★優先度②のノイズを退治するさて、これまでの内容に引き続き・・・
今回もCP+オンラインセミナーでお話しした「アクロマートで星雲を撮る」際の画像処理についての詳細を書いていきます。
使用機材については、上記の補足①をご覧ください。
★ダークノイズとは・・・
前回の画像処理で、120コマの加算平均コンポジットを行い、退治優先度①のノイズである「光子ショットノイズ」をやっつけましたが、今度は優先度②の「ダークノイズ」が現れました。

このノイズは自然現象ではなく、カメラが発しているノイズです。
これを退治するためには「ダークフレーム」を用います。
ダークフレームとは、カメラの設定を実際の天体撮影時と全く同じにし、キャップや暗幕などを用いて真っ暗闇を撮影した物です。
例えば、上記の網状星雲を撮影した時と同じ設定で撮影したダークフレームを1コマだけ処理(現像)してみると・・・・
左のように奇妙な光芒(アンプグロー)や右のようなカラフルな輝点(ホットピクセル)が写っていることが分かります。
これらのダークノイズにはある程度の再現性がありますので、ライトフレーム(天体を撮影した画像)からダークフレーム(ダークノイズを撮影した画像)を引き算すれば、ほとんどのダークノイズは退治できます。この処理を「ダーク減算」または「ダーク補正」と呼びます。(一般のデジカメにおける「長秒時ノイズリダクション」に相当)
ただし、実際にこのホットピクセルの様子を観察してみると、下記のように明るさが揺らいでいることが分かります。
そこで、正確なダークノイズの量を推測する為にダークフレームはできるだけ多く撮影し、それを加算平均コンポジットします。
目安として、ライトフレームの枚数と同程度は用意するのが良いと思います。
★ダークノイズを退治する
そろそろ画像処理の工程が複雑になってきたので、先に気をつけるべきポイントを書いておきます。
★ダーク減算は、ライトフレームのデモザイクよりも前に行うこと
★ダークフレームのコンポジットは、デモザイクせずに行うこと
★ライトフレームのコンポジットは、デモザイクの後から行うこと
では、行ってみましょう。
①画像処理についてC-1
<ダークフレームのコンポジット>
まず、画像を何も開かずに「バッチ」→「コンポジット」を実行します。

ファイルから追加を実行します

用意したダークフレームを全て指定して開きます

パラメータを確認して、位置合わせ無しでコンポジットを実行します。

警告が出ますが、意図的にやっていることなので無視します。

処理が済んだら・・・


完成したダークファイルの保存先と名前を指定します。

形式は「実数」の「32bit」のFITSを指定(64bitでも可)

これで、ダークノイズを撃退するためのダークファイルが完成しました。
②画像処理についてC-2
<ライトフレームの一括ダーク減算処理>
「バッチ」→「共通ダークフラット補正」を実行します。

先ほど仕上げたダークファイルを指定します。


対象となるライトフレーム(デモザイク前)を指定します。


出力先を指定します。


処理を実行します。

③画像処理についてC-3
<ダーク補正済みライトフレームの画像処理>
あとは、前回述べたやり方で、ダーク補正済みのライトフレームを全てデモザイクし、加算平均コンポジットします。
そして、前々回述べたやり方で、デジタル現像・オートストレッチ・マトリクス色彩強調・Lab色彩調整を施します。
完成です。

旋回の結果と比べてみましょう。

不快な
ダークノイズが綺麗に退治されました。
めでた・・・え?ダメ?
★まだコレジャナイという方は

ああ、周辺の明るさが暗く落ち込んでいるのが気になりますか・・・
これは周辺減光ですが、退治するにはフラット補正を行う必要があります。
次回はフラット補正についてお話しします。
つづく