはフラット補正を行う必要があります。
次回はフラット補正についてお話しします。

つづく


Commented by te kure at 2021-03-26 13:14 x
いやはや、噛んで含める様な親切・丁寧さ!
以前の特別講義の処理行程の指導書は、今でもSIでの処理の際には毎回必ず確認しながら行なっております!🙇‍♂️
Commented by supernova1987a at 2021-03-27 05:08
> te kureさん
ありがとうございます。
あの時の使い方紹介では特殊な条件下に片寄っていたのですが、ようやく汎用性の高い使い方が書けました。
Commented by 清水克己 at 2021-04-11 21:56 x
コネチカット州在住の清水克己と申します。Youtubeでアクロマーとで星雲を撮るを拝見しました。
あぷらなーとさんのアプローチの面白さに引き込まれてしまいました。特に三連装でモノクロを撮るなんて考え方は、一つ一つ別々に時間をかけて撮ってなんて時間の掛かる作業はとても自分には手に負えない代物だと考えたことがあり、目から鱗が落ちるような、素晴らしい発想です。
寒さに震えて天体写真を撮るのはもう嫌と一旦辞めていたのですが、70を超えて、この年始から望遠鏡なしで古いデジカメ(フジIS Pro(と古いレンズ(NikonのAi, Non Ai) だけでまた天体写真を撮り始めたところです。でも寒さにはやはり勝てず、自分用の風除け観測所を持とうと今作業をしています。
あぷらなーとさんのサイトに行き当たり、これから色々勉強させて貰います。観測所が出来たら、40年ほど前に子供と使っていた8インチSCも再度眼視用に使ってみようかなと考えています。
役にたつ内容ばかりなので、これからも楽しい動画楽しみにしています。
ありがとうございます。
Commented by supernova1987a at 2021-04-12 22:39
> 清水克己さん
オンラインセミナー動画をご覧頂きありがとうございます。
デジタル時代になってから、従来の常識にこだわらなくても色んな楽しみ方ができるようになりました。望遠鏡無しでの撮影も有意義ですし、機会があれば8インチシュミカセ+デジカメも面白いかも知れません。
ぜひ、色んな楽しみ方をしてみてくださいね!
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by supernova1987a | 2021-03-24 00:48 | 画像処理法解説 | Comments(4)

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